特に、腹に一物抱えてるような人には。
22:磔
ホグワーツでの仕事も4年目だ。
今年は今まで中止となっていた三大魔法学校対抗試合が再び開催されるとのことで、ダームストラング及びボーバトンの生徒がホグワーツを訪れていた。
そのおかげか生徒の盛り上がりが段違いである。
ボーバトンのことは大して知らないが、ダームストラングと言えばあのグリンデルバルドを輩出した学校だ。
──まあウチからはヴォルデモートを輩出している上に中退どころかしっかり卒業までさせたけどね。
アルバスが色々説明しているが、どうやら名前を書いた紙を炎のゴブレットという器に入れることで対抗試合に立候補できるとのことだ。
なお、立候補するには17歳以上の必要があるらしい。
へ〜。
でもポッターやネビルが立候補するようなことは年齢的にあり得ない訳だし、あんまり関係ないかもな。
そして毎年恒例の新人殺しこと『闇の魔術に対する防衛術』の後釜にはアラスター・ムーディ先生が着任した。
何故かこの科目の先生に避けられている気がするオレだが、ムーディ先生とは既に顔見知りだから問題ないはずだ。
……過去に顔合わせたの二回だけだけど。
でも去年と違って今年はちゃんと事前に顔合わせして話せたからな。
……なんかもの凄い微妙そうな反応だったけど。
さて、そうして学期が始まったのでムーディ先生の授業を見に来たんだが──
「クルーシオ!」
ちょっと、いやだいぶ衝撃的だった。
まさか生徒の前で許されざる呪文を実演するとは。
本人は楽しそうにしているが、磔の呪文をかけられた蜘蛛が苦しんでいる。
生徒もドン引きだ。
──!ネビルが怯えている。
彼の両親は磔の呪文で廃人になっていたはずだ。
当然の反応だろう。
「お待ち下さい、ムーディ先生。」
「ん、なんだ?」
教室の前に出ていく。
これだけは止めなければいけない。
「この世代には『許されざる呪文』で家族を喪った生徒もいます。これは軽々しく実演していいものじゃない。」
「ワシのやり方に口を出すのか?」
「こいつは、これからの人生における選択肢全てに介入してきますよ。自発的ならともかく、授業で教えるべきものじゃない。」
「敵が現れた時にもそんな甘ったれたことを言うのか?敵は子供だからと容赦はせんぞ。」
「それを守るのが大人の役目でしょう。勿論、備えは大切であるという考えには同意しますが、この呪文は過剰というものです。」
「お前はそうやっていつまでコイツらのおつむの世話をしてやるつもりだ?それではいつまでも巣立てん。」
「ヒヨコには餌をやって育てろと言っているんです。ドラゴンの翼を移植しては他が育ちません。」
睨み合いが続く。
だが彼が優秀な闇祓いとは言え、これは譲れない。
「……どうしても納得出来ないというなら──オレにかけて下さい。」
「先生!駄目ですよ、そんな!」
「それをしてワシに何の得がある?」
「許されざる呪文は人に対して使うもの、ならば人にかけるのが一番の『実践教育』というものでしょう?」
「……ふん、いいだろう。後悔するなよ?」
「いつでもどうぞ。その代わり、授業で許されざる呪文を使うのだけはもう辞めて下さい。」
──覚悟はとうにできている。
レガ主くんは許されざる呪文の危険性をよく知っているからこそ、生徒に教えるのは反対派です。