本好きの念能力者 @ 魔法科高校   作:avagnale

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愛犬『ナナ』、不帰の客へ黙祷を捧げる


時計塔ザ・ルシフェリア

 アリサを天海家養女にして、アリサの母親の葬儀で知り合った遠上良太郎を時計塔に獣医としてスカウトした。

 茉莉花にも座禅瞑想を義務付けて鍛えている。アリサの友人兼護衛になってもらう。

 

「いやはや、絶滅危惧種どころか絶滅した動物まで再現するとは本当に凄まじいね」

 

「獣医としてやりがいありますよね」

 

「夢のような環境だよ。ルシル君には十高への遼介の進学といい、感謝してもしきれない。本当にありがとう」

 

「いえいえ、良太郎さんのロックな活動がなければアリサは生まれませんでした。十分国に貢献しています。それに報いなければ失格です」

 

「本当にありがとうございます……」

 

「それから、十研、エレメンツの依存因子入ってますよね」

 

「!?」

 

「アリサと茉莉花から依存因子消しておきました。依存とは病気であり、共依存などされたら厄介ですから」

 

「…………ルシル君はなんでもありだな……」

 

「事後報告になってしまいましたが」

 

「いえ、ルシル君が謝ることではありません。ありがとうございます」

 

 芹花さんからも感謝された。

 

「しかし十文字のオーバークロックは大丈夫なのかい?」

 

「座禅瞑想によるサイオン循環により速度規模強度、制御力も上がり、同時魔法使用数も増えます。精神修養にもなるため、オーバークロックの危険性は大幅に減るかと」

 

「本当によく考えられた訓練だね」

 

「それにしてもよくアリサちゃんの存在に気付かれましたね?」

 

「どこかに隠れた優秀な魔法師の卵いないかなとダーツ投げたらあそこに当たりました」

 

 超適当(笑)

 

「…………どんな確率しているのかしら……」

 

「『幸運の女神の愛子』と呼ばれるだけはあるな……」

 

「それで十文字の隠れた子女を発見してしまうのだからね」

 

「烈爺、アリサのことは極秘にしてください。PDは捏造しておきました。親権を訴えられても、放置していたのだから」

 

「うむ、甲斐性なしだからね。それにしてもこの親子丼も美味しい。初めて食べる肉だね?」

 

「トキの親子丼です」

 

「…………そうなのか……」

 

「美味しいから絶滅してしまうのも納得ですね。鳥獣保護管理法は大切」

 

「その鳥獣保護管理法をスルーしてしまう君は大概だね」

 

「夜はトキとリョコウバトの焼き鳥にしますか」

 

「おお、それは興味深いね」

 

「確かに食べてみたいですね」

 

「おや、君は獣医として忌避感はないのかね?」

 

「獣医の心構えとして、動物を殺せるかどうかって持論があります。人間食べなければ生きていけません」

 

 遠上良太郎、やはり人格者だね。

 

「…………飼い犬が痴呆性になって夜鳴きが酷くなり、飲食もできなくなり骨と皮状態、見ているだけで可哀想だから安楽死させてやりたいって飼い主がいますが、安楽死でも飼い主の心に結構くるものがありますからね。そんな状態だと注射器で水を飲ませるしかできなくて一月保ちません。最後まで看取ることを促していますよ。もうこれ以上はどうしても無理ってことなら、責任を持って安楽死させますが」

 

「なるほど、ルシル君もいい獣医をスカウトしたものだ」

 

 時計塔には獣医必須だからね。

 

「こんなに美味しい鳥スープも初めてです」

 

「親子丼の真ん中のレバーもいけるね」

 

「烈爺、これ時計塔ショッピングモール、テナントの飲食店で提供したら流行りますかね?」

 

「流行るのは確実だが、マスコミが煩くならないかね?」

 

「時計塔の動画サイトで公開してマスコミはスルーして黙らせます」

 

「くっ、時計塔の権力ならそれも可能か」

 

「時計塔ショッピングモールのテナントは……、北山家に任せようかな」

 

「北山家なら魔法師にも理解があるから、それがいいだろう」

 

 ということで時計塔は北山家と提携した。時計塔を案内された北山親子は終始驚愕していた。

 

 

 

 

 

 

 

時計塔とDr. クレープ・シュゼット

 

 四葉真夜は時計塔が発表した飛行魔法CADと完全思考操作型CADの販売を打診したのだが、即座にお断りされてしまった。

 時計塔についてフリズスキャルヴで検索しても全く情報はない。

 

「Dr. クレープ・シュゼット、一体何者なのかしら。それに東京湾に突然出現した『時計塔』資源商社ザ・ルシフェリア」

 

「加重系三大難問を全て解明した鬼才ですな」

 

 真夜に相槌を打つ筆頭執事葉山。

 

「黒羽も全く情報を掴むことすらできないようですな」

 

「五輪澪さんが飛行魔法CADのお披露目をしていましたが、以降彼女の姿を確認できません。時計塔にいるのかしら」

 

「はっ、日本唯一の公認戦略級魔法師ですからな」

 

「国防軍の飛行魔法CADと完全思考操作型CADの販売要求も断られたということですし、時計塔の狙いは何かしら」

 

「熱核融合炉の実現で電力と副産物の水素を始めとした資源販売で一躍有名になりましたからな」

 

 飛行魔法CADや完全思考操作型CAD販売如きの利益は寧ろ害悪だ。

 

「CEOの素性は一切不明。これは危険性を考えれば公表できる訳がないですね。『駄目人間製造機』とエアカー、完全思考操作型CADを販売してもらえれば助かるのですけれど」

 

「奥様、時計塔にショッピングモールができたそうですし、気分転換も兼ねて視察されては如何ですか? エアカーによる往復便もあるとのことです」

 

「そうねぇ、確かに気になりますから、視察してみましょう」

 

「奥様のために安全を頼めないものか時計塔に問い合わせた結果、臨時便を小淵沢駅に出してくださるそうです」

 

「流石は葉山さんですね。夕歌さんと勝成さんにも同行してもらいましょう」

 

「かしこまりました」

 

 

 

 そして時計塔視察当日、小淵沢駅に着陸したエアカーからシュミル型アンドロイドの執事服姿のセバスが降りてきた。

 

「ぷひっ、わたしはセバス。あんないする。ついてきて」

 

「まあ、可愛らしいですね」

 

「本当に。セバス、あなたを作ったのもDrかしら?」

 

「マスターだよ」

 

 自己紹介してから、セバスは執事に徹した。

 

「凄いわね、外交官ナンバープレートだなんて」

 

「がいむしょうにようきゅうしたらくれた」

 

「凄いですね。エアカーは誰が運転しているのかしら?」

 

「じどううんてん」

 

「エアカーにも完全思考操作型CADを搭載しているのかしら?」

 

「こうくうほうもんだいもある。ふらいとすくーるかようのめんどうくさい」

 

「良く考えていますな」

 

 エアカーから時計塔空中庭園に降りた後で……

 

「…………空気は冷涼で快適なのに、庭園の植生は熱帯地域のものですね……」

 

「…………一定エリアから出ると熱帯地域の気温湿度になっています……」

 

「あら、本当ですね。これもDrの発明でしょうか」

 

 夕歌と勝成に相槌を打つ真夜は心が躍ってきた。

 

「よつばなららくえんにあんないすることもきょかされてる」

 

「時計塔には楽園まであるのかしら? 案内してくださいな」

 

「わかった」

 

 セバスに案内されたフロアは……

 

「……………………あれは、まさか、ロンサム・ジョージ……?」

 

「…………ピンタゾウガメは絶滅したのでは……?」

 

「…………それにここは、まさかガラパゴス諸島がモデルかしら? 動植物が一致していますね……」

 

「マスターがさいげんした」

 

「再現したって……、まさかあのエメラルドグリーンの海は、」

 

「かいすい、ほんもの」

 

「……明らかに時計塔の外観と内部の空間の広さが異なるように見えるのは?」

 

「マスターがかいはつしたくうかんまほう。くうかんあっしゅくしてる」

 

「凄まじいな……」

 

「こっちにかふぇある。エンデミカでいい? ここのびーるだよ」

 

「…………ENDEMICA、ガラパゴス諸島のビールのようですね」

 

 即座に検索した夕歌の報告に全員惹かれた。

 

「楽園を堪能しましょう。セバスのお勧めをお願いします」

 

「わかった。みんなおきゃくさま、すわって」

 

 四葉御一行は全員着席した。

 

 出てきたのは前菜のセビーチェ、サカナフライプレート、コビーチェ、デザートにココナッツミルクのアイスクリームだ。

 

「どれも日本人の嗜好に合いますね……」

 

「マスターのおすすめ。たんのうして」

 

 セバスに全員頬が緩む。

 

「とまっていくなら、あさはボロンがおすすめ。ばななといも、かめにく、ちーず、めだまやき、びーふしちゅーみたいなかんじ」

 

「亀肉? ……それはまさか、」

 

「ピンタゾウガメだよ」

 

「それは魅力的ですね」

 

「マスターはかんしょくできないからって、しぇあしてる」

 

「…………それだけの量があるのか?」

 

「マスター、しょうしょく。さけがのめればいいっていうじだらくだめにんげん」

 

「辛辣だな……」

 

「いえ、主に諫言も厭わない姿勢は感服いたします」

 

「葉山さん……」

 

「勝成さん、貴方ならまだまだいけますね? そのボロンを試してみてくださいな」

 

「はい。セバス、ボロンを頼む」

 

「わかった。まってて」

 

 ボロンが勝成の前に給仕されたところ……

 

「これくらい余裕だろう?」

 

「マスター、しょうしょく」

 

「勝成さん、ちょっとそれは女性の朝食には厳しいわ」

 

「そうなのか? …………亀肉は馬肉のようで美味いな。これは腹に溜まる」

 

「バナナと芋の組み合わせならお腹が膨れますね。四葉の男の朝食に導入しましょうか」

 

「賛成します。これも美味いです」

 

 食後は……

 

「がらぱごすこーひーでいい?」

 

「ええ、セバスに任せます」

 

 カフェでガラパゴス・コーヒーを堪能しながら……

 

「本当にここは楽園ですね……」

 

「このコーヒーも至福ですな」

 

「ここは正に楽園ですね。ねえ、セバス、Drと会えないかしら?」

 

「あれ、けんきゅうばかだからむり。けんきゅうしつにひきこもってる。でてこない」

 

「本当に辛辣だな……」

 

「でも共感はできますね」

 

「夕歌さんは同類なのだろうが……」

 

「それならCEOはどうなのかしら?」

 

「せかいじゅうにしゅっちょうしていそがしい」

 

「無理もありませんな。敵国以外には資源販売するようになったのですから」

 

「残念ですね」

 

「マスターからていあんがある。とうかいこうしんのびしゅびしょく、ほんこんにゆしゅつしないかって」

 

「あら、敵国にそれは利敵行為にならないかしら?」

 

「せいじとけいざい、べつもの。しぼりとる」

 

「ふふっ、随分と愉快なマスターなのね」

 

「マスター、げきおこ。しょせんおなじみんぞくなんだから、えいえんとねちねちしぼりとる。とけいとう、よつばにしゅっしする」

 

「四葉も参加します」

 

 四葉真夜は同士を見つけた。自分にされたことをし返すだけだ。記憶がただの記録になっても恨みが消える訳がない。

 

「よつばもさんかけってい。あそこはこっかとして、ひととして、みとめない」

 

「四葉も? 他にも参加は決定しているのかしら?」

 

「さん、ご、きゅう、けっていしてる。さんときゅうにはしぶもていきょうする。ないらんあおる。ほかにもこえかけるよてい。マスターのがまんもげんかい」

 

「…………そう、あなたのマスターによろしくお伝えしておいてください」

 

「まかせて。それからおこづかいかせぎしない?」

 

「興味があるわね」

 

「パチンコやつぶし。はんとうのしきんげん、むかしからゆうめい」

 

「それは許せませんね。東海甲信でお小遣い稼ぎしましょう」

 

「あとはマスターからでんごん」

 

「あら、何かしら?」

 

「フリズスキャルヴきけん」

 

「!? ……何故それをあなたのマスターがご存知なのかしら?」

 

「とけいとうCEOあてにおくられてきた」

 

「危険というのはどういうことかしら?」

 

「かいせきした。あれ、エシュロンIIIのバックドアりようしてる。NSAせっけいしゃの、エドワード・クラークきけん。けんさくしたりれき、つつぬけ」

 

「奥様」

 

「しょぶんしたほうがいい」

 

「わかりました。処分します。マスターにお礼を伝えておいてくださいな」

 

「しばたつや、ぶんかい、きけん。さいせい、される」

 

「!? ……わかりました」

 

 フリズスキャルヴを司波達也に分解させて、再成させないだろうな?という釘刺しだ。

 

「マスター、あれ、きけんししてる。マテリアルバースト」

 

「!? そうですね……」

 

「これはマスターからのけいこく。よつば、けいこく。とけいとう、けいせい」

 

 『傾国』と『傾世』ではどちらが重いか理解できるよな?

 

「それは……」

 

「とけいとうのしげんはんばい、あまくみるな。よつば、せかいのてきになる。ぶつりょうにはかてない」

 

 セバスの瞳が八色に染まっていることにも、魔力で威圧されていることにも恐れを抱いた四葉……

 

「そうですね……」

 

「フリズスキャルヴ、こなごなにしてから、しょうきゃくしょぶんしろ。さいせいさせるな。これ、ぜったい」

 

「かしこまりました……」

 

 

 

 真夜は四葉本邸に帰還後、フリズスキャルヴを処分してから、同行したメンバーに感想を聴いた。

 

「ご当主様の過去の悲劇について激怒されているようですから、CEOは女性なのではありませんか?」

 

「いや、男でも激怒するだろう」

 

「セバスの言うマスターとはCEOでしょう。規格外の空間魔法といい、男性なら夕歌さんを嫁がせたいくらいですね」

 

「それは、それとなく素性を探れということですね?」

 

「ええ、古式や現代魔法ではあのような空間魔法は不可能です。四葉の血筋に取り入れる莫大な価値があります」

 

「かしこまりました」

 

「それにあの楽園も嬉しいですもの」

 

「日本なのにまるでガラパゴス諸島ですからね」

 

「絶滅したピンタゾウガメを復活させた頭脳と技術も凄まじいものがあります」

 

「それを味わうことができるというのも嬉しいですね」

 

 全員絶賛している。

 

「わたくし達四葉の味方、ということが確認できただけで十分な収穫です」

 

「新たなスポンサーも有難いですな」

 

「莫大な資金援助を約束してくれましたからね。東海甲信のお小遣い稼ぎは黒羽に、特産品の開発奨励と買収は青木さんに任せます」

 

「は、仰せのままに」

 

「三矢と九島にだけ海外利権を渡すのは面白くありませんね。四葉で適当な人材はいないかしら?」

 

「花菱の息子、兵庫あれば最適かと」

 

「確か海外のPMC民間軍事会社で修行中でしたか?」

 

「は、四葉香港支部創設に貢献できるかと」

 

「では兵庫さんに任せます。夕歌さんと勝成さんには交代で時計塔との調整役になってもらいます」

 

「かしこまりました」

 

 四葉も香港に進出することになった。

 

 

 

 とある日の夕歌とセバスの会合で

 

「それにしても時計塔って凄いわね。一体どうやって香港に支社を用意したのかしら?」

 

「せんのう」

 

「…………まさか、精神干渉系魔法?」

 

「マスターのとくいわざ。せんのう、いろいろほうほうある」

 

「それもそうね。ねえ、なぜ時計塔は飛行魔法や完全思考操作型CADを販売しないのかしら?」

 

「てきこくへのりゅうしゅつ、けいかいしてる。てきこくのぐんじりょく、ぞうきょうするのはばいこくど。それにマスター、みせいねんのかんぜんしこうそうさ、きけんししてる」

 

「未成年は危険なの?」

 

「にんげんくろうしないとろくでなしにしかならない」

 

「なるほどね。あ〜あ、時計塔が羨ましいわ」

 

「ここのけんきゅうじょ、やりたいほうだい」

 

「それは惹かれるわね。それに時計塔の楽園と美酒美食最高だし」

 

「ゆうか、かんげいされる。ひとのせいしん、みち、おおい」

 

「へぇ……、ねえ、あなたのマスターはCEOなのよね。CEOもDrに劣らないくらいのレベルに思えるけど、どんな人なのかしら?」

 

「わかい。どくしん。おちゃめ。どうぶつだいすき」

 

「…………ねえ、わたしがあなたのマスターの婚約者に立候補してもいいかしら?」

 

「みちもとめるどへんたいだけどいいの?」

 

「? 異性の未知を求めるっていうことかしら? セバス、あなたのマスターをド変態呼びするだなんていけない子ね」

 

 夕歌はセバスをめっと、可愛らしく小突いたが……、それが真実だと思い知らされるのは近い未来……

 

 

 

 

 

 

 

 




鳥獣保護管理法には賛否両論ありますが、絶滅はあふぉな世紀末覇者
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