リアル鍛冶師のおっさんが刀匠へと至るまで 作:バナナラッシー
これからもちまちまと投稿できたらな、と思います。
俺は走った。とにかく走った。若干鈍足気味の自分のステータスを恨みながら走った。
スタミナがなくなったそばから飯を掻きこみながら走り続けた。
「はぁ、はぁ・・・町はまだなのか!?」
もちろんそんな嘆きに答えてくれる者はいない。このままではまた一からボスを倒して戻ってこなければならない。そんなめんどくさいことはまっぴらごめんだ。
「なにか・・・何かないか、毒消し効果がある草とかポーションとか・・・ん?これはもしや!」
どうやら天はまだ俺を守ってくれるらしい。素材だらけのインベントリの中にひときわ輝いて見えるアイテムがあった。そう、”薬草”である。
「助かった!これがあればくそ蛇の毒なんざ消し飛ばしてくれるはず!」
俺はさっそくインベントリからそれを取り出し、説明を読んだ。
「食うもよし、薬にするもよし、魔術の素材にするもよしって・・・あ、食うのね」
素材以外の用途があることに助かったが、まさか食って使うとは・・・これこそフルダイブの
醍醐味ってやつなのかな?
「って、そろそろHPがほんとにまずい・・・えぇい儘よ!」
俺は一気に薬草を食った。味は・・・何と言ったらいいか、少し青汁に近い味がした。
「お、毒が消えてるな。いやぁ助かった。収集を怠らなくてよかったぜ」
直前であんなに薬草が自生してたのは、初心者救済用のやつだったのかもしれねぇな。
正直あれが無かったら俺はまたファステイアに逆戻りだっただろう。
「まぁ何とか落ち着けたし、まったりと街を目指しましょうかね。」
俺は非常にのんびりとした足取りでセカンディルへと向かった
「おぉ、ここがセカンディルか。ファステイアとは違って随分活気があるな」
ファステイアが田舎町だとしたら、セカンディルは中都会といった感じだ。
屋台じゃなくてちゃんとした店が構えられているし、人の行き来も多い。装備もなんだか高級感のありそうなやつらがちらほら見られる。
「商店のおっちゃんが言ってた鍛冶屋に行きたいんだが、ちょいと休憩が必要かもな」
もう既に三時間は経過してしまっている。トイレと飯を済ませたくなる時間だ。
「確か宿屋に行けばセーブできるんだよな。さっさと見つけてログアウトすっか」
長時間のフルダイブは危険だとかゴーグルの説明書にも書いてあったし、そこらへんは注意していかないとな。
「はい、戻ってきましたよっと」
どうもリアルの智也です。とりあえず軽く飯を食って用を足したらすぐダイブだけどね。
「はい、帰ってきました」
どうもバーチャルな智也です。ってふざけてる場合じゃないんだ。とりあえず鍛冶屋を探そう。
「絶対にここだ。見なくてもわかる」
鉄をたたく音が響き、若干炎の音が聞こえる場所は鍜治場以外にあり得ない!
俺は勇気と覚悟を決めてその鍛冶屋へのドアを開いた。
「いらっしゃい、どんな物をお求めですかい?」
「この店は刀を置いているかい?」
単刀直入に言う。これが俺のトークスタイルだ。欲しいものをびしっと言ったほうがわかりやすいだろ?
「刀ですか・・・少々数は少ないですが、こんなものだったらありますよ」
そういうと店主は一覧表のようなもの渡してくれた。しかも武器種を刀類に絞ってくれてある。
今どきのAIはこんな気配りもできるのか。
俺はそんな感動に浸りながら、一覧表に視線を落とした。
「って、本当に少ないな。たったの二種類しかないぞ?」
「すいません、何しろ刀使いというのはこの街ではあまり見かけませんので・・・」
なるほど。どうやらこの世界では刀の人気はそこそこ止まりらしい。なんと嘆かわしいことか。
日本男児の刀への思いはとおの昔に消え去ったというのか!
「あの、そう悲痛な顔なさらないでください。気に入るような物が無かったら、素材を持ってきさえいただければよりよい武器をお作り致しますので・・・」
なんと。素材があれば、作ってくれる?だが俺は自分で作りたい。でも素材もノウハウもない。
でも刀は欲しい。妥協したくない。既製品を買うなんてのはナンセンスだ。でも刀欲しい。
・・・は!見つけたぞ、俺の出来ること!
「店主、いや師匠。どうか俺を弟子にしてください!」
「は?」
店主はまるでリアルの師匠と同じような見事な呆れ顔を俺に見せた。
店主さんがかわいそう。
唐突で悪いのですが、皆様は主人公の身体欠損には肯定的ですか?特に他意はないです
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yes
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no