「聞き取りしてわかったんだけど、案の定だった。放火されたマンション付近ではスノウ製菓のセールスマンが来ていた。名前はセリヤマショウイチっていうらしいわ」
「セリヤマショウイチ……」
花は1度しあわせ湯に戻り、得た情報を共有した。
「あとは例の会社の過去、なんだけどこれはもう少し時間がかかりそう。かなりオカルトチックな話になってて、霊能者の人にアポ取ってるとこ」
「オカルトか……言っても俺たちの悪魔もそういうもんじゃないか?」
「そこら辺はまあ……ギフやバリデロみたいな地球外生命体の可能性も考えて……」
一輝の言葉で余計な混乱を与えてしまったのか、花は様々な可能性を考察し始める。
「ま、今はそっち考えても仕方ないって。確かに悪魔だったらこいつで力押しで解決できるけど、そうじゃないっぽいし」
そう言ってさくらはバイスタンプを掲げる。
「明日の芦原さんの情報と、花の情報とで、あの会社のことについて調べる」
「あとこれは大二からの伝言。『ごめん、今までのフェニックスなら政府直属だったから最悪圧力かけることが出来たけど今のブルーバードは再建直後だからそういうのは出来ない』だってさ」
「ふっ、何謝ってんだよって伝えてくれ」
「おっけー」
すると花の携帯に電話がかかってくる。
「え! 本当ですか?! っ、ありがとうございます! はい、はい、では明日ということで! 失礼します!」
電話を切った花は親指をグッと立てる。
「霊能者とのアポ、取れたわよ! 過去にスノウ製菓お抱えの霊的なカウンセラーやってたらしいわ。だから1番有用な情報を得られるんじゃないかしら」
「大手柄だな花!」
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翌日の昼前、一輝は5分前に駅前に着いた。
「ヤッベ、目印とか言ってなかったな……」
しかし、平日の昼前というのもあってあまり一通りも多くなく、キョロキョロしている男性が見えたのもあり彼は男性に声をかける。
「あのすみません、芦原瑞穂さんのお連れの方でしょうか
?」
「もしかしてスノウ製菓の事例の関係者の……」
「五十嵐一輝です! お時間撮らせてしまい……」
「いやいやいいよ! あ〜あと瑞穂なんだけど、あいつぴったりにしか来ないからさ、ちょっと待たないとなんだ。ごめんね一輝くん」
「いえいえ! それよりお名前伺ってもいいですか?」
「忘れてたよ。俺、宮下優吾、あそこやめて今は小説家やってるんだ、知ってる?」
「知らないですけど、でも夢追いかけられるの、いい事だと思いますよ!」
「ありがとうね。──って」
「うっす! おまたせ!」
「遅……いや今日は間に合ってんな」
「へへん、今日は来客待たせてんだから当たり前でしょ?」
「人で態度変えんな。っと、こいつが芦原瑞穂」
「よろしくお願いします! 五十嵐一輝です!」
3人は世間話もそこそこにスタバに入る。
「早速本題なんだけど、スノウ製菓の件について、当時の状況について聞いてもいいかな?」
「はい、俺の方も仲間と一緒に調べてて、情報共有ってことでいいですか?」
「あなたも……もちろんいいですよ」
すると一輝はセールスレディが訪れた当時のことから、独自に調査した情報まで話した。
「それで……俺達も調べてるんです。だから……なんなら協力しませんか?」
「え……いいんですか!?」
「はやんな瑞穂。んんっ、ご協力の申し出は嬉しいのですが、なにぶんこの案件には危険なことが起きる可能性もあります。それでもいいですか?」
「もちろんです。家族も……近所の人にも危険が及んでるんです。放っておくことなんてできません!」
「おぉ……熱いね」
そして……しあわせ湯と2人の共同戦線が結ばれたその裏では……。
「嘘でしょ……こんなこと……会社自体が……」