三国時代まで生き残りたい   作:でねでね

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19話 漢中王劉備

218年 冬 漢中争奪戦

 

 本日は晴天。

 澄んだ風と共に朝日が射し、陽平関に布陣した曹操の地平線を埋め尽くす大軍の姿が現れる。

 最後に相まみえた時より、お互い随分と年をとった。たとえ感傷的であっても次はもう出会うことは無いかもしれないと、時間はもう残り少ないと唯々分かってしまう。

 此方は敵軍の陣容が一望できる山の高所を取って要害を組んだ。こんな戦術ばかりするから、馬謖が山登りに精を出すようになったのかもと思いながらも、眼下に広がる敵に集中する。

 漢中にいる法正が成都の諸葛亮へ救援も要請した。後は耐え切るだけ、、、いつかの反対。

 

 劉備軍

 本陣・劉備、黄権

 左翼・黄忠、中央・呉懿、右翼・趙雲、遊軍・劉封、後詰・馬超他

 別働隊・張飛

 

 曹操軍

 本陣・曹操、揚修

 左翼・郭淮、中央・徐晃、右翼・張郃、

 別働隊・曹洪、曹休、曹真他

 

 この漢中争奪戦、負けるわけにはいかないのだ。

 

 

 

 まずは先手を打たせて貰う。

 要撃を狙い、劉封に曹操軍の釣り出しをさせようとするが、曹操は動かなかった。笑ってしまうくらい、馬超たち涼州兵の騎兵突撃を警戒されているな。

 曹休の虎豹騎が右翼側に移動するのが見えた、こちらも馬超を動かし後の先に備えるが、敵はそれ以上動かなくなった。

 

 千日手だなー、と独り言を呟くほど暇で戦場に動きがない。敵は秦嶺山脈を越えて親征に来ている、補給線は薄いだろう。

 時間はこちらの味方だが。うーん、と考えていると伝令が届く。

 

 漢中に上庸方面から夏侯惇の軍が迫っている、と法正からだった。

 なるほど挟撃を狙っているのか。上庸側の規模次第では漢中の法正、魏延、厳顔でも防ぎ切れないだろう。

 一先ず張飛を涼州側へ迂回させ、補給線を分断する動きを指示した。ここで釣れなければ押し潰されるがどうだろう、、、よし釣れた。

 

 張飛のネームバリューは流石の曹操も無視できなかったようだ。陣立から曹洪、曹休が下がっていった。

 

 これで安全に援護を回せるな、劉封と馬超たち涼州兵を漢中に向かわせろ。

 

 

 これでまた膠着状態。

 だが、張飛が敗れれば曹操の戦力が戻ってきて此方が容易に潰される。漢中が防衛に失敗すれば、同じく此方がサンドイッチされて潰される。

 成都からの援軍はいずれ来るだろう、それは曹操も理解している。故に、曹操はこの膠着を嫌うはず。くるか、、、

 

 敵軍は張郃を先鋒に一当てしにきた。こちらは要害堅固だ、黄忠に戦線死守をさせる。互いに損害が軽微で日が暮れた。

 

 翌日、再度張郃が攻めてくる、こちらの黄忠も同じ事の繰り返し。

 しかし曹操は動いた。陣地戦において不利である事を承知で、物量で殴ってきやがった!まるで損害が出ただけ補給の減りが抑えられる、とでも言うかの如く。

 

 張郃に続いて、徐晃の軍が濁流の様に押し寄せるが要害に阻まれ返される。だが確実にコチラの防衛が間に合わなくなってくる程の削り。

 急いで呉懿に増援を指示し黄忠の潰走を防ぐ、趙雲に側面攻撃をさせるが郭淮と曹真が奮戦して思う様にダメージレースに勝てていない。

 多大な出血を曹操に強いたと思うが、こちらの戦線も焦げつき始めて本日も終了。

 

 次の日も曹操は物量で押してきた。

 あかん、こんなに力攻めしてくるとは、、、曹操がこんな費用対効果の悪い戦いしてくるとは考えてなかった。

 どこかで鶏肋。とか呟いて帰ってくれるものだと思っていたが、当てが外れた。確実にこちらの援軍が到着する前に片をつけようとしている。

 

 その日の晩、このままではマズイと黄忠に敵軍兵糧庫への夜襲を指示。しかし、曹操は見抜いていた。黄忠も兵糧庫へ多少なりとも損害を与えたが敗走、帰還の定刻を過ぎていたため偵察に来ていた趙雲が殿軍となり会敵。趙雲の機転と空城の計(陣)にて応戦し、事なきを得た。

 

 

 もー、曹操強くない?もっとパパッと戦って、すぐ退散していくかと思ってたのに!このままだと援軍来る前に死んでまう。

 

 

 戦いが始まって3ヶ月後。

 ようやく成都から援軍の龐統が到着した。同じく援軍の孟達と李厳は先に漢中の防衛に赴き、その後に上庸まで追撃する手筈らしい。

 

 遂に曹操は撤退を決めたらしい。

 援軍が到着したのを見るや、素早く陣を引き下げていく。おれ達も陽平関を占領するため下山して前進するが、万が一空城の計の意趣返しをされたら格好がつかない為、追撃の激アツチャンスを捨てて慎重に対処する。

 結局のところ陽平関はもぬけの殻であり、撤退時に所々破壊して行かれていた為、修繕に暫くの時が必要となった。

 上庸への追撃も城の占領で終わらせ、撤退した夏侯惇を討ち取る事は出来なかったと報告を受けた。

 

 

 戦いの終わりは呆気なく訪れ、おれは漢中王に即位した。

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