1:日常
ぐぐ〜っと伸びをする。
こうして愉快な気分で目覚めたのはいつぶりだろうか。
久々の密猟者狩りで随分暴れることができた。
実験したかった新規開発魔法の感触も良し。
これならまた新たな本も出版できるだろう。
本当に、いい気分だ。
〜
死者合わせて28名。
生き残りはなし。
近々闇祓いが大規模派遣されるはずであったとある古城。
そこは『名前を言ってはいけないあの人』に忠誠を誓う死喰い人達の拠点の一つであった。
強力な闇の魔法使いが多数確認されていたことから、闇祓いによる作戦は大規模なものになるはずであった。
─その古城が、一夜にして壊滅するまでは。
その後、闇祓い及び魔法省は調査を重ね、今回の事件の犯人を断定。
既に半世紀以上に渡って指名手配犯でありながら生き延び、あまつさえその合間を縫って魔法を開発、発信しているとある男。
その男は自ら『エリエザー・フィグ』──かつてランロクと相打ちとなり、命を落とした英雄の名前──を名乗っていた。
〜
体勢を低くして、素早く近づく。
敵が素直に基礎呪文に当たってくれると思うなよ。
狼狽える男の顎に、一撃。
魔法なんてものは当たらなけばどうということはないのである。
「ひとぉつ!」
近くにいた男を思いっきり蹴り飛ばす。
反応する間もなく吹っ飛んだ。次。
「ふたぁつ!」
放たれる魔法を転がり、屈み、跳び、避ける。
相手を見失った魔法が後方で炸裂する。
焦りが見えるな。それでもプロか?
鳩尾に一発。
「みっつ!」
あっという間に最後の一人だ。
「…ッ!バケモノめ!」
「当てられん方が悪いだろうに!」
「ボンバーダ!」
とりあえず倒れてるやつを肉壁にする。
衝撃を受け流すため、そのまま後方に肉壁を捨てる。
投げた勢いそのままに自分は前方に飛び出し、一気に距離を縮め──一発。
最近また闇祓いが活発だな……ヴォルデモートにその熱量は割くべきだろうに。なんでやろな。
なんて考えながら、一人一人にウィゲンウェルド薬を飲ませて治療を施していく。
定期的に襲ってくる闇祓いへの対処は、すべて魔法縛り──要するに暴力で鎮圧していた。
本当は魔法を使うべきだが、手加減がド下手なので殺しかねない。
ただ仕事をこなしているだけの役人を殺す理由もないし、かといって実戦しながら手加減の調整をする訳にもいかない。
そして辿り着いた結論がそう─暴力である。
純粋なフィジカル勝負で魔法にかまけた役人なぞに負けるようなことはない。
普段は旅をしつつ魔法を開発し、
密猟者どもは見つけ次第全力で潰す。
たまにくる闇祓いは暴力で沈め、治療して放置。
これが日常であった。
ちなみにウィゲンウェルド薬には新規開発魔法『一日一回ランダムで味が何らかの調味料に変わる魔法』を掛けている。目が覚めたときにはさぞ口内が愉快なことだろう。
ちなみに、今日は醤油味の日だった。
ステータスカンスト済の上にランロクの残党狩りを頑張っちゃったのでレガ主くんは凄く強いです。