推しと推しを出会わせてみた   作:黒阿修羅

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第2話

翌日

 

ガチャっ

「ただいまー!」

「野土香〜1人にしてごめんねぇ、大丈夫だった?」

 

どうやら野土香の母親、恵が帰ってきたようだ。

だが野土香の返事はない。

 

「まだ寝てるのかしら?」

 

恵は野土香の部屋へ向かった。

 

コンコン

「野土香〜?入るわよ〜」

ガチャっ

「ただいま〜…あら!友達を家に呼んだのね!それにしても見慣れない子ね…外国から来たのかしら?」

恵は野土香の隣で眠るミリセントを見つけた。

「…………ん…………」

ミリセントが目を覚ます。

「あら、ごめんなさい起こしちゃった?」

「ん………あなたは?」

「おはよう、私は野土香の母です。昨晩は野土香と過ごしてくれてありがとね!この子1人じゃ寂しかったと思うから」

(八木野土香の母親か…)

「私はミリセント・ブルーナイトよ。一昨日の夜までは…自分の家で眠っていたはずなんだけど、昨日の夜、目が覚めるとこの家の庭にいたのよ」

「それで八木野土香に会って、この家に泊まらせてもらったってわけ」

「あら!そんなことがあったの!?それじゃあお父さんお母さんも心配してるわよねぇ…連絡は取れるのかしら?」

「……父とは3年前から会ってないわ」

「え…そうなのね…じゃあお母さんと連絡は?」

「……………」

「ごめんね…嫌なこと思い出させたわね…」

「じゃあ、他に連絡取れる人はいるかしら?」

「今は連絡できる道具を持っていないわ。ところであなた、六国に帰る方法を知ってるかしら?」

「六国?確か中国のことかしら?」

「また私の知らない国…確かここはニホンだったわね?地図はあるかしら?場所を調べるわ」

 

そう言ってミリセントはベッドから出る。

 

「えーっと世界地図ならたぶん野土香の社会の教科書に…ゴソゴソ…あった!これよ」

 

ミリセントは野土香母から渡された地図を見る。しかし…

 

「………?これは私の知ってる地図じゃない…ムルナイトも白極連邦もラペリコ王国も…他の国もないじゃない。でもこれは天照楽土の文字ね…他の地図も見せてもらえるかしら?」

「その地図に全部の国が載ってるはずだけど…ごめんね、地図はこれだけなのよ」

「なんですって?これが全ての国なの?」

「えぇ、地図を見ても分からないならスマホで調べてみましょうか」

「スマホ?何よそれ?」

「これよ。電話やメール、調べ物とか、いろんな機能があるの。六国について調べてみるわ」

 

数分後

 

「う〜んだめね…何も出てこないわ」

 

(どうなっている?六国の情報が何も出てこない…それにアメリカやオーストラリアとか、聞いたことのない国が存在している…それなら…)

 

「少し家の周りを探索してみるわ」

「だったら、その前に朝ごはんを食べましょう!野土香を起こしてくるわ」

「すぐに戻るからその後でいいわ」

「そう?じゃあ朝ごはん作って待ってるわね!」

 

そうしてミリセントは外に出た。今日は良い天気である。

 

(さてと…)

(………………?)

(…………おかしいわね……………………?)

 

ミリセントは何かしようとしているが、どうやらそれができないことに困惑しているようだ。

 

(なぜ飛行魔法が使えないの?ていうか他の魔法は?)

(…………魔弾も撃てない…)

 

どうやらミリセントは普段魔法が使えるらしいが、今はなんらかの理由で使えなくなってしまったようだ。

魔法を使おうと何度も試したが、やはり使えないらしい。

 

(どの魔法も使うことができない…どうして?)

(…………ここには魔力が存在しないの?それなら八木野土香が魔核のことを知らなかったのも説明がつく)

 

ミリセントはしばらく考えた後、野土香の家へ戻る。

 

 

ガチャっ

 

「あ、ミリセントちゃんおはよう!どこ行ってたの?」

 

家に戻ると、野土香も起きていた。

 

「あら、思ったより早かったわね。朝ごはんもう少しでできるから待っててね」

 

するとミリセントが口を開く。

 

「あなたたちは魔法を使えないの?」

 

「「………魔法?」」

 

2人はきょとん、とした顔で言った。

 

「魔法かぁ…もし魔法が使えたら、ほうきで空を飛んだり、どこにでもすぐ行ける魔法を使ってみたいなぁ。あ、呪文を唱えると美味しいものが出てくる魔法も!」

「魔法があれば生活も楽になるわねぇ」

「そう…やはり使えないのね」

「もしかしてミリセントちゃんは使えるの!?」

 

野土香がキラキラした目で言う。

 

「ここでは使えないわ。どうやら魔力がないみたいね。飛行魔法で家の周りを探索するつもりだったんだけど」

「魔力?」

「あなたが住んでいる国のこと、いくら調べても何の情報も出てこなかったから、もしかしたらまだ誰も知らない未知の国なのかもしれないわねぇ。だから魔法が使えても不思議じゃないわね!」

「えぇ!すごい!私もミリセントちゃんの国行ってみたいなぁ。ええと確か…なんだっけ?」

「六国よ」

「朝ごはんできたわよ〜」

(思ったよりも面倒な状況ね…そもそも帰れるのか…いや、どんな手を使っても帰ってやる。目的を果たすために…)

 

そう思いながらミリセントは朝食を食べるのだった。

 

朝食後

 

「じゃあ、私はこの国を探索してくるわ。さっきできなかったからね」

「私も行く!北海道には詳しいんだ!」

「野土香が詳しいのは食べ物のことでしょ」

「えへへ…」

「まぁでも、野土香も北海道のことはある程度知ってるから、一緒に行ったほうがいいわよ」

「ホッカイドウって何よ」

「日本にはね、47つの都道府県…あー都道府県っていうのは、日本の中にたくさんある小さな国?みたいなものだよ。それが全部で47つあって、私たちが住んでる場所が北海道っていう都道府県!」

「なるほどね」

「あ、そういえば…トコトコ」

 

何かを思い出した野土香は席を離れ…何かを持って再び戻ってきた。

 

「ミリセントちゃんのドレス、直して綺麗にしたよ!」

「あら、とっても綺麗なドレスね!」

 

(歯型であんなにボロボロだったのに…)

「八木野土香、感謝するわ」

「うん!じゃあ早速準備しよう!」

 

 

 

「ミリセントちゃん、このお金、持っていきなさい」

 

 (これが日本の金か…)

「ありがたく使わせてもらうわ」

「お母さん!行ってきます!」

「2人とも、気をつけて行ってきてね」

「じゃあ行ってくるわ」

 

そうして2人は家を出た。

 

 

(まずは情報収集ね。スマホとかいう道具はあてにならない…六国の情報を持ってそうな奴を探すか)

「あんた、六国の情報を持ってそうな人間を知ってるかしら?」

「う〜ん……世界中の国に詳しい人に聞けば分かるかな?でもどうやって探そう…そうだ!学校の先生なら知ってるかも!私の学校に行ってみ…あ、でも今日休みだからいるか分からない…」

「いる可能性もあるんでしょ?他に思いつかないならその学校に行くわよ」

「ミリセントちゃんがそういうなら…」

 

2人はとりあえず野土香の通う中学校に向かうことにした。

 

そして学校に到着した2人。学校には部活動に励む生徒たちがいた。

 

「社会の先生いるといいけど…」

 

そう言いながら職員室の扉を開ける。

 

「こんにちはー!◯◯先生いますかー?」

野土香が社会の先生を呼ぶと…

「はーい、あら野土香ちゃん…と…あなたは?見慣れない顔ね…野土香ちゃんの友達?」

(すっごい綺麗な子…というかすごい服装ね…)

 

「やった!◯◯先生いた!」

「私はミリセント・ブルーナイトよ。ところであなた、六国について何か知ってるかしら?」

「六国?六国っていうのは、中国、春秋戦国時代の六つの国よ。斉 せい ・ 楚 そ ・ 燕 えん ・ 韓 かん ・ 魏 ぎ ・ 趙 ちょうがあるわ」

「私の言っている六国っていうのは、ムルナイト帝国・ゲラ=アルカ共和国・天照楽土・夭仙郷・白極連邦・ラペリコ王国のことよ」

「?どれも聞いたことない国ね…あなたはその国をどこで知ったの?」

「そう…あなたも知らないのね」

「先生!ミリセントちゃん、その六国から来た子なんです!でも帰り方が分からなくて…どんな些細なことでもいいんです。なにか知りませんか?」

「野土香ちゃん…………分かったわ!2人ともついてきて」

「何処に行くの?」

「図書室よ」

 

図書室に入るやいなや、先生は世界の国の本を大量に持ってきた。

 

「この中から、ミリセントさんの故郷のことを調べましょう」

「先生…!」

「よし、3人で手分けして探すわよ!」

 

数時間後

 

「ない……」

「そんな…」

「書物を漁っても駄目か…」

 

「世界についての本、他にあったっけ〜」

 

3人がそれぞれ六国について書かれてそうな本を探している時。

 

「ん?」

ミリセントはある本を見つける。

その本の名前は【吸血鬼について】。

(吸血鬼…)

ミリセントはその本を開いた。

その本の冒頭にはこう書いてあった。

 

吸血鬼とは、人間の血を吸うと言われている、人間に似た見た目をしている生き物である。だが、吸血鬼は架空の生き物であり、この世界に存在しない。しかし、吸血鬼以外にも人間の血を吸う生き物は存在する。それはヒル、蚊、ナミチスイコウモリなど実在する生物である。

 

その本は、吸血動物について書かれたものであった。

 

(………この世界には存在しないのか?)

 

なぜミリセントがこの本に興味を持ったのか、その理由は単純だった。

 

 

 

 

(私のような吸血鬼が)

 

ミリセントが吸血鬼だったから。自分と同じ種のことが書かれていると思い、この本を読んだのだ。

 

するとミリセントはもう一つ、気になる本を見つける。

 

(異世界について……?)

 

ミリセントはその本も手に取る。

 

(異世界…パラレルワールド…マルチバース…)

(異世界とは、この世界と文化や世界観がまったく違う、魔法などが存在する異界のことである…)

 

(………この世界には魔法が存在しない?)

 

「あなたも魔法が使えないの?」

ミリセントは唐突に先生に聞く。

「え?魔法?使えないよ。っていうか存在するの?」

 

「……………」

ミリセントはしばらく考えた後

 

「北海道で最も栄えている場所はどこかしら?」

「え?…ここから近い場所だと札幌駅とかかなぁ」

「たぶんそうだね…それがどうかしたの?」

「確認したいことがあるの。その場所まで連れて行ってくれる?」

 

そうして2人は札幌駅へ行くこととなった。

 

そして到着。

 

「……………………」

ミリセントは驚いた。

そこにはミリセントが見たことのない文化、建物、世界観が広がっていた。

野土香の家の周りは自然に囲まれていたが、札幌駅周辺はまさに都会であった。

(私の考えが正しければ………この世界に私の知っている六国はない……)

 

(……ここは私のいた世界ではない、別の世界…)

 

「ミリセントちゃん……?大丈夫?」

 

ミリセントは落胆した。元の世界に帰る方法など分からない。未知の世界に迷い込んでしまったのだから。

 

 

 

 

                   第3話へ続く

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