三国時代まで生き残りたい   作:でねでね

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5話 群雄割拠

193年 冬

 

 乱世の奸雄、非道の限りを尽くし、東征す。

 

「劉備殿は漢室に連なるお方であり、その仁義は天下万民に響いております。曹操より我らをどうか、、、どうか徐州の民をお助け下さい」

 

 平原の謁見の間にて、崩れながら慟哭するのは徐州牧・陶謙の使者としてやってきた糜竺さんだ。たしか徐州進軍の発端は、親孝行したい曹操と好誼を結びたい陶謙の、不幸な擦れ違いだったはず。やっぱり部下の指導と統制は大切よね、張飛こっちをみなさい。

 

 兎にも角にも、おれの返答は端から決まっている。

 

 汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ。虎口に瀕している民と共に分かち難く、さあ糜竺殿戦場に参りましょう。この劉玄徳がお力添えいたします。

 

 ふッ、決まったな。この口上をこの日の為に毎夜熟考した甲斐があった。見よ、糜竺さんを。感動して震えておるわ。

 

「兄者の言う事はよくわかんねぇが、曹操の野郎とやり合うって事でいいんだよな?」

 

「そうだぞ翼徳、義のため我らの武を振るうのだ」

 

 

 という事で、慣れ親しんだ平原から陶謙さんのいる徐州・下邳にお引っ越しです。

 いままでありがとうね、田豫。お母様と末永く過ごすんだよ。幽州の公孫瓚に口利きしとくから、次の仕官先も安心してくれ。転職先までちゃんとフォローしてやるからな。

 そう伝えると、何言ってんだコイツと一目に分かる不思議な顔をしながら田豫は言う。

 

「母は確かに高齢ではありますが、今は給金に加え洛陽から持ち帰った名品を売り払った金にて不自由無い暮らしをしております故、私が居なくとも良いでしょう」

 

 ふぅん、、、田豫の母はセレブになっていた。

 

 田豫が旅の仲間に加わった!

 

 

 

 さて遠路遥々やって参りました、下邳。

 そのうち、この景観が水没するとは皆んな夢にも思わんだろうな。まずは陶謙さんと謁見するため登城した。

 

「よくぞ来てくださった、、、この愚老に応えてくれるとは、感謝の言葉もありません。此度の災禍に御助力いただき、貴公の援軍を徐州の臣民ともに御恩を決して忘れませぬ」

 

 会って早々ものすっごい感謝された。そりゃ、自分の落ち度と後悔の念に潰されていたのだろうし。徐州の未来不安よな。劉備、動きます。

 

 安心させるよう全力を尽くす宣言をすると、陶謙さんは固まってしまった。

 

「貴公の事は糜竺より聞き及んでいましたが、いま確信しました。どうかこの徐州を譲り受けていただけませんか?」

 

 はい、よろこんで! おれは二つ返事で応えた。

 

「えっ」

 

 あまりに速い返答に、言ってきた当人の陶謙さんと配下の皆さんの困惑した声がした。

 しまった!つい流れで時短できると思ったがこの劉備、早まったか。

 

 冗談ですよー、私などにそのような大任は務まりませんよ、大義無くなっちゃいますよー。

 なんとか誤魔化すと陶謙さんは戦が終わったらまた話そう、と言ってくれた。

 

 かくして劉備軍は下邳に拠点を移し、戦に備えたのだった。

 

 

 

194年 冬 飛将、中原を翔ける。

 

 下邳にて軍備を整えたが、曹操軍との小競り合いは有れど本格的な戦いは最後まで起きなかった。曹操の本拠地・兗州の陳留に、放浪軍であった呂布が襲いかかったのだ。

 結果、曹操は兗州防衛のため徐州・小沛を放棄した。おれ達はこれ幸いと小沛を奪取、さらに徐州防備を固めた。よくやった陳Q

 

 加速する情勢の中で、渦中の陶謙さんが病で倒れ亡くなってしまった。死の間際までこの劉備に徐州を、、、と言っていたらしい。

 という事で、改めて陶謙さんの遺志と徐州の臣民の皆さまの声にお応えしまして、州牧・劉備にレベルアップしました。領民の皆さんよろしくお願いします!

 

 

 

195年 夏

 

 暫しの平和が徐州に訪れていたが天下は荒れに荒れている。

 兗州では曹操と呂布が争い、河北は袁紹と公孫瓚が拡大、淮南の袁術は朝廷から離反する動きを、江東では袁術の下から孫策が独立。世はまさに大群雄割拠時代である。

 

 怒涛の勢いで江東を併合していく小覇王に乾杯。ぜひ嘗てのアドバイスを覚えておいて欲しい、と思う今日この頃である。そんな事を考えながら報告書にペッタンペッタンと印を捺していると兵がやってきた。

 

 「ご報告!火急の知らせのため謁見の間にお集まりくださいませ」

 

 謁見の間にはいつものメンツに加えて、徐州での新しい配下、名士が集まっていた。

 皆を代表して糜竺が言う。

 

 「この下邳に呂布軍が落ち延びて来ました、劉備様を頼ってきたと見えます」

 

 戦乱の火の風向きが再び徐州に向いたようだ。

 汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ。おれ達は徐州に来てからそれだけは手を抜かなかった。

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