三国時代まで生き残りたい   作:でねでね

20 / 32
20話 漢中王劉備2

219年 1月

 

 どうも漢中王です、よろしくどうぞ!

 

 目覚めた瞬間、思考がうっかり口から出てしまった。漢中を手に入れた事により益州平定を成し遂げた翌日、おれは清々しい朝を迎えていた。

 さっそく寝起きに一発、臣下のみんなにこの言葉で挨拶していく。兵と女中の皆さんが微笑ましいモノを見るように挨拶を返してくれる。どうもありがとう!

 

 にこやかに政庁の中庭へ朝日を浴びに出掛けると、夏侯氏と張飛が居た。夏侯氏は白い花を携え祈っているようだ、張飛は静かに傍に佇んでいる。

 

 あれは定軍山の方角か。

 

 張飛からの要望もあり夏侯淵は丁重に埋葬していたが、、、そうか夏侯氏は昨日到着したのだったな。

 ちょっぴりheartbreakingな気持ち。でもこれ乱世なのよね、と割り切って前に進みたいと思う。

 

 

 

 

 ところで、漢中王になったからには何が必要だと思いますか?

 

 そうだね、五虎大将軍だね!

 

 

 という事で、善は急げと諸葛亮に相談して任じていくよ。

 エッホエッホ五虎大将軍が必要だって伝えなきゃエッホエッホ

 

 

 『筆頭』に関羽、張飛、馬超、趙雲、黄忠とさせてもらいました。関羽の前には筆頭と一筆書きで態々でっかく書き足しておいた。

 

 劉備知ってるよ。関羽が馬超仲間になった時、タイマンさせろって言ってたこと。

 最近出番が少なくて影薄くなってるの気にして言い出して、諸葛亮と文通して慰めてもらってたの知ってるんだ。

 今回だって、ぽっと出の爺さん将軍と同列なのは気に入らない。って言い出すことは目に見えてたからデカデカと書いとけばええやろ。

 

 しかし、改めて今の重臣のラインナップを見てみると。

 

 武将に五虎大将軍、魏延、呉懿、厳顔、陳到、田豫、高順、呂玲綺~と続き、

 軍師・参謀に諸葛亮、徐庶、龐統、法正、黄権~とくる。

 内政は麋竺、馬良、蔣琬、費禕、董允、伊籍、劉巴など名士出身で潤っている。

 さらに加えて流浪期、荊州、益州の臣下たちがいる。

 

 これは間違いなくⅤやねん!あかん漢王室復興してまう。

 

 

 と、ここまでは良い事尽くめだが益州と上庸を手中に収めた為、そろそろ孫呉との約定を果たしに行かねばならない。あの時結んだ相手、魯粛はもういない。一昨年に亡くなったと伝え聞いた。

 

 魯粛のおかげか、はたまた関羽のやらかしを徐庶が食い止めていたかのどちらか、または両方によって孫劉同盟が拗れる事なく今日を迎えれたのだ。お互いに笑顔で約定を結んだ、信じて待ち続けた孫権の為にも笑顔で約定を果たすのがせめてもの手向けだろう。

 その為に荊州北部の要衝・襄陽を攻め落としに行くのだ。孫呉からの使者は既に関羽たちがいる江陵に到着している。周瑜と共に江陵を陥落させたあの時の続きを始めるために今日、漢中を出立した。

 

 

 

219年 夏

 

 

 江陵よ、私は帰ってきた!

 

 久しぶりに顔を合わせた、おれ達3兄弟の印象は随分老けたな~だった。関羽なんてあの長い髭が白髪交じりになっている。一番若い張飛があんまり変わってないか・・・?くらいだ。徐庶なんてダンディなおっさんになっている。クソガキからアラサー青年になっている時も驚いたが。あと関羽の娘、関銀屏はかわいい。嫁にはゼッタイ出さん!

 

 孫呉との会談には、宿将の程普、黄蓋、韓当が来ていた。洛陽の宮中で話したぶりなので見た目はすっかり爺達である、まだ生きてたのか。

 話を聴けば、この戦をもって隠居するそうだ。3人の中では若干若い韓当はまだまだと言ってたが、、、それでもお前、張昭と同い年だろうに。

 

 宮中の時に、玉璽の件で勝手に貸し付けた事を切り出して、この度の荊州貸借チャラにしてくれと冗談交じりに言ってみたが、彼らは代表の使者が頷かない限りダメだ、と言う。

 

 勘違いした。なんだお前らが使者じゃないのかと思い、どいつが使者なんだと周りの者に目を向けると一人の若者が発言する。

 

 

「御初にお目にかかります、此度の使者として任を拝命いたしました。陸白言と申します。」

 

 

 

 

 げぇっ!陸遜!?陸遜ナンデ!?

 

 生きているうちに会うことは無いだろうと、確信していた男が現れた。

 

 

 

 陸遜との会談は静かに進み、そして終わった。

 襄陽への攻勢は、劉備軍が江陵より北進。孫呉は江夏より水軍にて長江の最大支流・漢水を遡上、新野方面からの敵軍増援の足止めと補給線の分断を担当する。

 

 この攻勢における曹操軍との主となる対峙は、襄陽陥落後に統治する予定の劉備軍が受け持つ為、赤壁の時とは役割が逆転する事となった。この分担に関して特に不満に思うことは無かったが、陸遜から孫呉の役割を告げられた時、少し含む感じがあり、意趣返しを狙っているのかと勘ぐってしまう。

 赤壁の時、おれ達は孫呉が敗けようが劉備軍の損失はない役割を受け持った。かつては周瑜に花を持たせてもらったカタチだが、、、

 

 考えすぎかもしれないが万一の為。

 こちらも参謀たちと協議の結果、荊州南部の4つのうち、長沙と桂陽を襄陽攻勢直前に受け渡す事を伝えた。程普たちは攻略が達成される前に、一部とはいえ領有権の譲渡に驚いていたが、陸遜は冷静だった。

 

 

 この攻勢直前の譲渡は保険。

 長沙と桂陽の守備兵力を江陵に回すことができ、加えて孫呉の領有となる為そちらに統治の駐屯兵力を割かねばならない。もし襄陽への進軍と同時に後ろを取られた場合への戦力分散と、遅滞行為が出来る。

 

 まぁ杞憂で済めば、元より孫呉に受け渡す土地だ。約定が果たせれば先でも後でも、大してこちらに影響はない。

 

 

 そうだろう?陸遜。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。