皆さんアンケート回答ありがとうございました!!
では1番多かった「ルカが堂々の首席」で行きたいと思います!!
訓練の日々は単調で過酷だ。
だが不思議と退屈ではなかった。
剣を振り、走り込み、馬を操り、立体機動の基礎を叩き込まれる。
生き残るために必要なものは、ここにすべて詰まっている。
俺――ルカ・クロイツは、ただ黙々とそれらをこなしていた。
そんな日常の中で、一人の少女に目が止まることがあった。
クリスタ・レンズ。金色の髪を揺らし、いつも誰にでも柔らかい笑みを向ける少女。
同じ訓練兵の間でも人気が高く、困っている仲間がいれば自然に手を差し伸べる。
「天使」なんて言葉を口にする奴もいた。
だが、俺はその笑みに違和感を覚えていた。
整いすぎている。隙がなさすぎる。
作り物だ、と直感が告げていた。
(……あいつ、本当に心から笑ってるのか?)
気になりながらも、問い詰める理由はない。
俺が他人の内面を暴いてどうする。
そう割り切ろうとするのに、なぜかその違和感だけは心に残り続けていた。
ある日の午後。
訓練の合間に馬の手入れでもしようと馬小屋に足を運んだ時のことだ。
聞き慣れない声が耳に届き、足を止めた。
「いい子、いい子……今日も頑張ったね」
覗き込むと、そこにクリスタがいた。
馬の首筋を撫でながら、彼女は穏やかな笑みを浮かべていた。
それは俺がこれまで見てきた彼女の顔とはまるで違っていた。
作り物めいた完璧な仮面じゃない。
無防備で、自然で、子供のように純粋な――本当の笑顔。
思わず立ち止まり、目が離せなくなった。
胸の奥がざわつく。
なぜか分からないが、見てはいけないものを見た気がした。
(……なんだ、今の顔……)
彼女がこちらに気づく前に、俺は静かにその場を離れた。
あの笑顔が頭から離れず、しばらくの間ずっと引っかかり続けた。
――そんなものを抱えたまま数日が過ぎた。
気分転換を求めて街へ出た俺は、偶然クリスタと鉢合わせた。
「……ルカ?」
人混みの中、軽く首を傾げて俺を見つめる彼女。
その顔には、あの時と同じ「作られた笑み」が貼り付けられていた。
俺は一言二言だけ応じ、立ち去ろうとした。
それ以上深入りするつもりはなかった。
だが数分後、通りの奥から女の悲鳴が響いた。
「やめて! 離して!」
声の主を聞き分けるより早く、身体が動いていた。
狭い路地に駆け込むと、そこにはクリスタが男たちに腕を掴まれ、必死に抵抗している姿があった。
人攫いか。こんな場所にまでいるとは。
考えるより先に動いた。
一人の顎を蹴り上げ、もう一人の腕を捻り上げて地面に叩きつける。
残りも短時間で無力化した。
俺にとっては訓練の延長のようなものだ。息一つ乱れてはいない。
「大丈夫か?」
クリスタの前に立つと、彼女は怯えたように俺を見上げた。
それでもすぐに、いつもの整った笑みを浮かべて「ありがとう」と囁く。
「……それ、やめろ」
「え……?」
「今のお前の顔だ。作ってんだろ」
俺が言い放つと、クリスタは一瞬だけ俯きかけた。
けれど次に顔を上げた時には、先ほどよりも“完璧に整えられた笑み”を浮かべていた。
「そんなことないよ。私は……ただ、感謝してるだけ」
わずかに声が震えていた。
俺はその揺らぎを感じ取りながらもさらに口を開く。
「……普段からお前の笑顔に違和感があったんだよ」
「え……」
「でも、たまたま馬に向かって話しかけてるとこを見ちまってな。あの時のお前の顔は、今よりよっぽど自然だった」
クリスタの肩が小さく震えた。
目を見開いたまま言葉を探すが、すぐにまた“整えられた微笑”で取り繕う。
「……そ、そんなことないよ。私、いつも同じだよ」
「無理に隠す必要なんてねぇだろ」
俺は吐き捨てるように言った。
「作り物の笑みなんざ、見抜ける奴にはすぐ分かる。少なくとも、俺にはな」
その言葉に、クリスタの作り笑顔が一瞬だけ揺らいだ。
ほんの僅かに、涙を堪えるような影がその青い瞳に差す。
「……まぁ、どうするのかはお前次第だ」
俺は少し肩をすくめて、視線を逸らした。
「ただ――俺の前ではその作った顔やめろよ。違和感だらけだから」
クリスタの表情が凍りつく。
それでも反論もできず、ただ目を伏せるしかなかった。
俺はそれ以上追及せず、人混みの中へと歩き出す。
背後で小さく息を呑む気配がしたが、振り返らなかった。
(……本当の顔を出すかどうかは、あいつの問題だ)
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ヒロインは誰がいい?
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クリスタ(ヒストリア)
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アニ
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ペトラ