そおれ!アバダケダブラ!   作:味噌カツ伝説

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現在、死喰い人陣営はルシウスとスネイプ以外の幹部は既に死亡済みなため、ドラコを筆頭としたほぼ若年層の新メンバーで構成されています。

フェンリール・グレイバックとかもこっそり死んでます。


57:臆病者

『子供は、単なる、未熟な、生き物だ。』

 

男が言った。

 

 

『君には力がある……』

 

『魔法界は……君がいれば、きっと、安心だな。』

 

老人が言った。

 

 

『小鬼はもう誰にも従わない!』

 

「ランロク!」

 

『お前のちっぽけな魔法など、この俺にかなうものか!』

 

小鬼が言った。

 

 

 

「ランロクッ!」

 

気付けば、ベッドの上にいた。

またあの夢だ。

 

この夢を見た日は、まず部屋の損傷を修復することから一日を始めなければならない。

杖一振りで直せるため大した労力ではないが、なんとも憂鬱だ。

 

たまには、トランクの中じゃなくてホグワーツの自室のベッドを使ってみるべきかもしれない。

そうしたら、何か変わるかもしれない。

とにかく、そろそろ面談の時間だ。

行かないと。

 

トランクを経由し、自室のベッドの下から這い出て窓の外を見ると、ホグワーツ城を囲うように吸魂鬼が──

 

──白い吸魂鬼に追い回されていた。

あ、また一匹消滅した。

 

最近アイツら婚活鬼とか言われてるらしい。

前まで花嫁とか言われてただろ。

 

 

 

 

 

 

「今、ホグワーツはおかしなことになってる。」

 

明かり一つない、人ひとりがギリギリ通れるくらいの幅しかないトンネルの中で、ネビルは言う。

 

トンネルにいる全員が『ルーモス』を唱えていても、出口はまだまだ見えてこない。

 

「おかしなこと?」

 

「新しく来た死喰い人が、前まで……本当に酷い授業、いや、あんなの授業とも呼べないけど、そんなことばっかりだったのに、ある日を境に静かになったんだ。それに、外を飛んでる吸魂鬼も、ある日急に出てきた白いのに消されまくってる。」

 

「しかも死喰い人のやつら臭うんだぜ。」「腐敗臭さ。」

 

「腐敗臭?ポッケの中にベイクドビーンズでも入れっぱなしなんじゃないのか?」

 

「まさか。」

 

「まあどうせ」「だいたいのことは」

 

「「フィグ先生の仕業ってウワサ。」」

 

「じゃあスネイプは何してるの?」

 

「スネイプは……よくわからないや。」

 

「分からない?」

 

「何を考えてて、何をしたいのかもよく分からないんだ。」

 

ネビルは続けて言う。

 

「今、ヴォルデモートの側についてるなのは間違いないんだけど、その、さっき話した死喰い人についても、何も言わないし。スネイプはもう授業もやってないから、たまに、死喰い人として皆の前でそれらしいことを言うだけで。」

 

「……」

 

「ハリー?」

 

「僕も、スネイプのことは、よく分からない。結局、アイツがダンブルドアを殺したときも、スネイプは見てるだけだった。でも……」

 

「……」

 

「それでも、スネイプは死喰い人で、今こうして校長の座にいるのは、ダンブルドアに対する裏切りだと、思う。」

 

重たい空気が流れる。

 

「……シリウスは今どこに?」

 

「ハグリッドの所だよ。でも……」

 

「でも?」

 

「なんか、グリフィンドールの剣が目の前で消えたって話してた。」

 

「やっぱり何か、私たちの知らないような魔法がかけられてるのね。でなくちゃマルフォイの屋敷に落ちてるわけないわ。」

 

「ハーマイオニーが知らないならこの世の誰も知らないよ。」

 

「フィグ先生ならどうかしら?」

 

「……」

 

「みんな、そろそろ着くよ。」

 

グリフィンドールの剣を持ったシリウスと別れ、グリンゴッツ銀行にあるベラトリックスの金庫からハップルパフのカップを手に入れたハリー達。

三人はやけに静かなホグズミードを通過し、ネビル、ウィーズリー兄弟の案内の元で、ダンブルドアの弟アバーフォースの経営する店から続くホグワーツ城行きの隠れ道を通っている最中だった。

 

トンネルの最奥にある重厚な扉をネビルが開くと、そこには同じ学舎の友人達が揃っていた。

彼らは既にホグワーツ城内部に入っていたのだ。

 

「皆、帰ってきたぞ!」

 

「ハリー!」

 

ハリーとの再会を喜ぶジニーの目には、歓喜の涙が浮かんでいた。

 

 

 

夜。

 

「みんな、すまない……」

 

「シリウスが気に病むことないわ。アレはきっと……人に御せるものじゃ無かったのよ。」

 

ハグリッドの小屋にて、グリフィンドールの剣に()()()()()シリウスは大いに凹み、三人に対して謝罪を述べていた。

しかし、三人からすればようやく手に入れた代物ではあるものの、別に分霊箱の破壊自体はバジリスクの牙で十分であり、グリフィンドールの剣は死喰い人にも従わないことは分かっているので、そこまで事を深刻に捉えてはいなかった。

 

「君にそう言ってもらえると、私も助かるよ。」

 

「あいつらだってコントロールできてなかったんだし、しょうがないよ。」

 

「僕もそう思うよ。ハグリッド、牙をくれる?」

 

「おお、ほれ。気をつけてな。」

 

そうしてまた一つ、分霊箱が破壊された。

 

 

 

二時間後。

生徒たちは大広間へと集められる。

 

「三時間前、このホグワーツでハリー・ポッターがいるのを見たという情報が入った。」

 

虚ろな目をしている死喰い人を側に控え、セブルス・スネイプ校長が話す。

 

「もし、ハリー・ポッターの居場所を知っている者がいれば、正直に、この場で、名乗りをあげよ……当然、ポッターを助けようとした者には、罰を、与える。」

 

生徒たちだけでなく、教師陣にも緊張が走る。

ハグリッドは背中に嫌な汗が流れるのを感じた。

 

「加えて、そのような痴れ者の存在を知っていながら秘匿した者も、同様だ。」

 

「──僕はここだ!もう逃げも隠れもしない!」

 

規則正しく並ぶ生徒たち、そのグリフィンドールの列からハリーは飛び出してくる。

スネイプは僅かに目を見開いた。

 

「ホグワーツのセキュリティはまだまだ甘いみたいですね、校長!」

 

そう言い切ると共に、堅く閉ざされていた大広間の扉が開き、不死鳥の騎士団が入ってきた。

 

スネイプが杖を抜く。

この人数相手でもやる気だ。

 

「ポッター、下がりなさい。」

 

杖を抜いたマクゴナガル先生がハリーを後ろに下げる。

 

「エリエザー!どうせ貴方もいるのでしょう!手伝いなさい!」

 

マクゴナガル先生が声を張り上げると、スネイプの後ろにいた二人の死喰い人が、背骨を抜かれたみたいに崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

目下の目標は、ヴォルデモートにポッターを殺させること。

そして油断したタイミングで、手元にあるであろう最後の分霊箱を破壊することだ。

つまり、ここからはスネイプ校長が上手いことポッターを捕まえて誘導してくれるんやろな、こっそり手伝ってやればすぐでしょ。

と思っていたらこれだ。

 

何でバレてるんだよ。

いやしかし、困った。

 

裏切ったフリしてポッターを連れて行こうか。

いや、駄目だ。

人間を爆弾にしていた奴が信用されるはずがない。

最悪、ポッターが分霊箱云々がバレかねない。

 

仕方がないので姿を現す。

 

「!」

 

騎士団の登場により緩んだ空気が、再び張り詰めたものに変わったのを感じる。

 

何とも嫌なことに、今いるのはスネイプ校長の斜め後ろの壁際だ。

戦いながらスネイプ校長を逃がそうとすれば、間違いなく違和感が生まれるだろう。

 

いっそのことここで知っていることを全部暴露してしまおうか。

死喰い人はもういないし。

ポッターのプライベートが全生徒に筒抜けになる上、なんならその生徒の中にはヴォルデモートと通じている奴がいること以外は、完璧だ。

却下。

 

──やるしかないか。

 

たぶん、アルバスがオレに話していないことも、スネイプ校長には話しているはずだ。

ポッターに真実を話すのは、スネイプ校長じゃないといけないと、そんな気がする。

だからもう、これしかない。

 

「あー、と。」

 

「エリエザー?」

 

「……悪いんですが、アルバスとの契約で、ホグワーツの校長には手を出せんのですよ。」

 

全ての責任をアルバスに押し付けたハッタリ!

 

「ッアルバスが?いえ、貴方ならあり得そうです。なら生徒を護りなさい!」

 

緊急事態だからかバレなかった。

いや、見逃してもらえたのか?

 

 

オレが生徒たちの前まで、ほんの数歩歩くうちに戦いは始まった。

始めのうちはスネイプ校長が一方的に攻撃していたが、マクゴナガル先生が反撃を始めればあっという間に防戦一方となった。

生徒たちに被害を出さず、あくまでマクゴナガル先生の強さを強調する戦い方。

上手いこと演技するな、と感心する。

 

 

スネイプ校長はついに態勢を崩すと、全体を睨みつけ、窓をぶち破って逃げていく。

 

「臆病者!」

 

 

マクゴナガル先生の叫びが、大広間にこだました。




レガ主くんが色々やったせいで、スネイプ校長へのヘイトが若干落ちてます。
その分、あの人何がしたいの?みたいな困惑の目が増えてます。
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