4000日以内にログアウトしないと死ぬ!? ニューゲーム+を開始したらデスゲーム? だった件について   作:匿名係

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仲間が出来たぞ?

 宿に泊まってから3日目。今日ぐらいに、兵士が訪ねてくる予定だ。その間私は何をしていたかというと、ひたすら酒場や都市で何か変わったことがないかを尋ねたりしていた。

 これが製作陣の仕様通りだとするなら、どこかに攻略のヒントがあるかもしれない。それを期待しての動きだ。

 ここで外見の良さが武器になった。私が一晩かけてキャラクリしたこの体は、酒場で絡まれたことからも分かるように、かなり上等な見た目をしている。一言でいえば超美少女だ。

 そんな美少女が、つい数日前に村から出てきたばかりで、この都市がどんな場所なのか知りたいと尋ねて回る。時折求婚まがいなこともされたりしたが、収支で行くならプラスに外見は機能している。

 それで判明したのは、特に私が知っているスターリアとの違いはなかった。売買がちょっと面倒になったとか、教会などの施設が立派になったなどの違いはあるが、そこで終わり。例えば近くにドラゴンが出ただの、設定上存在はしている神や悪魔が出現したなどの話もない。

 どこまでも私が知るスターリアだった。

 そんな結果に失望はしつつも、それで足を止めるつもりはない。これで心がへし折れたりしていても、時間が無駄になるだけだ。

 

「……私はここまでメンタルが強かったか?」

 

 自分のことながら首を傾げてしまう。なぜだろうか?

 

「この体がやはり異世界転移で、半神の脳だから影響が出ているのか。それかドリームプレイは脳に干渉する機械だから、恐怖心を和らげているのか」

 

 答えは出ない。ただ結果として、意外にも冷静な自分がいる。これは非常に助かる。もしここでメンタルに不調が出て、冷静な思考が出来なくなったら終わりだ。

 助かると言えば、空腹や睡眠に対するあれこれも常人とは全く違う。私の種族は人間ではなく、半分神のデミゴッド。普通の人が1日最低でも1食と水が少々、睡眠も多少は必要だとすれば、私は3日に1回少し食せば足りて、睡眠も1日5分もあれば十分。

 新陳代謝や耐熱性が人間とは違うのか、冷や汗など以外ではあまり汗もかかない。この宿にはお風呂などはなく、体が汚れたら布を水に浸して拭くぐらいしかないので、この体質も非常に助かっている。

 トイレなども似たような感じで、1日1回小を出せばなんとかなる。もっともこの1回が、男性の体とは勝手が違い過ぎてまだ慣れていないのだが。

 

「もしかしたら生理とかも?」

 

 異世界転移なら当たり前に起きる現象だろうし、リアルを追求した製作陣であれば実装しているような気もする。しかし肉体が半神なので、実装されていたとしてもそこまで支障は無いようになっているかもしれない。

 

「胸については、小さめにキャラクリしておいて助かった」

 

 単純に私がスレンダーな体型が好きなので巨乳にはしていなかった。そのおかげで、活動する上で胸が邪魔になることもない。もしもキャラクリ時に、スライダーをマックスにしていたら邪魔で仕方なかったと思う。

 

「我ながら素晴らしいプロポーション」

 

 流石に服が一着なのはまずいと思ったので、安い服を一着購入してある。最初から持っていた初期服と大して地味さもデザインも変わらないが、今の手持ち金で買えるのなんてこれぐらいなので仕方ない。

 最初から持っていた服は寝間着替わりに使っていて、今は着替えようとしているところだ。

 そこで改めて鏡を見ると、自分でキャラクリした姿に惚れ惚れしてしまう。くびれとかすごい。もしも現実に存在するなら、アイドル間違いなしだ。

 

「アイドルというには、下着がえらく地味だけど」

 

 下着といっても、布を切って張り付けただけの代物。胸もさらしを巻いているだけだ。裁縫用の道具とかを手に入れたら自分で作成しよう。なにせ元がスローライフゲーだ。裁縫関係のスキルなども当然のようにある。今の手持ち金だと揃えないといけない物がまだまだあるので、当分先の話にはなるだろうが。

 着替え終わり、兵士が来なければ自分から行こうかなとかんがえていたところで、ようやく待ち人が来た。

 

「こちらが今回の賞金だ」

 

 見分を済ませたところ件の人物であったことが確認を取れたらしく、私には事前の情報通りの賞金が払われた。ようし、これだけあれば道具なども多少は揃えやすくなるぞ。

 

「ありがとうございます」

「こちらこそ、仲間の敵を討ってくれたこと感謝する。また賞金首の情報があれば、持ってきても構わないか?」

「お願いします」

 

 さて、それでは別れようかと考えたところで、ああそういえばと兵士が話しかけてくる。

 

「お嬢さんが倒した賞金首な。あれについて昨日、詰所に流れの傭兵達が訪ねてきたんだ。それでもう討伐されていることについて話したら、倒した人物に会ってみたいと話があったぞ?」

「そうなんですか?」

 

 傭兵が私に話? 賞金首を倒せるぐらいだから、仲間になれとかだろうか。

 

「その方達はどちらにおられますか?」

「興味があるのか?」

「はい。今は食い扶持を探しているところなので、もし儲け話があるようであれば乗ってみたいところだったので」

「そうか。ではここに行ってみれば良い」

 

 そういって、とある宿の名前を教えてくれた。ここなら、歩いて10分もあればたどり着くな。

 

「ありがとうございます」

「礼なんぞ……一つだけ忠告しておく。お嬢さん……そういや、ずっとお嬢さん何て呼んでるが、名前を聞いてなかったな。なんて言うんだ?」

「イオリです」

 

 イオリ。これは私の本名である高天原伊織から持ってきている。

 

「イオリさんか。傭兵に会うなら、あまり信用しないようにな。あいつらは金の為ならなんだってする。なんだってな」

「……分かりました」

 

 金のためならなんだって、か。1周目でも傭兵と一緒に依頼にあたるイベントなどはあるが、大体1割ぐらいの確率で騙して悪いが、これも金のためなんだとか言って後ろから攻撃されることはあった。そのたびに返り討ちにして、身ぐるみ全部剥いでモンスターの巣に投げ込むか、モンスター牧場の餌にしてやったが。

 何にしろ、今は活動資金が欲しい。兵士に礼を言ってから、傭兵団がいるらしい宿に向かってみる。

 たどり着いた宿は私が泊っている建物に構造が似ていて、一階部分が酒場になっている。そんな建物の一角に、話に聞いた傭兵の特徴に合致する集団がいた。

 人数は全部で7名で、リーダーは濃い髭を生やした頭髪のない40代の男性。その人物に話しかけると、最初はあ? みたいな反応をされたが、向こうが探していた賞金首を倒した人物であることを告げたら、とたんに柔和な笑顔になった。

 

「そっかそっか。イオリちゃんがこいつを殺したのか。見た目に似合わず、相当の腕前みたいだな」

「は、はは……」

 

 最初からちゃん付けかいとは思うが、それは黙っておく。それよりも、どうして私を探していたのだろうか?

 

「なに、実は今人手が欲しくてな。それで腕の良い傭兵がいないか探していたら、この手配書の人物を殺したやつがこのスターリアにいると聞いたんだ」

「何か仕事の話ですか?」

「おうよ。実はな……ここから3日ほど南下した村の近くに、グリフォンが出た」

 

 詳しい話を聞いてみると、村の近くをとある豪商が荷物と共に通りかかった。そこをグリフォンに襲撃されたのだとか。その際に荷物を捨てて商人は逃げきり命だけは助かったが、彼が運んでいた荷だけは現場に残ってしまった。

 

「その荷の中には、人間と同じぐらいの大きさをした神像があるんだよ」

「神像! ということは、材料は金?」

「いいや……オリハルコンかアダマンタイトを混ぜた合金だそうだ」

 

 私はこの話を聞いて、思わず前にのめり出してしまう。神像とは文字通り神を象った像のことで、大抵は金か銀などの希少な金属を使用することが多い。神を模すのだから、それぐらいの金属は使わないと神罰が下ると信じられている。

 しかし金よりも希少な金属がある。それがオリハルコンやアダマンタイトだ。もしも本当にあれらが使われているのであれば、溶かして再利用したい。そんな欲が少し湧き出てくる。

 

「その反応……どうやら興味があるみたいだな。乗ってみるか?」

「是非」

 

 私はすぐに身支度を済ませ、彼らと合流してから南を目指すことに。一人であればもっと早く移動できるが、今は傭兵達の足の速さに合わせることにする。

 道中特に危険もなく、私達は襲撃されたという場所の付近まで来た。

 

「それでは打ち合わせ通り、私が先行してグリフォンの偵察に向かいます」

「任せたぜ、イオリちゃんよ」

 

 傭兵団の中には隠密に長けた人物はいないらしく、私が単独で状況を確かめに行くことになった。あくまでも彼らは傭兵であって、暗殺者や殺し屋の類ではない。隠れてこそこそと動くのは、技能的に向いてないそうだ。

 対して私はと言うと、相当にやりこんだおかげでステルス技能などは限界の20まで育っている。なので、単独行動で偵察に向かった方が得策だった。

 

「こんなところでやり込みが役に立つんだから、人生分からないものだな」

 

 Human-like monstersはレベルアップで強くなれるゲームだが、レベルを上げるだけでは駄目だったりする。レベルとは別に技能熟練度が存在していて、そちらも上げないとキャラクターはあまり強くなれない。

 まずレベルアップすると、能力値ポイントが5、スキルポイントが3手に入る。能力値とは生命力・精神力・筋力・耐久・敏捷・魔力・耐久の7項目のことだ。それぞれに任意で割り振ることで、操作キャラは強くなる。次にスキルポイント。これはすぐに振ったりは出来ない。なぜならここで、技能熟練度が関係してくるからだ。

 例えば魔法を覚えたいとしよう。この場合前提として、魔法に関する技能熟練度を育てておかないといけない。代表的なのは杖の熟練度。杖を使っていると熟練度が上がり、その内杖熟練度が1に上昇する。すると杖装備時に攻撃+1のスキルを習得し、同時にスキルツリーが解放される。このスキルツリーの中に、この間賞金首と野盗をバラバラ死体にした魔弾などが存在する。

 これと同じで隠密の技能があり、これを育てないとステルスプレイなどはほぼ不可能。私は習得可能な技能熟練度は全てカンストの20までは育ててあるので、彼ら傭兵に比べると見つかりにくいわけだ。

 とはいえスキルツリーにはあまり振っていないので、特化型のステルスプレイに比べると見つかりやすい。用心して進まないとな。

 しばらく歩いていたら、第三の目に反応があった。第三の目は探索熟練度を上げると習得するスキルで、熟練度が上がる度に視界に様々な情報を映し出してくれるようになる。今はモンスターに近づいたのか、どの方向に敵がいるのか矢印で教えてくれている。

 その方向に向かうといた。人間の何倍も大きく、翼を持つモンスターが。しかしグリフォンではない。似ているが別のモンスターだ。

 

「ヒッポグリフじゃねえか」

 

 グリフォンは上半身が鷲で下半身がライオンだが、ヒッポグリフは下半身が馬だ。初見だとぱっと見で分かりにくいよな、こいつと思いながらも隅々まで観察する。

 脅威度レベルはたいして高くない。第三の目ならモンスターが自分より強いのか、それとも弱いのか判別できる。安全な敵なら青いオーラに包まれていて、同格ならオレンジ、赤色ならこちらより強い。

 もしも頭上にドクロマークが浮かんでいたら、絶対に勝てないぐらいに離れている。

 果たしてヒッポグリフはどうかといえば、青色だった。つまり安全に処理可能なレベル。私はそのことにホッとし、傭兵団長に持たされていた通信の魔石で連絡を取る。

 

「聞こえますか?」

「聞こえている。状況はどうだ?」

「いました。グリフォンではなく、ヒッポグリフでしたが」

「目撃者が間違えたのか? どっちでもいいか……すぐ傍にいるのか?」

「いいえ。通信のために、少し距離を取っています」

「そうか。少しだけなんだな……なら悪いが、足止めは頼んだぞ」

「え? 何をいって──」

 

 そこまで私が言葉を紡いだところで、いきなり魔石から爆音が鳴り響く。うるさ! この音は一体!!! ……まさか!?

 その可能性に気づいたところで、私は後ろを振り返る。石からの音に紛れて聞こえにくいが、木々を押しのけて何かがこちらに近づいている。その正体なんて言うまでもなく……ヒッポグリフだった。

 

「クゥルルルルォオオ……」

「や、やぁ。おはよぅ!? いきなりか!!」

 

 挨拶をしてみたら、ヒッポグリフに嘴で攻撃された。そこまで早くもなかったので、飛びのいて躱しておく。しかしそれで攻撃を止めるつもりはないのか、更に追撃が飛んでくる。それらも躱していたら、今度は前足で踏みつけを仕掛けてきた。今度は避けずに、両手を使って力尽くで止める。

 ……良し。そこまで重くもない。青色なので安心はしていたが、こいつは私の敵ではないみたいだ。それにしても──

 

「あいつら、人を生贄にしやがった!?」

 

 いきなり魔石から響いた音。あれはこいつを惹きつけさせるための音だ。なぜそんなことをしたかといえば、こちらを捨て駒にさせるため。

 この後無事に像を手に入れて持ち帰ったとしよう。そうなると、あいつらは私に分け前を払わないといけない。それを嫌ったのだ。

 それだけでなく、ここで私とこいつを戦わせたら、自分たちは安全に逃げられる。

 

「だからか! だからあいつらは、賞金首を倒せるぐらいの相手を欲しがった!!」

 

  生贄がすぐに倒されたら、時間稼ぎにもならない。像を手に入れて、安全圏まで離脱するだけの時間が欲しい筈だ。そうなると私は実に良い手駒だろう。そこそこの腕があって、なおかつ切り捨てたとしても惜しくない出会ったばかりの少女。これほど都合の良い相手もいない。

 

「絶対に……絶対に許さない!!」

 

 ヒッポグリフを持ち上げて、私は近くの木に叩きつける。間髪入れずに近くにあった、人の頭ぐらいのサイズがある石を蹴り上げてぶつける。途端にヒッポグリフは苦しみだした。

 こいつを叩きのめしたら、次はあいつらの番だ!!

 そう思いながらヒッポグリフに近づくと、向こうは慌てるような動きをし始めた。

 

「ま、待って! 待って!!! 降参!! 降参するから待ってぇえ!!」

 

 木を引き抜いて投げつけようとしたら、ヒッポグリフが言葉を喋り始めた。それを見て、少し考えた後に私は木を投げ捨てた。

 

「分かった。手を止めるから、とりあえずその姿から変わって」

「う、うん」

 

 私がそう命じたら、ヒッポグリフの体が煙に覆われていく。暫くしたら煙が晴れて、そこにはモンスターはいなかった。

 

「これで良い……かな?」

 

 代わりにいたのは、非常に見目麗しい美少女。私が頑張って作成したこの見た目に劣らない、すごい綺麗な子がいた。

 Human-like monsters。直訳したら人間のような怪物たち。この世界のモンスターには、例外なく一つの特徴がある。それがこれ。人化の魔法が使えるだ。

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