九校戦会場に来る途中で一高が妨害工作されるのは原作通りで、リーナはルシル君の護衛であるため、別行動していた。原作のような真由美遅刻問題はなかったのだが……修正力というか、害虫乙……
実はルシル君は九校戦会場ホテルのロイヤルスイートに滞在することになっており、ガールフレンド達は自分達の出場する競技の前日以外はここにお泊りする。
深雪からここに来るまでの自爆攻撃について報告されたルシル君は無頭龍によるブックメーカー……賭博行為が行われていることを教えた。
「工作員諸々判明している。対処しておくから、心配せずに競技を楽しめばいい」
「ありがとうございます!」
懇親会ではリーナと深雪、エリカ、雫、ほのか達は三高の一色愛梨と十七夜栞、四十九院沓子達から声をかけられた。
「リーナ、久しぶりじゃの」
「ハイ、沓子、お久しぶりね」
リーナと沓子の挨拶に三高だけではなく、一高の女性達も意外に思った。
「陰陽師の大家安倍晴明直系、天海家の分家倉橋理奈じゃよ」
愛梨と栞は目を見開いた。特に愛梨はリーナとまるで正反対な、双璧とでも称する深雪にも畏怖を抱いた。
「リーナって呼んでね」
「天海家先代ご当主様のご葬儀で知り合ってな。それ以来の付き合いじゃ」
それぞれ自己紹介してから、沓子が「「今晴明」ルシル様はどこじゃ?」とリーナに問いかけた。
「ルシルなら不参加よ。忙しいから」
今はルシル君は夕歌や亜夜子、七草の双子と激戦している。その後で響子と澪、レナが控えている。懇親会終了後はリーナと深雪、エリカ、真由美、沙耶香も合流する。ルシル君に暇はないのだ。
沙耶香と美月はエリカの、千葉のコネでアルバイトしている。沙耶香は原作のエリカのようにヴィクトリアン姿?でウェイトレスをしているが、非常に似合っている。
「それは残念じゃのう…………会えるのを楽しみにしておったのに……」
「今晴明……沓子……?」
「古式や十師族で知らぬ者はおらんじゃろうな。四十九院は古式の白河が源流じゃから、ご葬儀に参列したんじゃが、今晴明ルシル様の神々しい闇と光の弔いの儀式には感動したものじゃ。天皇陛下も感動されておられたのじゃよ?」
「天皇陛下がご参列されるほど……」
「凄い名家なのね……」
「それに千葉……麒麟児の妹さんですか?」
「一年二科生の千葉エリカよ」
「「「はい?」」」
「二科生詐欺の、ですね」
千葉が二科生っておかしくない?と……
「…………一高の二科生にはエンブレムがなかったと、差別問題が酷いと有名だと思いましたけれど?」
「それが問題視されて急遽統一されることになったのよ」
今では制服のエンブレムは統一されている。
「頭脳は優秀とか、一芸特化とか、人にはそれぞれ個性がありますし、一高の評価基準は見直されつつあります。エリカはその例ですね」
「あはは、ルシル君に推薦されちゃったの」
「…………司波とは聞いたことがありませんが、一般人の、第一世代ですか?」
「侮らない方がいいわよ? 深雪はわたしに勝っているし」
「はい?」
「深雪とリーナの双璧よ」
「リーナに勝つ程じゃと!?」
「ルシル様には到底及びませんが」
「…………司波さん、貴女本当に一般人出身なのですか?」
「愛梨、彼女も侮れないわ」
「愛梨、リーナと双璧の彼女に無礼は止めるのじゃ」
ここに盛大に愛梨から深雪に謝罪された。
懇親会、九島烈の挨拶の後で……
『時計塔ザ・ルシフェリア Dr.クレープ・シュゼットからのご挨拶です』
はっ!? 加重系三大難問を解き明かしたあの偉人かと、司波達也を始めとして、時計塔ザ・ルシフェリア所属のDrを尊敬している者達は多い。会場にどよめきが起きたのだが……
懇親会の会場は宇宙空間になり、John LennonのImajineをピアノ演奏する、スーツ姿のシルバーブロンドのシュミルが現れた。
演奏が終わると「ぷひっ」だ。
((((((何故に兎のぬいぐるみ!?))))))
「この宇宙空間とシュミルは現代からは喪われてしまった、とある魔術だ。そして現代版飛行魔法。人は歴史、歴史は人。歴史を学び、進化する歩みを止めないように。諸君にはこのお祭りで、競技の意義やマナーモラル、そして法律を遵守することを求める。九高戦とはあくまでもお祭りだということを認識するように。おおいにお祭りを楽しみ給え」
そしてDrと宇宙空間は消えてしまった。
「…………兄さん、どのような魔法なのかわかりましたか?」
「……いや、俺の目でもわからなかった……」
深雪と達也のいる場所に真由美や克人が来て……
「本当にDrは一体何者なのかしらね?」
「先日時計塔で天海とDr、七草、十文字との会食があったのだが、あれには驚いた」
「「はい?」」
「やっぱり達也君と深雪さんもルシル君とDrは同一人物かもしれないと思っていたのかしら?」
「「はい……」」
「全くの別人よ。詳細は説明できないけれど」
「Drの実力の一端を証明されたからな」
「そうだったのですか……あれがDr. クレープ・シュゼット……」
「…………可愛い女の子の声でしたが、Drは本当に一体何者なのでしょうか……」
「時計塔最高機密だからね……」
念能力\(^o^)/
一方、その頃三高では……
「わしの興味はリーナと司波、千葉じゃ。千葉はクラウドにも出場するとか? 愛梨の好敵手になる予感がするのう?」
「幻影剣の妹さんね。何故千葉が二科生なのかしら?」
「一高の評価基準に合っていないのかしら? 三高なら専科確実でしょうね」
「それよ。正しく評価されないっておかしくないかしら?」
「今晴明ルシル様の改革じゃと思うぞ? 凄まじい権力だと古式界隈では評判じゃからの」
「「え……」」
沓子から時計塔ザ・ルシフェリアについて、天海家の権力について説明されていったところ、愛梨と栞は次第に引きつっていった。
「…………なんで、十神だけが恵まれているのよ……」
「栞……」
栞は元々一花……数字落ちエクストラで虐待同然の環境で、十七夜と養子縁組して両親と縁を切った過去がある。
「栞、それは逆恨みよ」
「……わかっているわ……、でもっ、なんで十神だけなのよ!?」
「あ〜〜、それは十とかなり親密だとか? なんでも十神が妹姫の護衛だそうじゃよ?」
「「はい?」」
「天海本家で一条姉妹が季節毎に教育されているとも聞くのじゃ」
「え……、それは、一体何のために、かしら?」
「北陸は佐渡の件もあって、工作員なんかの類も否定できんじゃろ? 誘拐される危険性もある。お稽古事は天海家の日常生活に根付いたもので、圧倒的効率的に学べるそうじゃ。所詮現代魔法師などぽっと出じゃからな。本物の名家には及ばんよ」
「それは……、」
「天海家は料理まで教わるそうじゃ。愛梨、料理をしたことなど、あるか?」
「……ないわ……」
「良妻賢母、夫婦円満の秘訣だそうじゃぞ?」
「納得ね。夫婦仲が良くなかったら子供にも良くないわ」
…………その家庭の味を味わえないため、毎年季節毎にルシルとアリサは一条や五輪訪問が恒例行事になっているのだが……
自分達現代魔法師は所詮ぽっと出という現実を突き付けられた愛梨