足月「同感」
探偵小説家さとり「…スピード解決ってそう言うことじゃないんですよ」
「思ったよりもデカいなぁお前!」
「足月ね。名前言ったでしょ」
「すまんすまん!いやしかし、私よりもデカい女は初めて見た!」
「ま、素の大きさがアレだからね。横にデカくなくてよかったよ」
「横にデカくないから胸もないわな」
「地中は私のテリトリー。次何か言ったら潰すよ」
「いや、ごめんって」
温泉。その言葉に踊らされてここまで来た。守矢などとか言うよくわからない奴らから話を逸らし、数日延ばし、延ばし続けた先。今私はその延ばした先にいる。要は、ガラをかわしてきた。あんな気持ち悪い神どもの執着なんて構ってられない。今私は仙界と地中を行き来する百足だ。もはや地上で飯を貪る大百足などはいないわけで。あー、なんで私があんな奴らのために一々逃げなきゃいかんのか。ムカついてきたな。神の死に様を見たことがないのだ。死んだ神は死ねず、また生きることもできないのに。
「ってわけ!」
「温泉に浸かりながら聞く話じゃないな」
「ま、良いでしょ。此処の畜生…なんだっけ」
「畜生界?」
「そ、それ。私が統一してもよかったんだけどね、前顔出した時は殺しにきやがったから。」
「ムカついたってわけか?」
「いや?畜生共に生きる術がないことを思い出させないとな、って」
「ムカついてるじゃん…ま、良いか。で、今日は何を」
どがぁん。何やら大音。花火のような、それとも花火でもなんでもないような。爆発音に似たようわからん音。振動もそれなり。そう思ったら、何やら温泉が変。ぐづづと煮えたぎるような音。まさか、まさか。勇儀と私、顔を見合わせる。今二人は温泉に浸かっている。勇儀は豪快に全裸、タオルはそばに置いてある。私はタオル一枚。恥ずかしい部分は隠しているが、二人とも結局は裸である。当然だ。温泉なんだから。気がつけば空。よくわからないが、とりあえず起こったことはわかった。突沸だ。
「つまり私たちは、入っちゃいけない温泉に入ったってことかい?」
「多分ね。ほら、私の口と中入って」
「失礼するよ」
「あの突沸、流石に色々とおかしいんだよね。元々あの温泉って何度あったの?」
「60後半」
「たかっ…そんな温泉が、私たちが気づかない火力で突沸するとは思えないんだよね。原因がいる」
「‥じゃ、行こうか。私たち乙女二人を裸で押し出した罪は重いからなぁ?」
地中に戻る。野郎ぶっ殺してやる、とまではいかないが、確かに殺意は湧く。地中深く、こんなところに寝相で入るのか、私は。自分で恥ずかしくなると共に、温度の上昇を確認する。暑い。湿気などもあるが、いや、違う。暑いんじゃない、熱い。近くに何か燃え盛るようなものがあるような気がする。地中に顔を出し、辺りを見渡す。するとそこには、何やらよくわからないカラスがいた。…この体では正確なことはわからない。勇儀に外に出てもらい、発熱源を見つけてもらう。
「あのカラスだな…でも、ありゃ確かさとりの…」
「関係ないよね、それ」
「ま、そうだな」
「うなー!誰!?」
「温泉を楽しんでた二人組さ」
「調子、乗りすぎ」
「にゅっ!?」
潰す。熱さから私がすぐに離れ、そこに星熊勇儀がストレート。…衝撃はに揺れる乳房が、羨ましい。信仰を得ている神はボンキュッボンと聞くが、本当なのだろうか。私も布教活動やろうかな…いかん、そんなことは考えなくて良い。瀕死であろう烏にムカデビーム。放ったところ、何やら変なビームで押し返された。ふむ、この力には見覚えがある。八咫烏だろう。こんな馬鹿げたビームなんてのは、それこそ八咫烏やらなんやらの領分。では与えたのは誰か。知らんそんなもん。
「どう!つよ」
「言ったでしょ。調子乗りすぎって」
「へ?」
「三歩必殺ぅ!!」
「にぎゃ!?」
「百足ビーム」
以上のことを三回繰り返したらおそらく気絶した。温度も低くなって行くようだ。死んではいないらしい。ふむ、これにて全て解決。温泉入り直すか。湯冷めしちゃうよ。小さな百足を出し、温泉の様子を見に行ってもらう。勇儀を口の中に含み、帰りを待つ。その間、勇儀はずっと私の口の中を悪く言っていた。噛み砕いてやろうと思った時にムカデが帰ってきた。様子で言えば、火事場泥棒なのか野次馬なのかわからないがかなり多くの妖怪が集まっているのだと言う。…服、は無理か。ご主人からもらったお気に入りなのに。やはり殺すか…?
「お前さんが言ったんだろ。八咫烏の力がどーってな。私の家に行けば服もある。足月の服は…まあ、んー…どうだろ。わからん。」
「じゃ、行こうか。お前は口の中に入りな」
「うわっ!?急に開けるな!!」
「んくっ…どっち?」
「あ、えっとな…右」
勇儀の言う通りに進み、道中霊夢に出会い、へーこんなところにも出張るんだ変なのとか思ってたら着いた。もしかして、ここに来た理由ってあの烏かな。…いや、流石に早すぎる。それはない。それじゃ、さっさと服を着るとしよう。無くても勇儀に買わせれば良い。私の財布だ。私は買いに行けないけどな。家の中に入り、勇儀が恥ずかしいからと隠しながら取り出す服を待つ。スカートが透けてる癖に、何を恥ずかしがるのか。私にはよくわからない。
「これとか、どうだ」
「…へぇ、ワンピース」
「……」
「へぇ…しかもフリフリの。しかも結構可愛い」
「か、華扇には…」
「良いよ。私もこう言う服憧れたことあったし」
「だ、だろ!?」
「ま、着てみるよ。勇儀ちゃんみたいに似合うかは別だけどね」
「…っ…せめて、ちゃんはやめて…」
勇儀だって可愛いもの好きだと良いよね。
ね。
ね?
ね。