冒険者ギルド職業相談所
求人検索用のパソコンつきの個別席があり、冒険者同士が他愛ない失業話に花を咲かせていた
ナローニアではチームローテションやジョブローテションを推奨しており、失業に悲壮感はまったくない
サトシは職業相談カウンターで、冒険者ギルドNPCに職業相談していた
サトシ「鑑定士って求人ありますか?
職員「ギルドもパーティーも鑑定士の募集はちょっと…
サトシ「えなんで!?
職員「だって普通RPGのパーティーとかで、鑑定士なんて入れたいと思わないですよね?
サトシ「じゃあどうすんの?冒険にも出られなくて詰んでるんですが!?
職員「あ、あなたにぴったりの仕事がありますよ!
サトシ「え、どんな!?
職員「スライム鑑定士
サトシ「え…なにそれ?
職員「スライムの雄と雌を見分ける仕事です
サトシ「…スライムに性別ってあるの?
職員「あります!触ってみて弾力で性別がわかります
サトシ「???
職員「これすごい高度な職人芸で、熟練した職人じゃないと見分けられないんです
サトシ「そんな俺できないですけど…
職員「心配いりません!鑑定士はステータスオープンでスライムの性別がわかっちゃうんです。すごいと思いますよ!
サトシ「スライムの性別わかってなんかいいことあるんですか?
職員「ペットのスライムの性別にこだわる人がいるので…
サトシ「ああスライムをつがいにして繁殖させるんだ
職員「いえ、スライムは雌雄同体なので、性別は無意味です。内部的に設定されているだけです
サトシ「え…じゃあなんでスライムの性別を調べるの?
職員「飼い主の趣味ですね、ただの
サトシ「そもそも触ってスライムの性別ってわかんの?
職員「いやわかんないです
サトシ「えなんで!?職人芸でわかるって言ったじゃん!?
職員「職人とかフカシしてるだけです。実際は雄とか雌とか適当に言ってるだけです
サトシ「???スライム鑑定士っていったいなんなの?
職員「よくわかんないけど、需要があるんです。鑑定士は本当にスライムの性別を鑑定できるので、すごいと思いますよ
サトシ「…まあ仕事があるだけましか…時給っていくらぐらいですか?
職員「このお仕事は時給10ナロンですね
サトシ「10ナロンって時給100円じゃないですか!?生きていけるわけないって!
職員「そもそもスライムの雄雌調べるメリットがないので、それはしょうがないですね…
サトシ「そんな仕事するぐらいなら、引退したほうがマシだ!
泣きながら出ていくサトシ
職員「あ、サトシさん!
ナローニア中央広場噴水前
休日は人通りでごった返す噴水前は、平日のどんよりとした曇り空で、人通りがまばら
噴水もメンテナンス中で動いておらず、プールに水が張っているだけだった
サトシは噴水前の腰掛に座って、うなだれていた
サトシ「チームの募集すらないよ。俺なんかがSランに入れるわけないか…
ぽつぽつ小さな雨が降り始め、噴水前のプールに小さな波紋が広がった。
サトシは考え事をしていた。ポンノの酒場にいってテイザに慰めてもらいたかったが、金がない
毎回ただで居座ったら迷惑だろう
ジョルノ「君がサトシ君だね?」
背中を丸めて座っていたサトシは、誰かに呼びかけられた
振り返って見上げると、金髪の冷たい目つきをした青年が見下ろしていた
ジョルノ「僕は黄金の風のリーダージョルノだ。
サトシ「ジョルノ!?あんたあのSランチームの!?
ジョルノ「初めまして。早速だがうちのチームに入らないか?
サトシ「ま、まじか…俺はC級鑑定士だぜ?
ジョルノ「君はC級だが、優秀だという噂を聞いている。
サトシ「俺が優秀?誰がそんなことをいったんだ?俺は地味な鑑定士の仕事をしていただけだ
ジョルノ「噂は噂さ。誰かわからないが優秀だと聞いた。そうなんだろ?
サトシ「う…
サトシは青い野犬に追放され、自分に自信が持てない。本音では断ってしまいたかった
だが昨日のテイザの占いを思い出した。
SランにスカウトされてSランクになるといわれた
サトシ「(臆してはだめだ…テイザの占いを信じろ
サトシ「もちろんさ!ぜひあんたのチームに入れてくれ!」
ジョルノ「よし決まりだ。早速顔合わせをしたい。僕のそばに来てくれ
サトシ「ああ…
サトシは立ち上がると、ジョルノの隣に立った
サトシ「何をするんだ?
ジョルノ「うちのNVRにテレポートする。魔法陣を書くから中に入ってくれ
地面はぽつぽつと降り注いだ雨の跡が多くなり始めた
ジョルノが地面に手をかざすと、二人の足元を囲むように光のラインが引かれ丸い図形が書かれていく
サトシ「て、テレポートって!?
ジョルノ「説明は後だ。ここで雨に濡れたくないだろ
地面に描かれた魔法陣が強く輝くと、中にいた二人の姿はふっと消えてしまった
魔法陣は光を失ってきえ、石のタイルに雨が跳ね返り、誰もいない広場は暗い雨に閉ざされた