翌日1Aでは司波達也が風紀委員になったことが話題になったのだが、そこでなんでウィード如きがと差別発言が出て、教室に寒波が到来した。
「うざい」
ルシルは速攻でエイドスを正常化させて気温を戻した。
「!? ……………………」
寒波の原因である司波深雪は首を左右に振り自分の暴走を無効化した人物について、天海ルシルだと確信して探すが見当たらない。
その程度でルシルの認識阻害は見破れない。
「昼合流しよう」と言って、ルシルは図書館に向かった。
「差別発言は確かに不愉快極まりないけれど、巻き添えをくらうこっちの身にもなってほしいわ」
「本当に。第三者からしてみれば総代も加害者ですよね」
「ルシルが関わりたくない訳よね」
「総代は物理ですから、完全に脅迫ですよ」
「ルシルが二科生入学を申請するのもわかるわね」
「認められたとしても総代の兄が1Eなんですよね。同じクラスになった可能性が高いのでは?」
「どっちもどっちね」
無自覚テロリスト兄妹だからね。
「ルシル様とお昼に合流するのに認識阻害と飛行魔法、必須ですね」
「本当に」
CADは事務室に預けなければならない? 座禅瞑想と念能力サイオン版修行により、リーナとミアはCADなしで飛行できるレベルにまで至っている。司波兄妹に関わりたくないため、必須だ。厄災から逃れるためだから、魔法の不適切使用には該当しない。
部活動勧誘週間から逃れるためにも欠かせない。
真由美は埒があかないと放送してルシルとリーナ、ミアを呼び出すも、華麗にスルーされる。
「もう本当に何処にいるのよ……」
◇◇◇
揃って外食している(笑)今日は痛風丼に清酒気分かな〜と。
いくら、あん肝、白子、牡蠣、うに、甘海老、卵黄など、プリン体を多く含む濃厚な海鮮を贅沢に乗せた、三十代〜なら痛風確実の背徳的で堪らない丼だ。
若い頃だけの特権だよね。私は【発】で無問題だけど。
痛風患者の前でパクパクしてみたい。
目の前でちらつかせてからパクリしてやるのだ(笑)
そして冷酒とのマリアージュ。
心が広い、温厚な、堅気でない方達の前では厳禁です。殺されます。
皆様、気を付けましょう。
◇◇◇
「真由美のマルチスコープでも見つからないのか?」
何故校内にいると思い込んでいる?
「ええ、お手上げね」
生徒会室で昼食を摂りながら真由美が愚痴っている。
「全く授業に出席しないのでは卒業が危ぶまれるし、家庭訪問するしかないかしら。でもねえ……」
「そうですね。天海君達のPDは完全非公開ですから無理です」
「はい?」
達也と深雪は耳を疑った。
「顔と名前以外公開されていないのよ」
「それは……」
部活動勧誘週間になってもルシルとリーナ、ミアは認識阻害と飛行魔法で完全にスルーした。部活など興味も関心もない。
九重寺で達也と深雪は九重八雲に天海ルシル達について質問したのだが……
「天海ルシル君と倉橋理奈君、本郷ミア君か。天海ルシル君は一般家庭出身で、倉橋理奈君と本郷ミア君については僕も何も知らないよ」
「!? 一般家庭出身で、第一世代で前代未聞の推薦入学ですか?」
「達也君たちが信じられない気持ちもわかるよ。ただ投資界隈では天海ルシル君は有名人だね」
「投資界隈で、ですか?」
八雲も知らないことだが、ルシル君3歳は両親からもらった初めてのお小遣いで宝くじを買ったら一等、ロトなどでも次々当たる。
初めてのお買い物が宝くじとはどういう発想なのだろうか。
【発】ステータスの幸運値の検証のためだ。
「競馬なんかでも、万馬券が当たるし、掛け金が凄まじいレベルだね。100億賭けるって、ねえ?」
イメージはこち亀だ。とある画伯から莫大な遺産を相続してしまい、使い切るためにという(笑)
「100億……」
「それは、流石に……」
お金を一体なんだと思っているのかと、世間に謝罪しろと言いたくなる。
「君達の気持ちはわからなくもないよ? ご両親はさっさと散財してしまえって、我が子が凄まじい資産家になってしまったことから、危機感を抱いたのだろうね。いきなり大金持ちになったら、疎遠の親戚や自称親戚、怪しい詐欺師が寄ってくるものだし」
「…………ですが、そこでギャンブルになりますか?」
八雲は意味不明だよねえと笑った。
「親子の娯楽じゃないかな?」
「…………親子の娯楽がギャンブルですか……」
普通はネズミーランドなどではないのかと……
「もう笑うしかないよねえ。ご両親は青褪めていたそうだけど」
「それは、よからぬ輩に目を付けられます。青褪めて当然です」
「天海君のご両親は心労が絶えないでしょうね……」
「株に投資すると必ずそこは伸びるから、『幸運の女神の愛子』と呼ばれているんだ」
時計塔では為替や先物取引でも凄まじいことになっている。
「凄まじい豪運の持ち主ですね……」
「もう毎日豪遊して子孫が何代も遊んで暮らせるレベルじゃないかな」
「それだけの資産家ならPDが完全非公開なのも頷けますね……」
「誘拐対象になるからね……」
「もう洒落にならないから息子を守るために引越しさ。引越してからの住所連絡先は不明。プライバシーもあるしねえ。調査はできないよ」
深雪は内心家族仲が良さそうな天海家が羨ましかった。達也も内心自分も天海家のような一般家庭に生まれていればと思うところはあった。
達也と深雪は帰宅後、『天海家が羨ましい』とハモった。
「お兄様もですか?」
「深雪もか?」
「家族仲が良好で、子供のために引越して守るだなんて、四葉とは、お父様とは大違いです……」
「ああ、俺も正直天海家が羨ましい……。一般家庭でも、そこから生まれた魔法師の子供を愛する家庭だ……」
「やはりお兄様にも思うところはあったのですね……」
「それはそうだろう……。俺にだって家族愛はある……。一般家庭出身の、第一世代でも愛してもらえる天海君が正直羨ましい……」
「お兄様、それは正常な感情です。わたしも両親と仲が良い天海君が羨ましいです……」
「…………四葉に生まれたのが呪いとしか思えない……」
「お兄様……」
…………いえ、四葉程度が呪いなの? 何、この悲劇のヒロイン兄妹?
ポク、ポク、ポク、チーン!
忘却の彼方へ!
ある日のこと、烈がぼやいた。
「まさか今生陛下がいらっしゃるとは思わなかったよ……」
「宮様を婚約者に斡旋されましたからね」
「…………どうしてそうなるのかね?」
「皇室に毎年100億献金しているからですかね?」
「…………いつから献金しているのかね?」
「4歳〜です。宝くじやロト、競馬などで次々当たり、使い切れないから」
「…………本当に君は『幸運の女神の愛子』だね」
「時計塔設立後は皇室のお正月のために昆布、鮑、牡蠣、ナマコ、フカヒレ、伊勢海老、鰻、クロマグロ、様々な鳥肉、卵、牛豚鶏亀鯨肉、米麦野菜芋果物なども献上しています」
「君ほど勤王の志しが篤い人もいないだろうね」
「私はお人好しではありません。広告宣伝費として割り切っています。皇室御用達は美味しいので。時計塔産物は高級品ブランド路線です」
「それでも毎年100億かね……」
「節税対策?」
「確かに時計塔の利益なら端金に過ぎないか……」
献上している産物は余り物という事情もある。アイテムボックス最強説。
「陛下も宮様が幸せになれると確信したのだろうね」
「三矢や四葉、五輪、六塚、九島などからも季節の贈り物がくるし、消費しきれません」
「ははは、それだけ感謝されているのだよ」
時計塔でも消費しきれない分は連名で皇室に献上している。
「宮様はアリサと同い年のため、エアカーで一緒に送迎しています」
「安全を考慮して当然だね」
「まあそのような事情もありお忍びで陛下がいらっしゃるのです。宮様は陛下の曾孫姫で可愛がられていますからね」
「陛下があれほどフランクなお方だとは思わなかったよ」
「陛下も人ですからね。息抜きするには時計塔重宝するって。それにここのショッピングモールの視察で宣伝してくださったのも宣伝効果抜群です」
「天皇陛下を宣伝に、というのも凄いね」
陛下は人格者だね。
「父が陛下に土下座していたのは流石に反応に困っていらっしゃいましたが」
「…………ルシル君の父君のあれはどうにかならないのかね?」
「必殺技みたいですよ?」
「…………陛下もお気の毒なことだね……」
ルシルは図書館特別閲覧室に引きこもり、授業に出席することすらない。リーナとミアは認識阻害で徹底的に他の生徒達を避けた。速度強度規模計測などの無駄な実習は必ずサボり、課題のレポートを片付けている。体育の時間はルシル君と保健室や屋上などで閨実技(笑)行為跡はヴァッシェンでなかったことにしている。これなら保健室の先生にも迷惑をかけない。
いや、一度エンタメのために後始末をせずにお暇したところ、保健室の安宿先生が笑顔でぶち切れていた。残されたメッセージ・カードには『これが保健体育閨実技だ』と記載されており、校長に報告されてから、生徒会長の真由美や風紀委員長の摩利に犯人達を捕まえるようにと通達された。
昼休みに生徒会室では真由美が溜息を吐いて……
「あの、七草会長、何かありましたか?」
「……………………保健室で性行為をしていた生徒達がいたらしいの……」
「はい?」
全員耳を疑った。
「しかも『これが保健体育閨実技だ』ってメッセージ・カードが残されていたらしいわ……」
「なるほど、いい得て妙ですね」
「お兄様?」
「いや、すまない。不謹慎だったな」
冷たい笑顔の深雪に即座に謝罪する達也。
「犯人は授業をサボってる天海君と、体育をサボってる倉橋さんか本郷さんのどちらかなんでしょうけど、ねえ……」
「ああ、現行犯逮捕でもない限り無理だよ。風紀委員だって授業があるし、それにそんな現場に居合わせたいと思うかい?」
「思いません」
全員の声がハモった。
「使っている魔法は遮音フィールドなどでしょうが、それが魔法の不適切使用とは無理があります」
「市原先輩、どういうことですか?」
「男女の営みは自然の摂理であって、魔法師は早婚が求められています。不適切使用には該当しません」
「そ、そういうことですか……天海君ってもう……はわわわわ……」
あーちゃんの顔は真っ赤である。一体ナニをこのお子様は想像しているのだろうか。
「全く、そんなこと生徒会と風紀委員に言われたって困るわよ」
「現場の後始末をさせられた安宿先生は笑顔でぶち切れていたな。…………『保健体育の後始末は保健の先生の仕事です』ってメッセージもあったらしくてね……」
「なるほど、否定できませんね」
「お兄様?」
「いや、だから落ち着け」
冷気が漂う妹を即座に鎮める兄……
「…………『ラブホには回転するベッドや振動機能、色々とアメニティが充実しているのに、保健室は非常識に過ぎる』ってメッセージもあったらしいわ……」
『コンドームとピルくらい完備しておけ。妊娠したらどう責任を取ってくれる? 大人の玩具もないと学習できないではないか!?』ともあった(笑)
真由美と摩利はセクハラされた気分になっていた(笑)
「保健室をラブホ扱いですか…………それは流石に安宿先生もぶち切れるでしょうね……」
「…………ガラス張りの浴場がないことも指摘されたらしい……」
「『それでも保健室か!? 一高にはガッカリです』って……」
「いや、それはどんな保健室ですか……」
「そのようなことにガッカリされましても……」
「あの……、それは本当に天海君達の仕業なのでしょうか? イメージが違うといいますか……」
ルシル君の中身はギャグだ。
「……あーちゃんの言う通りね…………天海君はクールな絶世の美少年だもの……」
イメージって大切ですね(笑)
「未成年でそれ程までラブホに詳しいというのも……」
「言い方!」
真由美のツッコミ炸裂。
「いえ、成人したらと考えると……」
鈴音は冷静である。
普通に未成年でもラブホ利用できますよ?
「そ、それはそうだけど……」
初心な真由美は小悪魔を気取っている小娘ですね(笑)
「……生徒ではないのではないでしょうか……」
「それなら尚更、生徒会と風紀委員の管轄外よね……」
「ですが、天海君が既に大人だというのも否定できません。この画像、明らかに童貞ではありませんね」
「言い方!」
また真由美のツッコミ炸裂。
「事実です。相当な経験者だと思われます」
しかしまた冷静に返された。
「…………確かに画像からも異様な色気が漂ってるわよね……」
神々の愛子ですからね ♪
「恋人のいない女性からも、いえ、いても、獲物ですね」
護衛がいなければ女性から足払いメッサーされるのも日常茶飯時ですからね。
(おい……、前世でストーカー被害者なんだけど?)
どこからか外野のツッコミが聞こえますが、気のせいです ♪
(…………)
「市原……」
「事実です」
「…………もしかして、天海君、襲われたのかしら?」
失敬な。マスターは紳士ですから、誘います! 誘われます!
(一般人との融和も欠かせない)
「!? ……それならば天海君は無実ですね」
いえ、主犯です。
(やったね)
「そのような愉悦思考の女子生徒、いえ、教師も含めて、……って調査は無理よね……」
「そうですね」
達也は内心ルシルに同情していた。このような噂の的になるなど、自分なら絶対に御免だと……
ギャグというものを理解できないとは、可哀想ですね。
「……安宿先生はあの見た目に反して怖いんだよ……」
「物理で制圧されるわね」
「安宿先生にバレたら気の毒ですね」
そのドキドキスリルが堪らない!
(あれは興奮する)
流石は変態紳士!
(保健室のお約束だ!)
学校性活あるある〜〜〜
(保健室については、あくまでもエッチなシチュエーションをしてみたかったからということで、現実的には難しい。前世でもそこまではという件について)
吊るし上げられますよね〜〜
(しかし新人の保健室の美人先生に責任を取ってもらった時は至福だった)
まさかの事実!?
(先生を見ると痛くなるんですって、止まらなくなった)
流石はエロ賢い!
摩利と真由美、鈴音の感想に達也と深雪はそれは一体どんな保健の先生なのかと疑問しかない。
「でも本人達には注意しなければなりませんね」
「深雪? 一体何を注意するんだ?」
「高校生のすることは勉学です。性行為をする場所ではありません」
「いや、『これが保健体育閨実技だ』ぞ? 体育をしていることにはなるんじゃないか?」
「うっ……」
「そういうことで生徒会と風紀委員は黙認するしかないわね」
「完全に知能犯の類だな」
イエイ
「ええ、なんていうか、魔法の使い方や時代の風潮の利用の仕方が巧みっていうのかしら?」
「しかもサイオンセンサーに検知されずに、流石は推薦入学するだけはありますね」
あくまでもルシルを犯人扱いしている。主犯だけど。
「あーーっ、わたしも天海君みたいな恋人欲しいわ……」
「七草会長ならお見合い話などいくらでもありそうですが……」
「恋愛してみたいじゃない……」
それに保健室でというシチュエーションなんて、背徳感があってドラマみたいで憧れるわと内心呟いた真由美……
「十師族の一員である会長には難しいお話ですね」
「うぅっ、鈴ちゃんが冷たい……」
「事実でしょう」
「ですが会長の気持ちもわかります。誰しも恋愛をしてみたいという憧れ、願望はあります」
「そうよね、深雪さん。天海君みたいなイイ男は売約済みなんだから、世の中理不尽だと思うわ……」
どこまでもルシルを犯人扱いしている。主犯だけど。
「同感です」
世の中理不尽だらけということを学習し給えよ。
「コホン、会長なら、お相手は魔法科高校史上初の推薦入学者なら許されるのではありませんか?」
「おおっ、略奪愛だな!」
「あわわわ……」
「そっ、そんな……」
「迫って既成事実を作るなどありふれたことかと。七草の家名で正妻の座を勝ち取ればいいのでは? 別に愛妾など珍しい話でもありません」
仕様ですね。
「いえ、一夫一妻が正しい在り方です」
「司馬さん? 十師族だけでなく、ありふれたことですよ? 優れた魔法師の男には子供を多く作る義務があります」
「そ、それはそうですが……」
「妹に現実を突きつけるのは止めてください」
「あの、お兄様……?」
「現実は残酷ですね」
四葉、七草、十文字、千葉でも例外ではない。三矢も子沢山。
ようこそ、現実世界へ\(^o^)/
しかし、司波兄妹、貴様等はお断りだ!
感想大歓迎です!