異世界クロスオーバーアイランド -Multiverse Crusaders 2nd-   作:サツキタロオ

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今までの作品シリアスばっかなのでほのぼの系が書きたかったんです。


第一部:未知のエルドラ諸島
第1話:つまり、異世界転移


 

〜三人称視点.

 

「…………」

「ヴァーリ。何をしているんだ。」

 

声をかけてきたのはケリュドラだった。

のんびりと陽だまりに身を預けていたヴァーリは、ゆっくりと瞼を上げる。

 

「ケリュドラか……」

「……仕事はいいのか?」

「今はいいだろう? 僕は君の隣に居たい。」

 

ケリュドラは迷いもなくヴァーリの横に寝転がり、陽光を浴びる。

その自然すぎる行動に、ヴァーリは肩をすくめて小さくため息をついた。

 

「あー……分かったよ。気が済むまで居れば?」

「……♪」

 

嬉しそうな顔を浮かべたケリュドラは、躊躇なくヴァーリに抱きついた。

 

「………暇だなぁ。」

「ヴァーリ。僕と一緒にいるのが嫌なのか?」

「そういう訳じゃない。ただ単純に暇なだけだ。」

「……不敬……だが、君なら許してやる。」

 

からかうような言葉と共に、ケリュドラはさらに身体を寄せる。

ヴァーリは呆れ顔をしつつも、拒絶はしなかった。

 

――そのとき。

 

二人の表情が同時に変わった。

空気の流れがわずかに重く淀み、背筋を撫でるような嫌な気配が迫ってくる。

 

「この気配……」

「嫌な予感がするぜ……」

 

ヴァーリが身を起こした瞬間、虚空が裂けるように穴が開いた。

そこから、形容しがたい異形の怪物が飛び出す。

 

「なんだ、アイツは……!?」

 

返答する間もなく、穴から凄まじい吸引力が発生し、ヴァーリとケリュドラの身体を引き寄せた。

抗う間もなく、二人は暗黒へと吸い込まれていった………。

 

………………………………

 

「……………?」

 

次にヴァーリが目を開けたとき、そこは木々に覆われた森の中だった。

濃い緑の匂い、鳥とも虫ともつかない鳴き声が遠くから響いている。

 

「ここは……」

 

周囲を見回すが、見覚えのある景色ではない。

ヴァーリは眉をひそめ、ポケットからスマホを取り出した。電源は入る。だが、画面の隅には無情にも「圏外」の文字。

「……使えねぇな。」と舌打ちして、すぐにしまった。

 

「そうだ……ケリュドラは……」

 

慌てて辺りを探すと、少し離れた場所に倒れている影が目に入る。

駆け寄り、脈を取るヴァーリ。

 

「……生きてるな。」

 

安堵の息を吐き、ケリュドラを背負い上げる。

「ったく……世話が焼けるぜ。」と呟きながら、慎重に森の奥を進んでいった。

 

どれほど歩いただろうか。薄暗い木立の向こうに、眩しい光が差し込んでいる。

「出口か……!」

足取りを速め、駆け抜けた先でヴァーリは思わず立ち止まった。

 

………崖の縁。

眼下に広がっていたのは、彼がこれまで見たこともないほど雄大な光景だった。

 

「……わーお……」

 

そこには大地を埋め尽くすかのような大草原が広がっていた。

地平線の向こうまで続く緑の海。空には翼の生えた生物が群れを成し、草原では見たこともない獣や、巨木のような首をもつ超巨大な生物が悠然と歩いている。

空気そのものが異様に澄み渡り、世界そのものが別物であると告げていた。

 

「……す、すげぇ……」

 

ヴァーリが呆然と呟いたそのとき、背中のケリュドラがかすかに身じろぎする。

「……ヴァーリ……これは……」

 

彼もまた目を覚まし、目の前の光景に言葉を失った。

「ああ……」ヴァーリは唾を飲み込みながら答える。

「どうやら……とんでもねぇところに来ちまったみたいだな……」

 





ほのぼのなんですか信じてください。
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