ペットの大百足様   作:覚め

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毘沙門天代理「…出てすぐ調子乗ったけど、集めるものってなんですか?」
船長「…実は私も詳しくは…」


眷属

何やら巷で噂があるらしい。巷など幻想郷にはないが。ならば里か。とにかく、何やら面倒なことが起きているとの噂。空を飛ぶ何かが見える。それは船のように見えた…とか。なるほど、宇宙人だな。未確認飛行物体、つまるところUFO。アレが幻想入りとは、これまた奇怪な。廃れたのか、本当に存在しないのか。ま、とはいえそんなものはどうでも良い。この噂にはまた少し別の噂がある。とある妖怪がものを探しているらしい。何集めてるんだろ。春?今更?

 

「ご主人に聞いてもわかんないってさ、霊夢」

 

「噂はあくまでも噂。妖怪なんてそれこそ八百万の神くらいいるんだから追跡は無理。少し厳しいわぁ」

 

「いつも通りに勘で行ったら?」

 

「それで失敗したのが間欠泉の異変よ。結局、誰がどうやったのか分からずじまい。かろうじて分かったのが守矢の仕業ってだけで…」

 

「ああ、あれなら私と勇儀で犯人ボコボコにしたからもう終わってるはずだよ」

 

「お仕置き!!」

 

人型にしても50センチ以上は離れているであろう私に対してプロレス技を仕掛けてきた。霊夢、流石に死ぬかと思ったのでやめて。貴女の力って普通に妖怪に効くんだから。あ、でも私に効くのはご主人のせいかもしれない。よくわかんないけどね〜。ま、私も異変については良く知りたい心持ちだ。噂の探している妖怪の特徴が、私の仲間が最後に会った時に自慢していた部下の特徴と同じだ。ネズミのような耳、二本の棒を持っており、話し方は諭すような話し方。交渉も中々にうまい。

 

「だから知りたいんだよね」

 

「…だからここに?」

 

「え、何も知らないの?」

 

「あやや、頼られるのは嬉しいんですが、私達はあまり知らず…天狗側としても、異変にはあまり首を突っ込むなといわれておりまして」

 

「なぁんだ」

 

「それこそ、空飛ぶ船の方を追ってみては?」

 

「…確かに」

 

空を昇る。素早さで言えば百足の方が速い。全速力で駆け抜け、そのまま突進。…少しして、そう言えば船の飛んでる高さを知らないなと考えた。いやまあ人里から見えるようなところを飛んでいるのだから、そのさらに上空を維持すれば出会えるだろう。…出会える、よね?百足の時は流石に大きさでバレそうなので、人型で上から見張る。すると、何やら良くわからない妖怪が私の上に向かっていくのが見えた。その妖怪に釣られてか上を見ると、かなりでかい船が。…なるほど。噂はこいつのか。

 

「乗船っと。」

 

「な、だ、誰だ君は!?」

 

「…貴女から名乗って。礼儀でしょ」

 

「意味もなく乗船した君が言うことではないだろう!」

 

「大きい船だね。私よりは小さいけど」

 

「何をしに来た。用事によっては、この先には…」

 

「この船、多分だけど寅丸って奴いるでしょ。出してくれる?」

 

「…ご主人に、何か用かな?」

 

「別に?ただ…」

 

「?」

 

「久しぶりに会おうかな、と」

 

「そうか」

 

私の周りにネズミが集まる。どうやら私を食うつもりらしい。つまりは会わせないよと言うことだ。私に対してなんて不敬な。貴女の主人と同じ態度の地位…いや、代理なら少し下か。となれば嫉妬云々で殺しに来たと思われてるのかな。面倒な。有象無象に邪魔されるのは嫌だからと出しておいた百足の大群を出す。私の腹の中にいる百足達の平均的な強さだが、私の覚えている限りであれば大体寅丸と同じくらいだ。強すぎー。ま、数自体はそこまでだけどね。

 

「じゃ、先行かせてもらうねー!」

 

「は?っ…ま、待て!」

 

「待たな〜い」

 

悠々と進む。お前に許されてる行動は百足に対して許しを乞うか、それとも諦めて殺されるかだ。私の軍団最強ってね。というか、寅丸に会う用事なんてのはそんなにない。マジでない。一切ない。ストーカーすんなよ毘沙門天代理なんだろと釘を刺しに行くだけだ。と、百足に乗りながら言い訳を連ねていったところ。目の前に何やら見覚えのあるやつ。寅丸星本人だった。うげっ、と声をあげながら横に避ける。ぶつかるの覚悟で進路に立ち入られてもね。

 

「久しぶりですね、足月」

 

「ん、久しぶり」

 

「…もしや、ここまで来た理由は「違うからね」…わ「違うって言ってんだろ」…」

 

「寅丸に会いたくて来るなら地底の噂を集めてたよ。私は特に来た意味はないの。一切ない。」

 

「え、忘れたんですか?」

 

「…?」

 

「え!?え、え!?こ、この、武具の話では!?」

 

「…何それ?」

 

「ほ、ほら!最後に会った時、再会する印として、私はこれを持って…貴女は、私の、ほら、矛を…あの…」

 

「…あ、ちょっと待ってて」

 

「えっ…あの…」

 

船から出て、大百足に変化する。腹を動かし、ある武具を吐き出す。あー、これたまに喉とか腹とかに刺さって痛かったんだよね。これ寅丸の矛か。…で、なんでこれが私の腹にあるんだっけ?変な約束をした覚えはないけどな…なん、なんだっけ。寅丸が盗んで私の腹にこれをぶち込んだとかではないの?ないらしい。…本当に覚えがないなぁ。流石の私でも約束くらいは覚えてるだろうけど、全然覚えてない。どんな約束をしたんだっけな。

 

「その矛と貴女の武具!この二つを交換して、再会したときに渡し合う約束は!?」

 

「したっけ」

 

「私と足月の、充実した日々は!?」

 

「あー、覚えてるよ。寅丸がストーカーしてたときでしょ」

 

「そ、そんな…」

 

「…あ、そうだ。今何してんの?」

 

「ぅ、うう…」

 

「ダメだ返事しねぇ…」




ありし日の現実
寅丸「この武具は私たちが再会を約束するための交換です!」
足月「あ、こら盗るな」
寅丸「それでは!」
足月「…忘れよ」
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