本好きの念能力者 @ 魔法科高校   作:avagnale

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現代魔法師下半身問題について


三日目 1

 ルシルは図書館に引きこもり、リーナとミアと昼休み合流して蕎麦屋で一杯と思っていたのだが……

 

「司波さん?」

 

 なぜ司波深雪が同行しているのだろうか。

 

「ルシルに相談したいことがあるらしいの」

 

「ルシル様、司波さんをエスコートしてくださいませ」

 

「私達は外食だけどそれでもいいなら」

 

「はい、喜んで。どこにエスコートしてくださるんですか?」

 

「相談事があるなら個室のある店がいいだろうね。和食懐石イタリアンフレンチ、どれがいいかな?」

 

「天海君にお任せします」

 

「ではどうぞお嬢様」

 

 ルシルはリーナと深雪をエスコートする。深雪は兄以外にエスコートされるのは初めてで新鮮な感覚になった。

 

「イタリアンにしよう」

 

「楽しみです。昨日天海君達は外食していたんですね」

 

「学食は絶対に混むし、食事は楽しく美味しい物を食べたいからね」

 

「初日のことですね……」

 

「ん? 初日何かあったの?」

 

 知ってるけど

 

「天海君達は初日学食であった一科生と二科生の諍いを知らないんですか?」

 

「初日も外食してウニいくら丼だったかな? 昨日は寿司屋で旬のお任せ握り」

 

「あのウニといくらではち切れんばかりの丼至福だったわね」

 

「ルシル様は大トロやサーモン、ホタテ、甘エビもトッピングされていましたよね」

 

「流石にウニといくらだけでは飽きるからね」

 

「…………天海君達美味しい物を食べてるんですね。わたしも何故外食という発想にならなかったのか……」

 

「視線も鬱陶しい」

 

「天海君達も大変ですね……」

 

「街中でもお互いに一緒にいないとナンパや逆ナンされるのは仕様。リーナとミア可愛いから」

 

 六本木や渋谷、新宿などでは10分に最低一回はナンパ、逆ナン、芸能事務所から勧誘されるってどんだけ……、だから認識阻害使うけど。

 

「本当に大変ですね……」

 

 深雪はリーナとミアの虫除けのためにルシルは生徒会室での昼食を断ったのだと納得した。

 

 いや、ダイニングサーバーの味気ない食事はお断りだ。

 

 イタリアンの個室に入って注文が届いてから、認識阻害を使って相談内容を聴くと出るわ出るわ……

 

「どんだけ鼻が長いの、天狗は」

 

「お兄様を唆して、許せません……」

 

「護衛としても度が過ぎていると思いますが……」

 

「ミアに同感ね。肝心の妹の意思はどこにいってるのよ?」

 

「そう思うわよね?」

 

 リーナとミアは深雪に同意して頷いた。深雪も私達同様飲酒している。酒でも飲まなければやってられないという心境なのだろう。

 

「わたしは沖縄の時からあの人に対していい印象がありませんでした……」

 

「レフトブラッドによる暴行、管轄違いのしつこい事情聴取、軍基地に招かれて決闘、銃刀法違反などなど、法律をまるっと無視するにも程がある。不祥事もみ消しも大概にしろ」

 

「お兄様は騙されているんです……」

 

 こめかみをトントンつつきながら考え込む。

 

「司波さん、『大天狗』を立件するのは容易い」

 

 深雪は笑顔に輝いた。

 

「今日にでも警察省で事情聴取だ。ちょっと待って」

 

「えっ……、」

 

「ーーーーーーーーということで、檻の中にしておいて」

 

『かしこまりました』

 

 通話終了後

 

「ということだから」

 

「…………天海君、どれだけ権力者なんですか……」

 

「一般市民の義務」

 

「天海君のことを一般市民というにはちょっと……」

 

 深雪は苦笑して、カラスミパスタをフォークで巻き巻きしていた手が止まっている。

 

 私は納税している立派な一般市民だよ?

 

「そういえば決闘に代わる実技演習だけど、生徒会は気付いているのかな?」

 

「え、何を、ですか?」

 

「決闘に類する言葉をタブーにしたけど、私が司波にはんぞー君を体術のみで抑え込ませたのは暴力行為にしないためにだ。が、他はどうだろうね? 物理でも魔法でも床や壁に叩きつけたりなど、暴力行為に該当するって理解しているのかな? 暴行罪になるよ? 怪我したら傷害罪。それは実質決闘だ」

 

 実質決闘なら言い訳は通用しない。

 

「あ、それは……」

 

「怪しいものがあるよねえ。私は司波が犯罪者にならないように助言したが、他の生徒会役員や風紀委員長は理解しているのかな?」

 

「……理解していないと思います……」

 

「司波さん、生徒会役員や風紀委員長と共有した方がいい。今日から部活動勧誘週間なんだろう?」

 

「は、はい、ありがとうございます、ルシルさん!」

 

 この時点で深雪がルシルに完全に惚れてしまったことにリーナとミアは気付いた。

 

「わたしのことは深雪と呼んでください、ルシルさん」

 

「わかった、深雪」

 

 リーナとミアも深雪と名前呼びすることになった。

 

「レフトブラッドによる暴行だが、国防軍誕生前も度々在日米軍による性犯罪が問題になっていたのを知らないのかな?」

 

「え……」

 

「もう治外法権ではなくなったのだから、厳罰に処すべきなんだよ。司波がいなければ下手をしたら深雪はレフトブラッドの慰み者にされていたところだ」

 

「そんな……」

 

「深雪、危機感足りてないわね」

 

「ヤンキーは野蛮だと認識した方がいいですよ?」

 

 ルシルとリーナ、ミアの忠告に深雪は青褪めた。

 

「レフトブラッドを処分しなかったから発生した軍基地反乱でもある。キャストジャミングと銃撃された原因は風間だ」

 

「( ゚д゚)ハッ! た、確かに……」

 

「キャストジャミングをされたら身体の弱い人なら寿命が縮まったり最悪死ぬぞ?」

 

「…………」

 

 深雪は心当たりがあるようだ。母親と桜井穂波のことを考えているのだろう。

 

「それも風間の不祥事もみ消しだね」

 

「はい……、許せません……」

 

 一気に酒を呷る深雪は今までの疑問が解消されてスッキリしたようだ。やはり何処か心の片隅でもやもやしたものがあったのだろう。

 

 …………私を見る視線に危ないものが混じっていると思うのは気のせいだろうか?

 

「…………そ、それから、ルシルさんに確認していただきたいことがあるんです……」

 

「内容にもよるけど」

 

「…………お兄様が、……ほ、ほ、包茎ではないかどうかです!」

 

 私達は吹き出した。

 

「ゴフッ、……何故そうなる?」

 

「……わ、わたし達はあまりにも非常識だと思い知らされたからです……」

 

 は、腹が痛い……

 

「ル、ルシル……、確認してあげたら……?」

 

「み、深雪さんからしてみれば心配にもなりますよ……」

 

 リーナとミアもお腹が痛そうである。ということで休み時間に保健室で確認することにした。

 

 

 

 

 

 休み時間に司波達也を保健室に呼び出して、安宿先生にも同席してもらって臨戦態勢だ。安宿先生に事情説明したところノリノリで快諾してくれた。

 

「…………天海君?」

 

「初めまして、わたしは保健医の安宿怜美です」

 

「初めまして、司波達也です。……自分は一体何故呼び出されたんですか? それに何故天海君がいるんですか?」

 

「司波君、服を脱いで全裸になって。身体検査するから」

 

「…………」

 

 まだシルバーホーンを新調する前で助かったと内心安堵した達也は大人しく従ったのだが、……全裸になった達也を見た安宿怜美は溜息を溢した。

 

「はあ……、司波君、教育が圧倒的に足りていないわね……」

 

「はい?」

 

「司波、ちんちんの皮を剥け」

 

「…………どういうことだ?」

 

「それは包茎という病気だ」

 

「…………は?」

 

 安宿先生は手袋を装着してワキワキしている。

 

「安心して。一瞬だから。天海君もいるから、準備万端よ」

 

「…………自分は病気なんですか?」

 

「日本人は包茎が多いのよね。現代魔法師はその教育自覚がないみたいだから困ったものよね」

 

 これは古代ギリシャの有名な男性像だけどと司波達也に画像を見せた。

 

「ほら、剥けているだろう? これが正常な状態だ」

 

「…………安宿先生と天海君であれば治療できると?」

 

 そういうこと。

 

「…………自分が病気だったと自覚していませんでした。……お願いします……」

 

 ということで安宿先生が司波達也のちんちんの皮を剥いて、ルシルがヴァッシェンで洗浄して終了した。

 

「司波、ちんちんの皮は剥いたままにしろ。深雪に嫌われるぞ?」

 

「まさか……、深雪の頼みだったのか……?」

 

「一般常識だよ。あまり妹に心配をかけるな」

 

「すまない……」

 

 マジで爆笑物だ。安宿先生はご満悦だし。

 

「では次、司波、勃起しろ」

 

「ちょっと待て……、何故そうなる?」

 

「男性機能の確認よ。大人しくしていてね」

 

「!?」

 

 安宿先生が司波達也のイチモツを扱いたのだが、無反応……

 

「おい、EDかよ……」

 

「確定ね」

 

「ーーーッそれは誤解です! 俺は昔魔法事故により、」

 

「現代日本魔法師社会で許される訳がないよね」

 

「司波君は頭脳も優れているんでしょう? 魔法事故なんて言い訳にもならないわ」

 

「バイアグラ処方決定」

 

「そこまでするのか……」

 

「司波の優れた遺伝子を逃がす理由がない。観念しろ」

 

「司波君、子供を作るのは魔法師の義務よ。子育てに自信がなかったら精子提供者ね」

 

 ぶふっ、司波達也はこれでもかと顔を歪めた。

 

 あ〜、ぽんぽ痛いよ〜〜

 

 

 

 達也は実習でレオに包茎のことについて小声でボヤいた。

 

「は? 達也包茎だったんか?」

 

「レオは正常なのか?」

 

「中学時代にダチと話題になって剥いたぜ。いや〜、あれは臭かったな」

 

 レオは爆笑している。

 

「そうなのか…………天海君と安宿先生の話では現代魔法師は教育が圧倒的に不足しているため、包茎が多いのではないかということだったんだが……」

 

「ああ、確かに否定できねぇな」

 

「保健室で自己紹介したらいきなり『全裸になれ』だぞ? 耳を疑った…………深雪が心配して天海君に相談したようだ」

 

「いい妹さんじゃねーか。それに対応してくれる天海もいい奴だぜ。初日の一科生とは違ってな」

 

「ああ、それには感謝しているんだが……」

 

「ん? 他にもなんかあったんか?」

 

「…………すまんがこればかりは言えない」

 

 達也は自分が優れていると認められて嬉しい気持ちはあるものの、精子提供者扱いだけは勘弁してくれと思っていた。そのため、褒めて認めてもらえても微妙な気分だ。

 

「まあいいけどよ」

 

 この会話を聞いていた男子達が包茎について検索したところ、青褪める生徒が続出した。その中の一人から……

 

「ね、ねえ、司波君、保健室で治療してもらえるのかな?」

 

「包茎のことか? どうしても皮が剥けない人は包茎手術が必要みたいだな。幸い俺は剥けたから、天海君に洗浄してもらって終わりだ」

 

「達也、最初剥いたらかなり痛いもんだけど大丈夫なんか?」

 

「ああ、天海君の洗浄魔術?は痛みも洗い流すらしい。全く痛くない」

 

「魔術?」

 

「現代では喪われた西洋魔法魔術の一つらしい。天海家に蔵書があって、試してみたら使えたとか」

 

「司波君、天海君を紹介してもらえないかな?」

 

 要望が続出した。

 

「天海君の懸念通りか…………これ程まで数が多いと他のクラスでも多そうだな……生徒会長に話を通しておくからそれまで待ってくれ」

 

「本当に頼むよ。まさか病気だったなんて……」

 

 切実な顔が多い。

 

「司波君、天海君って大丈夫なのかな? ほら、初日に騒動あったでしょ?」

 

「天海君は誠実な人格者だ。差別意識もない。むしろ一科生二科生の差別意識について嫌悪しているみたいだ」

 

「それなら安心だな」

 

 ということでルシルの噂が拡散することになった。

 

 

 

 

 

 休み時間にリーナとミアがカウンセラーの小野遥と一緒にルシルのいるカフェに来た。

 

「ルシルに言われた通り風紀委員に教職員推薦枠でって勧誘されたわ」

 

「倉橋さんの恋人婚約者の天海君が忙しいからって風紀委員入りはお断りされたのだけど、風紀委員が忙しいのは部活動勧誘週間くらいのものだからなんとか了承してもらえないかしら」

 

 認識阻害を使った。盗聴防止のために。

 

「小野遥先生、公安だよね」

 

「!? ……何故それを……?」

 

「天海家は警察省公安を使う立場なので、把握している」

 

「それは、大変失礼しました……」

 

「小野先生、公安辞めたい?」

 

「それは、はい……、わたしはカウンセラーですから……」

 

 小野先生の前に一枚のカードを差し出した。

 

「そこのカウンセラーになってくれるなら3末での辞職を認める」

 

「これは……、そういうことでしたか……」

 

 時計塔のカードを確認した小野先生は目を瞠り息を呑んだ。

 

「このお話、お受けします」

 

「大変結構。風紀委員はリーナとミア以外から勧誘するように」

 

「かしこまりました」

 

「火遊びも程々にね」

 

「うぅっ、申し訳ございませんでした……」

 

「和尚が貴女のことを心配していた」

 

「そういうことですか……」

 

「足を洗った方がいい。堅気の世界って憧れるよね?」

 

 警察省公安は堅気ではない。国家権力というヤクザだ。

 

「はい……、迂闊だったと反省しています……」

 

 小野遥GETだぜ! 大門の嫁として紹介しよう。

 

 認識阻害を止めたところ、深雪がルシルさんここにいたのですかとやってきた。

 

「ライダースーツ止めた方がいいよ」

 

 小野遥と深雪はピシッと固まった。

 

「下品だよね。もろに身体のライン強調しているし、ド変態なの?」

 

「や、止めます……」

 

「ド変態仮面ライダースーツってだけで通報したくなる」

 

「…………」

 

「ジュリアナでも復活させてボディコンになってお立ち台でジュリ扇でも振って踊る?」

 

 画像を突き付けたところ、小野遥と深雪は内心絶叫した(笑)

 

 ジュリアナ……1991〜1994年まで存在したという伝説のディスコだ。バブル崩壊後のヤケクソ踊りらしい。

 

 深雪は好きな人に嫌われたくないため、以降仮面ライダースーツの着用は止めた。ルシルに知られない内に処分することにした。

 

 知ってます(笑)

 

「東京は高いから、豊原でどうかな?」

 

「勘弁してください……!? 人生詰みますよ!? しかも豊原って樺太ですよね!?」

 

「東京でディスコ、需要ないからね」

 

 多分どこにもないと思われる。

 

「香港なら需要あるかな? 小野先生、逝ってこい」

 

「逝きませんよ!? なんで百年前のことを発掘してくるんですか!?」

 

「面白そうだったから ♪」

 

「わたしのハートは粉微塵ですよ!?」

 

「な〜んか、ジュリアナを連想したからね〜〜」

 

 法的にディスコの営業は難しい。誂っているだけだ。

 

「それ、絶対違いますよ!?」

 

 けちょんけちょんにされた小野遥の泣き顔が話題になり、泣かせた人物がルシルだと知ると、困った顔の真由美は……

 

「ルシル君、女性を泣かせては駄目よ」

 

「ド変態仮面ライダースーツのことを指摘しただけ。オートバイに乗ってそうな顔していたから」

 

「それは一体どんな顔なのよ……」

 

「バイクはハーレーやヴェスパにスーツや私服派なので相容れない。ド変態仮面ライダースーツはブーメランパンツに匹敵する」

 

「ルシル君の中ではそういうイメージなのね……」

 

「ブーメランパンツはどうかと思うわ」

 

「ド変態ですね」

 

 リーナとミアの感想を真由美は否定しなかった。

 

「例えばドラゴンボールに出てくるサイヤ人やフリーザ軍のブーメランパンツとか、『ブーメランパンツはセクハラですよ!』とツッコんだ」

 

「ツッコむところはそこなの!?」

 

 もっこ〜りしてるじゃない。

 

「サイバイマンやフリーザ最終形態、セルには『パンツ履け!』とツッコんだ」

 

「あ……、確かに全裸だったわね……」

 

「普通に通報されますよね……」

 

「悟空が天下一武道会でちんちん掻いている場面では『包茎か!? ちんちんの皮剥け!』とツッコんだ」

 

 全員吹き出した。

 

「あの場面でヤムチャは悟空にそのようにツッコむところだろう」

 

「…………お、お腹が痛いわ……」

 

「…………ルシル様、その発想はありませんでした……」

 

「ブルマが悟空を風呂で洗っている時にちんちんの皮を剥かなかったのは処女だから仕方がない。あの描写は深いなと感心した」

 

「…………ルシル君は感心するポイントが違うわね…………わたしはあの場面では微笑ましくしか思わなかったわよ……」

 

「ルシルさん……、あまり連呼しないでください……」

 

 おや、深雪は免疫がなかったか。これは失礼。

 

 

 

 

 

 




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