その翌日下校時に昨日の件で七宝が香澄に「七草は上手くやったものだな」といちゃもんを付けて言い争いになり、下校しようと、たまたま通りかかったルシルに飛び火した。
「おい、天海、二科生入学希望、制服は着ない、授業サボり、生徒会入りの辞退などと、一科生の誇りはないのか?」
「ない」
「は!?」
「興味ない」
「お前は七宝を馬鹿にしているのか!?」
「何故そうなる?」
「お前みたいなふざけた奴に七宝が負けるなんてありえないっ!」
「七宝の勝ちでいいから」
「ふざけるな!?」
ここで香澄が間に入り、「七宝君、それ、言いがかり」、リーナは「そのようなことどうでもいいわよね」とコメントして、再度香澄と七宝のトラブルになり、CADを構えた七宝に、風紀委員が介入する騒動に発展した。
風紀委員の森崎?の魔法により、七宝は倒れた。
香澄と七宝の争いの当事者として、ルシル達は雫から風紀委員本部に同行を求められた。
「天海君と倉橋さん、当事者として同行して」
「風紀委員本部に? あの消防法に喧嘩売ってるところ?」
っていうか、本当に大丈夫なの、あそこ?
「私は問題ないので、帰らせてもらいたいのだけど?」
「ごめんね、天海君」
風紀委員本部では、難しい顔をした司波達也と服部はんぞー、千代田花音、泉美が待っていた。
そこでルシルは憂さ晴らしすることにした。
「森崎だったかな? 確か去年入学初日に問題を起こした犯罪者が何故風紀委員にいる? 何故退学になっていない?」
「いや、それは誤解だ」
「これを視聴しても誤解と言えるかな?」
その映像をホログラムで放送したところ、森崎は青褪めている。
達也は何故そのような映像をルシルが持っているのかと目を見開いている。
「そのような犯罪者を何故庇う? 偽証罪になるぞ?」
「それは……」
そこにノックがあり、黒服が三人入ってきた。
「森崎駿、通報があった」
「同行してもらおう」
ガチャッと手錠で拘束されたモブ。
「はっ、あ、貴方達はどちら様ですか!?」
「公安だ」
「「「ご協力感謝いたします」」」
「会社も含めてガサ入れするように」
「「「はっ、かしこまりました」」」
公安はルシルに頭を下げてから、モブを連行していった。
「「「「「「…………」」」」」」
「…………天海君、もしかして公安に通報したのは、」
「あれは国際シンジケート無頭竜の後継者である孫美鈴を内情から逃がすという犯罪行為もしていた」
「「「「「「!?」」」」」」
「売国奴だろうが。売国奴を国民の血税で教育する? 何の冗談だ? ああ? あれは教職員推薦枠だったか? 老害だな」
無頭竜は殲滅される。
「天海を、甘く見るなよ? 売国奴、即滅斬だ」
「……………………天海君は、天海家は公安上層部なのか?」
天海家の権力と情報網に恐れ慄いた達也を、ルシルは内心嘲笑い肩をすくめておいた。
「
「…………肝に銘じよう……」
「社会の怪物を甘く見ることのないように」という九重八雲からの警告を思い出した達也は冷や汗をかいた。
後日公安にガサ入れされた森崎家は潰され、その警備会社は元老院からの通達により北山財閥に吸収された。
犯罪者売国奴を育てた家なのだから、当然の末路だ。
今回の騒動の原因について、香澄から「七宝君が七草家を侮辱したんです」、七宝から「七草から許しがたい侮辱を受けました」と……
「必ず全ての言い分を詳らかにするように。全てを詳らかにしないと見方が歪む」
内心「ふざけんな」と思いながらルシルはレコーダーを再生した。
再び絶句することになった風紀委員本部。一体どうやってそのような映像を記録していたのかと……
念能力\(^o^)/
ブック・オブ・ジ・エンドの栞をレコーダーに挟むと記録されていたことになる。
「…………これは、明らかに七宝が悪いわね」
「あぁ、七草さんへの侮辱の数々といい、天海君への言いがかりにも程があるだろう。天海君の事情は聞いている。仕事が忙しいということだし、制服を着ないことは認められている」
「学生の制服着用は法律で義務付けられていない。法律で服装の自由は認められている。私からしてみれば制服を着用する意味がわからない。七宝、制服着用強制は立派な法律違反なのだが?」
キラッキラ笑顔のルシルの指摘に七宝は苦々しい顔になった。
「確かに教師のいない二科の方が自由に学べるというのも否定できない」
「そこから天海君との間に入った香澄と七宝の争いに発展したと……」
風紀委員長の千代田花音、部活連会頭の服部はんぞー、生徒会副会長の司波達也は頭が痛そうだ。
「七宝、CADを構えて脅して、制止しようとした風紀委員に未遂とはいえCADの操作に入っていただなんて、最悪退学よ?」
いや、檻の中だろう。あれ? 相手は犯罪者売国奴だったから、それを指摘すればセーフなのでは? 面白いから黙ってるけど(笑)
「七草さんは倉橋さんが抑えているからセーフだが……」
全員頭が痛そうである。
「七草は七宝君に侮辱されました」
「これはもう七草と七宝の問題です」
「その前に、「一科生としての誇り」発言が問題だろう」
ルシルの指摘に他は頭の上に疑問符が浮かんでいる。
「明らかに二科生を見下している差別発言ということだ。これまで心ない差別をされて心を病んだ、傷付けられた二科生も多いだろう。それは侮辱罪及び傷害罪だ。相当酷いねぇ? 二科生は自分達に劣る? それは魔法を使えない一般人は人ではないという発言に等しい。反魔法師団体などがこれを知ればどうなる?」
これに黙る上級生達と七宝。
「十八家ご子息がそのような言動をしていると師族会議で取り上げられたら? 数字剥奪されるかもね?」
「そ、その程度で数字落ちなどしない!」
「数字落ち」という名称自体が公式に使用することは禁じられ、差別的取扱いをすることは魔法師のコミュニティにおいて重大な非違行為とされているのだけど?
「そうかな? 七草は徹底的にその犯罪行為を、その発言を、糾弾するかもしれないね?」
香澄と泉美に視線を向けるとイイ笑顔で頷いたことにより、七宝は青褪めた(笑)
「このレコーダー、七草当主が入手したら、どうなるか、理解できないのかな?」
レコーダーでペン回ししたところ、完全に内心((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルしている七宝が愉快極まりない(笑)
「確か七宝は十師族になりたいそうだね? それどころか、反魔法主義者を煽る原因になり数字剥奪の未来、さてさて、どちらを選ぶ?」
「…………」
「昔はエクストラ差別が激しかったようだが、十山以来の数字剥奪される覚悟はあるのだろうな? エクストラ差別が再燃して、過去のエクストラ達からも徹底的に糾弾される未来の?」
くくくっ、顔面蒼白とはこのことか。
「黙っていないで、香澄と泉美に謝罪しろ。先輩達を煩わせたことについてもだ。七宝当主からの謝罪文も必要だろう」
「ぐっ……、皆様方、申し訳ございませんでした…………謝罪文は後日にでも……」
「七宝当主は拓巳さんだったかな?」
ルシルの指摘にビクッとする七宝(笑)
「これが原因で数字剥奪されたら、十神のように復権できるとは思わないことだ。七草へ必ず謝罪文を送るように」
「は、はい……」
これにはルシルとリーナ、七宝以外は唖然としていた。
「…………しかしこのままでは蟠りが残るだろう」
おい、何故に蒸し返す? はんぞー君?
(ふっふっふっ(笑))
「はあ〜〜、司波君、どうすればいいと思う?」
「……後腐れなく試合で決めればいいのでは?」
そこでルシルが質問した。
「一高は勝った方が正しいと、それが伝統だと聞いたが、その試合とは決闘という認識でいいのかな?」
明らかに決闘や私闘、タイマンの類にしか聞こえないんだよねぇ。
「そうだ」
ルシルが周囲を見回すと決闘ということを全員認めている。
「決闘は決闘罪という立派な犯罪だが?」
「「「「は!?」」」」
「決闘罪の刑罰は2年〜5年の拘禁刑だ。当事者達、立会人、見学者、場所を提供する側も含めて全て犯罪者になる。経験者も全員犯罪者だね。一高は犯罪者育成校だったのか。転校しようかな」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!?」
「私は犯罪者になりたくないので」
ちなみにこの決定的な証拠もレコーダーに記録してあるとキラッキラ笑顔で告げた(笑)
「待って、天海君!? ……司波君、何か代案はないかしら?」
「……天海君には犯罪行為にならない方法で考えはないのか?」
「何故私に振る?」
「君は法律に誰よりも詳しいと判断したからだ」
「この程度一般常識だろう」
((((いや、それはない!!!))))
ルシルは一つ溜息を吐いてから、
「去年司波達也と服部はんぞーで決闘騒ぎがあったらしいが、貴方達は立派な犯罪者という自覚を持ちなさい」
「「立派な犯罪者……」」
いつでも檻の中に入れてやるよ。服部はんぞーは去年司波達也に敗北するまでは負け知らずだったか? 決闘を繰り返し行った重犯罪者として生涯檻の中、実験体にしてやろうか。
「相手が怪我をしていたら傷害罪や傷害致死罪が適用されてさらに罪は重くなる。司波達也さん、貴方は侮辱されたために決闘に至ったということなので情状酌量の余地はある」
ふっふっふ、服部はんぞー君、顔が青褪めているねえ? 司波達也は内心安堵しているようだが、甘い甘い。
「繰り返す。天海を甘く見るな。生徒会役員、風紀委員などほとんど犯罪者だろう。過去に渡って洗ってみようか?」
「ま、待ってくれ!?」
「お、お願いだから!?」
「……天海君、頼むから穏便に済ませてくれないか?」
司波達也は九重八雲の警告をようやく理解した。この存在は圧倒的権力者であり、機嫌を損ねれば、敵対すれば、自分達兄妹の平穏の場所が日本になくなると……
「あくまでも実技演習での実験競争という形にすればいい。決闘という言葉はタブーにして法律に抵触しないようにする」
「なるほど……、会頭、風紀委員長、自分は天海君の提案、
「指摘だろうが、提案と決め付けるな」
……指摘を支持します」
はんぞー君と花音も頷き決定した。
「それでは七草の双子との演習の後に天海との演習を要求します」
「は? 要求できる立場だと思っているのか? シュラートラウムのお花畑ね。七宝の勝ちでいいから。興味ないし」
寝言は夢の中で言え。
「ふざけるなっ!? 七宝を馬鹿にするのもいい加減にしろ!!」
「これって馬鹿にしていることになるの?」
「「なりませんね」」
香澄と泉美がハモった。流石は双子である。
「全く、まるでダンケルフェルガーのような男だな」
要は鳥頭ということだ。その鳥の巣の頭、モップにしてやろうか。
「……意味がわからないが、馬鹿にされていることは理解できた。勝負しろ、天海!」
「アイファズナイトはみっともないよ?」
男の嫉妬ほど見苦しいものはないよ?
「さっきから意味不明な言葉は止めろ!!」
『グラマラトゥーアとメスティオノーラ、キュントズィールの加護もないと。ダンケルフェルガーに逝ってこい』
言葉と英知、芸術を身に着けてから出直せ。
「日本語喋れよ!? それ、何語なんだよ!?」
ユルゲンシュミット語です(笑)
「……天海君、もう七宝が引き下がりそうにないから受けてもらえないか?」
「七宝、その演習を私が受けて何の利があるのかな?」
「は?」
「私の利、メリットを示せ」
「………」
「何故黙る。では受けることについて条件がある」
全員何やら訝しげにしているが
「演習室の掃除を七宝がやること」
「はあ? ……それくらい構わない」
七宝はミリオンエッジのことかと、その紙片の掃除のことかと頷いた。
「七宝が私に負けたら七宝をザビエルやハゲにする」
吹き出す音が続出した(笑)
「それでいいよね。泉美と香澄も七草を侮辱されたのはそれで許すって」
双子もイイ笑顔で頷いた。
「今から負けるの怖いから止めるって言わないよね?」
「っ!? あ、当たり前だ!!」
「では七宝をザビエルやハゲにするのは泉美と香澄だね」
これが放送されるって、平成って凄いですね