指名手配犯ですし。
だから好き勝手しないようにストッパーのアルバスが必要だったんですね。
「もう、俺たちがホグワーツで学ぶことは無いと思わないか?」
「奇遇だな、俺もそう思ってた。」
「──まあ待て二人とも。ちょっとこっち来い。」
廊下でウィーズリーの双子がすごく嫌な予感のする会話をしていたため、後ろから二人の肩を軽く叩き、背中を押して人けのない方へ誘導する。
「フィグ先生。」「止めないでくれ。」
「端から止める気はないよ。というか止めてもやるでしょ君たち。」
「さすが。」「よく分かってる。」
また何か企んでいるだろうという勘は当たったな。
「決行はいつにする気だ?」
「次の試験。」「アンブリッジが監督をする。」
「それ、明日じゃないか。」
「そこでどデカく花火を挙げる。」「ドカンとね。」
「……じゃあもっとド派手にやりたくはないか?」
「良いの?」「ダンブルドアに怒られるんじゃ?」
「もう居ないから関係ない。」
まあ居ないほうが悪いからね。
〜
そんな会話があった翌日。
試験会場であったその教室の最奥で、ドローレス・アンブリッジは特徴的な濃いピンクの衣を纏い、椅子に堂々と腰掛けて試験監督を行なっていた。
魔法省がホグワーツを乗っ取る計画は概ね成功したと見て良いだろう。
闇の帝王が復活したなどという虚言のお陰で自分は校長の座を手に入れ、歯向かうものはいない。
揺らぐこともないし、危うさも感じない。
このままダンブルドアが反逆罪で捕まればますます自分の地位は盤石なものになる。
あとの不安要素と言えばあのエリエザー・フィグであろうか。
魔法省により指名手配犯となっている彼がどうしてここにいることをダンブルドアが許していたのかは分からない。
しかし、調査の際は
だが、明日にでも校長権限でホグワーツから追い出しておくか。
或いは居場所が分かっているうちに魔法省幹部を召喚してアズカバン送りにしてしまうべきか。
今まで魔法省が総力を挙げても捕まらなかった男が、そうそう簡単に捕まるとは思えないが、それは何十年も前の話。
今の魔法省ならばやれるだろう。
そう、きっとやれるはずだ。
そうだ、捕まえてしまおう。
まずは校長権限で呼び出して、それから──
ペンが動く音が止んだ。
突然の大きな音に驚いた生徒たちがペンを止めたがゆえの、静寂であった。
大きな音の正体は、出入り口の扉が開く音だった。
フィルチが何か報告にでも来たか。
──違う!
あの
ホグワーツを、私の城を穢す目障りな鳥は!
大きく開かれた扉から、一時ホグワーツに溢れていた例の小鳥が入ってくる。
10、20、30、40──!
どんどんどんどん入ってくる。
数え切れない量が入ってくる。
数がとうに200を超えた頃、その流入はピタリと止まった。
鳥どもは天井付近を巡回するもの、生徒の机に留まるもの、床を歩き回るものなど様々だ。
そしてそのどれもが──
──自分を見ていた。
「ッ何なの一体!そこに誰かいるんでしょう!出てらっしゃい!」
自分がそう叫んでも、帰ってくるのは鳥のさえずりだけだった。
恐る恐る、出入り口の先にいるであろう人物の元へ向かう。
こんなことをするような生徒には大いなる罰を与えなければならない。
魔法省の代表である自分にこのような嫌がらせをする生徒に、それ相応の罰を与え、逆らったその身にどうなるかを刻まなければならない。
自分を支配しているのはまさにそういった怒りだった。
そうして出入り口から外を覗き込んだ時。
自分の背後に目眩まし術を解いた男がいることに気付いた。
〜
「イェーイ!」「それ!」
双子が箒で突入したな。
手筈通りだ。
試験会場はそこら中で花火が鳴り響き、それを消そうとした生徒──恐らく尋問官親衛隊──が消失呪文を使ったことで逆に花火は大増殖し、更なる混乱を招いた。
もはや試験どころではなくなり、生徒たちはお祭り騒ぎである。
双子のお陰でこっちの計画も大成功だ。
「──アンブリッジ先生をどうするおつもりですか?」
と、思ったんだけどな。
「マクゴナガル先生、ちょっとアンブリッジ先生とお話があるんですよ。」
「気を失った人間とどう話すというのですか?」
騒ぎを聞きつけて来たマクゴナガル先生にバレてしまった。
「確かに彼女は悪人でないとは言えませんが、だからと言って、黙って貴方が殺すのを見ている訳にもいきません。」
「……」
「その方を離しなさい。エリエザー・フィグ!」
マクゴナガル先生が杖を抜き、その先端をコチラに向ける。
「……」
緊張が走る。
「……はぁ、分かりました。そこまでの覚悟を持っていての発言なら従いますよ。」
左脇に抱えていたアンブリッジ先生をゆっくりと降ろす。
「──せっかく出来た友人を、こんな所で失うのは惜しいですし。」
背後から杖を向けていたスネイプ先生と、目が合った。
レガ主くんは双子と同時に、より双子よりヤバいことを仕出かすことで主犯は自分であるというアピールも兼ねていました。
そうすれば双子がホグワーツに残るという選択肢を潰しきらずに済むので。
(ついでにアンブリッジ先生殺せればラッキーくらいの心持ちではありましたが。)