本好きの念能力者 @ 魔法科高校   作:avagnale

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ネチネチ追い込むよ


二日目 3

 司波達也が事務室から持ってきたCADについて。

 

「そのCADも違法だ」

 

 この指摘に演習室の空気はピシッと凍り付いた。

 

「それは十師族などでもない限り銃刀法違反に該当する。司波、十師族ではないのだろう?」

 

「…………ああ……」

 

 四葉だと名乗ることはできないのだろう? 内心にやにやしながらこいつの弱点をネチネチと責めてやる。

 

「押収する」

 

 インベントリに収納した。

 

「ッ!? 俺のCADが消えた……」

 

 ルシルは達也に「あの程度、体術だけで余裕だろう?」と囁いた。

 

「!? あっ、ああ……」

 

「3秒で怪我しないように拘束しろ。あの勘違いした魔法至上主義バカに魔法だけが全てではないと思い知らせてやれ」

 

「お兄様、わたしも我慢の限界です」

 

「…………わかった……」

 

 お兄様は矜持を刺激されて、妹の我慢も限界の様子に、決断した。

 

 

 

 司波達也が演習に臨むのを見守りながら、ルシルは隣にいる深雪に小声で話しかけた。

 

「司波さん、君のお兄様は矯正しないとマズい」

 

「はい……」

 

「あれは無自覚に無鉄砲に敵を作る。結果君が狙われるということも理解していないだろう?」

 

「それは……、」

 

「本人だけにヘイトが向かうのであればいいが、復讐は周囲にも及ぶのは歴史が証明している」

 

「…………」

 

「深雪さん、難しい顔をしてどうしたのかしら?」

 

 そこに首を突っ込んできた真由美に説明した。

 

「なるほどねぇ、ルシル君は理性的でコミュ力抜群だからその心配はないものね」

 

 お話して刺していくよ。ド変態のように問答無用で対処することもあるけど。

 

「今回の件は服部はんぞー君に大きな問題があるから、司波を責めることはしない。っていうか、余計な口出しをするなと生徒会長として服部はんぞー君を黙らせろ」

 

「うっ……、す、すみませんでした……」

 

「社会では予め根回し必須なことを理解していないだろう。これだから箱入り娘のお嬢様は……」

 

「わ、わたしは予め根回しを、」

 

「それが不十分だったと言っている」

 

「うっ……」

 

「商社では会議のための会議のための会議があるなど根回しは徹底している」

 

「……それって最早政治じゃない……」

 

「一流商社あるある。一高卒業生は一流商社では通用しない」

 

 それってまさか、時計塔?と真由美と深雪は疑惑を深めた。

 

「服部はんぞー君の性格など把握していただろう? 予想できたことだ。司波兄妹が憤るのも無理もない」

 

 …………演習に臨んだ達也は聞き耳を立てていたのだが、ルシルは本当に公平な立場で見ているのだなとありがたく思った。

 

「……ねえ、ところでルシル君はどちらが勝つと思うかしら?」

 

「司波。瞬殺するだろう」

 

「え……」

 

「あれの纏う空気は実戦経験者のものだ。何故喧嘩を売るのか疑問」

 

「ルシル君、それは……、」

 

 

 

 演習開始直後に、速攻ではんぞー君の後ろに回り込み、CADを装着した左腕を捻り上げ抑え込んだ。ご丁寧に手刀をはんぞー君の首に突き付けている。

 

「…………勝者、司波達也。……待て、予め魔法を待機させていたのか?」

 

「あれは忍びの歩法だろう。この辺りだと九重寺かな?」

 

「はい、兄は九重八雲先生の弟子なんです」

 

 あの忍術使い九重八雲と驚愕する摩利はお約束。

 

「なるほど……、流石は古流……」

 

「CADに頼り切りの現代魔法師があのように拘束されてしまえば終了だ。魔法など一つの才能タレントに過ぎない。自分の家族や親戚に非魔法師がいたら、生まれたら差別するのか? それは反魔法師主義団体とどう違う? 誰が第一次産業〜第六次産業まで支えていると思っている? 服部はんぞー君、入店購入利用お断りされたらどう思う?」

 

「ぐっ……、司波さん、申し訳ございませんでした。浅学を謝罪します」

 

 服部はんぞー君の司波深雪への謝罪後、釘刺しをしておく。

 

「ブリーフ一丁ネクタイ月一マラソンおめでとう」

 

 途端に服部はんぞー君は愕然とした表情になった。

 

「ブリーフ一丁ネクタイ、ですか?」

 

「服部はんぞー君が負けたら八王子警察署往復マラソンさせる罰ゲームが決定していた」

 

 詳細を説明したところ、司波兄妹は吹き出した。

 

「天海君イメージが違いますね……」

 

「本当よね。見た目はクールな絶世の美少年なのに、お腹が痛いわ……」

 

 …………特にルシルの口から『ちんちん』、『去勢』などなど、出てくるとは思わなかったと……

 

「『勇者』という選択肢もある」

 

「勇者? …………一体何をさせる気なんだ?」

 

「まずは真由美さんの部屋に堂々とノンアポで入る」

 

「おい!?」

 

「そして本人の目の前で下着を漁る」

 

「ちょっと待て!?」

 

「全裸になり、真由美さんのセクシー・ランジェリーをくんかくんかペロペロしながら着用する」

 

「…………」「最低ね」

 

「顔には真由美さんのセクシーおパンツ様を被り、頭にはブラジャーを装着する。膝下ストッキングも履け」

 

「それは確かに勇者ですね」

 

「そんなことされたら、魔弾の射手でボコボコにするわ」

 

「その前に双子にボコボコにされるだろう」

 

「香澄ちゃんと泉美ちゃんなら黙っていないわね」

 

「さあ、勇者はんぞーよ、逝ってこい!」

 

「逝かねーよ!? お前、どうしたらそんな罰ゲーム思いつくんだよ!?」

 

「ガールフレンドの家に遊びにいったシチュエーションと勇者の組み合わせだ。服部はんぞー君ならやりそうだなと」

 

「やらねーよ!?」

 

「全く、最近の勇者は不甲斐ない」

 

「俺は勇者じゃねーよ!?」

 

「そう? これだけ七草真由美さんのことが大好きなんだってアピールにはなるよ?」

 

「なる訳ねーだろ!?」

 

「あら、ルシル君にそんなことをされたら、わたしはそれをネタにして嫁入りするわね」

 

「会長!?」

 

「だってこんなに頼りになる男の子初めてだし……」

 

「なるほど、略奪するのですね」

 

 頬を染める真由美に頷く鈴音とか……

 

 真由美は強要されるお見合いに鬱憤が溜まっていたのもあり、ここで爆発してしまったのか。

 

「その姿で警察署に突撃だーーー!!!」

 

「お縄じゃねーか!? 俺の人生終わらせる気満々だな!?」

 

「なるほど、人生終わりますね」

 

「ああ、終わるな」

 

 う〜ん、服部はんぞー君、完全にキャラ壊れてるね〜〜

 

「ルシル君、イメージ違いすぎないかしら?」

 

「私の中身はギャグなので」

 

「ふ〜ん、でもルシル君はわたしのセクシー・ランジェリーに興味があるのね?」

 

「服部はんぞー君に着用させたいくらいには」

 

「そこはお姉さんに興味があるって言うところだと思うわ」

 

「セクシー・ランジェリーには興味がある。妹達の参考にしたい」

 

「ルシル君も妹さんいるのね」

 

「毎回買い物に付き添うのだけど、年齢的にも冒険したくなるのかな? 年上からのアドバイスがほしい。リーナとミアはあまり参考にならないし」

 

 あの二人、本当にセクシー・ランジェリーなので。流石に小学生がスケスケとかどうなのよ……

 

「ルシル君、今度の日曜日お姉さんが付き添うわ」

 

「え、いいの?」

 

「お姉さんに任せなさい」

 

 真由美に時計塔のカードを差し出したところ、真由美は目を瞠り、すぐにカードをしまった。

 

 

 

 めでたしめでたし

 

 

 

 結果、司波達也の風紀委員入りが決定した。

 

 

 

「あの、天海君、お兄様のCADを返してもらいたいのですが、」

 

「所持しているだけで犯罪だ。昨日逮捕されたド変態のようになりたいのか? あれは銃刀法違反の罪も追加されているのに?」

 

「い、いえ……」

 

 CADを片手に持ちながらパンパンパンパンだからねwww 脅迫罪も加わるよwww

 

「今後所持したら確実に懲役だね」

 

 法律を無視するのもいい加減にしろ。

 

「そ、そんな……、」

 

「七草真由美さん、私は犯罪行為が横行している組織に入る気はない」

 

 ではそういうことだからと退室していったルシル君に誰もが呆然としていた。

 

「ーーーーッ天海君、待ってくれ!」

 

 我に返った司波達也と深雪が焦った様子でルシルを追いかけていった。

 

「何? 自首するのかな?」

 

「違う…………事情があるんだ」

 

 この際仕方がないと判断した達也は打ち明けることにした。

 

「実は俺は国防陸軍の特務士官なんだ」

 

 達也の告白にルシルは器用に片眉を上げた。

 

「それも犯罪だね」

 

「はっ?」

 

「少年兵は違法だ」

 

 義勇兵なら合法だ。一条将輝やその相棒吉祥寺がこれに該当する。

 

「そんな……、」

 

「法律を甘く見るな。国防軍は「国防軍法」に基づき、業務上必要な武器・刃物を所持・使用できるため、一般向けの「銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)」の適用外となる。ただし、個人的な所有や目的外使用(例:私有包丁の不法携帯)は銃刀法違反に問われ、刑事告発の対象となる。軍属だからといって持っていていいものではない」

 

 自衛隊からそのまま国防軍になったのだから、法律もほとんどそのままなんだよ。

 

「…………君はどこまで法律に詳しいんだ……」

 

 犯罪者になりたくないから。

 

「天海を甘く見るな。司波、檻の中一歩手前だということを理解しろ。警察省公安を甘く見るな。マーク対象になったことを自覚しろ。私はクラスメイトの司波さんに、兄が檻の中になるなど辛い思いをさせないでほしいと願っている」

 

「…………」

 

「天海君……」

 

 深雪はルシルに感激した。このような人は絶対にいないと運命の出会いを確信した。

 

「司波、妹に悲しい思いをさせるな。少年兵にしろ、銃刀法違反にしろ、司波の場合は無知な?大人の方が悪い」

 

 これには兄妹揃って安堵の溜息を溢している。

 

「お兄様、天海君の言う通りです」

 

「すまない……」

 

「司波が国防陸軍に所属したキッカケは沖縄か?」

 

「そうだ……」

 

「となると『大天狗』か。101所属?」

 

「……本当によく知っているな……沖縄海戦前にレフトブラッドといざこざがあってな……」

 

 経緯を聞いたところ、本当に呆れた。

 

「呆れたものだな。民間人に暴力行為に及んでおいてお咎めなし? それは犯罪行為の隠蔽、不祥事のもみ消しだろうが」

 

「いや、その後は軍基地で戦って、」

 

「決闘罪。国防軍体験で決闘などしない。『大天狗』はバカだな。部下のコントロールもできない無能」

 

 国防軍前身の自衛隊でも体験で決闘などなかったよ。そもそも違法だから。

 

「…………基地で特化型CADをもらって、」

 

「銃刀法違反」

 

「…………」

 

 即座に論破していったところ、お兄様は黙り込んでしまった。

 

「あ、あの、檜垣さんはあの後で上官に扱かれていたからむしゃくしゃしていたと謝罪してくれました」

 

「むしゃくしゃしていたからといって民間人に暴力行為をしてはいいとはならない」

 

「…………」

 

「司波さんも大丈夫なのか?」

 

「…………不安になってきた……」

 

「おい、無知は罪だぞ? 国防軍士官なら当然教育されているだろう? 公然と法律を無視していることになるのだが?」

 

「…………」

 

「おい、司波ってどんな家だよ…………普通は疑問に思うだろうが……ネグレクトの弊害か……」

 

「す、すみません……」

 

 …………お兄様は非常識をこれでもかと突き付けられて愕然としている。

 

「しかしよくシルバーホーンのカスタマイズモデルを入手できたな? 相当難しいと思うが?」

 

「親父がFLTに勤務している……」

 

「だから子供に玩具のように銃を買ってやったと。それも犯罪だ。FLTもガサ入れ対象だな」

 

「ッ!?」

 

 本当に迂闊なバカだな。バカを無視してリーナとミアと合流して帰宅した。

 

 

 

 達也は帰宅すると風間に連絡した。

 

『特尉どうした?』

 

「は、実は本日天海ルシル君から指摘され、結果シルバーホーンを押収されました」

 

『は? ……『幸運の女神の愛子』からか?』

 

「突然シルバーホーンが消えました。どのような魔法か全く自分の目でもわかりませんでした。シルバーホーンは十師族でもない限り銃刀法違反であると、自分は反論できませんでした」

 

 達也から事情説明された風間は頭が痛そうにしていたが……

 

「特尉のことについてはこちらから天海ルシル君に説明しよう」

 

「はっ、申し訳ございませんでした」

 

「どこまで法律に詳しいのだ…………特尉は今後日常ではシルバーホーンを携帯しないようにしろ」

 

「はっ、ですが万が一の場合、」

 

「今回のように周囲の視線に触れることのないようにしろということだ」

 

「はっ、了解しました」

 

 

 

 駄目だ、こいつら。全く反省してねえ。

 

 

 

 この通信を聞いていた深雪は流石に眉を顰めた。

 

「お兄様、わたし達のすることは反省です」

 

「お前を守るのがガーディアンである俺の役目だ」

 

「……天海君の忠告を無視するんですか?」

 

「無視じゃない。周囲にわからないように上手くやるだけだ」

 

「お兄様が警察に捕まったらわたしの家族と護衛はいなくなるんですよ?」

 

「天海君の助言を活かして上手くやる」

 

「あれは助言ではなく警告です……」

 

「大丈夫だ。国防軍は戦略級魔法師である俺を切り捨てることはできない」

 

「……天海家は明らかに警察省公安を配下にしているのにですか?」

 

「…………天海君は誠実な人格者だ。甲斐性もある。深雪は彼の愛人にでもなって四葉から抜けた方が幸せだろう。優しい深雪に四葉は合ってない。愛情深い天海家に、天海君に嫁ぐことを考えるんだ。天海家であれば四葉でも手出しできないだろう」

 

「…………確かにわたしは天海君に惹かれていますが、お兄様はどうされるのですか……」

 

「四葉と国防軍との間で上手く綱渡りするさ」

 

 深雪は国防軍に対して怒りを覚えた。兄に堂々と違法行為をさせるとはどういうことなのかと。…………元々沖縄での潜水艦襲撃事件による事情聴取で深雪は風間に対していい印象を持っていなかったことが再燃した。深雪は内心天海君に相談しなければと決意した。

 

 この日、FLTはガサ入れされて、司波兄妹の父親は逮捕、色々押収された。これが報道された結果、FLTの株価は連日大暴落することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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