天海ルシルは魔法科高校に推薦入学したのだが、登校しない。
初日の校門前の騒動やブランシュ事件など我関せずである。よって昼休みの生徒会室への呼び出しなど知らない。
初登校のルシル君はスリーピース・スーツにサングラス、校内では白衣を着用しているため、新入生からは先生だと思われている(笑)
カフェテリアでは堂々と喫煙しているため、生徒とは思われていない(笑)
カフェテリアでワイヤレスイヤホンで洋楽……BOWIEを聴きながらカプチーノをお供に一服しているルシル君に影がさした。
「失礼。わたしは生徒会長の七草真由美です。天海ルシル君ですね?」
「人違い。私は山田太郎」
リーナは内心呆れている。
「あからさまな偽名ね!? 天然のシルバーブロンドにきらきら輝くパープルアイズで、全国の山田太郎さんに謝りなさい!」
「偏見に囚われすぎ。そちらこそ全国の山田太郎に謝れ」
ルシルは生徒会長達に囲まれた。
「それで、天海ルシル君?」
「人違いだから」
ぷかーっとバショウ煙草の紫煙を燻らせてカプチーノを一口……至福……
「…………史上初の推薦入学者が入学してから一回もHRどころか授業にも出席してないって有名になってるのよ?」
「ふ〜ん、そうなんだ」
我関せず聖典で読書する。カプチーノの蓋を開けてそこにブランデーをタラリとな。
「…………どこからそのお酒出したのよ……それに煙草も……」
「…………風紀委員長のあたしの目の前でいい度胸してるな」
「風紀委員の役割は不適切魔法使用の取り締まりだろう」
「それでも学生が、」
「これ、ハーブ煙草という薬なので。酒も薬だ。主治医(ルシル)が調合したものなのであしからず。これ以上干渉してくるようなら訴訟沙汰にする」
これで風紀委員長の渡辺摩利は黙った。
「じゃあ今まで休んでいたのは、」
「許可は出ている」
魔法大学公認なのだけど?
「…………わたしは1Aの司波深雪です。何故天海君は授業に出席しないのですか?」
うわぁ、司波深雪、原作通りキモウトになっている。関わりたくない。益々登校したくなくなった。
「リモート認められてるので」
それを確認した連中は目を疑った。
「うそ……、全ての課題実技をクリア済……」
実は魔法大学推薦入学は決定しているし、魔法大学卒業認定されているため、出席も免除されているといった方が正しい。
「くだらないことしている時間はないのでね」
ルシルは気にせずに読書を続けている。そこに司波達也が……
「…………くだらないこととはどういうことだ?」
「一科と二科のまるでおままごと差別?」
キチガイ・サイコパスや性犯罪者に関わりたくない。
「お、おままごと……」
「幼稚すぎ」
ルシルは気にせずに読書を続けている。カプチーノがなくなったところで煙草を消して立ち上がった。そして指を鳴らしてトレイを浮遊させて返却した。
「凄い……」
ルシルはその反応を無視してリーナと一緒にカフェテリアから出ていく。
「ちょっと待って。話は終わってないわ」
ルシルはそれを無視して出ていくのだが、何故か着いてくる……
「ちょっとどこに行くのよ?」
「お昼」
「って、そっち校門なんだけど?」
「外食に決まってるだろう」
「学食で食べないの?」
「美味しくない」
何故か白衣が消えてコートになっているルシル、それに唖然として見送るしかない生徒会長達……
そして放課後……
「天海君戻ってこないってどういうことよ!?」
「ルシルなら帰ったわ」
「はいっ!?」
「……どうやら今日が初登校のようですね」
「それで卒業までの課題実技を全て最高評価で終わらせるってどういうことよ!?」
「魔法科高校史上初の推薦入学者なだけはありますね……」
「本当に同じ人間なのかしら……」
「しかしあいつには致命的な欠点があるな。清々しいほどにやる気がない」
「あぁ……」
「あら、欠点があった方が人間らしいと思うわ。わたしはそういうルシルに惹かれるもの」
リーナは一高の実態を知るとやる気も失せるでしょと内心溜息を吐いて帰宅した。
そして次にルシルが登校したのは期末テスト後で、図書館特別閲覧室に籠り、そしてまた長期休暇に、
「そうはさせないわ!」
「……いきなりなに?」
「一学期の期末テスト後でようやく二回目の登校とか色々言いたいことはあるけど、九校戦の種目何がいいの?」
「興味ないから欠席する」
「は、はぁぁぁぁああーーーっ!???!!」
五月蝿いなぁ
「日本の魔法師学生3,600人くらいのニッチなしょっぼい規模の競技でしょ。威信とか意味不明なんだけど?」
「お前っ!? 馬鹿にするのもいい加減にしろ!!」
「事実を指摘されたら逆上すると。幼稚園児か」
「ふっ、ふざけるなーーーっ!?」
大真面目だけど? 鬱陶しいなぁ。テレキネシスでくくいっとな。
「!?」
あふぉは窓ガラスを突き破り外に落下してしまった。ここ三階だけど、魔法師ならすぐに治癒してくれるでしょう。
「……一体何をしたんだ?」
「魔法使用の痕跡ないだろう? 頭のおかしい自殺志願者なのかな?」
「確かにサイオンセンサーは検知していませんが……」
犯人は明らかにお前だろうと失礼な疑惑の視線が……
パチンッと指を鳴らし、窓を修復しておいた。
これにも全員目を瞠っている。
「ということで、私は興味ないし、忙しいから」
ルシルはリーナと一緒に帰ろうとしたところで……
「ルシルさん、久しぶり」
「雫? 一高だったの? 少し大人になったかな」
「え、そ、そう?」
「大人の魅力、片鱗が出てきたね」
ルシル君のリップサービスに雫は赤く染まり、俯いてしまった。
「……あ、ありがとう……。忙しいって夏休み何か予定あるの?」
「別荘でバカンス」
「それ、忙しいって言わないわよね……」
「私は勤労学生なので、休暇は必須だろう。それに虚弱体質なので」
妹のアンナが(笑)
「確かに身体弱かったよね」
ルシル本人がとは言っていない(笑)
「じゃ、じゃあエンジニアでの参加は、」
「だから休暇だと言っている。ハードスケジュールは耐えられない。殺す気か?」
「真由美、本当に身体が弱いから無理よ」
「それなら二種目くらいで、」
「無理。以前から決まっていた家族旅行でもある。妹達に嫌われたくない。どこぞのようにネグレクトを強制するなら訴えるぞ?」
真由美達は渋々とだが引き下がった。四葉と七草のことだよ? 身に覚えがあるだろう? ぷーくすくす(笑)
「この先夏休みは毎年バカンスと決まっているので、あしからず」
「そんなっ!?」
そしてまた長期休暇に突入だ。立ち去ろうとしたところで……
「おいっ、待てっ! 俺に一体何をした!?」
……顔面切り傷血塗れの不審者がぜーぜー息を吐きながら物凄い勢いでこちらに駆け寄ってきた。
「ちょっ、はんぞー君、その怪我大丈夫なの!?」
「……誰、あの不審者?」
「生徒会の副会長だ。さっき窓から落ちた」
「あぁ、さっきの自殺志願者か。自殺失敗したんだ。もう一度逝ってきたら?」
「ふっ、ふざけるなっ!?」
「五月蝿いなぁ」
また窓を破り飛び降り自殺が、その後も何度も続いた(笑)
「…………」
…
…
…
…
「ふっ、ふざけるなっ!? お前が何かしたんだろうが!?」
「証拠は? 冤罪で訴えるぞ?」
「服部君、サイオンセンサーは検知していません」
「でっ、ですが、こいつが何かしたに決まってます!!」
「頭が可笑しいのか? 耳が遠いのか? 目が悪いのか? それとも全てか? 冤罪で訴えると言っている。天海家を甘く見るなよ?」
月読でガチムチ・ブーメランパンツ軍団にヤられる幻術に(笑)
すると絶叫してのたうち回っている(笑)
「…………今度は何をしたんだ?」
「頭のおかしい精神病でも患ってるんじゃないの?」
明らかにお前が何かしたんだろうと視線が集中しているが、証拠はないよね(笑)
「怒鳴られたから頭が痛くなってきた」
ルシルは煙草に火を着けて一服する。リーナはルシルのことが心配で周囲を威嚇している。
「ルシルさん、大丈夫?」
「帰る」
「ルシルさん、付き添うよ。会長、ルシルさんが心配だから早退します」
「え、えぇ、お大事にね……」
ルシル君とリーナ、雫は帰っていった。
三分後、目から光が消えたはんぞー君は完全にレイプ目になって泣いていた(笑)幻術月読で72時間ガチムチ・ブーメランパンツ軍団にヤられたからね(笑)
後日事情聴取しようとしても本人は青褪め((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルになり黙秘を貫くことになるという……
翌日、リーナと雫は生徒会室で天海ルシルの事情について説明することになったのだが……
「わたしはルシルの護衛兼婚約者よ」
「わたしもルシルさんの婚約者です」
「はい? 複数人娶るのですか?」
「それが優れた魔法師の義務じゃない」
「リーナさんと北山さん、婚約者がいたのね。それで、勤労学生って何か仕事をしてるのかしら?」
「とある会社を経営しています。どのような会社なのかはプライバシーですから」
「経営者なら忙しいのも当然ね……」
「身体が弱い、虚弱体質というのは?」
「軽い紫外線アレルギーが原因で、日射病や熱中症にすぐなり運動はまず無理ね。倒れるわ。それで寝込むことになるのも珍しくないもの」
妹のアンナは(笑)
「ピラーズブレイクなら帽子で、」
「無理です。その程度では防げません」
不可視光線フィルターという手もあるが、普通は競技をしながら併用する程スタミナは保たない。ルシル君は余裕だが(笑)
「それは九校戦はまず無理だな」
「先日のような怒鳴り声や騒音の類は頭痛を催すために薬が処方されているわ」
言葉って魔法ですね(笑)
「エンジニアも無理だな」
「天は二物を与えずとはいうが、あれは正にそれか」
「これはマナー違反になるけど、一体あれはどうしたらあのようなことになるのかしら?」
「ルシルさん曰く、昔から不愉快に思うことや危害を加えられそうなことがあると、あのような現象が起きると。守護霊でも憑いてるんじゃない?って」
流石はルシル君、超適当ですね(笑)
「守護霊って……」
「しかしあの現象はあながち否定できませんね」
「ルシルさんに対するあのような激昂や怒鳴り声などは傷害罪にもなりえます。あれは天海家からの警告。副会長は自業自得です。次はありません」
雫の目の座った態度に隣にいるほのかは首を縦にコクコクと振っている。
「それから義務のないことをさせたりすることは強要罪にもなるって、三年以下の懲役が課せられる重い罰だってルシルから伝言されてるわ。本気で訴訟沙汰にしてもいいのよ?」
リーナの目も座っている。
「はんぞー君、反省しなさい」
「はい……」
青褪めたはんぞー君が愉快だな〜〜
「リモートが認められるのも納得ですね……」
「あぁ、まず普通に登校などできないだろうね」
深雪と達也を始めとして、ルシルに同情的になった。
「あの指を鳴らしたら窓が修復されたり、指の先に火が着いたり、はどういったものなのかしら?」
「便利な妖精さんが憑いていると」
「なにそれ、羨ましいわね……」
「羨ましいですね……」
「あれだけのことができるのなら引く手数多だろうな」
「それから、わたしと雫も九校戦を辞退するわ」
「えっ、リーナさんと北山さんまで!? どうして!?」
「わたしはルシルの護衛兼婚約者だもの」
「ルシルさんは母子家庭で妹姫達のお世話もありますから、そのお手伝いに、わたしも天海家の別荘で過ごすことになりました」
雫の『妹姫』という表現に天海家は相当な名家なのだろうと誰もが察した。
「それなら仕方がないわね……」
「婚約者を優先するのは当然だな……」
そこで雫からほのかに視線で促されて……
「会長、申し訳ないのですが、わたしも辞退します」
「光井さんまで!?」
「わたしは将来天海家にお仕えすることが決まっていますから。紫外線対策も兼ねて、わたしも天海家の別荘に同行します」
「そんな〜〜 主力選手が四人もいなくなるなんて……」
完全に当てが外れて涙目になる真由美は気の毒だが、仕方がない。
「…………ほのかは紫外線対策として、というのは納得だけれど、雫がお世話する必要があるのかしら?」
「婚約者として当然」
「そ、そう……、北山家のご令嬢の婚約者になる、別荘がある、名家なら使用人もいるはず、」
「ルシルさんのお世話はわたしの、婚約者の権利」
「そ、そうなのね……」
「邪魔しないで」
雫の気迫に全員、黙らせられた。
この織地の雫とほのかは司波達也に惹かれていない。ほのかのエレメンツ依存因子はルシル君に消されている。九校戦はルシルから予め警告されていたため、辞退することにしたのだ。疑似キャストジャミングによるテロ行為やブランシュ事件、学校の試験結果、司波達也エンジニア就任などの予言が次々と的中していくことに恐怖した。自分達は犯罪者になりたくないからと、司波達也に『のぞき』されたくない、関わりたくないから辞退したというのもある。
ボラボラ島でルシル君はリーナと雫を始めとした婚約者達とプライベート・スイートバンガローのプールで全裸で満喫していた。
雫が九校戦についてチェックしたところ……
「スピードシューティングでエイミィが散弾型不可視の弾丸インビジブルブリッドを使用したって」
人喰い熊などなら問題無いのだけどねぇ
「これ、狩猟で散弾のマシンガンを使用するようなものだろ。獲物がグチャグチャになって狩猟成果なくなるよね。完全に戦場扱いしてる。やはり奴は頭おかしいな。銃刀法では散弾銃は18歳にならないと所持はできない。散弾銃に必要な第一種狩猟免許も持っていない。クレー射撃でも散弾銃は18歳〜しか許可されない。完全に違法だ」
原作では来年使用される魔法兵器だが、一年早まったか。
「まさか本当に生命を馬鹿にする行為をするなんて……」
ルシルは九島烈に連絡して理由を説明して、エイミィを失格にさせた。一高に待っているのは雷の女神フェアドレンナだ。謝罪と反省のためにエイミィにはピラーズ・ブレイクを辞退させる。司波達也は九校戦に二度と関わらせない。というよりも退学処分だ。檻の中にしてやる。
◇◇◇
九校戦会場にて九島烈から呼び出された一高首脳陣と司波達也、明智英美は何故呼び出されたのかわかるか確認された。
「明智さんのスピードシューティング失格についてでしょうか?」
「何故失格になったのか説明がありませんでしたが……」
「それを放送できると思うのかね? あれは違法行為であり、放送されると反魔法師主義者などに徹底的に叩かれることになるのだよ」
「違法、ですか?」
「明智英美君は狩猟部だそうだね」
「は、はい……」
「狩猟部では銃の所持について講習はないのかね? 散弾銃の所持は18歳〜しか認められていないことを説明されなかったのかな? 銃刀法違反になるのだよ」
「あっ……」
「しかもあの魔法兵器はまるで散弾銃のマシンガンだ。戦場と勘違いしていないかね? スピードシューティングはクレー射撃の魔法版だ。クレー射撃の起源は狩猟訓練なのだよ。あれで獲物はどうなると思うかね?」
一斉に青褪める一高……
「明智英美君とあの魔法兵器の開発者の司波達也君は生命を馬鹿にしている。これを放送したらどうなるか想像できないのかね?」
「もっ、申し訳ございませんでした……」
ルシルの通達通り明智英美は辞退、司波達也の九校戦は終了した。
◇◇◇
ボラボラ島から奴の精霊の目を封印してやった。【円】の範囲内MAP検索してから文珠で封印、余裕余裕。
時計塔暗部猟犬部隊ヴォルへニールにより司波達也は連行された。四葉など所詮井の中の蛙だ。
この処分に司波深雪は激昂したが、自業自得だろう。
「凄い。深雪、インフェルノやニブルヘイムを……」
まるで鬱憤を晴らすかのようだな。
「全部ルシルさんの予言通りだね」
「本当に司波達也は『四葉』だと隠すつもりがあるのか? 一般人がA級魔法をプログラミングできる訳がない。目立ちたがりのただの馬鹿だろう」
「そうよね」「だよね」「ですよね」
リーナだけではなく、この織地の雫とほのかは辛辣である。キチガイ・サイコパス疫病神司波達也には関わりたくないと。
ルシル君は帰国後、九島烈と国防陸軍蘇我大将を脇に控えさせて佐伯と風間を呼び出した。
「閣下、大黒竜也特尉が収監されたとのことですが、彼は我が国の戦略級魔法師であり、それは損失です」
「もう既に奴は無力化された」
「!?」
「奴は犯罪者なのでね。貴様等もだぞ?」
「我々が、ですか?」
何キョトンとしてるんだよ。自覚もないとは性質悪過ぎだ。
「四葉の立場を認められていない、一般人だと奴は公言していた。二十八家や百家でもない限り少年兵は違法だ。戦略級魔法の使用許可も貴様等が出すものではない」
ルシルは遠当てで浸透勁を放ち、佐伯と風間は全身から血を吹き出して高みに上がった。
「…………御前様、一体何を……?」
「さあ? 何か性質の悪い病気なんじゃない?」
ということでルシル君の消失呪文エバネスコで闇に葬られた。
ルシル君は二回目の夏休み明け、気まぐれで登校した。図書館特別閲覧室に籠っていたところ、司波深雪が訪ねてきた。カフェテリアに移動してお茶を飲みながらなんの用件か確認したところ……
「天海君、お兄様の居場所をご存知ありませんか?」
「何故私に尋ねる?」
「リーナと雫、ほのかと一緒に海外の高級プライベート・リゾートに、ボラボラ島などに滞在していたと聞きました。魔法師の渡航は制限されているのに、天海家にはそのようなものは関係ないと。九重先生からも天海家の逆鱗に触れることだけはしないようにと警告されています。それほどの権力者なのではありませんか?」
権力者であることは否定しないがねぇ
「お願いいたします。わたしにできることならなんでもします」
「司波さんにしてもらいたいことは何もない」
「お願いいたします。本当になんでもします」
土下座された。ちょっと、即座に認識阻害を使った。周囲の目もあるのだから勘弁してくれ。
「居場所を知ったところで『四葉』でも会えないよ?」
「!? ……わたし達の素性をご存知だったのですか……」
「君には深夜さんの面影がある。旧姓四葉深夜。それに十師族の真由美さんを超える魔法力。本当に素性を隠しているつもりなのか? 津久葉夕歌さんは上手く擬態していたのに?」
「……………………そこまでご存知なのですね…………それ程の権力者ということはお兄様の居場所をご存知でしょう。お願いいたします。本当になんでもします」
ルシルは溜息を吐いてからどうしたものかと少し考えてみた。
「…………ディオーネー計画を知っているかな?」
「? いえ……、寡聞にしてそのような計画は……どのような計画なのでしょうか……」
「USNAはNSA所属エドワード・クラークの金星テラフォーミング計画だ」
「……それとお兄様にどのような関係があるのでしょうか……」
「彼はその計画に参加した。既に地球の外だ」
「そんな……!?」
実は月の裏側地下の監獄兼研究所に収監して火星テラフォーミングを研究させているといった方が正しいのだが、怒りの矛先をUSNAに向けさせる(笑)
「彼はやり過ぎた。彼の戦略級魔法質量爆散マテリアルバーストは危険極まりない地球破壊爆弾同然だ。無自覚にテロ行為をして犯罪行為もする。世界中から危険視されたのさ」
司波深雪は黙った。そこにリーナが現れた。
「ルシルー? って、深雪なんで土下座してるのよ?」
ルシルはリーナにカクカクシカジカ説明した。
リーナはまるまるウマウマと。
「あぁ……、達也、そんなことになってたのね」
「じゃあね、司波さん」
ルシルは席を立ち、リーナをエスコートして帰っていった。
「あっ……、」
ルシルに縋るように手を伸ばす深雪だったが、華麗にスルーされた。
リーナは深雪を心配そうに振り返っていたが我々にできることはないだろう。
「ルシル、深雪を放っておいていいの?」
「最愛の兄がいなくなったんだ。下手な慰めは効かないだろう」
天海家に帰宅してから、リーナに「ルシルのことだから深雪を抱いて慰めると思ったわ」と……
勘弁してくれ。原作通りのキモウトに欲情などできるか。キモウトはなんというか作り物めいていて気持ち悪いんだよね。流石は完全調整体だ。キモウトでは完全とは程遠いと思うが。
原作も、司波達也も理解できないよ……
前世クラッセンブルクのお姫様のように愛し合ってからポイ捨てするかとも考えてみたが、キモウトは鳥肌物だから止めておいた。
「落ち込んでる女性の隙につけ込むような真似はしない」
「流石はルシル、紳士ね」
いえ、エロ賢いだけです(笑)
後日ルシル君が登校したところ、リーナと雫との外食に深雪も着いてきた。適当なイタリアンに入り、注文が届き遮音結界を張ってから何か用でもあるのかと確認したところ……
「ルシル様になんでもすると約束したからです」
はい? 開心術レジメリンスで探ってみたところ……、四葉真夜から私に嫁げと命令された? 四葉としては精神干渉系魔法に四葉以上の適性のある私の遺伝子が欲しい?
勘弁しろください。四葉は夕歌だけで十分だ。キモウトはノーサンキュー
「ルシル様は重婚が認められているのですよね」
「認められているが、君の最愛は司波達也だろう」
「それは……、」
「私では君の兄の代わりにはならない。九校戦の後夜祭で一条将輝と踊ったのだろう? 君に見惚れていたという情報がある。なんでもするのなら、一条将輝と婚約してくれ」
「それは、ルシル様のためになんでもするということにはなりません……」
「深雪、それがルシルのためになんでもすることになるのよ」
「深雪、ルシルさんになら嫁いでもよくて、一条君は何故駄目なの?」
「それは……、」
「四葉の命令か」
「!?」
「愛のない結婚は御免被る。君が私を愛してくれるとはどうしても思えない。君が愛しているのは君の兄司波達也だ」
「…………ルシル様を愛してみせます」
「信用できない。君には禁忌の近親相姦願望があるだろう?」
「!?」
「深雪……、それは……」
リーナはドン引きして、雫は絶句している。
「完全にタブーで、世間からも忌避百眼視される、気持ち悪い行為だ」
前世ユルゲンシュミット王侯貴族仕様の異母兄弟姉妹となら結婚できるというのもドン引きしたが、このキモウトはガチだからね。
ユルゲンシュミットではマリアンジェラに働きかけて異母兄弟姉妹との結婚は原則禁止された。遺伝子が狂う原因だからね。例外は婚約者が見つからない場合などだ。
「…………」
「そのような危ない思想を持っている女性を愛することはない」
近親相姦は物語だけにしてくれ。
あ、これそのマジキチ物語の世界だったか。
司波深雪に黒視蝶をぶち込み、ブック・オブ・ジ・エンドで司波達也への想いを消しておいた。キモウトと結婚するなど、流石にスマッキーが可哀想だろう。
その後、深雪は原作通り一条家から婚約を打診され、四葉真夜の命令で婚約した。
司波達也は月の低重力環境で身体を壊し、再成できないため、寿命が縮まり若くして高みに上がることになった。
完
オエッ