そおれ!アバダケダブラ!   作:味噌カツ伝説

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グリフィンドールの剣くんはポッターが来ると信じて凍った湖の底で待っていました。


54:目星

とある屋敷。

世間では魔法省で起こっている紛争について持ちきりだった頃。

椅子に深く腰掛ける男と、その前で跪く男が会話していた。

 

「お前が、サロウか?」

 

「はい、いかにも。我が君。」

 

「おお、歓迎するぞ。サロウ。お前をわざわざ呼んだのは他でもない、お前の家に伝わるという秘宝についてだ。」

 

「お言葉ですが我が君、それはご報告したように、既に私の母の手によって失われております。」

 

「おお、分かっているとも。だからこそ探させているのだ。」

 

「……」

 

「既に目星はついているとも……」

 

「目星、ですか。」

 

 

 

 

 

 

 

分霊箱を破壊できるアイテムの一つであるグリフィンドールの剣と、当の分霊箱の手掛かりを探していたハリー達は、ゴドリックの谷を訪れていた。

 

辿り着いたのは、ハリーが生まれた家。

本来ならそこで今も楽しく過ごす三人の家族が居たはずの家。

そしてヴォルデモートが自分の肉体を失った家でもあった。

 

外観は既に廃屋そのものであった。

家の電気は点かず、床は軋み、割れた窓からはひんやりとした風が入り、雨漏りした水が天井を、そして床をも腐食させていた。

 

しかし、予想とは裏腹に何も見つからない。

そうして、皆が諦めかけたとき、ロンがなんとなしに点けた火消しライターから光が飛び出し、何処かへと向かっていく。

──そうして導かれた先にあったのは、ハリーの両親の名も刻まれている小規模な墓場。

そこに刻まれた謎のシンボルであった。

 

 

「火消しライターは何だってあんなものに僕たちを導いたんだ?」

 

「でも火消しライターが無かったらきっと気づけなかった。何か意味があるんだよ、あのシンボルには。」

 

「私にもアレが何なのかは分からないが、ダンブルドアが何かを伝えようとしていることは確かだろう。」

 

「……ねぇ、ハリー。確かルーナのお父さんがこんなアクセサリーを──」

 

 

 

 

 

 

とんてんかん、とんてんかん。

 

ホグワーツの、与えられた自室。

住み始めてからそれなりの歳月が経っているにも関わらず、一部を除き、棚の中身から家具の位置まで殆ど変わっていない部屋。

唯一増えたのは、お菓子の入った袋──ほんの少し中身が減っている──ぐらいだろう。

 

とんからとん、とんからとん。

 

そんな部屋に設置された、人ひとりが眠るには少し豪華なデザインのベッド──

 

──の下に隠されたトランク。

そこへ、一枚の手紙がほんの少しの隙間から入っていく。

 

トンテンカン、トンカラトン。

 

トランクの中にあったのは、雄大な自然。

ところどころをやたらデカい魔法動物が彷徨いている。

 

しかし、そんな自然の風景の中心には小屋があった。

見た目は質素だが、側には餌やり用の巨大な箱がある。

古ぼけた玄関扉だが、下部には手紙を投函するための真新しい穴がある。

どこかチグハグなその小屋の中へ、手紙はヒラヒラと向かっていく。

 

 

 

……よし、良い感じだ。

見た目も随分と近くなったな。

今までで一番良い出来なんじゃないだろうか。

これなら本物と見分けだって──

 

──と、考えていると、工房の扉の下から手紙が入ってくる。

こちらにゆったりと向かってくる手紙を掴むと、仄かな温かみを感じる。

 

部屋にある暖炉経由で来たらしい。

この綴じ方はハグリッドからだな。

 

 

中を見てみると、まずは△と○と|を組み合わせたシンボル……死の秘宝を表すシンボルについて記されていた。

なるほど。

アルバスはポッターたちに分霊箱探しのついでに、死の秘宝とその意味を教えたかったらしい。

 

てっきりブラックかグレンジャーあたりは知っているものかと思ったが、まあそもそも死の秘宝自体が眉唾ものだからな。

シンボルの意味を知らなくても不思議ではない。

オレだって、試練で手にするまでは存在さえ知らなかった訳だし。

……それはそれとして、これはアルバスが遺したものな訳で、分霊箱の隠し場所と直接の関係はないだろう。

 

ああ、そのことについても書いてあった。

分霊箱探しのヒントは無いかと書かれている。

そういうことなら、リストアップして送りつけておこうか。

まだ自分も行けていない所がいくつかあるしな。

 

たとえば、グリンゴッツ銀行とか。

正直に言うと、世間が言うほどあそこは安全じゃあないと思うが、何よりオレがあそこに行って誰も殺さず帰ってこれる気がしない。

 

とにかく、思いつく限り書いてみよう。

あそこと、あそこと、あそこ。

あ、後あそこもあったな。

あれ、あそこは古代魔術がないと入れないんだったか。

どうだっけ。

 

そういえば、ホグワーツの近くにも洞窟があったな。

確か、ブラック校長の屋敷しもべ妖精に頼まれて行った……

そうだ、思い出した。

リチャード・ジャックドウ関連だ。

懐かしい。

……ここは自分で見に行けばいいか。

 

あとは、そうだな。

きっとヴォルデモートは手元にも一つ分霊箱を持っているはずだ。

これは同じ魂を裂いた者としての勘だが。

それについても一言書いておこう。

 

 

……何だか色々書きすぎて凄い文量になってしまった。

そう言えば、この返事をどう届けるか考えてなかったな。

今まで一方通行だったし。

もし、この手紙が途中で失われでもしたら面倒だ。

分霊箱の隠し場所の変更もあり得る。

 

 

──となれば、直接届けたほうが早いか。




実はグリフィンドールの剣くんはポッター達の行く先々で先回りして待っていましたが、小さなトラブルや火消しライターのせいで見つけてもらえませんでした。
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