夜。
冬が近付きつつある時期において、夜という時間帯はなかなかに冷えるものである。
「ここが、ゴドリックの谷……」
「ああ、そうだ。君が生まれた場所であり─私が最も大きな過ちを犯した場所だ。」
「シリウス……」
「行こう……もしかすると、私の予想通り本当にグリフィンドールの剣があるかもしれん。奴らに先を越されていないと良いが。」
〜
オレが魔法省で暴れてから一月ほどが経った。
正直、結果的にはあまり上手くはいかなかった。
あのとき、死喰い人をある程度殲滅し、離脱したところまでは上手くいっていた。
─このまま革命が上手く行けば、少なくとも主義者はトップから居なくなる。
結局は魔法省がヴォルデモートの傀儡でさえ無ければ良いのだ。
今後はヘタに刺激するような真似もしないだろう。
そう思い、離脱したのだが。
しかし、それからほどなくして現大臣と革命派による大規模な内紛が発生。
ひとりひとりが実力者なものだからとんでもない被害を生み出し、毎日何十人もの人死に─民間人含む─を出し、一週間ほどそれは続いた。
結果は、革命派の勝利。
魔法省は新たな大臣を据え、第一歩を踏み出した。
そうして魔法省は、新たな方針を発表。
始めの頃は、死喰い人の処罰だとか、そういった内紛の後処理が主だった。
しかし、ある時を境にそれらの方針は一転した。
それは死喰い人側に付こうとするモノへの締めつけの強化であった。
顕著な例としてはケンタウロスが挙げられるだろう。
彼らは魔法省による規制に対し常に不満を感じており、死喰い人側につくものも多かった。
魔法省はそんな彼らを見せしめにするため、規制の強化を始めたのだった。
恐らく、有力者からの圧力でもあったのだろう。
本当はその辺の憎悪は『エリエザー・フィグ』という分かりやすいシンボルに集めるつもりだったんだが。
むしろ純血とそうでない者、そして魔法動物との溝は更に深まってしまったと言えるだろう。
本当は、こう、表面上は支配されたままのフリで、裏ではしっかり民衆を守ってる、みたいな風になるのを期待していたんだけどなあ。
やはりそういった分野は、アルバスのものだったようだ。
「グスッ……私もう、限界です!母さんはもう明日にでも学校に乗り込んで私を連れて行く気なんです!」
例の革命によって父親を失った女子生徒は、涙ながらに訴える。
「母さんは、マグルのところに私と妹を連れて逃げるつもりなんです……父さんが死んでから、ずっとその話ばかり!ホグワーツももう安全じゃないって─!」
「ぼ、僕……一年生の子に、は、磔の呪文を……!わ、ああ、忘れられないんです……みんなの苦しむ声が、ずっと聞こえてくるんです!」
死喰い人の教師により、磔の呪文をかけさせられた男子生徒は怯えながら呟く。
「その後のみんなの顔が、軽蔑するような目が!僕を許してくれ─!」
「フィグ先生……」
「そうだな、もうそろそろ限界だろう。やはり生徒に影響が出ない程度の洗脳音声じゃ無理があったな。今日だって、ネビルが吹き飛ばしてくれなかったら、もっと酷いことになっていたよ。」
ただでさえ魔法省があんなことになってしまったので、ホグワーツ内で死喰い人を殺すような、ヴォルデモートを刺激するような事態は避けたかった。
ヴォルデモートを刺激すればするほど、スネイプ校長が手を回さなければいけなくなる可能性も高くなる。
そうすれば、また余計な被害が出かねない。
だからこそ、校内放送で洗脳の呪いを撒き続け、死喰い人に過激な授業をさせないようにしていたのだが。
呪いが弱すぎて段々耐性がついてしまったようだ。
なんだかどいつもこいつも上手くいかない。
最近はまた治安も悪化しているようだし。
「─っが!─ぅ!ッアァ!」
よく暴れるなあ、コイツ。
腕をよりキツく固定し、気道を確実に締める。
首元からのバキッという音とともに、力が抜けていくのが分かる。
「─!─!─……」
これで二人目も殺せたな。
あとは、これをなんて校長に説明するかを考えなければ。
〜
「本当にあると思います?例のアレって。」
「口を慎め。闇の帝王はそれを欲しておられるのだ。我々はそれを探し出すだけであり、探し出せなければ死あるのみだ。次に行くぞ。」
「……はい、失礼しました。」
男たちは、燃え盛る家の前でそう話したのち、直ぐに移動していくのだった。
レガ主くんは政治的な策謀はダメダメなので、それを補えるのがアルバスだったんですね。