あれから、録音魔法の開発に全力を注いでいるが、進捗状況はあまり芳しくない。
一番の問題は音をどこに保存するかである。
魔法で音を記録しても置き場所が無ければ邪魔になる。
ずっと魔法で保持し続けるのも馬鹿らしい。
となると、結局は自分の脳に保存するのが手っ取り早いだろう。
脳に干渉する系統の魔法開発というのは失敗時のリスクが高いのであまり好きではないのだが、もうそんなことは言ってはいられない段階に来ている。
恐らくは記憶を取り出してペンシーブで見るときと同じく、自分の記憶から音だけを取り出して魔法で再現、拡散するという手順なら上手くいくはずだ。
普段使い出来るような難易度の魔法ではなくなるが、そこは追々改良していけば良い。
録音魔法が完成した。
あとはポッターの蛇語を記憶し、ホグワーツの怪しい場所で片っ端から再現して試すだけだ。
同時に校内放送でもポッターに蛇語を話させれば大半の場所はチェックできる。
トイレや一部の倉庫部屋なんかには放送は届かないので、オレはその辺を当たることになるだろう。
とにかくまずはポッターと交渉して、というところで呼び出しがかかる。
まさかまた生徒が石にされたというのか。
ジニー・ウィーズリーが攫われた。
石化するよりよほどマズイ状況だ。
どれくらいマズイかと言うと先生方がわざわざ全員招集されるくらいマズイ。
ロックハート先生が何かごちゃごちゃ言ってるがどうせハッタリだ。
もう学んだぞ。
しかしそんな彼を追い詰めるためかマクゴナガル先生が怪物を任せようなんていう悪魔の提案をする。
ロックハート先生は準備をすると言ってそそくさと去っていったが、今はいい。
ひとまず先生方に計画を共有し、オレもポッターを探しに寮へ向かうのだった。
いない。
寮に辿り着いてから色々聞いてみたが、ポッターとウィーズリーがいない。
……まさかな。
闇の魔術に対する防衛術の教室を通り、ロックハート先生の部屋に着く。
いやいやまさか。
さっきの話が全部筒抜けであの二人が探しに行ったなんてことは──
誰もいない。
しかし、荷物は纏めてこそあるがそのままだ。
早急に探さねば。
「レベリオ。」
大人一人×子供二人の組み合わせを探す。
どれだ?一体どこにいる?
見つからない。
駄目だ、もう一回。
「レベリオ。」
と、ある一人の気配が急速に落下していくのを感じた。
あり得ない、この距離でも検知できるレベルの落下ができるような場所は学校にはないはずだ。
そこだな。
ここは、女子トイレか?
急いで来たが、特に話し声なんかは聞こえてこない。
こんな所に入り口があるとは到底思えんが……
中に入ればわかるか?
入ってみるとなんと、手洗い場が別れて広がっており、中心に隠されていた大穴が露わになっていた。
これが入り口らしいな。
蛇口には──蛇。
オレの予想は当たっていたか。
となれば、ここをポッターが通ったのも確実。
オレは杖を抜き、大穴に飛び込んだ。
録音魔法は改良版が次の出版本に載りますが、この魔法のおかげでパワハラや横領の現場といった証拠が掴みやすくなるため、多くの一般魔法使いたちが修得することになりました。