リビルドワールド もしもアキラに双子が居たら   作:バグキャラ

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支援

エレナとサラの住む家の広いリビングで3人は食事をとっていた。トーストに目玉焼き、サラダにコーヒーとごく一般的な朝食のようなメニューをアキラとソラは美味しそうに口に運ぶ。

 

「……おいしい……」

 

「あら、本当?うれしいわ」

 

「いつもはハンター向けのホテルの冷凍食品なので」

 

「あれはあれで美味しいけど、この料理も美味しいです」

 

 そんな普段の食事について談笑していたが、話は変わり金銭面の話に移り変わった。

 

「本当にいらないの?あいつらの所持品を売ったお金はかなりの額よ?」

 

「はい。俺とソラは拾わずに帰ったわけですから」

 

「そうですね。今更どうこう言うつもりはありません」

 

「……うーん、そうね。私たち命を助けてもらって、更には資金問題の解決にもなったわけだから、何にも返せないってのは心苦しいのよね」

 

「いやいや、すでにいっぱい貰ってますよ」

 

 サラとからの提案を2人はやんわりと断る。

 

「モンスターの群れから助けてもらいましたし、その間の寝床とこの食事まで用意してもらえたんです。お腹いっぱいですね」

 

「これ以上にエレナさんとサラさんにお世話になると、逆に自分たちの方が心苦しくなるので、そのお金で相殺ってことでお願いします」

 

「……そういうことなら、仕方ないわね。わかったわ」

 

 お互いに恩人の顔を立てた3人は苦笑しながらも食事を続けた。その後、更に話の話題が逸れて、サラの身体の話になった。

 

「へぇー、サラさんの身体にはナノマシンが入ってるんですね」

 

「ナノマシンの予備とかはあるんですか?回復薬みたいに口から───」

 

「いいえ、私の場合はここよ」

 

 そうして食事の手を止めたサラは二の腕で持ち上げるようにして胸を強調した。

 

「「……え」」

 

「予備のカードリッジを外付けしたり、ソラが言ったみたいに回復薬と一緒に補給できたりもするわ*1。でも無くしたり、戦闘中で補給が難しいこともあるから、私はここにしてるの」

 

「……は、はぁ……」

 

「そ、そうなんですね……」

 

 以前の件から一転、十分な補給が出来たサラはナノマシンの保有量としても女性的な魅力としても十分な豊満さを取り戻しており、アキラとソラはどこか恥ずかしそうに視線をずらした。

 

「私みたいな身体拡張者はナノマシンの消費具体で体型が変わることが多いから、その分服のサイズがころころ変わってね?その都合でちょっと見苦しい格好だけど─────」

 

 そんな隙だらけの格好のサラがアキラとソラの絶妙な視線の動きに気づき、どこか誘うように微笑んだ。

 

「……興味があるなら、ちょっとくらいはサービスするわよ?2人は命の恩人だしね」

 

「……揶揄うのはそれくらいでお願いします……」

 

「すいません、アキラはシズカさん推しなんで。ちなみに僕はアキラ推しです!」

 

「余計な事を言うなソラ」

 

「あら、アキラはシズカが好きなの?私も今なら大きさでは負けてないけど……」

 

「っいえいえ!サラさんも魅力的だと……いや、そんな話じゃなくて!」

 

『なんか私の時とは全然態度が違うわね?身体の造形なら私の方が上のはずよ?』

 

『違うねアルファさん。アキラは着エロが趣味なんだよ』

 

『もう黙ってろよ……』

 

 アキラとソラの視界にはエプロンのみを身につけたアルファが映っていたが、反応しないように視線をずらした。

 

「そ、そういえばサラさん!なんで俺たちがエレナさんとサラさんを助けたって分かったんですか?」

 

「……ん?そうね……勘って言ったら信じる?」

 

「勘……ですか?」

 

「なんか、それだけだと間違ってた時のこととか……」

 

「勿論、ただ直観だけで決めたわけじゃないわ。例えばあの時貰った回復薬と2人が持ってた回復薬が一緒のものだったり、私がペンダントにした銃弾は2人の銃に対応していたものだったり、書き置きで渡した紙はシズカの店で売られているノートと同じ材質だったり……色々ね」

 

「やっぱりそこですか……」

 

「……もうちょっと考えればよかったかも」

 

「それと最後は……そうね。私たちを助けてくれたのがアキラとソラだったら良いな。そう思ったことかしら」

 

「……それは直観というより願望のようにも思えますけど……」

 

「願望よ?でも、私のそれはあっていたからね」

 

「……まぁ、偶々ですよ」

 

「それも含めてよソラ。お互いに運がよかった、そうでしょ?」

 

「……はい。そうですね」

 

「運がよかった。なんて便利な言葉なんだ」

 

「……その、相談なんだけど……今日のことをエレナにも話してもいい?もちろん口止めはしっかりしておくし、アキラに言ったように余計な詮索はさせないようにするわ」

 

「下手に広めないのであれば構いません。シズカさんも知ってますし……」

 

「……あ、やっぱりかー」

 

「サラさんと同じ理由でバレましたから。シズカさんとサラさんにバレた以上は当事者のエレナさんもいずれ気づくと思いますのでバラすのは早いほうが良いかなー……って」

 

「シズカはその辺りは鋭いからね」

 

「しっかりとカマに掛けられてバレました」

 

 そんなことを話しながら食事を終えた3人は家の玄関へと向かった。

 

「では自分たちはこれで」

 

「寝床に加えて食事まで頂いてしまって。本当にありがとうございました」

 

「いいのよ、気にしないで」

 

「エレナさんにもよろしくお伝えください」

 

「また機会があれば」

 

 そうしてアキラとソラはサラに見送られながら家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 慣れない下位区画の住宅地をアルファの案内に従いながら2人は宿へと向かっていた。

 

「…………いやー……しんどかったね」

 

「……だろ?」

 

 エレナとサラの家を後にしてから一転、ソラは背を伸ばしながらそう口に出した。

 

「あの時にめちゃくちゃ疑ってた僕が恥ずかしいよ。なんだよ奥の手って」

 

「……罪悪感ってのはこういうことを言うんだな」

 

 以前にエレナとサラを助けてた際に2人が話していたことを思い出して、どこか思いやれない気持ちに苛まれながら足を運ぶ。

 

「……さすがに疑いすぎだったかな」

 

「……だよな」

 

 彼女たちの命の危機を別の目的の手段として助けた2人は、自分達の命を助けてくれた人物から更にお礼まで言われたことで後悔にくれており、アキラとソラの足取りは重かった。

 

 そこにアルファが口をはさんだ。

 

『いつまでもクヨクヨしていられないでしょ?なら、エレナとサラに恩を返すためにもしっかりしなさい』

 

「……そうだね。確かにいつまでもこうしてはいられないか」

 

「強くならないとな」

 

 アルファの言葉にどこか持ち直した2人はエレナ達への借りとは別にどこか思い当たることがあるような表情を浮かべる。

 

「……そういえば、なんか忘れてる気がする」

 

「ソラもか?なんだろうな……こう、なんか約束したような……アルファ、わかるか?」

 

『そうね。約束というのはちょっと違うと思うけど、あれから3日たったわ。シェリルのところに一度は顔を出してほしいって言われていたけど、どうする?』

 

「「 あ 」」

 

 その言葉に2人は思い出したかのように顔を見合わせるとお互いに苦笑した。

 

「一応一泊するかもみたいな話はしたけど、まさか3日も遅れるなんてね」

 

「……まぁ、手を貸すって言ったんだ。一応顔を出しにいくか。アルファ、案内を頼む」

 

『分かったわ』

 

 そうして一行はハンター向けのホテルからスラム街へと行先を変えて、シェリルの下へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元シベア現シェリル拠点の大広間でアキラとソラはスラム街の子どもが集まった前で並ぶようにして前に立っていた。

 

「へぇー……結構人が多いね」

 

「……こいつら全員が徒党の一員なのか?」

 

「い、一応はそうなります。なのでアキラとソラにも報告と顔合わせを兼ねて顔を出していただきたいと思っていまして……」

 

「「ふーん」」

 

 もしかしたら見捨てられたかもと考えていたシェリルは、遅れながらもなんとか顔を出してくれたアキラとソラに安堵しつつ口を開いた。

 

「この2人がアキラとソラよ。失礼のないようにお願いね」

 

 シェリルの徒党の一員であるスラム街の子どもたちに向けてシェリルがそう話すと、ザワザワと驚きの声が広がっていく。

 

『……まぁ、そりぁ驚くよね。徒党の後ろ盾が子どもだなんて』

 

『後ろ盾のつもりはないんだけどな。シェリルに協力するだけだ』

 

『おっと、そうだった』

 

 念話で2人だけにしか聞こえない会話をしながら、自己紹介を促された2人はシェリルと同じように口を開いた。

 

「アキラだ、俺たちはシェリル個人に協力するだけだ。ここの一員になるつもりはない」

 

「僕はソラ。この徒党のボスはシェリルだから聞きたいことはシェリルに聞いてね………以上!」

 

「……っ!?」

 

 アキラとソラの自己紹介にシェリルは驚いた表情を浮かべる。それは徒党の一員達も同様であり、驚愕で口を開いたままであった。

 

「なにか質問は…ないな」

 

「なら、僕たちは予定があるから……あ、シェリル。ちょっと話があるからついて――」

 

「ちょ、ちょっと待てよ!」

 

「…ん?」

 

 顔を出し、徒党の人員との顔合わせを終えたアキラとソラはそのまま拠点を後にしようとした時に突如として話を聞いていた子どもの内の1人、エリオから声を掛けられた。

 

「さっきの話はどういうことだ!俺たちの後ろ盾なんだろう!?」

 

「どういうことって言われてもな。徒党の話はあとでシェリルとしてくれ」

 

「僕たちに聞かれても特には……ねぇ?」

 

「俺たちに聞くな。シェリル、行くぞ」

 

「は、はい……」

 

 軽くあしらうようにエリオに言うと、そのまま背を向けて広間から出ていこうと足を運んだ。

 

「…っなめやがって!」

 

 その様子に馬鹿にされたと感じたエリオは2人の内、距離が近かったアキラに向けて拳を振りかざした。

 

 だが、まるでその様子を見ていたといわんばかりに首をかしげるだけで回避したアキラは、振り向きざまのカウンターでエリオの頬へと拳を叩き込んだ。

 

 そのまま床へと倒れ伏すエリオにソラが以前に使っていた対人用拳銃を向けて引き金を引いた。怯えるエリオの顔の横には2発の弾痕があり、着弾を示す煙が出ていた。

 

「シェリル。お前がボスなんだから部下の躾ぐらいはやっておけ」

 

「勘違いして殺すところだったよ。気を付けてね」

 

 2人の瞳には確かな殺意が宿っており、その視線はシェリルとエリオをとらえていた。

 

「わかったでしょ?この徒党のボスはシェリル。だから聞きたいことは後でシェリルに聞いて」

 

「行くぞ」

 

 2人の行動は確かに徒党の者たちの目に焼き付いており、異論を唱えさせる余地を与えなかった。そして拠点の広間に残ったのは頬を殴られたエリオと心配そうに手を差し伸べるアリシア、そしてアキラとソラにおびえる子どもたちだけであった。

 

 

 

 

 

 

 そうしてシェリルを連れた2人は拠点を後にし、スラム街を歩いていた。

 

「さて、シェリル的にはどうだった?あんな感じで大丈夫?」

 

「……えっ?」

 

「俺たちが舐められないように呼んだんじゃないのか……違ったか?」

 

「……!」

 

 徒党の拠点からある程度離れた場所で口を開いたアキラとソラにシェリルはあっけにとられたような表情だったが、すぐさま持ち直して話に答えた。

 

「いえ、ばっちりです。ありがとうございます」

 

「ならよかった」

 

「一応は俺たちの立ち振る舞いを示したつもりだ。あそこからまた調子に乗るようなヤツは徒党から外しておいたほうがいい」

 

「わ、分かりました。……そういえばこれからどこに?」

 

「ん?一応シェリルの手助けの一環として……あぁ居た居た。あそこ」

 

 アキラとソラの内心を探ろうと思考を巡らせるシェリルはスラム街を進む2人に行先を訪ねると。ちょうど目的地に着いたのか、ソラがトレーラーを指さした。

 

 そのままトレーラーへと向かっていく2人にシェリルもついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「派手にぶっ倒れてたって聞いたぜ?」

 

「2人とも元気そうで何よりだ」

 

「カツラギとダリスも久しぶりー」

 

「3日間ずっと寝っぱなしだったからな」

 

「その割に女連れとは、随分余裕そうだ」

 

 トレーラーの中で作業をするカツラギとダリスにアキラとソラもまた気慣れたように挨拶をする。

 

「で、話ってのはなんだ?儲け話以外はお断りだぞ?」

 

「それはカツラギの商才次第ってところだ」

 

「ほう?それなら儲け話だ」

 

「5大企業を目指してるんでしょ?なら、その最前線から商品を仕入れる商魂逞しさに頼ろうかなーって」

 

 どこか挑発気味なアキラの表情にカツラギもまた余裕の笑みを返す。そこにソラが後押しするようにおだてた。

 

「見慣れないやつがいるがまぁ良いだろう。早速その儲け話を聞かせて貰おうじゃないか」

 

 2人の後をついてきたシェリルを値踏みするような視線を向けながらもカツラギはそういうと、アキラとソラは相談して考えた提案を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人からの提案を聞いたカツラギは真面目な表情で思案していた。

 

「……なるほどな。遺物を俺のところに持ち込む代わりにシェリルの徒党に便宜を図ってほしい……か」

 

「無理強いするつもりはないよ。割に合わないなら遠慮なく言ってほしい」

 

「まぁ待てソラ。俺にも2人には借りがあるし、何より遺物の買取は金になるからな。十分検討に値する話だ」

 

「カツラギ的には儲け話?」

 

「儲け話だ」

 

「なら、取引成立か?」

 

「いや、もう少し判断材料が欲しい。そこの……シェリルだったか?お前たちと彼女の関係はなんだ?」

 

「んー……これといっては……って感じ?」

 

「スラム街のガキ同士のちょっとした繋がりだ」

 

「まぁ、こういう話を持ち掛ける程度の仲ってところ……かな」

 

「邪魔なら切り捨てる。役に立つなら手を貸す。そんな関係だ」

 

「ふむ……そうか、なら次は遺物の買取のほうだ。俺の店はハンターオフィス提携の店じゃない。ハンターランクは上がらないが、それをわかった上での提案か?」

 

「その分高く買い取ってくれるなら文句はない。当分はハンターランクより金が欲しいんだ」

 

「まぁハンターランクを上げたくなったら依頼を受けるか、もしくはハンターオフィスに遺物を持ち込むか……変に安く買い取ろうとしたらハンターオフィスの買取所に持っていくからね?」

 

「ハハハッ!良い度胸だ。……よし!取引成立だ!」

 

 カツラギは豪快な笑顔と共に手を差し出すとアキラもまた手を伸ばして商談成立の握手をした。お互いの目的と利益が一致した取引によってお互いに強く握りしめた手は大きさに差があれど、とても力強く感じた。

 

「ほら、ソラも握手だ」

 

「よろしくね」

 

 流れるようにソラも手を差し伸べたカツラギの手を取って強く握りしめた。

 

「ほら、お前さんも。これから仲良くやっていくんだ。握手ぐらいしておこうぜ」

 

「す、すみませ……っ!」

 

 アキラ、ソラときてシェリルにも手を差し伸べたカツラギはシェリルの手を取ると、強く引き寄せて力の籠った声で低く言い放つ。

 

「裏切るなよ?」

 

「……っ」

 

「あんまり迷惑をかけるようなら言ってくれ。こっちでそれなりの対応をする」

 

「それなりか……具体的には?」

 

「んー……殺して荒野に捨てるぐらい……?」

 

「ほう……随分はっきり言うんだな」

 

「荒野もスラム街も命懸けなんだ。そんなバカな真似はしないと思う……多分」

 

「……ん?多分なのか?」

 

「世の中に絶対なんてないでしょ。それこそ同じ日にモンスターの群れに襲われるなんてあって堪るかってね」

 

「違いないな!」

 

 お互いに苦難を乗り越えた中である為に、その言葉は強く通じていた。

 

「あ、そうだ。カツラギー、この前に情報端末も取り扱ってるって言ってたよね?一番安いやつでいいから売って欲しいんだけど」

 

「ん?そりゃ勿論いいが……一番安いやつだとお互いに連絡を取るくらいしかできないぞ?」

 

「それでいいよ。いくら?」

 

「2万オーラムだ」

 

「あら、意外にもお手頃価格。……はい、これ」

 

「……2万オーラム、確かに貰った。お買い上げどうも。お望みの品だ」

 

 ソラが言われた額を大した金額も入っていない財布から取り出してカツラギに渡すと、一番安い機種の情報端末を変わりに受け取り、流れるように初期設定を行った。

 

「よし、はいこれ。シェリルにあげる」

 

「……えっ。あ、はい。ありがとうございます」

 

「一応僕とアキラの連絡先を入れといたから、何かあったら連絡してね」

 

「俺とソラ。どっちとも連絡が取れない場合は死んだと思ってくれ」

 

 さっぱりとした話し方にあっけを取られながらも端末を受け取ったシェリルを見て、2人はカツラギのトレーラーを出ていこうとした。

 

「ん?なんだ、もう行くのか。もう少し何か買っていかないか?」

 

「いやー、もうお金が無くてね。さっきの情報端末だけでも結構厳しいんだよ?」

 

「今週の宿泊費代すら怪しいんだ。また今度にしてくれ」

 

「ばいばーい」

 

 カツラギが商売も兼ねて2人に声を掛けたが、金が無いことを理由にそのまま去っていった。

 

「……ふむ、まぁひとまず2万オーラムの売り上げだ。次は遺物の持ち込みに期待するとしようか」

 

「……えっと、その」

 

「それじゃあ俺達は話を詰めるとしよう。俺からすれば投資みたいなものだ。期待しておくぜ」

 

「……はい」

 

 作業を続けるダリスを除いてトレーラーの中で2人きりになったカツラギとシェリルは今後の支援の予定も兼ねての話し合いを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カツラギのトレーラーを後にしたアキラとソラは使い切ったAAH突撃銃とARH自動拳銃の弾薬の補充の為にカートリッジフリークを訪れていた。

 

「こんにちわー、シズカさん。いつものお願いできますか」

 

「シズカさん、また弾薬をお願いします。ちょっと色々あって弾薬を使い切ってしまったので、この前と同じくらいの量を────」

 

「あらアキラ、ソラ。体調はどう?」

 

「エレナさん!この前は色々助けていただいてありがとうございました」

 

「トレーラーで倒れちゃった後も色々お世話になってしまいまして。本当に命の恩人です」

 

 店内に入った2人はすぐに視界に入ったエレナを目にするや否や頭を下げてお礼を言った。

 

「気にしないで、私たちが勝手にしたことだから。それよりも2人はぐっすり眠れたかしら?私たちの家は結構ベッドに拘ってるのよ」

 

「おかげさまで全快ですよ。3日間もベッドを占領してしまってたみたいで、本当にすみません」

 

「ホテル以上の寝心地でぐっすり眠ってしまいました」

 

「それは良かった」

 

 そのまま中断していた注文内容を伝えるべくカウンター越しのシズカにも視線を向けたが、店内に入った2人の様子を見るや否やカウンターに備え付けの手板を通って2人の元によってきていた。

 

「……ん、シズカさん?」

 

「?どうかしまし────」

 

 近寄ってくるシズカを不思議に思い、同時に無意識な警戒心から身体を下げようと一歩後ろへ脚を踏み下げようとした直後、伸ばした手によって2人は囲われてそのまま強く抱きしめられた。

 

「……わわっ!?」

 

「シ、シズカさん……!?」

 

 ジタバタとするアキラとソラを離さないようにと強く抱きしめるシズカに2人は慌てふためいていた。

 

 2人はシズカの身体の柔らかさや体温の温かさに動揺し、そしてどこか気恥ずかしさと困惑から抜け出すべく力を籠めるが、しっかりと抱きしめられたことで容易には抜け出せず、時間が経つと共に2人の抵抗は大人しくなっていった。

 

「……えっと……その」

 

「……なにかありましたか?」

 

「それはこっちのセリフよアキラ。無事でよかったわ」

 

 その言葉に2人は抵抗を完全に諦めると、大人しくシズカの抱擁を受け入れた。

 

 そうして数分後。シズカがアキラとソラを離したところで再度口を開いた。

 

「エレナ達から話を聞いたわ。ハンター稼業に付き物なのは私も知っているけど、あんまり心配させないでちょうだい」

 

「本当にすみません、ご迷惑をおかけしました」

 

「いつも通りに遺跡に行ったと思ったらモンスターの群れに遭遇しまして……それも2回」

 

「運が悪かった……というにはちょっと難しいかしら。それでも十分気をつけなさい」

 

「それは勿論です」

 

「昔から運はあまり無いほうなので。それでも十分用心します」

 

 そんなやり取りをしている中、隣にいたエレナが声を掛けた。

 

「どう?次は私がしてあげようか?」

 

「揶揄わないでください……」

 

「もう十分シズカさんに抱きしめられましたよ……」

 

「あらそう?遠慮しなくてもいいわよ?」

 

 どこか意味ありげにほほ笑むエレナにアキラとソラは固い笑顔で返した。

 

「そういえばサラが無意識にアキラを抱き枕代わりにしていたけど大丈夫?」

 

「え?」

 

「サラはああ見えて怪力だから。骨とか折れてない?」

 

「……だ、大丈夫だと思います」

 

「うん。大丈夫、折れてないよアキラ」

 

 エレナの言葉にソラがアキラの身体のあちこちをくまなく調べて状態を確認し、異常がないことを確かめて一息ついた。

 

「ちなみにソラは私が抱き枕にしていたわ」

 

「え?」

 

「サラに比べたら私なんてか弱いから、折れてないと思うわ」

 

「そ、そうですね。大丈夫です……」

 

 まさか自分も抱き枕にされていたとは思っていなかったソラはアキラ同様に顔を引きつらせた。

 

「あら、エレナもサラも2人そろって怪我人を寝具扱いだなんて。もしも悪化したらなんて思わなかったの?」

 

「加減はしたわよ。それにシズカもついさっきまでその病み上がりの2人を抱きしめてたじゃない」

 

「ハンターの2人ほどじゃないわ。アキラ、ソラ。2人に何かされたら遠慮なく私に言いなさい。しっかりとお灸をすえてあげるから」

 

「そ、そうですね……」

 

「わかり…ました」

 

 微笑むシズカとエレナを前に2人はぎこちない笑みを浮かべていた。

 

 

*1
実際にナノマシン系の身体拡張者であるキャロルも携行食品や回復薬で補給するシーンがありました

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