ホグワーツで起きた、不幸な
始めは授業さえも中止されたことで大きな混乱に包まれていた生徒たちも、少しずつ日常を取り戻していた。
「会場はこちらです。大臣。」
「どうもありがとう、マクゴナガル先生。まさかこのタイミングでアルバスが死ぬなどとは……」
ホグワーツを囲う湖に存在する小さな島。
そこではダンブルドアの古くからの友人であった者たち──各国の要人や魔法省の大物役人──や不死鳥の騎士団の主要メンバーが集められ、豪勢な面々に対して非常にささやかな葬式が開かれていた。
心臓発作による、不幸な事故。
発見したのは同じくホグワーツに勤めるセブルス・スネイプだった。
ダンブルドアに緊急で呼ばれ赴いたが、既に事切れていたとのことである。
「やはり、暗殺では……」
「しかし、このホグワーツにバレずに侵入など出来はしませんでしょう。だとすればもっと早くに死んでいたはずです。」
「裏切り者がいたのでは?」
「……縁起でもありませんぞ。」
「しかし、元死喰い人の──」
「これ、そこの。よさんか。」
ダンブルドアと付き合いの長かったマクゴナガルが粛々と進めるその葬式では、様々なウワサがたった。
裏切り者による暗殺説。
闇の帝王との決闘説。
妬みによる呪い説。
気狂いによる自殺説。
荒唐無稽なモノが大半を占めていたが、この場にいる多くの人間は心臓発作なんて話は信じてなどいなかった。
否、ダンブルドアという偉大な魔法使いが寿命であっさり逝ったなどと、信じたくはなかったのだ。
ただ一つ確実なのは、ダンブルドアの死体がそこにあるという事実のみ。
「魔法界はまた新たな時代へ突入するだろう……もっとも、暗黒の時代だろうがな。」
会場は悲しみに包まれるとともに、これから引き起こされるであろう凄惨な戦いに思いを馳せるのだった。
〜
葬式を終えてもなお、セブルス・スネイプは途方も無い気怠さに侵されていた。
スパイとしてダンブルドアを陰ながら支え続けて来たこと、魔法全般の優れた能力を買われたこと、そしてなによりマクゴナガルの推薦によって自身が次期校長となることが決定しているにも関わらずである。
理由は、分かりきっている。
あの日の事件が、未だに自分の中で引っ掛かっているのだ。
青い壁が消滅したかと思えば、そこには既に息絶えたダンブルドアと、対峙するエリエザーがいた。
仰向けに倒れ、まるで眠っているかのようなその姿。
胸の前で手を組み、そこにはニワトコの杖が大事そうに握られていた。
「……」
何も言わず、ただダンブルドアを見つめるエリエザー。
恐ろしかった。
本当に、ただ恐ろしいという感情が自分を襲った。
「スネイプ先生。」
「……」
「これ、忘れ物ですよ。自分の持ち物には、自分の名前を書くことです──ペンネームではなくてね。」
まるで何でもないかのように、古びた黒い本を手渡してくる。
「後は、お任せします。」
そう言って自分の横を通って塔を去る彼を見て、あることに気付いた。
気付いてしまった。
しかし、それならば尚の事恐ろしい。
アレは人の心を持っているのだ。
ならば何故、殺したのか。
杖も取らず、そう思えるのなら、何故殺したのか。
全くもって自分とは違う人間なのだと、理解した。
彼の頬には一筋の水跡が、ついていたのだ。
レガ主くんは指名手配犯なので葬式には呼ばれてません。
なお、目眩まし術で普通に出席している模様。