花が調べてくれている間、つかの間の休息を過ごしていた五十嵐一家。
「ごめん待たせた。これは私から話させて」
大二の通話に参加してきたのは夏木花、今は夏木探偵事務所で探偵をしている。
「立川市でほんの3ヶ月前に起こった放火殺人事件、被害者は川田卓治さんと妻の道枝さん。事件前日の夜に付近一帯のチャイムを鳴らす不審者が現れてたみたい。このことについてはまた聞き取り調査してみるわ。で、これはニュースになってなかったんだけど、被害者は事件直前、スノウ製菓に対してクレームの電話を入れてたみたいなの。……まぁ記者に聞いた話なんだけどね」
「前日の夜にチャイムを鳴らす不審者……それに翌日にクレームの電話……今の私たちの状況と一緒じゃん!」
「クレームを入れた客を殺害……ブラック企業どころの話じゃないぞ……」
「みんなごめん……やばいことに巻き込んじまったかもしれない……」
「一輝が謝ることじゃない、今考えるのはあの変な会社にどう対策するか……」
「!?」
突然、一輝の携帯に電話がかかってきた。
「……もしもし、誰でしょうか?」
「突然のお電話申し訳ありません、私スノウ製菓総務部の芦原瑞穂と申します。先程の電話の件について確かめたいことがございまして、個人的に会って情報提供頂けないでしょうか?」
「は……?」
「過ぎた申し出であることは重々承知なのですが、どうかお願いします」
「すみません、あなたたちの会社に対していい印象を持っていないので……」
「調査しているんです! 私自身が務めている会社について、私の家にもセールスマンが来て、その経緯についてはまたお話するんですけど、とにかく情報提供お願い出来ないでしょうか?」
「あの……もしかして今会社の外ですか?」
「え、えぇ.…そうです。今は休憩中なので」
一輝は意を決して、紙に今の電話の内容を簡潔に書出し、家族に見せた。
「(だめだよそんなの! 危なすぎるって!)」
「(なんで当の会社の人に会うんだよ!)」
「……わかりました。会いましょう」
「っ! ありがとうございます! では日程といたしましてはそちらの都合に合わせたいと思っているのですが……」
「はい! では明日はどうですかね? 丁度うちの戦闘の定休日なので。場所は……駅前のスタバでどうですかね?」
「はい! それで大丈夫です。それと……うちの元社員も同席させていただいてもよろしいでしょうか?」
「元…? 別にいいですけど……」
「ではそういうことで、失礼します」
ピロリ、と電話が切られる。
「みんな、もしかしたら社内に味方がいるかもしれない」