そんなモノ、家族とは呼ばない   作:キラトマト

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第6話 たった一人の戦い

「ふぅ……」

 

 スノウ製菓のオフィスの前で五十嵐一輝は深呼吸をする。深夜二時だというのにまだ全ての窓の電気が点いている。

 

「とんだブラック企業だな。……よし」

 

 彼は自動ドアを通りエレベーターへと歩みを進める。

 

「おっ、君もかぞくになりに来たのかい? あじゃさまに会いにゆくのか? 良き心がけだ!」

 

(この声……瑞穂さんと電話かわって住所聞いてきたあの……)

 

 そう思いながらも無視し、エレベーターに入り、規定の手順でボタンを押す。

 

「ふぅ……あとは待つだけだな」

 

 とてもとても長い、地下への道のり。心做しか箱の中が暗くなるような気がした。どこまでも降りる気がしたその時、チーン、と音がして扉が開いた。

 

「……」

 

 見渡す限りの暗闇、彼が照明のスイッチを探し当て点けると、突然風景が変わる。するとそこにあったはずのスイッチも消える。

 

「あれが……雪子さんの家……」

 

 まるで時代劇に出てくるようなかやぶき屋根の日本家屋、そして黄金色に輝く田んぼ。そして見上げると燦々と輝く太陽、などではなく照明であった。一体地下にこんな作り物の過去を用意して何がしたいのだろうか、そう一輝が考えていると。

 

「────── おかえりぃ」

 

 そんな声と共に家屋の引き戸の隙間から老婆が顔を覗かせている。うっすらと聞こえる何かの音楽に引き寄せられるかのように一輝は家屋の中に入っていく。中は1本の長い廊下だけがあり、奥は暗闇でよく見えない。

 

「……?」

 

 ギシギシと音を立てる廊下。老朽化が深刻なのだろう、少し踏み外しそうになりながらも歩みを進めていくと、うっすらと聞こえていた何かの音楽が鮮明に聞こえるようになっていく。それがスノウ製菓のCMソングだと気づく頃には、突き当たりの引き戸の前にまでたどり着いていた。

 

「……開けるぞ」

 

 案外スムーズに開かれた引き戸。既にスピーカーから出されているのだろうか、スノウ製菓のCMソングが爆音で流されている。そしてその中には人ひとりの体など簡単に飲み込んでしまえるほどとても、とても大きな肉塊があった。

 

「……!」

 

 それを見た一輝は、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グラシアス デッドマンズ。そんな言葉と共に、オルテカは信者にギフスタンプを押印する。押された女性は紫の炎に包まれ、石となり、内側から悪魔に食い破られる。

 

「ニンゲン、オイシカッタ」

 

「これは……!」

 

 モニターでそれを見ていた一輝はオルテカの元へと急ぐ。

 

「オルテカァ! ……お前は、人の命をなんだと思ってるんだッ!」

 

 彼は新アイテム、ボルケーノバイスタンプを使い変身し悪魔を倒す……が。

 

「ハッハッハ。滑稽ですねぇ? ギフテリアンに食われた人間はもう、戻ってこない」

 

「……! オルテカァ!!!」

 

 一輝は激昂、オルテカに向かうが切りかかる直前に体全体が大炎上、大やけどを負ってしまう。

 

 すると急に場所が変わり、アスファルトの地面の暗い通り道に移り変わる。

 

「!?」

 

「大二は、粉々に消滅しましたよ。お兄さま」

 

「ッ、カゲロウ!?」

 

「変身」

 

 エビルに変身し襲いかかる瞬間、またもや景色は変わり、晴天のコンサートホールの外の大階段、五十嵐元太が悪魔に乗っ取られ変身したライダーベイルが今まさに家族を手にかけようとしていた。

 

「っ……何やってんだよ父ちゃん! ベイルに乗っ取られて!」

 

「お前も仮面ライダーになったのかァ? ボウズ……あの時の悪魔はいないようだが.…?」

 

 立ち向かう一輝の頭をベイルは掴む。

 

「……!」

 

 何かに気づく直前、またもや景色が変わる。

 

「これは……!」

 

 次に移った場所は、1番思い出したくない記憶。その場所であった。

 

「朱美さん!! ッ、なんで!」

 

 宿敵赤石を倒すため、怪人化させられた御子柴朱美を救い出す作戦の最中のことだった。バリッドレックスゲノムの氷結能力で朱美を一時的に凍結させ、怪人化を解きギフの遺伝子を取り出す、その手はずだった。しかし急襲してきたギフデモス。

 

「さくら!?」

 

 それに為す術なく追い詰められていくさくら。一輝がその援護に向かっている中、赤石がやってくる。

 

「お疲れ様、君の仕事はここまでだ」

 

 異空間より放たれた光線に貫かれた朱美は致命傷を負ってしまう。撤退するギフデモスと赤石。一輝が朱美の元に戻ると……。すでに消える寸前の朱美を彼は何とかして救おうとする。その様子を見た大二は勘違いをしてしまい、一輝に殴り掛かる。

 

「お"前"ら"ぁ"ああああああ!!! 何故朱美さんを手にかけたぁっ!!」

 

「違っ……!」

 

 そして次に現れたのは、辺り一面炎に包まれ、今まさに一輝も巻き込まれそうになっている地獄のような光景。そしてどこからか声が聞こえてくる。

 

「────────かぞくになれば、もうつらくないよ?」

 

「────────だからさ、かぞくになろうよ」

 

しかし……。

 

「ここは……」

 

 一輝が自らの相棒の存在を忘れていた際、彼を思い出した場所。一輝はニヤリと口角を上げる。相棒と共に戦う際、自分を奮い立たせる為、いつも言っていた言葉。いつしかそれは一輝だけでなく、"相棒"の勇気にもなっていた。

 

「「湧いてきたぜ……!」」




明日、最終話
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