剣術部と剣道部の争いで桐原が達也に拘束された事件の報告で十文字克人と真由美、摩利、達也のいる部活連本部にとある人物が入ってきた。
「おいおい、十文字次期当主殿、七草のお嬢様、犯罪行為の隠蔽は感心しないね」
「!?」
「寿和さん!? 何故貴方が……!?」
恋人の兄の登場に驚愕を顕にする摩利に対して千葉寿和は肩を竦めた。
「警察省の千葉寿和だ。通報があってね。殺傷性ランクB 高周波ブレードは銃刀法違反、殺人未遂で完全に犯罪だ」
「それは……」
いや、本当に頭大丈夫なの? 何故に無罪放免になる?
「それから司波達也君と渡辺摩利君に警告だ」
「……なんでしょうか」
「司波達也君のキャストジャミングが原因で、無関係の狩猟部などで倒れる生徒が続出したそうだ」
「!?」
「司波はアンティナイトを持っているのか?」
「いえ、あれはキャストジャミングもどきですが、」
「お前、ふざけんなよ? その程度警察が把握してねえと思ってんのか? 随分とおめでたい頭してんな?」
「!?」
「お前、疑似キャストジャミングのことを敢えて報告しなかったな?」
「それは、この技術が広まると社会の基盤が揺らぎかねない、」
達也の言い訳を寿和は鼻で嗤った。
「だからふざけんなと言っている。お前みたいな特殊な目の持ち主にしか使えない」
「…………」
「アンティナイトの所持が規制されてる理由を考えたこともなかったのか? 完全にテロ行為だ。今回は自衛目的のため見逃すが次はない」
「はい……、申し訳ございませんでした……」
「疑似キャストジャミングを使用したCADを渡してもらおう」
二つのCADは押収された。
「疑似キャストジャミングはお前の異能ありきだが、警察を甘く見るなよ? 学内の風紀委員の警察権はともかく、検察と裁判長は学生が担当することではない」
千葉寿和の警告に達也達は目を瞠った。
「お前ら、あの老害ジジイに毒され過ぎだ。糞餓鬼が、勝手に判断してんじゃねえよ」
「!?」
「俺達警察も暇じゃねえから都度通報されても迷惑だが、お前らのするべきことは警察に通報することだ。俺は何か間違ったこと指摘してるか?」
「いえ……」
達也たちは反論もできない。
「談合癒着、お前ら反社会勢力の類か?」
「…………」
「そんだけお前らは危険視されてるってことだ」
「…………」
達也たちは沈黙するしかない。
「渡辺摩利君には、このような玄人向けのエキスパート仕様のCADを二つも、何故、どのような魔法を使うのか確認を怠った罪がある。テロ行為を容認したのも同然だ。必ず確認するように。お前も次はない」
「はい……、申し訳ございませんでした……」
「十文字次期当主殿、七草真由美嬢、犯罪行為隠蔽の件、上は相当お冠なんだけどねえ? 十師族は法律を無視する、国を舐めるのも大概にしろよ?」
千葉は警察の権力としては十師族を超えるのだ。その事実を再認識した克人と真由美達の肝は冷えた。
「……申し訳ございません……」
「……俺は母校だからといって愛校精神の欠片もない。上は見せしめに一高を潰す気満々だ」
「「「「!?」」」」
「未成年の裁判所ごっこもいい加減にしろ。それだけお前等は危ういって心がけとけ」
「はっ、ご忠告感謝いたします……」
ということでハラキリは逮捕された。
帰り道に喫茶店アイネブリーゼに立ち寄った達也達は達也の活躍で盛り上がり深雪が自慢気にキャストジャミングのことを明かしたのだが、達也は苦虫を噛み潰した表情になった。
「? お兄様、どうかされましたか?」
達也はキャストジャミングもどきで倒れる生徒が続出したこと、あれは完全にテロ行為であること、高周波ブレード所持使用は銃刀法違反で殺人未遂であり、桐原が逮捕されたことを教えた。
深雪の顔は凍りついた。
「テロ行為……」
「和兄貴が来ていたの!?」
「あぁ……、次はないと厳重注意されたよ…………キャストジャミングもどきを使ったCADは押収された」
「…………ですが一体誰が通報したのでしょうか…………お兄様のキャストジャミングを一目で見抜くだなんて……」
サスオニどころではなくなった。いや、本当に貴様等馬鹿だろ。テロリスト行為を自慢するとは完全に反社会勢力だろうが。
司波深雪、貴様も頭が可笑しいだろ。沖縄でキャストジャミングくらっているのに、兄がキャストジャミングするのを自慢するのはこれ一体どういうこと?
自分達がされるのは許せなくて、自分達がする分には問題ないと? 都合のいいダブルスタンダードがあったものだな?
「……倉橋さんか?」
「いえ、リーナは今日は実家の都合ということで休んでいました」
深雪の証言に、達也は一高には警察や公安のスパイが多数潜入しているのだと判断した。本気で一高を潰す気だと……
「…………政府は正気なのか? いや、十師族などものともしない体制を整えた……?」
二十八家及び百家解体間近のため、間違ってはいない。
「お兄様……?」
「いや、これは一高への政府からの警告ではないのかと思ってな……」
エリカ達はキョトンとしている。
「…………政府は十師族を切り捨てる準備もあると見るべきだろう……」
「え……、流石にそれは……」
「別に政府が十師族を切り捨てる軍事力を整えたからってあたし達に関係ないじゃない」
エリカの反応に達也と深雪は黙るしかなかった。
お前ら四葉だと名乗ることできないからねえ? お前ら四葉が国民の血税でこれまで養ってもらっておいて、教育してもらっておいて、それを否定する、反逆するなど売国奴そのものなのを理解してもいない、頭の片隅にもないだろう?
ああ、そういうことか。司波兄妹は売国奴そのものだ。
四葉真夜には同情するが、司波兄妹、貴様等は別だ。悲劇のヒロイン気取りも大概にしろ。貴様等の悲劇のヒロイン妄想気持ち悪いんだよ。
時計塔にてルシルは千葉寿和から司波達也に警告釘刺ししてきたことについて報告された。
「御前様のおっしゃる通りの糞餓鬼ですね、あれは」
千葉寿和が押収してきた二つのCADを夕歌に見せた。
「わたしが寄贈したものですね……」
「沖縄で妹や母親、ガーディアンがキャストジャミングの被害に遭っていたのに、本当に考えが足りませんね」
響子も呆れている。
「というかあれは頭のネジが何本も抜けてるキチガイだろう」
「御前様、私の警告釘刺しでも足りませんか?」
「あれは人間的に何かが可笑しい。またやらかすだろうね。寿和さん、これは報酬」
三百万のマネーカードを渡した。この報酬は危険手当も含む。あのキチガイ・サイコパスを相手にするのだからね。
「それで響子さんとデートしてきなさい」
「ありがとうございます!」
この織地では響子と寿和はお付き合いしている。さっさと結婚してください。
「御前様、孫娘のために本当にありがとうございます」
「烈爺は気にしなくてもいいけどね。それが人の上に立つものの義務だから。問題は司波達也を始めとした現代魔法師だ」
「はっ、確かにこれは問題しかありませんな」
ミュータントとして排斥されてもおかしくない。
「奴がやらかしそうなこと」
ルシル君が九島烈に差し出したリストに……
「……………………これは、指摘されなければ気付きませんな……」
烈にはルシルには予知能力があることは説明してある。聖典 全知の書があるから嘘は言ってない。チートが過ぎるのでほとんど使うことはないが。
「それだけの知能犯なのかな?」
「……ルールに載っていないからと、道徳や倫理に、法律に反する異常者にしか思えませんな……」
「これ、やらかそうものなら、対処は警察と公安でも無理があるよね。指摘されたら炎上確実だ」
「……公になろうものなら、確実に…………公安による未然防止にも限度がありますからな……」
「奴が九校戦でこのようなことをやらかそうものなら、即座に理由は告げずに失格にしてね」
「かしこまりました」
司波達也、ケチョンケチョンにしてやるよ。
「しかし彼の戦略級魔法はUSNAやUKからも問題視されますな……」
イギリスなんて呼び方しているのは日本だけだ。時計塔ではUK、ブリテンと徹底させている。
「私はUKミュージック大好きなのだけど?」
「御前様、そういう問題ですか?」
そういう問題じゃないかな? 私はBOWIEやWELLERなど大好きだからね。WELLERはマイナー中のマイナーなのかな? JAM, THE STYLE COUNCIL……WELLER、苦労人で日本から逆デビューってどんだけ……
まあ、電圧の違いもあるのだろう。日本は電圧低いから惹かれないという? そう考えると収録する電圧の違いだというのも納得するんだよね。私が前々世で好きな、知っているミュージシャン、日本人ほとんどいなかったし。
『おまっ、それ、ファンが知ったら殺される案件(笑)』
『仕方ないじゃない。EXI◯E? 知らないよ。日光のお猿さん?』
『先輩、流石にそれはヤベえっす!』
『大丈夫、私は帰国子女だ。猿を知らなくとも許される』
『EX◯LEを猿扱いなんてお前くらいじゃねぇか? 今度◯◯◯◯の番組行こうぜ』
『? なにそれ、有名なの?』
『◯◯◯◯知らねえ日本人初めてだよ!?』
基本的に芸能人興味ないからね。
IF シルバーホーン
千葉寿和が司波達也にそういえばと……
「司波君のCADを持ってきてくれ」
「? はい」
達也がCADの入ったケースを持ってきて、寿和が中身を確認してから押収した。
「一通り検査してから問題なければ返却する」
「!? それは……っ、」
「あのシルバーホーンのカスタマイズ・モデルに複数のストレージ、一般人が持つには不自然だからな」
お前、十師族じゃないんだろ? 一般人の家庭なら秘術秘匿の問題はないから当然了承するよな?
「…………」
「また無自覚にテロ行為されても困るんだよ」
達也は内心冷や汗ダラダラだ(笑)軍事機密指定の術式解散や雲散霧消、トライデントなどがインストールされているのだから。
達也はこれはマズイことになったと、どうしたものか思い悩むが、八雲からは破門され、九重寺に頼ることはできない。黒羽の双子に頼むことになれば、今回の件が叔母に知られて弱みを握られる。千葉寿和暗殺を考えたが、真由美や克人達の目もあり無理だ。もうやむを得ないため、叔母に連絡したのだが……
『警察省ねえ。しかも千葉の御曹司に押収された、と』
「はい……」
『警察省は千葉家の縄張りです。もしものことを考えると黒羽に依頼する訳にもいきません』
「…………」
『警察の検査結果を、首を洗って待つことですね。完全に達也さんのやらかしの結果なのですから』
「はい、申し訳ございませんでした……」
後日達也は主に銃刀法違反で逮捕された。目を封印されて檻の中だ。四葉は達也を切り捨てた。
これに焦った国防陸軍101旅団独立魔装大隊から佐伯と風間が警察省と交渉しようとするも、ルシル君に闇に葬られた。
檻の中は表向きの話であり、本人はシュミル型ジェネレーターにされた。キチガイ・サイコパスに自由意志など不要だろう。
IFは瞬殺した場合です
感想大歓迎します!