期末試験では……
「リーナ、ルシル様は登校しないのかしら?」
「ルシルにそんな暇はないわ」
「え……、でもそれは流石に、」
「ルシルは試験免除されてるから安心して」
「一体どうすれば免除されるのよ……」
「お金で解決できるとは思えない」
「一体どんな手を使ったのか気になるよね……」
魔法大学卒業認定です(笑)
期末試験後、気分で一高図書館特別閲覧室を訪れたルシル君を、昼休みにリーナと一緒に深雪、真由美、鈴音が訪ねてきた。
昼は外食でスペイン・バル気分だけどそれでもいいならということで付いてきた。
「ルシル様、わたしはスペイン・バルは初めてなのですが、楽しみです」
「わたしもパエリアやハモンセラーノくらいしか知らないわね」
「昼は外食というのも初めてです」
店に入り全員の注文が届いてから遮音結界を張った。
「で、話って何?」
食前酒のシェリーが至福。小皿料理タパスのハモンセラーノとチーズ、トルティージャ、ピンチョスをお供に。
「ルシル様は九校戦競技何が、」
「私とリーナは海外リゾート・バカンスだから出ない」
「そんな!?」
リーナ以外は目を瞠っている。自由参加でしょ。
「ルシル様とリーナさんなら本戦でも優勝狙えると思っていたのに……」
「ルシルが出場したら完全に弱いものいじめよ。心が折れて魔法師生命絶たれるんじゃないかしら」
「…………例えばどうなるか聴いていいかしら?」
「スピードシューティングなら相手の魔法力を封印して指弾で完封。クラウドなら相手コートでボールは全て破裂。ピラーズなら開始直後に氷柱消滅。バトルボードならゴールまで直通水路を作って独走。モノリスなら開始直後にモノリスをハッキングして終了」
氷柱は消滅というよりも、インベントリに収納だね。そして収納した氷柱を大亜や新ソ連などの敵国官公庁や軍事基地上空に落とす(笑)
「もうライフはマイナスよ!?」
「完全に弱いものいじめそのものですね……」
流石の鈴音ですら引きつっている。
「私には弱いものいじめをする趣味はない」
「わたしはルシルと一緒に過ごしたいから」
メンタルアウトでエンジニアに指名されないようにしておく。もう面倒くさい。
「ルシル様、魔法師の渡航は制限されて、」
「天海家と時計塔にはそのようなもの関係ない。時計塔海外支社やリゾートとエアカーでいつでも自由。各国との密約でパスポートも要らない。税関? 何それ、美味しいの?」
実際は転移門ゲートだが
「羨ましいですね……」
時計塔海外リゾートはどこにあるのか……
グアム、サイパン、セブ島、パタヤ、バリ島、ランカウイ、ボラボラ島、ニューカレドニア各地、モルジブ、ガラパゴス諸島、キューバ、地中海各地などと数えていったところ全員羨ましそうだ。
海南島やタスマニア島、ハワイなどは異界化してあるから秘密だ。
「資源販売してくださいって献上された」
「それで生活が厳しいというのは過剰表現ではありませんか?」
性活だからね。
「人それぞれ価値観異なるからね」
「それはそうですが……、そういえばご先祖様が江戸時代に国外修行されていたそうですね」
「ああ、長崎の出島で幕府の役人やオランダ商館長カピタン、オランダ商船船長を洗脳して、船では毎日毎晩接待されていたみたいだね」
「また凄い魔法の使い方ですね……」
ローマで異教徒異教徒五月蝿いため、神父やシスターを磔にしたり、夜な夜な法王の顔面に『ぶりぶりぶしゃあっ』したりと愉快なご先祖様である。
『エセ宗教が、だったらキ◯ストが神だって証明してみろ。神の奇跡起こしてみろよ。私は強いていえばラーメンは豚骨魚介醤油派教徒だ(笑)』
『ふ、ふざけるな!』
『大真面目だ。もう一発いくか、ゴンザレス十三世』
『BOW WOW !』
フレンチブルドッグのゴンザレス十三世がニヤァッとして法王の顔面に下痢糞をぶりぶりぶしゃあっとな(笑)
『ぎゃあああああーーーーーっ!??!?!?』
一体このご先祖様は何者なのだろうか
それはともかくとして
「それから、飛行魔法CADと完全思考操作型CADの提供も断る」
この釘刺しに私とリーナ以外は目を瞠った。やはり狙っていたか。101で司波達也に解析複製させようという狙いもあるのだろう。
「あれをモノリスやミラージなどで使ったら反則だろう。ルールに載っていないからといってやっていいとはならない。それに使ったら絶対に大会運営委員が煩いことを言ってくる。技術の国外流出防止の為にも提供はしない」
「でも使えるものは使わなければ、」
「一高がもしも仮に飛行魔法CADを使用したとしよう。他校から一高はズルい。我々にも提供しろと圧力がかかる。大会運営委員も提供しろと言ってくる。九校戦は軍事色が強いため、国防軍からの来賓も多い。国防軍はFLTのトーラス・シルバーに解析複製を依頼するだろう」
深雪を見たところ、本人がビクッとしたのを見逃さない。
「それを見逃せと? 断る」
これで真由美と深雪も黙った。
「他国に流出しようものならこちらは誰が相手でも訴える。絶対に売国奴は許さない。十師族でも破滅させてやる」
「わかりました……諦めます……」
「それから、完全思考操作型CADだが、未成年の使用は天海家倉橋家時計塔関係者以外はお勧めできない」
「それは何故ですか?」
「深雪には以前言ったことがあったと思うが、特に汎用型CADは頭が馬鹿になりそうだ」
その理由を説明したところ、誰も反論できない。
「その上完全思考操作型CAD? 人間楽ばかりしていると、苦労を知らないとろくでなしにしかならない」
私? 前世では貧民転生だったからね。苦労人だよ。
(それは詐欺だ)
(お兄様、それは詐欺です)
あの不潔不衛生極まりない環境では絶対高みに上がると確信したからね。念能力の【発】インターネットで確認したら案の定一年保たずに高みに上がると知ってもう必死だった。
(アバターや祈りと感謝の指輪、シュタープ、グリモワールなどルシフェリアは楽をしたいだけだろう)
(そうです、貧民に謝罪してくださいませ)
ふっ、外野が煩いが、気のせいだ。
「入学初日とか高周波ブレード事件とかね」
「うっ……」
「少し考えてみようか。バタフライナイフなどを持ってる少年を、町中でそれを刃むき出しで見せびらかしている姿を見てどう思う?」
マフィアや極道でも素人には普通は見せない。そのようなキチガイ相手なら別だが。
「…………危ない人よね……」
「そうですね……」
「そういうこと。所持しているだけで、あいつは頭が可笑しい、近寄るな、となる。CADも同様に。結果、現代魔法師のイメージは悪化する」
実際に2,020年以降だったかな? それ以前もあったと思うが、ナイフを持つ少年が報道されて社会問題になっていた。それと同様だろう。誰もそのようなすぐにキレる、頭が可笑しい危ない人に近寄りたくもない。
「わたしもルシルのように思うわね」
前世ユルゲンシュミットの原作『本好きの下剋上』では貧民の幼子は親から下町の森での薪や食料採集のためにナイフを贈られるのが仕様で、あれを【発】インターネットのコミックでだったかな?確認した時はドン引きしたが、そこは中世ヨーロッパ風異世界だから仕方がない。そうしないと生きていけないという事情もあった。
トゥーリやマイン達は誘拐されかけた、トゥーリが人質になった時でもナイフを使って犯罪者を攻撃することはなかった。
中世の幼子にすら、この世界の現代魔法師は道徳倫理的にも劣っているだろう。素材採集ではないから持っていなかったのかもしれないが、あの子達は絶対に刃物を人には使わない。下町では鉄拳制裁が常識というのもあるかな。
「CADはナイフよりも危険な武器だ。それを自慢気に一般人に見せたとしたら? 私が一般人なら脅迫されてると思う」
真由美達は一斉に青褪めた。
「おい、銃型なんかもろだろ。完全に銃刀法違反だ」
「( ゚д゚)ハッ!」
「その教育を一高でも取り入れるべきですね」
「市原先輩に同感です」
「そのくらい入学式の時に注意喚起しろよと思う。あの老害ジジイ」
「確かにそれを指摘されると……」
「老害ジジイね」
「老害ジジイですね」
おお、市原鈴音ノリいいね。褒めてつかわすぞよ。
「反魔法師主義者の中にはそのようなキチガイ被害者もいるかもしれないね?」
「それは……、」
「否定できませんね……」
いや、本当に馬鹿極まりないだろう。マスゴミが取材で魔法科高校の生徒達を取材してCADを自慢気に見せるのも時間の問題だろう。
お前等、それはナイフよりも危険な武器だって理解してないだろう? 一般人は魔法師は怖い、頭が可笑しい、関わるなとしか思わない。
「一般人の中には魔法師怖いと思う人達いるわよ」
「それが反魔法師主義者が増えることに繋がっているかもしれないということね……」
一端でもあるのではないかな。煽りやすいよね。
「現代魔法師は歴史が浅いためか、礼儀作法精神修養に問題しかない。魔法よりもまずはマナーモラル、法律歴史礼儀作法を学ぶことだ」
「ご忠告感謝いたします……」
司波達也は完全にアウトだ。特化型CADシルバーホーンなど、銃刀法違反だろう。シルバーホーンを憧れの目で見る
一高生の中でも司波達也は明らかに異常者だ。キチガイ・サイコパス司波達也は何故に問題視されない?
『馬鹿に刃物』と諺で、『キチガイに刃物』と歌舞伎であるだろう。
司波達也は両方当てはまる。
気分を変えるように深雪が美月と幹比古が天海家に雇用されたことを話題にした。
「末っ子のアンナの側仕えに美月、護衛に幹比古」
「これでわたし達の負担が減るわ」
「? 何か理由があるのですか?」
事情を説明したところ、ほとんど引きつっている。
「確かにGPSの故障頻度といい、完全にオカルトレベルね……」
「側仕えや護衛が発狂するのも頷けます……」
「なるほど、そういった意味で生活が厳しい、ですか」
「ルシルはアンナを溺愛しているけど、これは家族旅行兼側仕えや護衛の慰安旅行でもあるのよ」
「世界一のお兄様ね」
「このご時世普通、魔法師は海外旅行できませんからね」
この日一高に戻った真由美達生徒会は放課後緊急の臨時全校集会を開催して、ルシルに指摘されたCADはナイフよりも危険な武器であることを認識して、町中で一般人の前で披露して自慢したりすることのないように、それは脅迫、銃刀法違反になると警告した。ほとんど、教師でさえもその危険性を認識していなかったとリーナに報告されたルシルは溜息を溢した。
「烈爺、光宣、夕歌、これが現代魔法師の実態」
「溜息しか出ませんな……」
「そうですね……」
「そのような危ないキチガイがいたら魔法師と一般人の融和なんて非常に困難になる」
「改めて現代魔法師の異常性を認識させられました……」
「津久葉君は例の一高生徒会長選挙の重傷者続出事件で副会長になったのだったね」
「はい、正直意味不明でした……。何故校畜になりたがるのか、あのような魔法の打ち合いになるのか理解できません……」
「要は現代魔法師は団塊の世代なんだね」
ルシルが昭和の団塊の世代を説明したところ、誰もが納得した。
「一高の校長は団塊老害そのものだ。政府にも責任はあるが」
「御前様、一高の校長排除されますか?」
「いや、徹底的に問題を指摘してねちねちとメス入れていって、『ほら、ここはどうだ、ああ?』とグリグリえぐり、『今度はここはどうだ、ええ?』とグリグリえぐって、胃潰瘍になっても辞任は認めない」
全員吹き出した。
リーナに連絡があった。
「深雪? どうしたのかしら? ……………………ルシルに相談してから折り返すわ」
リーナが深雪との通話終了後、溜息を吐いた。
「ルシル、案の定達也が九校戦エンジニアに内定したんだけど、これまでやらかしてきたじゃない? あれが考案発明する魔法やCAD、作戦について問題ないか助言してもらいたいって」
これまでの織地で新しいパターンだな。
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