ペットの大百足様   作:覚め

11 / 15
今作の童子の腕は実体を持っているという設定で、どうか。


右腕

「なにさ」

 

「なんでも。話したかっただけ」

 

「片腕ちゃんが?」

 

「お前の体幾つ潰してやろうかな」

 

「出来るの?」

 

「試すか?」

 

とまあこんな感じで。私と茨木童子は不仲。性格自体が昔のご主人だし。本人がいる前で昔のご主人に流されるわけにも行かない。過去の想い人に浮気とか、発覚したらどーすんの…そもそも恋仲ですらないか。くそぅ。まあそれは良いとして。今のこいつって、片腕だけなんだよね?なんで片腕で実体持ってるわけ?それだけご主人が強いってのはわかるけど…細胞が腐ったり死んだりするはずなのに、何故今日に至るまで生きてるんだ。まずそこがおかしい。

 

「地底だと、かなり良い栄養があったんだ。私に似たようなマジックアイテムが幾つかあったらしいけど、間欠泉と共に出てきたまでだ」

 

「どうして地底に?」

 

「知るか」

 

「へぇ…それで、話は?」

 

「足月、鬼と戦いたくないか?」

 

「は?」

 

「お前だって一対一で負けたわけじゃない。なら、一対一で鬼の象徴、四天王を一人ずつ倒さないか!?」

 

「…ご主人に利は?」

 

「ない。完全に私欲の」

 

茨木童子の身体を弾き飛ばす。身体の中から百足を一匹出す。ご主人に連絡をしにいかせる。なんで私がご主人の利にもならんことをせにゃならんのか。お前の私利私欲に付き合わなきゃならないのか。鬼なら目の前にいるだろう。茨木童子が戻ってくることを待っていると、意外にもゆっくり歩いて戻ってきた。なんなの、こいつ。お前の姿で鬼退治をしまくったのなら、恐らくはご主人が鬼であると勘違いされる。騒ぎが大きくなればご主人は里を歩けない。結果的に顔に泥を塗ることになる。

 

「なるほど…身体を潰すだけじゃ足らないな」

 

「出来るわけないじゃん。お前だよ?」

 

「舐めるな」

 

人型で相手をする。万が一にもご主人の顔に泥を塗ることがないように。私の姿も小さく見つけづらく。人間の肉弾戦となれば私の苦手な部類。星から私の武具とかいうやつをもらっておけばよかった。右腕である茨木童子は右腕しか使わない。なのでやりやすい。多分ね。たまにビームも放ってくる。茨木童子の腹に蹴りを入れ、飛んだ先に先回りし、叩き落とす。人型ではやはりこの移動がきつい。尾の部分で飛ばして頭で叩き落とすことができないのはかなり不便である。

 

「っだ!?」

 

「まだ生きてるんだ」

 

「当たり前だ…ふんっ!」

 

茨木童子が地面に向かって拳を打ち付けようとする。勿論、地面が割れるわけもなく。私が顔面に膝蹴りを喰らわせれば拳が地面に届くわけがない。というかそこの地面はかなり陥没してるからあまり意味ないぞ。私がやったことだけどね。早くご主人来てくれないかな。巫女が来たらそれこそ面倒だし、新聞記者気取りの烏が集まればもっとやばい。なので、早く来てくれ。茨木童子を背負い投げしたり足払いしたりでその場に留めさせるのも何処かで限界が来る。

 

「このっ…!」

 

「…ご主人の過去にしては弱い。だから、お前は今からご主人のそっくりさんだ」

 

「殺してから言え!」

 

調子に乗った茨木童子をもう一度叩き落とす。地面に埋まった。ので、もう一度。地中深くに埋まった。ヨシ、ストレス発散。念の為何匹か監視するために百足を吐き出しておく。悪いことはしないはずだ。多分、恐らく。そうこうしていると空からご主人が降ってきた。すっぽりと茨木童子が埋まっている穴に入り、恐らくは茨木童子を叩いた音だろうか。鈍い音が鳴り響いた。少しして、片腕を持ったご主人が穴の中から出てきた。へぇ、腕にもなれるんだ。

 

「…この腕、貴女を気に入ったようです」

 

「え、私右腕あるけど?」

 

「でしょうね。私の手で管理します。」

 

「そもそも腕一つくらいは再生するし」

 

「妖怪でもそういうことは珍しいんですけどね」

 

「そう?」

 

「…あれ、来ないのですか?」

 

「行きます!是非!」

 

まさかお誘いだったとは。いやはや私には知り得なかった。ま、良いや。ご主人の後ろについて行き、ご主人の仙界に入る。一緒に住みたい気持ちを抑えながらも、ふと寺を思い出す。虎丸の話が本当なら、今の私は神としての力が得られているはず。ご主人に見てもらおうかな。…寅丸の能力上、大半の力が抜き取られてる感じがしなくもないが、まあ、それはそれだ。癪だけど。とっっても癪だけど。茨木童子が茶を淹れてきた。毒かな。

 

「真っ向勝負以外好かない」

 

「だろうねぇ。」

 

「昔の私が美徳だと思っていたものですね。この姿になってからはあまり気にはしませんが」

 

「情けない」

 

「また枯らすぞ」

 

「その上で怒りっぽい」

 

「それでも昔よりはマシ」

 

「二人とも、どうやら死にたいのですね。締め殺してあげます」

 

「…あ、ご主人。私の力ってどう?神様の比率増えた?」

 

「は?…増えてませんね。なんなら減ってます」

 

「寺潰してきます」

 

「その前に私が潰しますが?」

 

「潰してくれるんですか!?」

 

引かれた。納得がいかない。結果として腹をなぐられて終わった。茨木童子は腕を二つに裂かれてた。笑ったら蹴られた。右腕以外にも実体あるのかとも思った。つまりこの茨木童子はやはりご主人のそっくりさんでは…?となればやはり、ご主人に遠く及ばないのは当然か。私にも遠く及ばないが。というかそもそも、こいつってご主人の許可なく外に出て良かったの?出ちゃダメでしょ…?

 

「許可すら出してません。まあ元から自由奔放な右腕でしたから」

 

「そういうものなんだ…」

 

「…誤解が広がってるから言っておくけど、わたしは利き腕だったからな」

 

「何かあるの?」

 

「本人の性格をよく映す」




無くした腕に茨木童子の腕つけるとどうなるだろ。
やっぱりナルトの九尾みたいになるのかな。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。