キッチンカーでジェラート盛り合わせを購入して食べていたルシル君は三高の一色愛梨と十七夜栞、四十九院沓子達から声をかけられた。
「良く気付いたね。軽い認識阻害を使っているのに。察するに沓子の勘かな」
「はい、それに神々しい精霊の気配がするのです!」
愛梨と栞は((なにこの絶世の美少年!?))と深雪とリーナ以上の衝撃を受けた。
認識阻害不可視光線断熱フィルターの範囲を広げたところ、三人は直ぐに気付いた。
「凄い魔法発動速度ですね……」
「涼しくなりました……」
「これは赤外線と紫外線も同時に遮断しておるのですか?」
「そう、断熱はニブルヘイムの応用。真夏の屋外は苦手なのでね」
「CADもなしにそのように高度な魔法をマルチタスクで瞬時に、凄いですね……」
「CADなど必要ない」
「流石は今晴明と称えられる訳ですね……」
「これくらいできないと天海では誘拐や日焼け防止対策諸々問題で一人で外出許可されない」
「流石は陰陽師の大家ですね……」
「そういえば周囲の煩わしい視線がなくなりましたね……」
「ルシル様は相変わらず十師族など歯牙にもかけませんの〜〜」
自己紹介してお互いに名前呼びすることになった。
「ルシル様、千葉さんのCADの開発に関わっているというのは本当ですか?」
「あぁ、エリカから聞いたのか。五十里啓さんと共同開発した省エネ刻印式吸収型CADだよ」
「省エネ刻印式……、それに吸収ということは、結合する、ということですか……」
「五十里は刻印魔法の権威だった筈」
「エリカは兜割りの原理ねと、あれを楽々使いこなす女の子なのでね」
「スピードも愛梨に劣らぬし、相性最悪ですな」
「あれに対抗できるのは真由美さんのダブルバウンドや十文字のファランクスくらいだけど、あまりにもクソゲー過ぎるから、ルール変更されるだろうね」
「あぁ、七草のあれは正直のう……って、それが狙いですな?」
「愛梨には正直申し訳なかった。千葉は中近接戦なら十師族を超える」
「いいえ、わたしに勝てる千葉さんという存在に、初めての敗北の体験は貴重ですから、謝罪されることはございません」
「千葉にはそれだけの背景があるのですか?」
「千葉は古式の名門吉田に教えを請い、現代の剣術に発展させた経緯がある。千葉の中身実質は古式そのものだ」
「古式は奥深いですからの〜〜」
「人は歴史、歴史は人。Drの言葉を今一度噛みしめてみろ。現代魔法師は歴史を、先人の苦労を学ぶ必要がある」
「……歴史の浅い現代魔法師には必要なことですね……」
「…………リーナさんは本戦アイスピラーズ・ブレイクで優勝されましたけれど、本戦ミラージバットにも出場して、どうなると思われますか?」
「リーナが優勝する」
「……リーナさんは司波さんと双璧と伺いましたが、……まさか、実力を隠していらっしゃるのですか?」
愛梨の疑惑にルシルは微笑んでおいた。
「それで、これは前置きだろう? 本題は何かな?」
先程から、栞から、なにやら含む視線を感じるのだよねぇ?
「…………十神だけが復権したことについてどうしてもお話ししたいことがあると……」
愛梨が気不味そうに栞を見やる。
「栞は元々一花だったかな?」
「!? ご存知だったのですか……?」
「十神を復権させたのは彼処の当主夫妻が人格者だから。栞は昔、酷い虐待されていたよね?」
「「「!?」」」
「栞の従姉の市原鈴音さんもご両親とあまり良い関係ではないようだし、そういうことだ」
「…………そうだったのですね……」
愛梨に栞が見出されずに、金沢魔法理学研究所……元第一研で才能を開花することがなかったら、栞を時計塔にスカウトする方針だったのだけどね。
「十七夜と養子縁組できて良かった。女子スピードシューティング優勝おめでとう」
「はい、ありがとうございます……」
「十神の娘さんの茉莉花が結構な逸材で妹のアリサの友人兼護衛で相性抜群なんだよね。そういう事情もある」
十神現当主は若い頃、ロシアから有益な人材……アリサの母親を日本に亡命させたりなど功績もある。それに報いなければ為政者失格だろう。
「できた御仁ですの〜〜」
「それに十山の代わりが必要だったのもある」
「「「はい?」」」
「国防軍と癒着が激しいし、まるで特高かという在り方を問題視していた。私に不遜な態度で要求してきたから、見せしめも兼ねて、ね」
愛梨は目の前の人物は確かに沓子の言う通りの絶大な権力者だと悟った。
「…………ルシル様は一高の北山選手がスピードシューティング本戦を辞退した理由をご存知ですか?」
「…………北山選手が予選クリアした時にわたしは彼女に鞘当てしたのですけれど、その時に彼女に連絡がありまして……、突然顔色を変えていたのは……」
「問題しかないため、北山に警告した」
「「「問題ですか?」」」
真相を説明したところ、次第に三人は引きつっていった。
「北山のクリーンなイメージが崩壊する恐れがある。時計塔と提携している北山にそれは許されない」
「そういうことだったのですね……」
「この問題について気付いたのは私だ。一高には盛大に雷が落ちることになる。口外はしないように」
「「「はい!!!」」」
ツェントの圧を出したところ、三高三人娘達は即座に従った。
ツェントの圧を解除したところ、沓子から、「ルシル様、儂の胸も出てきましたぞ」と胸を、両腕を絡めてきて主張された。
「ちょっ、沓子!?」
「ルシル様は重婚が認められておるからの。儂も婚約者の一人に立候補しておったのじゃが、胸が出てきてから出直してくるようにとな」
「つるぺたロリコン趣味はないので」
「「ですよね」」
「ルシル様、婚約者は今何人おられるのですか?」
アリサ、夕歌、深雪、亜夜子、リーナ、レナ、響子、澪、真由美、香澄、泉美、詩奈、エリカ、沙耶香、と数えていくと、愛梨が引きつっている。
「有名人が何人も聞こえたような気がします……」
「多分想像している通りの人物だろうね。時計塔ザ・ルシフェリア海外支社とリゾートなどがいくつもできたから、分家を増やさなければならない。亡き父の意向でもある」
「アリサ姫様は妹姫では……もしや養女ですか?」
「天海の遠縁で、ちょっと事情があってね」
これで大体察した。触れてはならないことだと。
「ルシル様、わたしも婚約者に立候補してもいいですか?」
「栞!?」
「ルシル様なら誠実でわたしのことも愛してくれそうだもの」
本人はエロ賢いだけですが。まともな女性には誠実に一途に向き合いますが、一人だけでは大抵壊れるのが仕様という。流石はルシル君、エロ賢いですね。
「栞なら時計塔金融部門でも活躍できるだろうね。数学的連鎖アリスマティック・チェインを使いこなせる頭脳も素晴らしい。見た目も知的美少女、」
「ルシル様に嫁ぎます!」
「ーーーーーーっ!? ルシル様、わたしも立候補します!」
「愛梨なら時計塔コンシェルジュや人事部門だろうね。コンシェルジュは会社の顔、優れた容姿と品格、人事なら人を見る目、」
「ルシル様に嫁ぎます!」
…………翌朝、ルシルのロイヤルスイートルームではルシルの左右に愛梨と栞、上に沓子がいて…………う〜ん、やはり世の中愛だな by 頭に妹の幼女おパンツ様を被ったダンブルドア
愛梨達に夏休みに時計塔の海外リゾートでバカンスしようと誘ったところ、大喜びしていた。今のご時世、魔法師の海外渡航は難しいから、それを堂々と海外リゾートでバカンスできるのだからそれは当然だろう。
愛梨達にご奉仕されているところに、深雪やリーナ、エリカ達が現れ、大歓迎されていた。
女子バトルボードで、ほのかは予選で失格になった。
「光の水面への干渉はあまりにも危険かつ悪質だと判断されました」
と放送されたところ、一高の司波達也達は驚愕に目を瞠っているが、周囲は納得の表情も多い。
光井ほのかは失格になったことで愕然とした表情になり、号泣してしまった。
新人戦女子バトルボードでは三高の四十九院沓子が優勝した。
次回、司波達也制裁します