そおれ!アバダケダブラ!   作:味噌カツ伝説

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ホグワーツの被害
……大広間の窓が破損(セブルス・スネイプ)
塔の一部が破損(ヴォルデモート)
船着き場の小屋が全壊(ヴォルデモート)
正面の大橋が半壊(エリエザー・フィグ)
木製の橋が全壊(シェーマス・フィネガン)

人的被害
……なし


60:禁じられた呪文

「退却していく?逃がす訳ないだろ。」

 

後方で待機していた死喰い人はさっさと退却していったが、そういった特別な手段を持ち得ないゴブリンやらは当然その場に取り残される。

オレの手で八割が殲滅された頃になって、ようやく彼らは自らが駒として使われていたことを悟り、散り散りになって逃げ出し始めたのだった。

 

 

「アクシオ。」

 

最後の一匹。

ほんの数時間前までは瑞々しい青をしていた草原も、今では紅に染まり。

鉄の臭いが周囲に漂っていた。

一歩進めば死体に当たり、二歩進めば血溜まりに入る。

 

「ひ、ひぃ!やめろ!離せ!」

 

空では瞬く星々に混じって真っ白な吸魂鬼が彷徨い、湖は、特に大橋の下で紅い染みが広がる。

呪文を解いた今でも、ホグワーツの周囲は青い炎が燻っていた。

 

「アバダケダブラ。」

 

 

──!

ハグリッドの『座標』が移動している?

行き先は……禁じられた森か。

 

地下牢行きになったスリザリン生の仕業だな。

ヴォルデモートにとことん恩を売っておきたいらしい。

 

『幸運の液体』を飲んでいるはずだから、最悪の自体は起こらないとは思うが……

いや待てよ。

一人でも多くの生徒に、とか言って飲んでないとかないだろうな。

……マクゴナガル先生ならそういうこと言いそうだ、でもってそれを聞いて他の前線メンバーも飲んでない、とか?

 

とにかく、助けに行くべきだな。

人質にされるだけなら良いんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんばんは、ハリー。」

 

「!ダンブルドア……」

 

どこまでも続く、真っ白な空間。

そこに、ハリー・ポッターはいた。

 

「ここ、どこなんです?」

 

「ふむ。お主にはどこに見える?」

 

「……キングズクロス駅に、似てます。」

 

「そうか。駅とは、人が旅立つ場所であり、また終着点でもある。出会いと別れの場所とも言えるの。」

 

「……」

 

「お主にはまだこの先に行くことはできぬ。それをするのは、遠く離れた未来の話になるじゃろう。」

 

「……そうだ、僕、ヴォルデモートに殺されて──」

 

「ハリー、君は死んではおらぬよ。仮死状態になっているだけじゃ。」

 

「でも、僕は死の呪いをうけた。」

 

「破壊されたのは分霊箱じゃよ。誰も知らなかった、ヴォルデモート本人でさえ知らなかった、最後の分霊箱じゃ。」

 

ダンブルドアは歩き出し、ハリーとすれ違う。

 

「どこへ?」

 

「少し、座りたくての……そこのお二人、良いですかな?」

 

その先にあったのは、真っ白なベンチ。

話しかけたのは、そこに座る一組の男女だった。

背は低く、どちらも床まで足はギリギリ届いていない。

子供に見えた、少なくとも自分よりは年下だろうという確信がハリーにはあった。

 

そして、その少年と少女、どちらにも見覚えがあった。

 

「なっ……!」

 

「……」

 

問いかけられた少年は、何も言わない。

それどころかどこか睨みつけるような目で、ダンブルドアをただ見ていた。

 

一方で少女は、ニコニコとしながら少年の方を見るだけで、こちらに一切目を向けようとしない。

 

「沈黙は肯定と等しい。さ、座ろうかの。」

 

ダンブルドアは、二人の間にちょうど人ひとりが座れるくらいの隙間を空けてベンチに腰掛ける。

 

だが、ハリーは座ろうとはしない。

その少年から目が離せなかったから。

 

「先生、彼は──トム・リドル?」

 

「そう、ワシらには救えぬものじゃ。」

 

「救えない……」

 

ダンブルドアの言葉を反芻し、その横にいる少女に目を向ければ、どこかシリウスの面影のようなものを感じた。

 

「その通り。そしてあれが──」

 

ハリーはダンブルドアの目線の先を見る。

 

「──ワシに救えなかったものじゃ。」

 

そこには、ホグワーツの制服を着た青年が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「セブルス、どうだ?」

 

「──死んで、おります。」

 

ヴォルデモートが嗤い、死喰い人は雄叫びをあげる。

 

「ああ、そんな、ハリー……」

 

複数のスリザリン生に杖を向けられ、人質として連れられたハグリッドは、思わず膝をつく。

 

 

それをどこか冷めた様子で、オレは見ていた。

 

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「お前たち、ホグワーツへ行くぞ……あの男はどうした?」

 

「囮に時間を取られ、城の中へ戻って行ったと報告が。しかし、奴は神出鬼没です。今も近くにいるやも。」

 

「ならばハリーが殺される前に姿を現すだろう。こうしてハリー・ポッターが死んだという事実が、奴がこの場にいないことの証左だ。」

 

そう締めくくれば、ポッターをハグリッドに運ばせ、ホグワーツへぞろぞろと移動していく。

やはり、スネイプ校長は上手くやってみせた。

 

よし、この様子ならハグリッドが殺されることはないだろう。

 

次だ。

 

 

そうして、禁じられた森の中にある、ポッターの痕跡を逆に辿っていけば。

 

「あった。」

 

土の上に捨てられていた、正四面体の石を拾う。

 

『──これから、どうするつもりだね?』

 

「ホグワーツを守ります。」

 

『うむ、そうか。君の考えは尊重しよう……昔から、君は多くのものを守ってくれたな。』

 

「僕は、ちゃんと守れていたでしょうか。」

 

『もちろんだとも。だが、君は多くのものを背負いすぎておる。』

 

「僕には、力がありますから。」

 

『敬虔な考えだが、君も自分の身体を大切にして欲しいものだな。』

 

「肝に銘じます──フィグ先生。」

 

 

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透明マントはハーマイオニーのポーチの中にありましたが、レガ主くんの『アクシオ』でポーチごと盗みました。
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