ペットの大百足様   作:覚め

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蛇ってそういうもん。


百足に睨まれた

宴会に参加しています。お酒は好きではありません。ではなぜ参加したのか。隣にいる霊夢のせいです。私、知らない。ご主人のお酒なら飲めるんだけどな?チラチラ。あーダメだそもそもいないわ。異変なんて関わらなければ良かった。損した。とは言っても関わりは大事。私としてもここで変な態度を取れば酔っ払いからの総攻撃を喰らうことはまず間違いない。それは嫌だ。そこにご主人と並んでいた萃香という鬼もいる。…萃香は嫌いなので、こっそりと抜け出そうか。

 

「蛇に睨まれた蛙って、つまりは捕食者に見つかって動けない被食者ってことなんだよ」

 

「…誰?」

 

「私は洩矢諏訪子。貴女は?」

 

「私は足月。百足神だよ」

 

「私は蛇と蛙どっちの味方でもある神だよ。」

 

「あー、そうなんだ。で、何見てるの?」

 

「蛙」

 

「味方してあげなよ」

 

話が進む。どうやら守矢の神らしい。由緒正しきって奴だ。そんなことを思いながら話していると何やら話が変な方向へ。この山は守矢が統治するとまでは行かずともここに住居を置き同盟関係となりたいのだとか。私、難しいことよくわかんない。こんなことだから主人様に代理は任せられないとか言われるんだろうね。んで、なんで私にそんな変なことを?何?…あ、もしかして、山で暴れたからその件で怒られる?ごめん、許して。アレはほとんど不可抗力とはいえ、原因は霊夢とはいえ、蹴散らしたのは私だし。理由?ないよ?

 

「…ま、だからって何もする気はないけどね。私は、ね?」

 

「?」

 

「ほう、こいつがここら一帯の神か」

 

「うわ敗北者」

 

「ぶち殺すぞ」

 

「罰を当てようか?」

 

「…あー、そういうこと。妖怪からの信仰を得たいってことね」

 

「ああ。お前さんはこの山の住人、そのほとんどから信仰されているな。2度目だ、信仰を奪うための争いなんてものはな」

 

「嫌なこと言わないでくれる?」

 

「やるなら少し離れよっか」

 

妖怪の山を降り、のほほんと歩き続ける。記憶の昔にこびりついたような原野を見渡し、ここなら大丈夫だろうと頷く。人型から百足に戻り、神の方に向き直す。私の力の一割とはいえ持って行かれるのは癪だ。だからこうやって抵抗する。あいつらが自分の意思で変わるならまだしも、私をぶち殺して信仰の先を無理やり変えさせるというのは宜しくない。最悪の場合、別の歪な、私に似た神が生まれるかもしれない。それを繰り返し続けたのならば、もはやそれは神を名乗る化け物となる。神の負の感情しかない神が出来上がるからね。

 

「だから負けるわけには行かないって?」

 

「だから殺すわけには行かないんだよね、神相手は」

 

「私たち二人に勝てると思うんだ」

 

一歩進むと、一本の手が切られる。黄色の円状の何かで斬られたようだ。ま、そんなことされても足を止めるわけないんだけど。なんて余裕かましてたら顔面付近にでかい注連縄が。顔面を何やらよくわからない柱でぶっ叩かれる。あんまり痛くはない。きじきじと口を歪ませながら、身を一つ捩らせ、尾の先端で小さい方を叩く。私の最大奥義は、なんとびっくりあの風見幽香ブチギレの自然破壊技なのであまり使いたくない。だってあいつ、ビームで体壊すもん。

 

「がじっ」

 

「どこ見てんだい」

 

「でも、捕まえたよ」

 

「ちょっ、このっ…!」

 

「諏訪子!」

 

「食べちゃえば、こっちのものだもん」

 

「は…子供っぽいな、お前」

 

百足ビーム。腹の中にいる神と共に。その後、少しは距離が取れたことを確認して、猛突進。夜中の幻想郷中に振動が伝わる速度で。突進、そのまま頭ごと上に突き上げ、体の中に住む百足を更に突進させる。ぶつけた百足を飲み込み、体を捻って尾を使い二人の体を地面にぶつける。と、何やら変な感触。体が壊されたか。だが、まあ、アレだ。まだなんとかなる。と思えば柱で体をひっくり返されかけた。慌てて姿勢を立て直す。あっぶねー。

 

「タフだな」

 

「お前は、まだ生きてるんだ?」

 

「お前達、な。諏訪子もまだ生きて━」

 

「じゃ、死ね」

 

「っ!」

 

「食い下がるよね。邪魔なんだけど。」

 

「私に文句を言うのは筋違いだな。お前自身に言いな」

 

「…そ。これだけ暴れて誰も来ないと思ってるわけか」

 

「は?」

 

「そろそろ、私はお暇するよ」

 

「させると思ってんの?宴会で気持ちよく酔ってたら、暴れる地響きがあって、それで来たら…まだ暴れるつもり?」

 

「れ、霊夢…」

 

蛇に睨まれた蛙。大百足に睨まれた蛇。巫女に睨まれた大百足と、なんとびっくり序列がこんなにあったわけだ。その上にご主人、来てくれないかな。さらにその上に主人様。…まあ、無理か。私は人型に戻って霊夢に経緯を説明、そして帰る。私は悪くないからね。黙れこの。何も言わせないよ。百足の加護だって与えたじゃないか。じゃーねー。やっぱり異変に関わるんじゃなかった。地面の中に座り込み、眠るのが一番だった。私はやはりゆったりと生きてるのがお似合いなんだ。地面に潜り込み、眠る。起きた時には寝相が悪く、やはり地中に頭を出していた。

 

「…んぁ?」

 

「おー、お前さん、やっぱりここの住人になりたいんだろ?地上と違って暴れ放題だぞ、ここは!」

 

「…星熊勇儀、その誘いは乗らないからね」

 

「はぁ〜!やっぱり、華扇かい?」

 

「うん!ご主人は綺麗だからね」

 

「美的感覚に理解が示せん。」

 

「地獄ねぇ…地獄。私とは無縁の場所だけど」

 

「引き摺り下ろしてやろうか!」

 

「やめて」




大百足の体内にいる百足は一番デカくて物見櫓くらいにでかい。
大百足自体は物見櫓の軽く倍はあるし、なんならそれよりも随分高い。
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