ポッター曰く、何も無い筈の空間から緑の閃光が出たとか。
「──先生って、ニュート・スキャマンダーと知り合いなんでしょ?」
裸足の少女がしゃがみこんで、幼体のセストラルを優しく撫でる。
「どうしてそう思ったんだい?」
「だって、教科書の最後に先生の名前があったもの。」
「なるほど、確かにそう言われると名前を載せると言われた覚えがあるな。」
「じゃあ、やっぱり知り合いなんだ?」
「ああ、そうだよ。グリンデルバルドのゴタゴタで知り合ってね。魔法生物を飼育する者どうし、息が合ったんだ。」
「先生も何か飼ってたの?」
「色々、成り行きでね。当時のホグワーツ周辺は密猟者被害が甚大だったから、そこで一時的に保護せざるを得なかったんだ。でも、そのおかげで多くの知識を得たよ。そこでセストラルの好物も学んだ。」
「この香水も?」
片手に持っていた小瓶をちゃぽちゃぽと揺らす。
「そう。ニュートのやつにも作り方を教えたんだけどね。難しすぎると言われてしまったよ。」
「うん。意味が分からないもの。この香水……スネイプ先生は作れるの?」
「あの人なら作れるだろうね。」
ニコニコとしていた少女は目を丸くする。
「随分高く買ってるんだ、スネイプ先生のこと。」
「まあね。」
「──ねぇ先生、動物たちを保護するときはどうしてたの?」
「拡大呪文をかけたバッグにしまって、後はホグワーツにある特別な部屋で保護してたね。卒業してからはやり方を変えたけど。」
「それって、あのカバン?」
少し遠くに置いてあるトランクを指差す。
「いや、あれは卒業してから新しく作ったカバンでね。さっき見せたけど、普段は変身術で小さい物に変えてポケットに入れて持ち運んでるんだ。」
「じゃああの中にも動物がいるんだ。」
「数は少ないけどね。」
セストラルの世話をしている最中に乱入してきたラブグッドだったが、割とよくある事なので恙無く作業は進んだ。
セストラルの扱いもよく分かっているし、特に気を張らないで良いというのはありがたい。
また裸足になっているのは気になるが。
「──フィグ先生?それにルーナも。」
「ん、ポッターか。」
「やっほー、ハリー。」
ポッターもやってくるとは。
今日は賑やかな日だな。
「……これは?」
「この子たちはセストラル。誰かの死を見た人にしか見えないの。」
反応をみるに、セストラルを見るのは初めてっぽい。
直近で誰かの死を見たのだろうか。
となれば、『カウンセラー』の出番だろう。
ポッターはどうやら魔法省で人死を目撃したから見えるようになったらしい。
どこかで聞いたような話だな。
だがそんなことよりも、ポッターは現在、ヴォルデモート復活の件で何処かしこで嘘つき呼ばわりされて疲弊しているみたいだ。
何とかしてやりたい所ではあるが、こればっかりは表舞台に本人が出てきてくれるのを待つほかない。
引き摺り出せれば話は別なのだが。
アンブリッジ先生が、高等尋問官とやらになった。
生徒に干渉する権限を持ち、教師さえ調査し、解雇出来る力を持つとのことだ。
魔法省はいよいよ一線を越えようとしている。
教育令という勝手に決められたルールも生徒たちを縛り付けつつある。
アルバスには悪いが、ホグワーツを守るためにも動く必要があるかもしれない。
トレローニー先生が解雇された。
例の調査とやらで気に入らないことがあったのだろう。
中庭では今まさにトレローニー先生がホグワーツから追い出されそうになっていた。
「何の権限があってこんなことができるのですか!」
マクゴナガル先生はトレローニー先生を守るために怒っている。
だが、アンブリッジ先生は魔法省に与えられた権限を理由にそれを歯牙にもかけない。
これは……
目眩まし術を使い、アンブリッジ先生の背後へ近づく。
生徒も集まっているし、殺すことはできない。
ならば服従の呪文でこの場を収めるしかあるまい。
「インペ──」
「何の騒ぎじゃ。」
アルバスがやってきた。
アンブリッジ先生に対して反論しながらも、決してオレから目を離そうとしない。
余計なことはするなと言いたいのだろうか。
「──だが、先生を追い出す権限はお持ちではない。」
「……今はね。」
首をハネて魔法省に送り届けるチャンスだったというのに。
ダンブルドア(頼む本当に余計なことしないでくれ)