「「湧いてきたぜ!」」
「え……? この声……」
自分の声に重なるもう1人の声に気づいた彼の隣にはいつの間にか黒色の悪魔がいた。
「バイス!!」
彼を見た一輝の表情は一気に明るくなる。
「ほぉらよ! 全く、一輝ったら俺っちのこと放っておきすぎ〜」
「悪かったよ。でーも、主役は遅れてやって来るっていうだろ? 俺たちは2人揃ってこそ主役って訳だ」
「ハハッ! ハハハッ、上手いこと言うな!?」
「────────おまえもおいで」
「────────かぞくになろうよ」
「────────だいじょうぶだからねぇ」
バイスが現れ意識を取り戻した一輝に、あじゃさまは優しく語りかける。
「……家族? それは会社のために命削って、死んでもはたらかせ続けることか? だったらそんなモン、家族とは言わねぇ!」
「それに、俺っちの家族は一輝と五十嵐家の皆だけだもんねぇ〜!!!」
「────────だいじょうぶですからねえ」
「────────あなたたちもだいじょうぶになりましょうねぇ」
「……。行くぞ相棒!」
「おう!」
バイスが取り出したベルトを受け取り、一輝はそれを腰にあてる。
『リバイスドライバー!!』
そしてティラノサウルスの意匠が造形されたスタンプを取り出し起動させる。
『レックス!!』
「はぁ〜……」
印面に息を吹きかけ、ベルトの台に押印。
『カモン! レ・レ・レ・レックス!』
一輝の後ろでは彼とバイスとのメッセージが繰り広げられている。
バイス
「久しぶりの変身、俺っち緊張しちゃうぜ〜」
一輝
「まったく、ちゃんと戦えよな」
バイス
「そりゃ〜もちろんだぜ!」
「変身!!」
スタンプをセットしスタンプ台が回転する。
『バディアップ!! オーイン ショーニング ローリング ゴーイング!! 仮面ライダー!! リバイ! バイス! リバイス!!』
スタンプの形をした透明なエネルギー体が一輝の全身を包み、その液体の中で彼の体が変化する。
大きく、そして真っ赤な複眼、恐竜のように大きな牙が生えたクラッシャー。サーモンピンクの鮮やかな体表、ターコイズブルーのアーマー、仮面ライダーリバイ。
悪魔の顔にティラノサウルスの頭の着ぐるみが嵌ったような頭部。首にはピンクのマフラー、真っ黒の体表は悪魔の姿と変わらず、そこにサーモンピンクのアーマーが装着された、仮面ライダーバイス。
2人合わせて仮面ライダーリバイス レックスゲノム。ヒーローと悪魔の
「一気に行くぜ!!」
衝撃を吸収するあじゃさまの皮膚。しかし、
『レックス!』
バイスタンプの能力を行使、バイスの口から炎が放たれる。そして溶けた皮膚には恐竜の如く強靭な足となったリバイの蹴りが放たれる。
「読者の皆さ〜ん! 久しぶりに使ったよ〜この技! おぅらよっと!」
「誰に話しかけてんだよ! まったく!」
それに対抗してあじゃさまの体はみるみるうちに巨大化、自らのいた部屋どころか住んでいた家屋すら超える体長になる。
「こんなデカイ相手には〜?」
一輝はスタンプを倒しそのスイッチを起動させ、もう一度倒す。
『リミックス!! 必殺! 繰り出す! マックス! レックス!』
組体操のサボテンのような体形でティラノサウルスのような形となったリバイス。それはバリッドレックスのリミックス召喚を応用しかつてより巨大化し、あじゃさまに勝るとも劣らない大きさとなる。
炎を吐き、巨大な足はあじゃさまの触手などものともしない。それは恐竜時代の本物のティラノサウルスを彷彿とさせる暴れぶりだった。そして強靭な牙で噛みちぎった体の中には混ざりあった矢中田雪子と守り神がいた。
「……! 雪子さん! 思い出してください!! あなたの原点を! 息子さんに差し出された、拙くとも愛情の籠った煎餅を!」
リミックスを解除したリバイスは2人に戻る。
「────────かぞくに かぞくに かぞくに だいじょうぶですから」
「これなら……」
『フェーズ2の悪魔の解除? 出来るよ、ライダーキックさ!』
「おいおい一輝、大丈夫かよ? 悪魔じゃないんだぞ?」
「あぁ、でもきっと、
スタンプを2回倒し、2人は飛び上がる。
『レックス! スタンピングフィニッシュ!!』
「「はあああああ!!!」」
『あじゃさま、食べて』
『あら〜これどうしたの』
『姉ちゃんに教えてもらったんだ』
「────────……!」
「……もう一度、やり直せ」
直後、起こる大爆発。分離して天に昇っていく雪子と守り神の魂。ビルの中から消える
「ひと仕事終えた気分だぜ」
しかし、幻覚の中から生み出されたからか、バイスが消えかかってしまう。
「バイス……」
「何寂しがってんだよ、そういう時こそ飛びっきりの笑顔って言っただろ……?」
「もう、もう絶対忘れないから! だから……またな」
一輝は泣きそうなるのを堪え、笑顔でバイスを送り出したのだった。
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「……結局ここには襲ってこなかったから、瑞穂さんと優吾さんには無駄に避難させちゃったけど」
「いや、気にしてないよさくらちゃん。まさか会社の地下に化け物がいたなんて」
「化け物じゃないです。雪子さんと、元々いた守り神が社長の勝手なエゴで縛られ続けていただけなんです」
「……何はともあれ、もうあの会社はやめた方が良さそうね」
「……それなんだけどさ、うち来ないか? 出版社の編集の仕事なんだけどさ」
瑞穂がそう言うと、優吾はおずおずと意見を出す。頬を少し赤らめているようにも見えた。
「……?」
一輝はあまりよく分かっていないようだったが、元太と幸美とさくらは顔を見合わせてニヤニヤする。
「あの……よく分かんないですけど、応援してますよ!」
そんなデリカシーのない一輝に、さくらの鉄拳が炸裂するのだった。
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程なくして、社員の数が3分の1以下になり、あじゃさまの助言を得られなくなったスノウ製菓は倒産した。
そして後年、『スノウ製菓』という単語を検索するとこう表示されるという。
────────この会社は、実在しません。
間違えて今日投稿してしまいました