リアル鍛冶師のおっさんが刀匠へと至るまで 作:バナナラッシー
「ここが神代の鐵遺跡か……これまたなんというか、雰囲気がガラッと変わったな」
ペンシルゴンから渡されたマップ情報を頼りにここまで来たわけだが、俺の眼の前には今、SF系の作品でしか見たこと無いような近未来的建物が、周りの自然を拒むかのように鎮座していた。
黒い建物に青く輝く線が引かれているその様相は、中々浪漫を感じさせる。
「しっかし、このメモ通りの進み方で本当にいいのか?複雑すぎてもはや格ゲーのコマンドみたいになってやがるんだが……」
マップには神代の鐵遺跡までの道のりと、経験値の実入りのいい隠しエリアまでの道のりが記載されているのだが………右に曲がり、左を下り、上に上がって、穴に入って、オブジェクトに乗って一つ足場を通り過ぎたあとに降りる、などなど、目的地までの道のりがそこいらのRPGゲームじゃ見ないほどに細分化されてやがる。一体どうやってこんなルートを見つけたんだ……
「中々骨が折れそうだが、せっかく教えてもらったんだ。ささっと向かうとしよう」
「ふ〜む、入ってそうそう物騒なお出迎えだな。出待ちが卑怯だとは思わんのか?」
腰に差された澄晴を抜刀しながら、その卑怯者に対して正眼に構える。相対するのは一般的なモンスター……ではなく、明らかSF作品でしか登場しないような外見の
正三角形型の浮遊している青と黒のカラーのロボットとは……今の時代には珍しいくらいのシンプル具合だな。
「ま、倒しちまうことに変わりはないが…なっ!」
澄晴を振りかぶり剣道の踏み込みの要領で三角ロボットへと斬りかかる。スキルを使用せずとも刃が届く距離ではあったが、やはり刀との相性はかなり悪いようだ。傷を付けられはしたがあまり通りがいいという感触はしなかった。最近物理的に硬てぇやつとしか戦ってねぇ気がすんな。
「だが!今の俺はそんな奴らへの対抗策を持っている!しかも、機械相手ならなおさら効きそうな」
ブォン!!!
「っうお!?おま、説明中に攻撃はなしだろ!」
人がせっかく説明してやってんのに突進かましてくるとは、やってくれるじゃないか。
「ええぃ、機械ならどうせ水とか氷関連に弱いだろ!【フロストエンチャント】!」
澄晴に氷属性を付与し、三角ロボに数回攻撃を叩き込む。俺の予想が正しいなら、こいつはこれで動きが緩慢になるはず……
「………っは、ドンピシャじゃねぇか」
さっきまでかなり俊敏な動きで突進をかましてきていた三角ロボの動きが、まるで壊れかけのおもちゃのようにぎこちない動きとなっていた。そう、霜のようなエフェクトと共に。
「これは思わぬ氷魔法のメリットを見つけちまったな。これなら多少は攻撃を多く加えやすい、が、やはり打撃系のまともな武器が欲しいところだな。こういう奴らへの打点の一つくらいは作っておきたい」
これから鍛造していきたい刀の構想を練りつつ、着実に三角ロボへの攻撃を積み重ねていく。
多少武器相性が悪かろうと、敵MOBとして存在する限り倒せない道理はない!
「これで…終いだ!!」
一艘飛びを発動し、三角ロボより高いところまで飛び上がる。相手はこちらに狙いを定めようととんがっている部分を向けてこようとするが、その動きは実に遅い。
それは、一太刀入れるにはあまりにも遅い動きであった。
三角ロボに一筋の閃光とともに刃が走り、三角ロボはポリゴンとなり爆散した。
「ふぅ、なんとか倒せたな。しっかし、こういう感じのやつが普通に出てくるとなると、武器の新調は早急にしたほうが良さそうだ」
最近はやたら斬撃系の武器が効かない相手と戦うことが多いからな……斬撃属性じゃない刀なんてほんとに作れんのかねぇ。
「お、素材も落としてんじゃねぇか。メカメカしい素材ならありがたいんだが………」
・デルタユニットドローンT1式の装甲板
デルタユニットドローンT1式の装甲。本体から分離されたことで本来の性能は消えているが、回路自体は生きており活用することができる。
「いかにもメカっぽい名前で素晴らしいな。それに回路の活用ができるってことは武器の素材にも使えるってことだよな!?いやー、これは良いもん拾っちまったわー」
回路といっても何の機能が刻まれてんのかもわからんが、こんだけかっけぇ素材なら悪いことにはならんだろう。ただ、普通に鉱石みたいに溶かしちまったら回路も何も関係なくなっちまうかもなー。どう使えるか考えながら隠しエリアまで行くか。
はい地図を開きましてっと、真ん中に穴の空いたプレートの左側を通って亀裂を飛び越し、四方が欠けたプレートに乗って地下二階と三階の隙間へと移動しそこから先へ苔むした壁を通り抜けて、壊れたエレベーターの横の穴を下って………
「……本当にどうやってこのルートを見つけ出したんだ?ここまでくると普通に引くぞ」
根気強いとか、探索厨とかの言葉じゃ言い表せないほどの情報量に思わず困惑する。あいつマジでチーターとかじゃねぇよな?俺垢バンとかされねぇよな??
……とりあえず、歩くか。
「そんで、最後はこの穴を降りると…最後まで濃厚だな、ほんと」
地図通りのルートでも本当に正しかったのかわからないくらいに複雑な道なき道を歩き続け、五体目くらいから数えるのをやめるくらいにうんざりする量のロボたちを倒し、最後には紐無しバンジーか………老体にはちとキチィよこれは。
「フルダイブならではの恐怖感はあるが、逆にこういうのは……楽しむのが吉ぃ!!」
俺は勢いよく底の見えない深穴へと飛び込んだ。肌にまとわりつく風、耳に届くは甲高い風切り音、何も見えない漆黒の視界、すべてを現実と同等レベルな没入感で感じつつ落下する。
「ひゃっふーーーーーー!!!!!!」
年甲斐にもなくはしゃいでいるが、リアルでこんなことやったら俺の腰は秒で粉々に砕かれちまうからな。こういうときこそ普段できないことを肌で感じたいのだよ。
これ落下死とかしないよな?
そこそこ長い時間落ちているが、ようやく光が見え始めてきたな。落下死の可能性があるのが心配だが、まぁ、なんとかなるだろう!
「うぉっと、滑り台形式になってたのか。にしては急にしすぎ……こりゃあ、また絶景だな」
隠しエリアは絶景にしないといけないなんて決まりがあるのかねぇ。秘匿の花園や水鏡の群生地もそうだが、どこも現実の景色以上の絶景だったがここもちゃんと絶景だ。黄金色に輝いている池の水が地下の薄暗さをかき消すレベルで光っている。名前は……涙光の地底湖と言うらしい。
名前までかっこ良いじゃねぇか、こんちくしょう。
「で、ここで何をするかと言うと………釣り、なんだよなー」
こんなところまで来てやるのは釣り、マジなんで釣りなんだ。ペンシルゴンいわく、釣りすれば分かるらしいから一応釣り竿買ってきたんだが。釣り餌とか撒き餌とかルアーとか必要だったりしないよな。これで何も釣れませんなんてなったら普通に泣くぞ俺。
インベントリから釣り竿を取り出し池へと糸を放り投げる。釣りの経験は、リアルなら嗜み程度にはあるがこのゲームじゃどういうシステムで動いてんだ?LUK参照?
「っと、んなこと考えてたら早速あたりが…よっと」
・ライブスタイドサーモン
生命の潮流に住まう鮭。その身は食した者の体力を回復させ、その卵は優れた魔法触媒となる。
大いなる大地にも命があり、血と命が巡る。
………発光している鮭が釣れた。
「鮭かぁ、いやサーモンって言うなら刺身でも食えそうだな。でもこのゲームはなんか味が薄いんだよな。てか醤油があるのかも分からんし」
しっかしまぁ良い身のつまり方してんなぁ。現実でも中々お目にかかれ無いサイズの鮭だ。
「いや違う違う。俺は経験値を稼ぎにここに来たんだ。ふむ、もしかしたらこの池のレアエネミー倒せば、経験値がいっぱい得られるとかそんな感じなのかねぇ」
どんなゲームに経験値の実入りのいいエネミーだったり、そういうエネミーが出やすいってエリアは存在する。そしてそういう情報はどんなゲームにおいても争いの元だったり、争奪戦が発生したりするもんなんだが、ペンシルゴンはこんな貴重そうな場所の情報を俺に明け渡したってのか?
あいつに限ってお人好しなんてことはないだろうし、何か打算が………
「お、またあたり…って鮭かよ」
あれからかれこれ1時間くらい待っているわけだが、全く持って釣れなくなったな。本当にこのゲームは釣りにLUKを採用しているかもしれん。
もしこの通りなら、初期値の数字じゃレアエネミーなんて釣れないんじゃ………
「ん、久方ぶりのあたり……って重!これは、ようやく来たんじゃないか、お目当てがぁ!!!」
釣り針にライブスタイド・サーモンをつけたのが良かったのか、すぐに大きなあたりが来た。
俺は全力で力を振り絞りバカでかい水柱とともに現れた
「やっっと出てきてくれたな。名前は、ライブスタイド・レイクサーペントね。無駄に長い名前だな!ハイアクセル!!!」
ライブスタイド・レイクサーペントが水面から出てきた瞬間にハイアクセルを起動する。元のAGIの数値は低いが距離を詰めんならできるだけ早いほうが良い。見た目は大型のヘビで鱗を持っている。また斬撃属性が通りにくそうな気がするがまぁそこは気にしない。一艘飛びでさらに距離を詰め、澄晴を振りかぶる。
「三枚におろしてやるよヘビやろぉ…」
べチィん!!!!!!!
…
……
………
…………
「は!?今、一体、何が起きた?」
ま、神代関係の素材は古匠にならないと使えないんだけどねぇー
唐突で悪いのですが、皆様は主人公の身体欠損には肯定的ですか?特に他意はないです
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yes
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no