前向きにいきたい僕のチェンソーマン (旧題:せっかく転生したんだし、前向きに行こう) 作:きりっと果実
結構難産だったので、楽しんで読んでいただけたら……
「痛……ィ……い……」
「アハハハハハハハ!!」
「ギャハハハハハハ!!」
アレからどれ程時間が経ったのか
哄笑は変わらず響き続けていた
時間の感覚が曖昧だ。
あれからもう数日は経っただろうか。
感じる痛みどころか時間の感覚まで曖昧になって暫くして、
遂に状況が変わる
「ハハハハ……んん?」
「おい!急に止まんなよ、チェンソー当てちまうだろ!」
「コイツ、何か言ってるよ」
「はあ!?おい、終わりだってんじゃねえだろーなあ!!」
「早く殺してください… これが私の急所です…… 私の心臓です…… すみませんでした……… 痛いいイイ もう痛いの無理……」
「マジにも〜終わるのかあ!?ナツとまだまだテメェを切り刻んでやりたかったのによお!!」
「あら、デンジくんてば嬉しいこと言うね」
絶望の中遂に心臓を差し出した悪魔を前にして巫山戯た会話を交わす
2つの異形の頭が数秒向き合い、永遠の悪魔に視線を向けなおした
鎌とチェンソーが振り下ろされ、
『永遠』の悪魔の心臓が十字に切り裂かれる
「…あ〜あ、終わっちゃった」
「なぁ…これでもう出れんだよな?」
変身が解けたナツとデンジが言葉を交わす
「うん、永遠の悪魔からはもう魂を感じない。死んでるよ」
「おー…変身解けちまうと一気にしんどくなってきた…」
それは僕も同様だ。
変身が解けると先程までは感じなかった疲れが押し寄せてくる。
「そうだね……ねえデンジくん」
「ン?」
初めて誰かと一緒に戦って思ったことがあるんだ。
まぁ、ちょっとはっちゃけ過ぎたけど、
痛いのは今でも嫌いだけど、
デンジくんと肩を並べて戦うのは、一人で
だから、
「また、一緒に
「…ああ、俺もおんなじこと考えてたぜ」
デンジの返事を聞いたナツがくたびれた笑みを見せる
その笑みを見たデンジもまた少し疲れたように笑って見せた
「それにしてもホント時間かかったね…ホント…すごく……疲れ……」
「あっオイ!」
あまりの疲労に意識を保つ事すらままならなかったナツが倒れる
が、間一髪デンジがナツの体を支えた
ナツはデンジの腕の中で寝息を立て始める
「……こういう時なんて言やあいいのか分かんねぇけどよ」
「一緒に飛び込んでくれて、マジ助かったぜ」
「ありがとな」
デンジに支えられるナツの顔に薄く微笑みが浮かんだ
ホテルの自動ドアが開き、4課の7人が表に出る
「出れた……」
ナツを背中に背負うデンジがそう呟く
「銃の悪魔の肉片も取れたし、晴れてるし糞した後みてえな気分だぜ……」
「浮いてるみてえだ……」
独り言が止み、デンジが立ち止まったまま動かなくなってしまう
不審に思った姫野がデンジの顔を覗き込んだ
「…デンジ君どうかし………」
「…どうしました?」
動きを止めた姫野に対し、パワーの肩を借りるアキが不審そうに訊ねる
「…立ったまま寝てる!?」
姫野の声が大きく響いた
三日三晩悪魔を殺し続けたデンジ
そんなデンジは疲労困憊で気絶しながらも
背負ったナツを落とすまいと倒れることなく立ったままで居た
「ずっと寝ずに悪魔殺し続けてたのに…」
姫野がデンジの根性に驚く
デンジの背中に涎を垂らして眠るナツと、立ったまま今日に眠るデンジ
そんな二人の様が少し可笑しくて姫野が少し笑ってしまう
「パワーちゃん、アキ君はお願いね」
「ナツちゃんとデンジ君は私がどうにか病院に連れて行くよ」
「残り二人で今回のこと報告しに行って」
驚くのもそこそこに、手慣れた様子で各々の役割分担を済ませた姫野はさっさと病院へと向かった
パチリ、とナツの目が覚める
「……知ってる天井だ」
また病院…僕、いよいよ常連になっちゃうな
「隣には…やっぱデンジくん」
隣のベッドには眠っているデンジがいた
「はぁ…」
(変身する度に倒れてちゃあせっかく力があったってこの先意味無いよなぁ)
(このままじゃいつ僕もデンジくんの大切
(…岸辺隊長ブートキャンプまだかなぁ)
「…いや、切り替えなきゃ。退院したら気分転換しにいこう」
目が覚めたその日に僕とデンジくんは退院した。
よく考えれば僕らは武器人間なのだから、変身が解けた頃には大抵の傷は治ってる。
体のどこにも大した傷はなかったので即退院できた。
宛もなく街をブラブラと歩く
マキマさんから、しっかりと休みなさいとのお達しで今日1日は休暇を貰えた。
…しかしどうしたものか。
東京へ来てから今の今までまともに休まず悪魔を狩ったりお仕事したり初めての共同生活したり…
そればかりで休み方というのをすっかり忘れてしまった。
それならばいっその事休まずに動いてしまおうか。
「…ちょっとだけ先を見据えて、下見をしておこう」
ソ連のモルモットが潜入した店
「早川家とあの子の結末が、一番納得いってないんだ」
「僕がいる以上、デンジくんの大事な人は幸せにならなきゃ」
僕は今路地にいる。
路地の先には洒落た喫茶店、
『二道』だ。
「……レゼちゃんってどの段階で潜入してたんだろ」
ふと足を止め、そんな事を考えるものの
「…ええい!ここまで来たんなら入っちゃえ!」
面倒くさくなってきたのでさっさと入ってしまうことにした
ガチャ
扉を開き、堂々と入る
「ごめんくださ〜い!」
「おや、いらっしゃい」
店内に入ると、漫画で見た事のある御立派な口髭を生やした男性が出迎えてくれた
けどなんか人が少ないな…
「営業…してますよね?」
「……お客さんが少ないだけだよ」
そういえばモーニングにしか人が来ないとかどうこう言われてたっけ。
ちょっと失礼なこと言っちゃった…
「あ、ごめんなさい」
「別にいいさ、人が少ないことに変わりは無いし…ご注文は?」
「えーっと…じゃあ、マスターのいちばん得意な料理で!あとコーヒー!」
「はい、ちょっと待っててね」
それにしても…レゼはまだ潜入して無さそうだな
それとなく聞いてみようか
「あの〜…」
「はい?」
「このお店って、アルバイトとか募集してるんですか?」
コーヒーを作りながらマスターが返事をしてくれる
「募集出して見ようかなとは思ってるけど…君、アルバイト探してるの?」
「あぁ、いや…可愛い看板娘とかいたら客足増えるんじゃないかな〜って」
「そう…やっぱそうかな」
僕の言葉を聞いたマスターは「そろそろバイト募集するかなあ…」と呟きながらコーヒーをコップに注ぐ
「はい、コーヒーお待たせ…カレーはまだ温めてるから少し待っててね」
「ありがとうございます」
そこで会話は終わり、マスターが裏の方へ引っ込んでいく
恐らく厨房へ向かったのだろう
「…ブラック苦手だし、砂糖入れちゃお」
ぽちゃんといくつか角砂糖を落とし、少し混ぜてからコーヒーを口に運び飲み込む
「…ん、美味しいじゃん」
原作のデンジくんがドブだのなんだの言ってたから味疑ってたけど…
まぁデンジくんはブラックそのまま飲んだじゃったみたいだしあんなもんか。
「お待たせしました」
ぼけっとしていたら横から机にカレーが置かれる
「あっ、ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ」
コーヒーを1度置き、カレーを少し混ぜてスプーンで口に運ぶ
「…んん!まふたあ、こえおいひいえふね!」
「あ、うん…すごいありがたいんだけど食べてからでいいよ?」
カレーすげー美味しい!超好みの味付けだ!
でもちょっと好き嫌い別れそうな気はする。
原作でレゼがそれほど美味しくないみたいなこと言ってたのはそのせいかな。
「マスター、これ美味しいですね!」
「わざわざ2回もありがとう、君ほど喜んでくれたお客さんは初めてだよ」
「ええ!美味しいのに〜」
新聞を読んでるマスターがすごい嬉しそうにしてる
あれからしばらく「悪魔があーだ」「最近のニュースがこーだ」と、だらだらマスターとお話していると3時間近くも時間が経っていた
「あれ!?もうこんな時間!?」
「ん?あぁ、ほんとだね」
「すみません!カレーとコーヒーですごい長居しちゃって…」
今後も通う予定なので迷惑な客にはなりたくない…
「いやいや、いいんだよ別に。今日は君以外お客さん来なかったしね」
「そうですか?気にしてないなら良かったです」
「3時間で君一人しか来なかったから…気にしなくていいんだよ……」
「やっぱマスター的にはそっちの方が気になるんですね」
客足が少ない自分の店を憂い、やたらと哀愁漂う顔をしている
「それで、もう帰るのかい?」
「はい、そろそろ
「そう…今日はありがとうね。久々にお客さんと長話したよ」
「あぁいえ!僕の方こそありがとうございました!コーヒーも美味しかったです!」
「また来ます!」
忘れ物がないか確認してから店を出る
「あ、今更ですけど僕の名前ナツっていいます!今度から名前でいいですよ!」
「ご馳走様でしたー!」
マスターがこちらに手を振るのが見えたので、こちらからも手を振ってから扉を閉めた
「…あの子うちで働いてくれないかなぁ……」
帰りもそこかしこに寄り道しまくっていたらすっかり空が暗くなってしまった
ガチャ
「ただいま」
ただいまの挨拶をすると、おかえりの代わりにパワーの声が届いた
「ム?やけに遅かったの」
「あれ、パワーちゃんだけ?」
「あヤツらはついさっき出掛けおったぞ。それで、ウヌはどこ行っとったんじゃ」
「ふぅん…僕はちょっと寄り道。時間掛けすぎちゃった」
早川先輩とデンジくん、どこ出かけたのかな。
もういつもの夜ご飯の時間過ぎちゃうけど。
「ほぉ…どこ行っとったんじゃ?」
「シャレオツな喫茶店」
「…しゃれおつなきっさてん」
「パワーちゃん、もしかして喫茶店知らないの?」
「知っとるが?ワシも昔は行きつけのキッサテン屋があったもんじゃ…懐かしいのぉ…」
「…喫茶店はカフェだから、喫茶店を売る店なんてないよ?」
「は?ワシ何も言っとらんが?」
「ンン…………」
おかしいよ…虚言癖なの知ってるけどこんなのおかしいよ……
「おかしな事をいう奴じゃのぉ…きっと疲れておるんじゃろう」
「パワーちゃんは絶好調だね……」
ニャーコを撫で回すパワーちゃんの虚言癖は今日も絶好調だ
そんな他愛もない会話をしていると玄関の扉が開く
「ただいまあ〜…」
「靴を脱ぎ散らかすな」
早川先輩とデンジくんが帰ってきたらしい
「おかえりなさい、どこ行ってたんです?」
「…あぁ、草薙か。冷蔵庫の中に食材がもう無かったから、こいつ連れてスーパーに行ったんだが…」
「もう閉まってたからよぉ、代わりにファミリーバーガーっての買ってきたぜ」
「美味そうなんだぜ」と誇らしげに言うデンジくんと早川先輩の手に提げられてる袋を見ると、確かにファミリーバーガーの紙袋が入っていた
「言ってくれたら僕が帰りに買ってきたのに…」
「病み上がりだろ、気を遣わなくていい。」
アキお兄ちゃん……!
「だったら俺にも気ぃ使えよな……同じ病み上がりなんだけど…」
「お前はいいんだよ」
「おお!ハンバーガーか!?寄越せ!」
「テメェ座ってろ!袋渡すと全部食っちまうだろうが!」
「なにおう!?」
デンジくん達が帰ってきて直ぐに家の中が騒がしくなる。
なんだか…こうしてるとほんとの家族みたいで、凄く微笑ましい。
「…ふ」
「ナツ!笑ってないでこのクソ悪魔止めろよ!」
「ワーシーのーじゃー!」
傍から見ていた早川先輩が片手にドリンクが入った袋を提げたまま、もう片方の手で顔を覆い「はぁ……」と溜息をつく
「いいから、さっさと座れ。マキマさんに電話掛けるぞ」
「何しておるデンジ、さっさと座らんか」
そう聞くとパワーちゃんは早々に席に着いた。
デンジくんは「そんなことじゃ別に怒んねーだろ」って感じで全然効かないが、パワーちゃんはナマコの時に怒られたばかりなのでちょっと効く。
「コイツ…」
「まぁまぁ、お腹空いたし早く食べちゃおうよ」
「…ま、それもそうだな」
ようやく全員座ってファミリーバーガーを食べ始める
(…あったかいな)
家族の温もりなんて忘れていたから、この四人での暮らしをすっかり気に入ってしまった。
まだそんな長く暮らしてないのにな。
「なぁ、さっきから何笑ってんだ?」
ずっと顔に出てたようで、デンジくんにそう聞かれる
「んー?…んー…パワーちゃんの顔が面白くてさ」
「なんじゃ!喧嘩か!?」
「オメー顔中べったべたじゃねえか。実際面白ぇ顔だぜ」
ハンバーガーのソースで顔中ベタベタにしたパワーちゃん
それを指摘する、意外と綺麗に食べれるようになったデンジくん
呆れながらパワーに顔を拭くふきんを渡す早川先輩
この光景を守れるのは、僕だけ。
まだ少し仕事仲間感が強いけど…この
マキマさんに良い様に使わせはしない。
(…なーんて、シリアスな事は今はいいや)
(せっかくの食事、楽しんで食べなきゃ損だ)
「デンジくんのポテトもーらい!」
「あ!何すんだよ!!」
「だって全然手付けなかったんだもーん」
悪戯っぽく笑う
「ガハハ!易々と奪われるとは、情けないのぉ」
「パワーちゃんからももーらい」
「な!貴様っ、じゃあワシはチョンマゲのもらい!」
「じゃ俺も!」
僕は既にポテトをガードしていたのでパワーちゃんとデンジくんが早川先輩の方へ向く
「オイ!お前ら自分の分食え!」
「取られる方が悪いんですよ先輩〜」
先輩の眉間にシワが寄るが、それほど怒っているわけでも無さそうだ
「へっ、そうだぜ〜俺は悪くねえかんな」
「ふん、
ポテトを手につまむデンジくんと口に含みまくったパワーちゃんが意地悪く笑う
いつもより少し賑やかな夜
やがて賑やかさもなりを潜め
皆が食事を終え
皆が風呂を終え
皆が床に就く
布団の中で海の底のような夜の深さに沈んでいく
どこか幸せな暖かさに心が包まれ
深く
深く
眠りにつく
読んでくれてありがとうございました。
どうでしょう、短いですが日常パート入れてみました。
完全オリジナルのパートなのでなかなか会話が難しく……
楽しんで読んでいただけたら幸いです!
次回は見回りかちょっとした任務をちょっと挟んで新人歓迎会しようと思います。
ゲロチュー周りの展開は未だ悩んでます…
それでは。
チェンソーマン最高! チェンソーマン最高!!
レゼの心理描写入れたいんだけど、解釈違い?
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入れて欲しい
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入れたっていい
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入れなくたっていい
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入れないで欲しい