三国時代まで生き残りたい   作:でねでね

2 / 32
2話 反董卓連合

190年1月

 

 反董卓連合軍は三方向より洛陽に迫ったが、緒戦は激戦となった。

 

 董卓軍の将、華雄が諸侯の1人鮑信の弟を斬り伏せるだけでなく、挑み掛かった連合軍の将兵を次々に討ち取ったため、連合側の戦意が早々に萎んでしまった。まだ汜水関なのに、早くも厭戦ムードである。

 

 初戦で孫堅が華雄に敗れたのには驚いたが、配下の1人が身代わりになっている間に戦線を立て直すあたり、さすが大正義アメリカが戦の基礎とする孫子の兵法書もってるだけあるな!と感心しながら観戦したものだ。

 敗戦の原因は袁術が兵糧をケチったせいではあるが、、、勢い付いた華雄がどうかコチラに兵を向けてくれるなと切に願う。

 

「誰ぞ、敵将華雄を討ち取る者はおらぬのか!」

 

 連合軍の盟主、袁紹さんの声が軍議に響き渡る。自身は本陣から動かないくせに偉そうな事を言いよる、コイツめ!!

 とは思ってみても顔にはぜったい出さないよ。だってウチの派兵中の費用は全て袁紹さんと袁術さんが見てくれているからね!

 盟主決める時に、お金ないけど頑張って皆さんの役に立ちたいってアピールした甲斐があった。諸侯が集まっている中で度量のデカさを示すのは上に立ちたい者の性よ、、、度し難いな!

 

「この関雲長にお命じくだされ」

 

 隣でそんな声がした時、思わず天を見上げてしまった。お前これが演義ならいいけど史実ならどうすんねん!こんなとこでケガでもされたら天下の飛将軍とやり合う時に張飛しかおらんのやぞ、死んでしまうわ!!

 

「貴様のような無名の者を出したとあっては我が軍の名折れぞ!」

 

 さすが名族、やっぱりお前は天下に立つべきだったのだ。却下された関羽が少しショボーンとしてるが命には変えられんのだ。

 

「そうは申せど、いまは敵の猛将を退けることが先決です。対処に窮している現状のため、ここは関羽殿の武勇を試されては如何だろうか?」

 

 まさかの関羽に援護する者が現れた。両雄並び立たず、やはりお前は敵なのか曹操。許すまじ、死ぬまでお前とやり合わないといけないと、我が魂が言っているぞ!!董承の時にはおれの全力全開をみせてやる。

 

 そんな恨み言を呟いていると、曹操の進言を受け入れた聞き分けの良過ぎる袁紹が許可を出し、関羽は意気揚々と軍議の場から退出して行った。

 斯くなる上は仕方ない、華雄へリベンジマッチに燃えている孫堅殿に協力を仰ごう。

 

 孫堅殿、孫堅殿?ウチの義弟が華雄を仕留め損なったら、私が場を乱すゆえ、応じてくださらぬか。足並みが揃ってない内に華雄を孫家で討ってくだされ。義兄弟に万が一あれば堪えられないのです。

 

 

 

 懇願がうまくいった!

 

 本陣にて連れてきている孫家の子達を見ながら伝えると快く了承してもらえた。ていうか戦場に元服前の子ども連れてくるなよ、せめて孫策だけにしろ。そんな教育してるから袁術の子飼いの時や江東を平定する時に名士層を殺すような事しちゃうんだぞ。呉でいつまで経っても名士、豪族と対立が頻発する原因をみたね!孫子の末裔あたまわるくないかぁ⤴︎

 

 でもね孫策くん、やると決めたなら徹底的にやりなよ。例えば陸家と争った場合、禍根も残らぬよう根切りするとかね。必ず1人も逃さないでね、絶対だよ。ほんとにほんとにお願いね!

 

 まだ16歳の孫策にそうアドバイスすると、臣下共々ドン引きしながら孫家は去って行った。

 

 

 関羽は華雄を一騎討ちにて勝り、曹操に褒められた。

 

 

 しかし、その首を討ち取るまではいけなかった。

 勝利と敗北の感情入り乱れる戦場に一矢が放たれたのである。汜水関の門の上より射った矢は、トドメを刺そうとする関羽の歩みを止めるかの如く進路上に穿たれた。

 周囲の敵味方将兵が皆、矢を放った者に注目した。おれだって二度見した。誰かが呟いた--ー呂布だ、と。

 

 そこからは乱戦だった。

 ひと時の緊張の糸が切れた敵兵が華雄を助けるために関羽に殺到し、それを見た張飛を筆頭におれも戦場を駆けた。アレがここ迄辿り着く前に関羽を救い退かなければならないと脳裏にただそれだけがよぎる。おそらく周りの味方もそうだろう。あれはマズイ、それだけはわかる。なんとか敵兵が湧き立つ前に距離を取らなければならない。なんでこんなとこまで出張ってきてるんだとか、言いたい事が色々あったが今は前に走るしかない。

 

 奇しくも予定していた乱戦ではないが、混乱に乗じて関羽共々なんとか少ない損害で引く事ができた。華雄は汜水関まで辿り着けず、乱戦に備えていた孫堅に討たれた。

 呂布は戦場について早々に袁術と韓馥の配下の将を一振りで斬り捨てていたが、華雄の訃報と共に引いていった。一息に討死した将兵に敬礼しておく。

 

 

 反董卓連合はその日、汜水関を越えた。

 守将だった華雄が討たれたからか、呂布が退陣してから程なく落ちた。

 

 観光のつもりで参加したが、いまはそんな余裕をもてなかった。戦いの後にすぐ陣容を整えて指示を飛ばしている曹操、孫堅を横目に経験の差を痛感する。

 支えてくれる兄弟と兵の隣で、来るんじゃなかった、、、、の一言を口に出さず、呑み込むことが出来たのは運が良かったのだろう。

 

 次は虎牢関、都を守る最後の要衝だ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。