最近ワートリ熱すごいね
結局夕方くらいに目が覚めた俺は、隣で看病していた母からその後の顛末を聞くことになった。
あの後、どうやら小南桐絵(以後小南)はすぐに親にそのことを伝えたらしく、
小南の母さん経由で俺の母さんへと連絡が行き、仕事を切り上げてすぐ帰ってきてくれたらしい。
小南と小南のお母さんは原因が自分たちにあると考えているようで、
後日体調がよくなったころに改めて謝罪させてほしいと母に申し出たようだ。
思いっきり俺のせいなのでかなり罪悪感があったが、改めてじっくり話せる場を設けれた
と考えれば悪くないだろう。
そんなこんなで夜。
母からの看病を受け、布団にもぐっているところだ。
正直昼ぐっすり寝たから眠気は全くないので、少し今後について考えることにしよう。
(それにしても、よりによってワールドトリガー世界とはなぁ....)
『ワールドトリガー』
それは俺の前世で連載されていた大人気漫画で、メディアミックスもかなりしていた作品だ。
世界観を少し説明すると、突如としてこの世界に侵攻してきた近界民に対抗すべく、ボーダーという組織が台頭する。ボーダーに所属する人々は『トリオン』というエネルギーを使った『トリガー』という道具を使い、近界民の侵攻を食い止めていくというという点にフォーカスが当てられた作品だ。トリオンとトリガーについてくわしく語ると文字数がとんでもなくなるのでぜひ原作を見ることをお勧めする。
っと、すまない、少し話が逸れた。
そんなこんなで、心理戦や設定の細かさ、アクションのカッコよさが魅力の作品である。
ではなぜこんな嫌そうかって?理由は簡単、この世界は危険がかなり多いからだ。
例えば、近界民の侵攻はトリガーを持つ者しか対抗できず、一般人では対抗する術が全くない。
このことを顕著に表したのが本編開始4年前の第一次大規模侵攻。
このころはボーダーがまだ小さい組織であり、人員も技術も全く足りない時期だった。
なんとか奮闘していたが、犠牲者は優に千人を上回る結果となる、作中最悪の事件。
他にも作中では、近界民による誘拐や近界民同士の戦争なんかもポンポン出てくる。
幸い、本編開始後ではボーダーという組織がかなり完成していたこともあって、
被害は段違いに抑えられていた。ちなみに、小南もこのボーダーに所属する隊員だ。
(でも今は小南が四歳の時期。本編の時代よりも10年以上前の時代なんだよな。
この先起こる第一次侵攻とかどうすればいいんだよ....)
布団をゴロゴロ転がりながら考える。
正直遠くに逃げてもいいが、せっかく記憶を持って転生したのだ。
どうせなら被害を抑えたいし、なにより....
(トリガー使ってみたい!!!)
....しょうがないだろう、『ワールドトリガー』を読んでトリガーを使いたくならない
人間なんて存在しない(断定)のだから。
それに、原作キャラにも会ってみたいし、本編を間近で見てみたい。
(そうと決まれば、ボーダーに入ることが目標になるのか。
となると、旧ボーダーに接触するのが一番いいのか...?)
旧ボーダー。それはボーダーが本格的に活動する前に建てられた組織。
ここには小南も所属していたようだし、関わっていれば自然と手がかりをつかめるだろう。
(とりあえず今後の目標は決まったな。
一つは小南と仲良くして旧ボーダーにかかわること。
そして…トリガーをより使えるようになるためにも、体力を鍛えること…かな。
とりあえず、明日から意識していこう)
そんなこんなで、考えがまとまってすっきりした俺は、そのまま眠りについた。
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そんなこんなで次の日。
俺はまた休んだが、小南は無事幼稚園に行ったらしく、昼過ぎにこの家に親同伴で訪ねてきた。
「宗君、ごめんね。うちの娘が押しかけちゃって、悪化しちゃった。みたいで…ほら、桐絵も。」
「うぅ…ごめんシューくん」
どうやら昨日の謝罪に来たようだ。
小南はこってり叱られたらしく、すっかり塩らしくなっている。
「いやいや、俺は大丈夫です。むしろこっちが勝手に驚いたからですし....」
「まぁ、ちょっと見ないうちにしっかりするようになって。うちの桐絵にも見習ってほしいわ。」
「うぅ....」
…一瞬失敗したかとも思ったが、不自然には思われていないらしい。
しっかりしている子という印象を刷りこんだら、後々楽かもな。
「シューくん、怒ってない?」
「なんで?俺が悪かったんだから、そんなこと思ってないよ。」
「じゃ、じゃあ....また、遊んでくれる?」
「もちろん、小南は大切な“友達”だしな。」
「“友達”....うん、ありがと!!」
うお、笑顔がまぶしい。
さっき友達って言っちゃったことの罪悪感がぐさぐさ刺さってる!
「じゃぁまた幼稚園でね。またねー!!」
「うん、またね。」
そんなこんなで、転生した俺は小南桐絵との関係をスタートさせたのだった。
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あれから2年が経った。
小南と俺は6歳となり、幼稚園生活にも慣れ、小学生を見据える頃。
俺はいたって平穏な日常を過ごしていた。
「ねぇ、知ってる?猫は犬種の一つなんだよ。
トイプードルとかハスキーとかと同じくくりなんだって。」
「へぇ~そうなんだ!」
うーん、やっぱりちょろい。
小南桐絵が騙されやすい性格なのは子供の時でも変わらないらしい。
この二年間ずっと小南と過ごしてきて、今では彼女をからかうことが
俺の日々の楽しみとなっている。
結局、俺が転生したことは今のところ全く気付かれていない。
それどころか、周りからは大人びていて物知りだと印象付けられている始末だ。
高校生のプライド?最初の一週間で捨てたよ。
「あっ!?」
会話中にいきなり声を上げた小南に少し驚く。
見れば彼女は何か思い出したかのような顔で固まっていた。
「どうかしたのか?」
「今日、林藤さんが来るんだった。」
「林藤!?」
聞いたことのある名前に少し声が裏返る。
「あれ、シューくん会ったことなかったっけ。
林藤さんはお父さんの知り合いで、よく家に来るんだよ。
そうだ、シューくんにも紹介してあげる。」
「あ、ありがと....」
たぶん林藤匠のことだろう。
彼はバリバリ旧ボーダーにかかわっていた人物。
ここで関係を作っておけば、ボーダー入りに一歩近づく....
この機会は絶対逃しちゃだめだ。
「どうしたの、シューくん。にやけた顔して。」
「な、なんでもないよ。」
そこからのことはあんまり覚えていない。
小南と何か話した気がするが、考えることに夢中で上の空になっていたようで、
さっきの嘘をばらしてしまったみたいだ。
結局、帰る途中の時間をそのことで拗ねた小南をなだめるのに丸々使ってしまった。
まあでも、小南の家で一緒に待てることになったから、結果オーライだろう。
そして小南と家で待っていると。インターホンが鳴った。
と同時に、小南が目を輝かせて玄関のほうへ猛ダッシュしていった。
遅れてついていくと、小南が玄関前の男にダイブしているところだった。
よく目を凝らすと、男の容姿が見える。
漫画で見たのより二回りほど若いが、間違いない、林藤支部長だ。
「こうやって会うのも久しぶりだなぁ、桐絵。身長伸びたのか?」
「うん、5センチもね。あっシューくん、早く来てよ~」
そう言いながら手を振る小南のもとへ急いで行く。
どうやら相手もこちらに気づいたようで、話しかけてきてくれた。
「君が小南の言ってた二海宗君か。俺は林藤匠。よろしくな。」
「は、はい。自分は二海宗です!!。どうぞお見知りおきを、林藤さん!!」
「お、おぉ。やけに気合入ってるな。まぁとりあえず中に入ろうぜ。」
『はーい!!』
そんなこんなで上がり込んだ林藤さんは小南の母にあいさつを終えると、椅子に腰を下ろした。
「それじゃあ改めて、俺は林藤匠。
仕事は…まぁ、言ってもわからないか。まぁ、いろんなことをしてるよ。」
「あ、はい、どうも....」
「なんか緊張してないか、俺の顔そんなに怖い?」
「え、いや、全然....」
「うーん、まぁいいか。そうだ、お土産を持ってきてな…」
それからは、至って普通の会話だった。
最初は俺も緊張していたが、気にかけてくれたのか、自然体で話せるようになった。
そんなこんなで楽しい時間が過ぎ、いつの間にか帰る時間になってしまった。
「えぇ~もう行っちゃうの?」
「まぁ、仕事が忙しいからな。
会えるようになったらまた連絡するから。あ、それと宗君」
「はい、何ですか?」
「初めて会ったが、君はかなりしっかりしているな。
桐絵がよく君のことをしゃべって…ごめんごめん、分かったから、怒るなよ桐絵。
ごほん、まぁ、あれだ、小南のこと、しっかり見といてくれよ。
結構心配になる時が多々あるから。」
「あぁ、はいわかりました。」
「それじゃあ、またな。」
「は、はい、また。」
そうして林藤さんは行ってしまった。
結局、その後は自分の家に戻り、寝床へ入ることとなった。
終わってみれば何もできなかった気がしたが、まぁでも、話ができただけ良しとしよう。
というか、林藤さんの言ってた仕事って、もしかしなくともボーダー関係だろうか。
(原作はもう進み始めているんだ。俺も気を入れなおさないと。)
そうして、俺は決意を固めるのだった。
小南桐絵の幼少期の情報が林藤支部長になついてるくらいしか情報なかったからほぼ想像です。
原作で言及されたら書き換えないと…。
キャラのしゃべり方がおかしかったりしたらぜひ感想でお願いします。
よろしければ評価と感想よろしくお願いします。