三国時代まで生き残りたい   作:でねでね

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22話 定め‐裏‐

220年 春

 

 夫れ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり。

 

 中華を翔けた数多の群雄は既に亡く、残りは曹操・孫権・劉備のみ。

 だが魏王その人の命数も尽きようとしており、三国鼎立の形勢が定まりつつある中、時代は次の世代へ移り始めている。

 

 

 孫劉同盟による荊州北部の襄陽および新野陥落後、赤壁の戦いより始まる荊州貸借の約定が滞りなく行われていた。荊州南部を孫呉へ、そして中原への足掛かりとなる荊州北部が劉備の下へ。

 

 襄陽攻略の折、龐統から孫権軍の疑わしい行軍の報告を受けてはいたが、終わってみれば何事もなく、戦友の孫権軍・程普たち爺3人とは笑顔で別れる事が出来た。今後は益州から涼州と長安のある関中へ、ここ荊北から中原の豫洲にある都・許昌の攻略へ繋いでいける。

 

 間者からの報告で、曹操陣営では都を許昌から河北・冀州の鄴に遷都しようと計画が挙がっているらしい。曹操め相当焦っておるわ痛快痛快!

 だが此方としても、献帝が目先の豫洲から黄河の北である河北に移されてしまうと助けるのがまた大変となってしまう。なんとか速戦を試みたかったのだが・・・

 それはムリぽ_:( _๑´ω`) :_ と益州にいる諸葛亮から小言が届いたので諦めた。一先ずは荊北の安定と、荊南に居た臣下たちの再配置を行う内政がメインとなるだろう。

 

 

 臣下たちの再配置だが、転勤先はクジ引きで決めまーす。

 と諸葛亮たち参謀陣に竹簡を送ると「止めろ」と一言で返ってきた。法正からはバラバラに砕かれた竹簡と小言がたくさん書かれた返書だったので、そのまま燃やした。

 

 江陵の守備に置いていた田豫は呂玲綺と共に貂蝉たちやその家族の護衛で益州・成都まで送ってもらい、その後永安にいる陳到・李厳と共に守護に着かせる。

 上庸には引き続き、荊北と漢中への双方に援護する気配りが必要で魏の前線にもなるため、謀略の得意な法正。果断な将兵たち黄忠・厳顔・呉懿・劉封と孟達を置く。

 

 荊北には、引き続き関羽と補佐に徐庶と馬良に加え、張飛とその子ども達に任せる事とする。基本的に新野には2人の子たちと若い将兵や魏の降将・王平など新人で固め、襄陽に関羽・張飛を置く。欲を言えば新野には馬謖を配置したかったが、参謀陣の方針で防衛で経験を積ませるより攻勢での視野の広さを持たせたい、とかなんとか言われてよくわからんが諦めた。

 まぁ確かに最前線の新野は絶え間なく敵が来るデスマーチ防衛戦となるのでライン作業と変わらないと言われればそうなる。

 

 おれは龐統と一旦田豫たちに同行し成都にいる諸葛亮・趙雲と合流。その後、漢中にいる馬超・魏延含めて涼州平定の軍を興す予定だ。今日はその荊州から成都へ出立する日である。

 

 政庁での見送りには関羽・張飛と徐庶の3人が来ていた。

 また暫く義兄弟との別れだが、関羽だけでなく3兄弟の死に繋がる荊州貸借問題を曲がりなりにも乗り越える事が出来たのだ。これが最期の別れではないと信じよう。

 補佐に付けた徐庶と関羽を見る限り、仲は良いと断じていいだろう。この前、関羽が徐庶に春秋左氏伝の注釈を尋ねていた場面にも出くわしたし。

 

 改めて良い組み合わせだったのだろう。諸葛亮でも関羽を上手く操縦するだろうが、それは相手が軍師の立場であり、華容道での一件もあったからにしかならない。

 気性と生来の生まれから、関羽と腹を割って話すことができる人間は徐庶だったのだと思う。これは何処かの劉備もなのだろうが・・・

 

 関羽にしても徐庶にしても、本来は学ぶことが出来ない階層の生まれだ。おれは名士層とはかけ離れているが、偶々その下層の一つだけ上で盧植先生や公孫瓚と出逢う事ができた。しかし関羽も張飛も学門を学ぶ機会すらなかった。そこに誇り高い関羽故のコンプレックスがあったのだろう。

 

 徐庶もおれ達と同じ出身階層だが特殊で、母親の献身・愛情により一身に学ぶ機会が与えられ諸葛亮や龐統など名士層と肩を並べて学び、語るまで可能とした努力家だ。本当に命を懸けて学んだのだろう、だから関羽も認めるのだ。

 

 本当に荊州で関羽が孤立することが無かったのは徐庶の功績なのだと思う。

 

 

 

220年 初夏

 

 魏王・曹操が世を去った。

 

 成都にてその報告を受けた時、おれはチャンスだと思った。同じく報告を聴いていた、諸葛亮・龐統両名もそうだろう。北伐いつやるか?今でしょ!

 

 さっそく協議して軍を興す算段をつけている時に、立て続けに急報が入る。

 

 曹操の跡を継いだ長子・曹丕が献帝を廃し、魏を建国。都を冀州・鄴に遷都した。それと同時に、益州の南にある南中の異民族・南蛮王の孟獲、涼州西部に住まう異民族・鮮卑、長安と宛より魏の大将軍・曹真の漢中と新野への進軍と4方向から攻勢を仕掛けられた!あとなんか荊南で孫権も怪しい動きしてるらしいよ。

 

 おれは矢継ぎ早に受ける報告が多すぎて文章読み切れなかったし、危険が危ないくらいよくわからんかったので、隣の諸葛亮にどゆこと?と尋ねると簡潔に教えてくれた。

 

 漢朝400年が終わっちゃった!敵の都が遠くなって攻めるの大変になった、あと曹操の置き土産で今うち四面楚歌だわ。ついでに劉備様皇帝になって国興しちゃって!

 

 という事らしい。

 

 

 ふぅん・・・

 なんという窮地。読めなかった、この劉備の目を持ってしても!!




曹操の置き土産(((っ•ω•)っ五路侵攻
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