本好きの念能力者 @ 魔法科高校   作:avagnale

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大事なのは工夫だ


一高入学

 ルシルは魔法科高校史上初の推薦入学をしたが、入学式は欠席した。リーナとミアも同様に欠席した。

 

 初日登校してIDカードを受け取ったところ、三人共クラスは1Aだった。

 

「憂鬱」

 

「ルシル、いきなりやる気ないわね。しかも認識阻害使ってるし」

 

 私の席は廊下側一番後ろで隣はリーナ、前はミアだ。一高に二科生での入学を申請したところ、一科生での入学をと懇願されたため、座席指定しておいた。

 

 するとどういうことでしょう。司波深雪や原作キャラ、他はこちらからは遠い席だ。

 

 魔法だけでなく、使えるものはなんでも使うよ。大事なのは工夫だ。

 

「勘違いしたバカサル多そうだし、暫くは様子見かな」

 

「バカサルって……」

 

 見るからに身の程知らずのモブ?

 

「ですがルシル様の勘はよく当たりますよ、リーナ」

 

 新入生総代の司波深雪が教室に入ってきたが、ルシルとリーナ、ミアは認識阻害でスルーした。

 

「ルシルは総代に興味ないの?」

 

「なんか作り物のお人形って感じがして、不気味だから近寄りたくない。リーナとミアの方が人間らしくて可愛い」

 

 司波深雪は例えるなら日本人形? 完全にホラーだよね。

 

「……あ、ありがとう(ございます)////// 」

 

 うわぁ……、司波深雪に話しかけようとしてコケてるドジっ子とその幼馴染みに全員注目している。男はデリカシーに欠けるね。私は関わりたくないからいいのだ。

 

「ルシルは実習見学どうするの?」

 

「あの集団に混じりたくないから、別行動する」

 

「あぁ、あれは鬱陶しいわね。わたしもルシルと行動するわ」

 

「わたしもです」

 

 で、見学した結果……

 

「なんでもかんでもCAD頼りでどうするのかねえ」

 

「受験のために現代魔法理論詰め込みしたけど、一々理屈っぽいのよね」

 

「私達感覚派だからね」

 

「わたし達を感覚派に矯正したのはルシルよ」

 

 座禅瞑想を毎日するように義務付けたからね。リーナとミアは入試では手を抜いたそうだ。なんでも不愉快極まりない機械だったとか。

 

「古式のアナログは侮れない。現代のデジタル一辺倒は危険極まりないと思う」

 

「精神修養のこと? 確かに不愉快極まりない発言が多いわね……」

 

「デジタルなのに無駄が多過ぎるのは、これ一体どういうこと?とツッコミたくなる。リーナ、ミア、速度強度規模の計測実習、無駄だからサボった方が賢いよ」

 

「その時間は課題のレポートでもしてろってことね」

 

「ルシル様に従います」

 

 気合いでクリアしろというようにしか見えない。

 

「学食が混まない内に席を確保しよう」

 

「そうね。学生600人って絶対混むわ」

 

「学食は初めてですからワクワクします」

 

 あまり期待していないけどね。前世高校生時代の学食のレベルを考えると……

 

 

 

 初日学食では不愉快極まりない光景が展開されたが、スルーだ。

 

「ルシル、あれいいの?」

 

「関わりたくない。一科生至上主義、病気だね。気持ち悪いから近寄りたくもない」

 

「まあそれもそうね」

 

「あの人たち家族や親戚に非魔法師がいたら同じように差別しているのでしょうね。クズですね」

 

 そういうこと。社会であのような連中通用しないよ。

 

「しかし学食普通だね。この牡蠣フライにタルタルソース……米も味噌汁も、サラダも……」

 

 やはり予想通りだった。

 

「お店には敵わないわよ」

 

「苦痛」

 

 ミアは苦笑している。

 

「ルシル、初日くらいは我慢して」

 

 仕方がないから、ドリンクフリーで水を新政にしてちびちびやりながらどうにか完食した。

 

「学食で飲酒してるのはルシルくらいのものよね」

 

 セバス曰く『じだらくだめにんげん』なのでね。

 

「わたし達にも美味しいお茶をありがとうございます」

 

 女性への気遣いは忘れないよ。

 

 

 

 下校時の騒動など興味も関心もないがモブが鬱陶しいため、コイン指弾でモブのCADを持つ手を爆散させて、認識阻害でスルーして帰宅する。

 

「ぎゃ、ぎゃあああああーーーっ!?!??! ぼっ、僕の手がーーーっ!??!?!」

 

 リーナとミアが後ろを振り返り、うわぁ……と引きつっている。

 

「ルシル、凄い騒ぎになってるけどいいのかしら?」

 

「バカサル犯罪者の末路だ。魔法が暴発したんじゃない? 未熟者だからね(笑)」

 

「あはっ、それもそうね」

 

 コインは残らないようにしているからね。こちらはコートのヒラヒラした袖や認識阻害、【隠】でコインを隠蔽していたし、あのキチガイ・サイコパスの目でも解析できないだろう。

 

「ルシル、明日からどうするの?」

 

「図書館特別閲覧室に籠るよ。あの兄妹に関わりたくないし」

 

「ああ、確か総代の兄が筆記一位だったかしら」

 

「あれ、大量殺人鬼の目をしてるね」

 

「え……」

 

「完全に呪われてる。奴に関わると厄災を押し付けられそうだ」

 

「わたしも認識阻害で回避するわ」

 

「厄災……、わたしも回避します」

 

 モブの手爆散は魔法発動の失敗による暴走と結論付けられ、救急車騒ぎになった。あのコインには『エイドス正常化』の概念を付与しておいたから、治癒魔法は効かない。エイドスの改変などさせないよ。部位欠損など現代魔法では治癒できないと思うが、念のため。そしてモブは対人魔法攻撃使用で檻の中(笑)

 

 どうせ未来では無自覚の売国奴なのだから、檻の中が相応しいだろう? ボディーガードが家の仕事だからと、夢を見過ぎなんだよ。お姫様を助ける騎士気分か? 馬鹿じゃないの。

 

 とある人物に連絡した。

 

「私です」

 

『準備はさせてある。通達しておく』

 

 事情説明しておいたので、スムーズだ。

 

「ありがとうございます。お礼にあそこの新酒贈っておきます」

 

『あれらも頼む』

 

 ラフィットやムートンね。

 

「そこは抜かりなく」

 

『楽しみにしている』

 

 これで売国奴はお終いだ。

 

 

 

 騒動の後で司波達也と深雪、愉快な仲間達は帰り道での雑談で……

 

「あーっ、驚いたわね……」

 

「まさか手が爆散するなんてな……」

 

 あれは達也の目で見ても魔法の暴発にしか見えなかったため、庇うことはしなかった。庇いようがない。

 結局森崎がキレて魔法発動しようとして失敗したものとしか見えませんでしたと分析結果を伝えたところ、不問になった。

 この騒動の結果、ほのかは呆然として原作のように閃光魔法を発動しようとすることもなかったため、挨拶して一緒に帰る機会を失った。後日挨拶するだろう。

 

「そういえば史上初の推薦入学の天海ルシル君は深雪と一緒のクラスにならなかったのか?」

 

「一緒のクラスなのですが、いつの間にかいなくなっていたのです。次席の倉橋理奈さんと三位の本郷ミアさんも揃って……」

 

「そうなのか。会長の話では倉橋理奈さんは深雪と実技は変わらないレベルで、魔法工学の筆記が極端に悪かったため、深雪が総代に決定したそうだ。一般科目では圧倒的一位とか」

 

 リーナも基本的にCADなど必要ない。興味も関心もないため、魔法工学はおざなりなのだ。

 

「一般科目ではお兄様よりも上ですか……」

 

「勉強方法を教わりたいものだ」

 

 達也は史上初の推薦入学をした天海ルシルと、深雪と変わらない実力の倉橋理奈を警戒している。四葉直系の深雪と変わらないレベルとは十師族の隠れた家なのではないかと疑っている。それに天海ルシルの史上初の推薦入学……魔法適性検査で深雪を上回る数値だったのは確実だ。しかも魔法適性検査の時期は誓約で深雪の魔法力が制限される前のことであり、一体何者なのだと……

 

 パラノイア乙

 

「え、まさか筆記一位って達也君だったりする?」

 

 そこでハイテンションになる深雪……

 

 これはマジで超絶ブラコンでドン引き物だ……

 

 

 

 

 

 翌日の生徒会室への昼食のお誘いもルシルとリーナはスルーした。

 

「深雪さん、天海ルシル君と倉橋理奈さんはどうしたのかしら?」

 

 朝、誘っておいてって頼んだわよねと……

 

「いえ、何故かいつの間にかいなくなっていました……。朝も声をかけようとすると、何故か……、天海君は授業にも出席していないようですし、先程も倉橋さんに声をかけようとしたのですが、いなくなっていました……」

 

「え……、天海君まさかの入学早々サボり?」

 

「随分といい度胸してるな……」

 

 ルシルとリーナ、ミアは司波兄妹に関わりたくもないため、徹底的に避けている。

 

 達也は精神干渉系魔法の類いかと疑ったが、サイオンセンサーに検知されることもないようなので、証拠がないため黙った。

 

 昼食を食べながら雑談し、食べ終わってから、深雪は生徒会に勧誘された。その際の兄のこともという願いは一高の校則により却下された。そして達也は風紀委員に勧誘された。ゴネる場面は鬱陶しいため割愛(笑)

 

「天海ルシル君も生徒会に、倉橋理奈さんは教職員枠で風紀委員に勧誘する予定だったのよね」

 

「天海君はこれまで見たこともないくらいの絶世の美少年で、倉橋さんは司波さんと双璧の美少女だからね。部活動勧誘に煩わされることのないようにという配慮もあるんだよ」

 

「それほどまでですか……」

 

「ええ、もう争奪戦になることは予想できるから」

 

「容姿から部活動勧誘で餌食になることは必然です」

 

 市原鈴音のお茶を啜りながらの冷静なコメントに達也と深雪は引きつった。

 

「…………一高の部活動勧誘とはそこまで激しいのですか?」

 

「天海君や倉橋さんをあの中になど、飢えに飢えた肉食獣の檻に甘い果実を持たせて放り込むようなものです」

 

 市原鈴音はクールである。

 

「それは……」

 

「……容姿が整っているのも大変ですね……」

 

 市原鈴音の表現に司波兄妹はルシルとリーナに同情した。

 

「天海ルシル君は一科生二科生の違いなんて気にしないみたいだから是非生徒会入りしてもらいたいのよね」

 

「何かご存知なのですか?」

 

「当初二科生での入学を申請されたらしいの」

 

「はい?」

 

「職員室は大混乱で一科生でと懇願したみたい」

 

「それは、混乱もしますね……」

 

「この状況から天海ルシル君と倉橋理奈さんは一緒にいて仲が良いでしょうし、達也君と深雪さんとも上手くやっていけると思っているの」

 

 納得した司波兄妹。

 

 

 

 お断りだ!!! by ルシル

 

 

 

「本当に天海君と倉橋さんに伝えないといけませんね」

 

 だが逃げる!

 

「本当にお願いします。これは優れた生徒のための避難措置でもありますからね」

 

 生徒会から避難する!

 

「どれだけ一高は魔境なんですか……」

 

 貴様がその立派な代表だ!

 

「毎年生徒会や風紀委員は頭が痛いことになっているの。鈴ちゃん、天海君と倉橋さんの画像データを見せてあげて」

 

「はい、これです」

 

「これは……」

 

「確かに、格好の獲物、ですね……」

 

「世間一般的には、女の子が襲われるのが常識だけれど、天海君の場合は、女の子どころか、男の子からも集団で襲われる心配しかしないのよね……」

 

 私はノーマルだ!

 

「犯罪ではありませんか!」

 

「だから、深雪さん、お願いします」

 

 本気でその気遣い要らないから! 余計なお世話だ!

 

「はい、そのようなこと許されません」

 

 達也はルシルに本気で同情した。このような中性的な絶世の美少年は見たことがない。……しかもギリギリで男だと見えるから性質が悪い。これは神の悪戯なのかというレベルだ。

 

 

 

 本当に神々の悪戯です(爆笑)

 

 

 

 深雪は1Aに戻ると北山雫と光井ほのかにルシルとリーナを見なかったかと尋ねるが……

 

「学食でも見なかったよね」

 

「うん、司波さんと双璧の美少女なら目立つと思うのに」

 

 外食という発想に何故至らないのか……

 

「そうなの、本当に不思議ね……」

 

「それも不思議なんだけど、昨日の事件の後でうちはそれどころじゃなかったから、周囲を気にする余裕がないんです……」

 

「え、北山家で何かあったのかしら?」

 

「…………森崎君の家は潰されて、北山が森崎君の家の警備会社を吸収するようにって、もう大騒ぎなんです……」

 

「それは……」

 

「公安が潰したって……、あんな犯罪者を育てる家は将来的な売国奴だからって……」

 

「……それは、大変だったわね……」

 

「…………わたし達も友人は選びなさいって、注意されました……。すみませんでした、司波さん……」

 

「いえ、拒絶しなかったわたしにも非はあります。深雪でいいわ。雫、ほのか」

 

 これでお互いに名前呼びになった。

 

 …………雫の本音は別だ。言い訳に過ぎない。ルシルのことを時計塔ザ・ルシフェリア関係者ではないのかと疑っている。莫大な資産家で名前が被るから。両親からもくれぐれも注意するように言い含められている。

 あのような規格外な代物を創り出す、そして前代未聞の魔法科高校史上初の推薦入学者……関係者の可能性があるため、迂闊に話題にすることのないようにと。

 北山家は時計塔に案内されてショッピングモールの運営を委託され、美酒美食を卸されているため、頭が上がらない。それに電力水素他資源金融で圧倒的な時計塔の権力は絶大だ。

 

 

 

 …………何故名前を被らせたのか? 自ら愚か者の撒き餌になるためだ。徹底的にヤッてやるよ! だが司波兄妹、貴様等は別だ。関わりたくないから近付くな。

 

 

 

 

 

 司波達也と服部はんぞーとの決闘後、森崎潰しが生徒会室で話題になった。

 

「そうなのね……、政府としても表沙汰にできないわよね……」

 

「七草でも知らなかったのか?」

 

「ええ、昨日のことだからというのもあるからと思うけれど……」

 

「……何事も後手後手な政府にしては不自然ですね…………予め森崎家はマークされていた?」

 

「……いきなり犯罪行為に及ぶような真似をするのだから、達也君の疑問は否定できないわね……」

 

「百家支流を容赦なく潰すなど、これは見せしめかもしれませんね」

 

 それだけ現代魔法師は危険視されているということだ。

 

「……どうかしたかしら、鈴ちゃん?」

 

 市原鈴音が端末の前で何やら訝しげにしている。

 

「いえ、少々気になることができまして……」

 

「鈴ちゃんが気になること? 何々?」

 

「ここです」

 

 鈴音が指し示した入試データ……

 

「…………確かに言われてみると不自然ね……。摩利、あーちゃん、どう思うかしら?」

 

「なんだ? ……今年三位の本郷のことか? …………これは……」

 

「魔法理論、魔法工学は90点なのに、一般科目平均70点だなんて……」

 

「それは、偽っているということですか?」

 

「一般科目の歴史の問題ですが、正解が二人だけしかいなかった内の一人です。もう一人は倉橋さんですね」

 

「その問題って何かしら?」

 

「『ベルリンの壁崩壊のキッカケは何か。魔法とは何か』です。わたしもわかりません」

 

「それは俺も気になって調べてみたのですが、お手上げです」

 

「…………そんな問題、わたしの時はなかったわ……」

 

「わたしの時もありませんでした……」

 

「ベルリンの壁崩壊とは第二次世界大戦後、前世紀のことですよね。魔法が公になったことに関係しているのでしょうか……?」

 

「わたしも気になります」

 

 正解は公開されていない。

 

「それにしても隠すつもり、あるのかしら?」

 

「実技では四位以下をかけ離してるぞ?」

 

「……司波さん、確認ですが、天海君と倉橋さんと一緒にいなくなっているのですね?」

 

「はい、一緒に行動しているものかと……」

 

「…………完全に猫を被っているわね……」

 

「それなら本郷も風紀委員にしてやる。部活連枠でな」

 

 本人は部活に入る気はないのですが? 帰宅部という部活扱い?

 

「ええ、随分と生徒会を甘く見ているわね?」

 

 真由美と摩利は「問答無用!」と頷き合った。

 

「あの……、本人の意思は……?」

 

「関係ない!」

 

「同意させるのだから、問題ないわ」

 

 司波兄妹は、それのどこに問題ないのか、疑問でしかなかったが……

 

 

 

 

 

 

 

 




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