29:加入
ホグワーツにきて5年目。
オレは現在、とある話を受けてシリウス・ブラックの家に訪れていた。
「何故今さらオレを加入させる?」
「フィグ先生、我々には貴方の御力が必要なんです。」
「そうは言いますけどね、ルーピン先─じゃない、ルーピン。一度追放した人間をどうしてまた招いたのかを聞いてるんです。」
「エリエザー、そもそもどうして貴方のような人が追放されたんだ?」
「ブラック、オレが説明しよう。何故エリエザー・フィグという男が騎士団を追放されたのか─」
いや本人に許可とってから話せよムーディ。
別に良いけどさ。
〜
第一次魔法戦争時。
アルバス・ダンブルドアは戦力の向上を望んで、各地を転々としていたエリエザー・フィグの足取りを何とか掴み、コンタクトを取った。
不死鳥の騎士団に参加し、共に戦うことを打診するためである。
エリエザー・フィグは『ある約束』と引き換えにこれを快諾。
その圧倒的力を大いに振るうことを期待され、彼自身もそれに応える気でいた。
実際、彼は加入した初日から敵の隠れ蓑となっていた館を発見、焼き払ったことで死喰い人を30人ほど消滅させた。
次の日もそのまた次の日も、超ハイペースで死喰い人を狩っていった。
その結果、彼の仕事は敵を全滅させるという輝かしい戦果を積み重ねていた。
その一方で、死喰い人に恨みを持つ者も多く、仇討ち含め敵の情報が少しでも多く欲しいと感じていた不死鳥の騎士団。
その面々においては、エリエザー・フィグの仕事は言ってしまえば雑であり、多くの者たちの鬱憤を晴らす機会を奪う邪魔者でもあった。
騎士団の者たちは彼に不満を持ち、陰口を叩くようになるのは時間の問題だった。
両者の溝が深まりつつある中、ある魔法使いは言った。
曰く「ダンブルドアのコネで騎士団に入っただけ」
曰く「本当は死喰い人のスパイだ」
曰く「仲間に対して偽名を使うなどやましいことがあるに違いない」
そして
「ゴブリン一匹マトモに殺せなかったホグワーツ教師の恥さらしの名を借りるなどどうかしている」と。
─次の日、騎士団の館にある会議用の最も大きなテーブルの上に、その魔法使いと取り巻きの首が並べられた。
「犬の躾はしっかりしておけ」という血文字とともに。
こんな残酷なことが出来る奴は一人しかいないと、エリエザー・フィグに容疑がかけられ、彼自身もこの容疑を認めた。
騎士団が下した処分はエリエザー・フィグの騎士団からの追放。
本来、仲間殺しは言わば裏切りであり、もっと重い処分が必要であった。
しかし、たった数日とは思えない程の多大な功績のため、という建前の元、報復を恐れた騎士団は追放という処分を下したのだった。
こうして、エリエザー・フィグは不死鳥の騎士団を加入後一週間で追放された。
この事件により騎士団は士気の低下及び人員の減少により戦力は彼の加入前と比べ10%程度減少。
それに対して死喰い人側はこの事件前後、ある男の手によってその戦力を30%近く減少させたのだった。
〜
「─という訳だ。」
「私はこの話を聞いてからホグワーツに来たものですから、どうにもフィグ先生が怖くてね。ずっと避けていました。」
やっぱりルーピンに避けられていると感じたのは気のせいじゃ無かったのか。
「……なぜ、そんなことを?」
「皆さんご存知の通り、この名は偽名です。しかし同時に、恩師の名でもある。名を借りている以上、侮辱を許す訳にはいかないでしょう。」
「それにしては、報復が甘い気がしますがな。貴方ならばその家族を殺すこともできたでしょう。」
「セブルス!なんてことを─」
「そんなことをしてアルバスの顔に泥を塗るわけにもいきませんでしたからね。それに彼らの不満もご尤もでしたし。」
まあ戦時中でなければ家族も殺していたが。
「それで?結局なんでオレを参加させるんだ?」
「─現在、魔法省は急速に力を失いつつある。上層部の人間が多数、ある日を境に行方をくらましているそうだ。そしてその話を覆い隠すかのように日間予言者新聞に圧をかけてこんな記事を出させてる。」
「『ダンブルドアの真っ赤なウソ』、『ウソをついた男の子』、『例のあの人はハゲ頭というデマ』。魔法省はよほどあの人の復活を信じたくないみたいです。」
「魔法省が頼りにならない以上、騎士団はどんな手を使ってでも戦力増強をはかりたい、ということか。」
「そういうことだ。で、どうする?」
「─まあ、そういうことなら協力しよう。アルバスにも頼まれてたしな。」
こうしてオレは、再び騎士団へと加入した。
騎士団の人は皆ブチギレレガ主くんの行為にドン引きしてます。