そおれ!アバダケダブラ!   作:味噌カツ伝説

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死んじゃいましたね、レガ主くん……


36:不死鳥の騎士団

「死ーんだ♪死んだ♪間抜けな♪エリエザー♪ハッハッ♪捕まえる気かい?」

 

「クルーシオッ!」

 

うめき声をあげ、ベラトリックスがその場に転がる。

 

「ッはぁ、はぁ、ネビル!」

 

ハリーが追いついてきた。

だが、絶対にこの女から目線は外さない。

杖を降ろすこともしない。

もう、油断はしない。

 

「コイツだけは!僕の命に代えても、身体に代えても!コイツだけはッ!」

 

「……ネビル、魔法省に引き渡すんだ。それで今度こそ、アズカバンで罪を──」

 

「それでまた脱獄して、コイツが人を殺すのを見てろって?」

 

『──その通りだ、この女はまたお前の大切な人を奪うぞ……!』

 

「!」

 

『殺せ……殺すんだネビル……!』

 

──そうだ。

コイツはここで殺さなくては。

 

ベラトリックスはこちらを挑発するように笑みを浮かべる。

 

『ハリー……お前にとってもエリエザーは恩師だったはずだ……!』

 

「……」

 

『この女を殺せ……でなければまたお前の仲間が死ぬぞ……殺せ……!』

 

「ッ黙れ!ヴォルデモート!お前の言いなりになんかなるもんか!」

 

──ッヴォルデモート!?

 

ハリーが振り向いて杖を構える。

するとそこに、影のような動きでヴォルデモートが出現する。

思わず自分もヴォルデモートに目を奪われ、杖を向けてしまう。

 

まずいことになった。

ハリーと自分じゃあ闇の帝王になんか勝てっこない。

今になって恐怖で足が竦む。

このままだと二人とも殺され──

 

/

 

「──ディフィンド。」

 

正面にいたヴォルデモートの左腕と、ついでに右側にいたレストレンジの片足を同時撃ちで切り落とす。

 

「!?」

 

「おいおいおい、まさか、()()()()()人間が自分ひとりだけだと、本気でそう思ってたのか?」

 

まさかランロクの残党狩り用に魂を裂いたのが功を奏すとは思わなかったけどね。

 

苦しそうなうめき声をあげながらヴォルデモートは左腕の先を鋼鉄か、或いは銀の義手で素早く作り直す。

やはり凄まじい魔法の精度だ。

恐れられるだけはあるか。

 

さて、どう出るか。

もはやオレ達が殺し合っても泥沼なわけだが。

 

「──エリエザー、俺様の元に来い。」

 

「はあ?」

 

「我々が組めば、どんな種族も敵ではなくなる。」

 

「そりゃあ分霊箱持ちが二人もいたらな……」

 

「お前の望むものは何でもやろう。金でも、女でも、あらゆる物をだ。お前は俺様が魔法界を掌握する手伝いをするだけで良い。」

 

「悪いが、できないな。」

 

「……」

 

「オレの求める物は、お前には用意できないよ。それを出来るのはアルバスだけだ──

 

 

──なぁ?アルバス?」

 

「ワシの居ない間に随分と面白い話をしておるな、ヴォルデモート。」

 

「二対一だが、不死身なら関係ないよな?」

 

戦いが、始まる。

 

 

レストレンジはすぐさま暖炉に入り、煙突飛行で逃げ出す。

アイツを見逃すのは口惜しいが、今やるべきことはそれじゃない。

オレはこの場にいる不死身でない三人を守る必要がある。

木っ端に意識を割くべきじゃない。

 

「デパルソ!それ!」

 

先ずは小手調べ。

こっちに注目してもらえるとありがたいんだが。

 

左手から放たれた呪文によりヴォルデモートの背後にある噴水が粉々になり、水が大量に噴き出す。

それと同時に右手の杖を振るい、床を大きく剥がして一匹の蛇のように象った物をヴォルデモートへ向かわせる。

その間にアルバスは後ろの二人を物陰へと放り、ニワトコの杖と左手の補助を用いて噴水から溢れ出ている水を操る。

 

それに対してヴォルデモートは口から悪霊の火を吐き出し、それは蛇の形となってコチラの蛇もどきに喰らいついた。

だがその隙にアルバスの操る巨大な水球はヴォルデモートを包み、宙に浮かせる。

 

「グレイシアスッ!」

 

オレが放った呪文が水球に当たるとそれは瞬時に凍りつき、見事な球形の氷像が完成した。

このまま封印出来たら楽なんだがな。

まずは抵抗出来なくなるまで身体をバラバラにしないと。

だがその前に──

 

「フリペンド。」

 

氷球をくるりと廻す。

 

──中心部に居るはずの人影はない。

やっぱり既に抜け出しているか。

地面に叩きつけられることを分かっていたな。

 

とうに悪霊の火はアルバスと蛇もどきが鎮火済みだ。

となれば本人が直接仕掛けにくるか。

 

「アクシオ!」

 

全力で氷球を引っ張る。

 

「アバダケダブラ!」

 

「残念!」

 

それ見たことか。

つい気になって陰からノコノコ出てきちゃったポッターを狙っての攻撃だったが、それは見事に転がる氷球に当たってしまう。

オレが一体何度『世界呼び寄せ呪文大会』を出禁になったと思っているんだ。

 

呪文が当たったことで粉々に砕け散った氷がそこら中に降り注ぐ。

煌めく雪が舞うようで美しい光景だが、普通にデカい欠片も落ちてくるので全然危ない。

 

即座に蛇もどきをヴォルデモートに向かわせるが、奴の杖一振りで頭部を破砕される。

だがそれと同時にアルバスが創り出した三匹の蛇もどきがその背後から現れる。

創るの自体は簡単だし、魔法省の壁やら床やらがボロボロになるのはコチラからすればデメリットにすらならない。

 

蛇もどき三匹に喰われかけたヴォルデモートは、盾呪文でそれを防ぐ。

それから咆哮したかと思うと、衝撃波を放って蛇もどきを蹴散らし、上部の空間にあった魔法省の各部署の部屋と思われる窓を全て割ってしまう。

 

粉々になった窓の破片がヴォルデモートを取り巻くようにして落ちてきたかと思うと、それを操ってコチラに砂嵐のように向かわせる。

 

これをアルバスは防ぐつもりらしいが、そんなもったいない事は出来ない。

 

「甘いぞ、アルバス!」

 

アイツは破片を纏めてコチラに飛ばしているだけだ。

ならば!

 

「行けっ!」

 

杖の先から50匹ほどの尾の長い小鳥が飛び出していく。

そう、『惑わせ鳥』である。

 

「!!」

 

小鳥たちは皆揃って飛んでくる破片へと向かい、ぶつかることでその生涯を終えていく。

破片の流れはそこで止まり、キラキラとした粒子が代わりにばら撒かれる。

 

杖先からは今も『惑わせ鳥』が大量に出続けている。

コイツらを肉壁にすることで防御と同時に攻撃が可能となるのだ。

 

「ぐぅ……貴様ァ!」

 

ヴォルデモートが操る破片の勢いはみるみるうちに弱まっていき、当の本人も遂に膝をつく。

すると宙に浮いていた破片はその場にボロボロと落ち始め、魔法が完全に解かれたことを示していく。

 

「ヴォルデモート、お主の負けじゃな。」

 

最大限警戒しながらヴォルデモートに近づく。

土壇場で何をされるか分かったものではない。

 

「……ハァ…………ハァ……」

 

返事も出来ないか。

なんなら目の焦点も合ってないな。

いや、これは元からか?

まあ何十匹、なんなら数百匹も同時に殺したらそうもなる。

胸を抑えて苦しそうにしているが、それでも杖は手放そうとしないのは流石だな。

 

後はコイツをどうするかだが……

と、ここで背後に複数の人の気配を感じる。

 

「──闇祓いが到着したようじゃ。」

 

うーん、闇祓いか。

闇祓い、というか魔法省にコイツを収監しておく術はあるのだろうか。

オレだって今のところ首だけにして重り付けて海中に沈めるくらいしか思いついていないんだが。

 

「なんと、まさか本当に!」

 

「おお、あれが……!」

 

ダメそうですね。

完全に油断モードだ。

 

「アルバス、エリエザー。闇の帝王は魔法省で監視下に置く。そうして然るべき処遇を──」

 

「魔法省にヴォルデモートを管理出来ると思うか、アルバス?」

 

「ッ魔法省を愚弄するか!?」

 

「グリンデルバルドだって逃がしたろう。現に──

 

 

──もう逃げられてる。」

 

ヴォルデモートが怪しい素振りをしたので即斬り裂いたが、既に斬り裂かれた所から細かい砂状の粒子になっていく。

お得意の影のような動きの応用だろう。

現れる時も、消える時もたぶん同じ手法を使ったとみえる。

 

そのままスルスルと消えていくヴォルデモート。

さっさと分霊箱を破壊しなければ、コイツは倒せないな。




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