今は春。
桜が鮮やかに色づき、心地よい風が体全体にやさしく触れる。
そして俺、二海宗は校門の前に立っていた。
というのも今日は小学校の入学式。
幼稚園児の一年というのは早いもので、林藤さんに会ったのがつい昨日のように感じる。
「シュー君、クラス分け出てるよーー!!」
感傷に浸っていた俺だったが、小南の元気な声で現実へと意識を戻される。
どうやら先に入っていたらしく、わざわざ伝えに来てくれたようだ。
「あぁ、ごめんごめん。」
「もう、シュー君はいっつも考え事してるんだから。」
呆れたような小南の声を流しながら、紙を見る。
一番初めに小南の名前が目に入り、少し下に行くと俺の名前があった。
「おぉ、俺たち一緒のクラスみたいだぞ。やったな、小南。」
「ま、またシュー君と同じかぁ....//」
口では残念そうに言ってるが、上ずった声とそわそわした態度を見れば
すぐに強がっているとわかる。
ツンデレって良いよね(唐突)
とはいえ、そういう態度されると意地悪したくなるのが人の性だ。
「入学式、体育館みたいだし行こうぜ。」
と言って小南の手を取り、半ば強引に引っ張る。
「え、あ、ちょっと////」
顔が真っ赤になっているが、気にせず歩みを進める。
結局、根負けした小南の提案により、横を一緒に歩いて向かうこととなった。
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その後、入学式はつつがなく終わり、レクリエーションとして簡単な自己紹介を一人一人して
行くこととなった。
俺は前世でも人が多いところが苦手だったので、はっちゃけることなくスムーズに終えた。
小南はというと、いつもの元気さはどこへやら、おとなしく、自己紹介も一言で済ませていた。
猫をかぶっていたのはこのころからの様だ。
その後は解散となり、俺たちの入学一日目はつつがなく終了した。
小南と二人で家に帰る途中、せっかくだから俺は少し話をすることにした。
「今日はやけに大人しかったな、昨日まで楽しみでそわそわしてたのに。」
「し、してない!!ただちょっと、知らない人が怖かっただけで....
そ、そういうシュー君はどうなの!あんまり楽しそうじゃなかったじゃん!」
まぁ、中身高校生ですから、
とは言えるはずもない。
少し迷った末、少し意地悪な回答に走ることにした。
「俺はまぁ…なんだ。小南と居られればどこでもいいっていうか…」
「な…///」
「まぁ、小南の反応が面白いってこともあるがな。」
「~~~ばか!!」
そしてしばらくの間、真っ赤な顔で殴ってくる小南の軽い拳を甘んじて受け止めていると、
ふいに彼女の手が止まる。
顔を上げると、さらに真っ赤な顔をした小南が、体をプルプルと震わせながらも
吐き捨てるように言った。
「じゃ、じゃあ、約束してよ。私とずっと一緒にいるって!!」
「....!!あ、あぁ。分かった分かった。出来るだけな。」
聞いている側も恥ずかしくなるような発言に少し動揺しながらも、
なんとか言葉を絞り出す。
その言葉で納得したのか、小南は顔を真っ赤にしたまま、無言で歩き始めた。
その背を追いかけようとすると、頬に何かが触れる。
すぐに手で取ると、指の隙間から鮮やかなピンクが見えていた。
それもすぐに風に飛んで行ってしまい、気づけば小南とかなり距離が開いているようだ。
あたたかな風に押されながらも俺は小走りで彼女の背を追いかけるのだった。
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そして二年後。
俺たちは9歳となり、小学三年生となった。
クラス分けは何度かあったが、運よく小南と同じになることができた。
その時、小南の見せた嬉しそうな顔といったらもう....
とにかく、俺たちは平穏な学園生活を送っていたのだった。
「シュー君、これ分かる?」
「あーこれは....」
今は授業中。
席替えで運よく隣になった俺たちは、教卓と遠い場所になったおかげか、
小声で話すことが増えた。
今のように時々勉強を教えているが、小南は物覚えがよく、コツさえ分かれば大体理解できるので、元高校生の頭脳なら朝飯前なことだった。
「そこの二人~勉強教えるのは良いけど、授業は聞こうね~」
『あ、はい、すいません』
先生に指摘されたことでクラスの注目が俺たちに集まる。
物珍しく見る人や、迷惑そうに見る人、にやにやした目で見てくる奴。
多種多様な視線を見けられ、小南は顔が真っ赤になってしまった。
ちなみに俺はというと....
(それにしてもあの教師、ゆるそうに見えて意外と見てるんだな。)
あまり気にしていなかった。
というか、小学生低学年のころのやらかしなど、高校生になるころには忘れ去られている。
そう、俺はこの二年間で開き直りを覚え、無敵の人となっていたのだ。
結局、授業はつつがなく終わり、休み時間。
「もう、みんなの前で言わなくていいじゃない。
私とシュー君のことがみんなに知られちゃった…//」
「別に見られてもいいだろ。みんなすぐに忘れるだろうし。
それとも、俺と仲が悪いとでも思われてほしかったのか?」
「~~~そういうことじゃないけど!」
そういって大きな声を出した小南だったが、すぐに周りに気づいたのか、
顔を真っ赤にしてしぼんでいった。
(やっぱり小南は見ていて面白いな....)
それは、なんでもない日常の一ページとなるはずだった。
しかし、現実はそうもいかなかった。
「二海、ちょっといいか。」
「え、あ、はい。」
いつもはゆったりした雰囲気の担任が、少し焦っていた。
何事かと思った俺は、とりあえず担任についていくことになった。
行きついた場所は、今まで入ったこともない空き教室。
急遽用意されたであろう椅子に、担任と向かい合うようにして座る。
「まずは、いきなり呼んですまなかったな。」
「いえいえ。
それより、何か大変なことがあったんですか?」
「やはりお前は落ち付いているな。
それなら話は早い。単刀直入に言うぞ。」
そういって担任は息を吸い込む。
緊迫した雰囲気に姿勢が正される。
少し間をおいて、担任は言葉を発した。
「ついさっき、お前のお母さんが事故に遭ってしまったようでな。
ちょうど今、息を引き取ったそうだ。」
世界が崩れる音がした。
テスト期間で更新ができない!!
二週間くらい頻度馬鹿落ちるかもです。