リアル鍛冶師のおっさんが刀匠へと至るまで   作:バナナラッシー

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わぁい刀だ刀だ。みんな好きだよね刀。え、そうだよね?


ショッピングのお時間です

ユニークシナリオ・・・確かこのゲームを代表する要素の一つだったはずだ。

どこで、何をすれば発生するかも分からないような珍しいことだってサイトにあったんだが・・・

こんなところで発生するようなことなんだな。

 

「俺は絶対に達成しますよ」

 

「ふん、口だけのやつじゃないことを祈っておくよ」

 

最後までうちの師匠みたいな態度の人だったなー。

 

 

「いやぁ、君が条件を受けてくれて助かったよ。最近のあいつはずっとイライラしててね。

君があいつの態度で帰っちまうんじゃないかと不安だったんだ」

 

「え?元からあんな態度なんじゃないんですか?」

 

まさかあの親方にも悲しい過去が!

 

「あぁ、つい数か月前かな?突然開拓者の人たちが工房にやってきてね。「ユニークスキルを教えろ!」とか訳のわからないことをのたまっていてね。あの時のレンギンはかわいそうだったな。

全員摘まみだしていたけどね」

 

あぁ、そいつはいけねぇな。おそらくだがこのゲームはロールプレイングってやつが大事なゲームだ。ディスプレイ型のゲームが主流の時代にもそういうゲームは多々あったが、どのゲームでも

メタなこと言ったらロクなことがないってのが俺の経験則だ。まさかそれが超絶リアルなNPCと共にやってくるとは思わなかったがな・・・

 

「それはまた・・・お疲れ様でした」

 

「あの時は本当に大変だった・・・っと、長話が過ぎたな。これから四駆八駆の沼荒野に行くんだろ?お供に新しい防具や武器はいかがかな?」

 

俺は思わず苦笑する。いつの間にか俺たちはさっきのショップへと戻ってきていた。

運営よ、こんな商売っ気まで再現しなくてもよかったと思うぜ。

 

「うちの武器や防具は少し値が張るが、かなりいい性能になってるんだよ。この街の中だったら多分一番のショップだと思うよ。」

 

「そこまで押されちゃあ買うしかないですね。どんな武器がありますか?」

 

「おや?防具はいいのかい?」

 

・・・マーデンさんってもしかして守銭奴?

 

「いや、さすがにそこまでの余裕は・・・」

 

「そうかい?せっかく沼地を歩くのが楽になるような装備が入ったのに・・・」

 

「うぐ・・・まずは武器を見てもいいですか?」

 

なんて商売上手なんだ、マーデンさん・・・

 

「くく・・・はい、これが武器のリストだよ」

 

そういって俺の目の前に一つのウィンドが現れた。

ほうほう、確かにファステイアの武器屋とは比べ物にならないくらいに性能がいいな。

湖沼の短剣に湖沼の直剣、湖沼シリーズみたいな感じかな。

槍に鎚に斧に刀にって、やっぱり種類が多いな・・・うん?刀?

           

「あ、あの、この『水刃「流転(るてん)」』ってのは?」

 

「それかい?それは四苦八苦の沼荒野の中でもごく一部のきれいなところでしか取れない貴重な

鉱石を使った一級品でね。鞘から刃を出してから五秒間だけ切断力が格段に上がるんだ。」

 

「すっごい・・・これはいったい何マーニで?」

 

「本当は4万マーニくらいの価値があるんだが・・・あんちゃんはレンギンから条件を出されてるからな。2万マーニまでまけてやるよ。」

 

なんとなんと4万マーニから2万マーニに・・・本当にここ序盤の街か?

いやでも性能がいいって言ってたし。妥当なのかな?半額になってるし・・・

 

「じゃあそれを一つって金がない・・・」

 

なんてこった。こんな時に金がないなんて、間が悪すぎるだろ。

何か金になるような素材はねぇかな?

 

「あのぅ、素材を売ることってできますかね?」

 

「あぁ、もちろんいいよ。どんな素材を売ってくれるんだい?」

 

何かないか、何か。今俺3000マーニしかねぇよ・・・

薬草、薬草、薬草、貪食の皮、貪食の皮、強欲な牙、薬草、・・・牙?

 

「あの、この『強欲な牙』ってやつは・・・マーデンさん?」

 

マーデンさんが今まで見たことのないような顔をしている・・・驚愕のさらに上の、

まるで奇跡を目の前で目撃したかのような・・・そんな顔をしている。

 

「・・・あんちゃん、その牙をどこで手に入れたんだい?」

 

「え?う~ん、多分貪食の大蛇を倒した時ですかね?」

 

これってそんなにレアな素材なのか?

蛇からのドロップ品だったからそんなもんかと思っていたんだが。

 

「そうかい・・・なぁあんちゃん、これは取引なんだがうちの商品を3つ、好きなものを持って行っていいからその牙を譲ってくれないかい?」

 

ふぇ?3つ?好きなもの?これってそんなに価値があるんか?

 

「あ、はい。いいですよっていうか、いいんですか?っていうか・・・」

 

「武器でも防具でも3つなら好きに持って行ってくれて構わない。取引を受けてくれるんならね」

 

「じゃあ取引成立ってことで。えぇっとじゃあ、水刃「流転(るてん)」と、

この「浮き草履」っていう足装備と、「白銀鋼のツルハシ」の3つをください」

 

「あいよ。これで取引は成立だ。」

 

目の前のウィンドウが変化し、交渉成立というテキストと同時にアイテムが交換される。

なんかあれだな。昔やってた某モンスター系のゲームを思い出すぜ。

 

「ありがとうな、あんちゃん。あんたとはいい関係が築けそうだ」

 

「いえいえ、それほどでも。装備品、有難う御座いました」

 

「おぅ、困ったときはまたうちに来な。教えてやれることなら教えてやるよ」

 

そういいながらマーデンさんは店の中へと戻っていった。あの牙はそんなにやばいものなのかという気持ちもあるが今はこの手に入った刀の方が大切だ。この世界初の刀、絶対に物にしてやるぞ!

 

そんな心持のまま、俺は四駆八駆の沼荒野へ歩みを進めていった。




・水刃「流転(るてん)
穏やかな波のように流れる刃文(刃の波みたいなところ)が特徴的な刀。
全体的に綺麗な湖から反射して見える快晴の空のような色合いをしている。
刃を鞘から抜いてから5秒間は刃自体にバフがかかり切断力増すという特性がある。

泥まみれのこの世界のただ一点は常に空を向いている。
それが憧れか嘆きかは使い手のみが知るであろう。

・強欲な牙
貪食の大蛇討伐時、ソロであるかつ相性不利な打撃系装備のみを使い続け、戦闘が十分以上かかった場合にのみドロップする牙。これをドロップできるのは相当なリアルラックの持ち主か、超ど級の変態プレイヤーくらいである。全長2メートルくらい。

全てを飲み込まんとする蛇の執念深さと、蛇に対する異様な執念を見せる開拓者の思いが混ざり合い、交差したとき、その結晶は具現化する。

・浮き草履
マーデンがレンギンの「ーーーー」を応用して作ったもの。沼地にしか効果を発揮できないが
多くの開拓者を序盤に悩ませた問題を一発で解決してくれる。耐久は低い。

・白銀鋼のツルハシ
白銀琥珀と銀色鉄鋼を溶かして混ぜ合わせ、インゴットとして作ったものをツルハシへと変化させたもの。魔力強靭と頑強さを持っており、ちょっとやそっとの鉱物では耐久すら減らない。


こちらの品々、本来なら店頭に並ぶことはありません。レンギンからの条件を受けた者のみが
購入する権利があります。だって見ず知らずのやつに友人が丹精込めて作った装備を売りたくはないでしょう?え?転売?ははは、夜道には気を付けてくれたまえ。

唐突で悪いのですが、皆様は主人公の身体欠損には肯定的ですか?特に他意はないです

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