私、悪い入間じゃないんです! 信じてください!!   作:かりん2022

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吸血の特徴のユーモアのある会話が出来ない……!



俺たち(内政)最強!2

「実験に参加して欲しい?」

 

 歌姫は、同級生となったばかりの本間玖郎に頭を下げられ、困惑した。

 

「そう。吸血と私で、極秘で実験をしているのだけれど、協力をして欲しいんだ」

「やばい実験じゃないでしょうね? 吸血って、吸血鬼のコスプレした加茂家分家のおっさんよね? 何をするのよ。血はあげないわよ」

「より攻撃を容易にする実験だ。秘密にする縛りを結んでから、俺の真似をして的を攻撃して欲しい。これが契約書だ」

「長っ!」

 

 びっしりと書かれた契約書を熟読し、歌姫は悩んだ後にサインをした。

 

「別に、やる事は的の攻撃よね?」

「そう。実験場は用意してある」

「怪しげな場所について来いって?」

「その辺は危害を与えない契約を盛り込んでいる。ちゃんと読んだか?」

 

 本間は契約書にぐりぐりと蛍光ペンを引いていく。

 

「う、言ってみただけよ!」

「契約は大事だぞ。ちゃんと読む癖をつけろよ」

 

 そう言って、歌姫を連れていく。

 

 大きな建物の地下に、その的はあった。

 

「リピート・アフタ・ミー。ア“ー!」

 

 本間が唱えるて手を的に向かって伸ばすと、どん! と的が揺れる。

 

「アー!」

「違う! ア“ー!」

「ヴァー」

「ア“ー! 精神を的に集中しろ! 俺の舌の動きに触れるんだ」

「え、ええー?」

 

 何度か練習を重ねる。そしてついに。

 

「ア“ー!」

 

 的は揺れた。

 

「えっ」

「ガンガン練習して欲しいが、人前では使わないように心がけてくれ。これがうまく使えるようになったら次の呪文を教える。歌姫は俺と同じで、攻撃力が足りない。要らぬお節介だが、ハラハラする」

「こ、これ! すっ すごい秘密なんじゃない!?」

「何れ秘密で無くなる。だが、今はまだ秘匿しておきたい。派閥を作るのにも使いたいからな。歌姫。俺と吸血は2024年までに呪術界に大きな派閥を作る」

「なっ なんで2024年?」

「大きな災が起こるかもしれないからだ。出来るだけ準備をしておきたい」

「災って何よ」

「流星群。異星文明由来の、文明を滅亡させる破壊の雨だ。ア“ーと言うのは、撃てと言う意味の外惑星の言葉なんだ」

 

 一体何が起こっているのか。でも、とても大きな動乱の予感に、歌姫は息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歌姫はやってくれた。

 一年、完璧に隠し切り、尚且つ勤勉に学んでくれた。

 新一年生は既に情報が入っている。

 

 癒し、1人軍隊、そして最強の盾。

 

 この学年は、絶対に取り込んでおきたい。

 

「ようこそ新入生! 私は庵 歌姫! 先輩です!」

「俺は本間玖郎。困った時は頼って欲しい」

「そして私は高峯 玖郎! 是非とも気軽に吸血と呼んでくれ!」

「出たなおっさん! 学生にはとりあえず唾つけとくマン!」

「はっはっは! 久しぶりだね、五条くん! 人脈は大切だからね。今日のところは私の名前を覚えておいてくれると嬉しい」

 

 そうして吸血は顔と名前の名刺を配る。

 

「評判は良いから貰っとく」

「おや素直だね。ありがとう」

「有名なのかい? ええと、五条 悟くんだっけ。知ってる人なんだよね?」

「悟で良いよ。こいつ、東京校や京都校に新入生が入るととりあえず会いに来るので有名なの。卒業の時にも来る。術師としても強いけど、投資やなんかで金持ってるし、術師行くの辞めたいって思った時の相談とか、就職の斡旋とか、辛いって思った時のカウンセラーの斡旋とか、他にも困った時相談すると親身に答えてくれるって有名。5歳の頃に養子にしようとした加茂家当主を逆にボコった伝説あり」

「へぇ。私も名刺、いただいておこうかな」

「私も貰う」

「是非、頼ってくれたまえ。この職業だ。頼れる先はどれだけあっても困らないからね。ああ、そうそう。私の盟友が本間君でね。本間くんも相談に乗ってくれると思うから、大いに頼るといい。庵くんも面倒見のいい子だよ。色々駆け引きが必要となる事もあるけれど、この2人は信用のおける先輩だ。さ、君らも挨拶しなさい。君らのことは知っているけれど、挨拶は大事だからね。どの世界でも、人間関係は大事だよ」

「五条 悟! よろしくぅ!」

「夏油 傑です。よろしくお願いします」

「家入 硝子。よろしく」

 

 滑り出しは順調だった。黄金世代の彼らは向かう所敵なしだ。

 ちょっと舐められているのが問題と言えば問題だが、最初に吸血の取りなしもあったおかげで、馬鹿にされた感じはない。

 と言うより、聡い子達は、切り札を持っている事を察しているようだった。

 

 未来視(本間)が3年生になる時、事件は起こった。

 未来視は早速吸血を呼び出す。

 

「吸血。問題が起きた」

「内容は?」

「あいつら、女の子の護衛依頼を失敗するんですって」

「おそらく、天元様への生贄案件だ。調べるのを手伝って欲しい」

「穏やかでないね。夏油くんは無事なのかい?」

 

 伸び代に関して言えば、夏油を最も多く見積もっている吸血が聞く。

 

「大怪我はするが体は治る。代わりに、精神的に大分クル。念の為に年単位で未来を見たが、呪詛師になってる」

「失敗の内容は」

「おそらくフィジカルギフテッド。とんでもなく強い上、呪具で武装してる。そいつにボコられて、女の子を殺した事に温かい拍手をする群衆を見て、だんだん憔悴していって、迫害された幼女を見て止め。教育に悪いよな」

「そうか……。護衛失敗までの時間は」

「あと三週間もない」

「そうか。だが、言い換えればこれはチャンスだ」

「ああ、先輩のありがたみを刻み込んでやる」

「一生恩に着せてやるわ!」

「歌姫はほどほどにね……」

 

 それから、調べる。

 天元について。その結界について。その是非について。

 未来視も吸血も、最悪の時代を知っている。

 人類全体の為に、少数が命を捧げる事の重さを痛いほどに知っている。

 それと同時に、命の尊さもまた知っている。

 

 伝統だから、今までしていたから無闇に受け入れたり、逆に反発するのではない。

 その理由と必要性を考えなくてはならないのだ。

 犠牲が絶対に必要なら犠牲にする。違うなら絶対に助ける。

 もちろん未来も視る。

 

「あ“ー! あいつら、せっかく刺客を撃退してやっても、生贄を逃がしやがる!」

「それを責めることはできないよ。彼らはまだ学生だ」

 

 考える。

 

「まあ、どうせ2024年には結界なんて壊れるだろう。必要なのは心身ともに健康な夏油くんだ。違うかね?」

「そうだな。結果が変わらないなら、この際、全力で恩に着てもらうことにする」

「刺客との交渉は出来そうかい?」

「失敗する。あれはおそらく五条悟の暗殺依頼も兼ねてる。あと、五条悟が致命傷を与えられた時に覚醒する。多分その段階は踏ませた方がいい」

「えっと、私はどうすればいいの?」

「未来視は未来を見ると無防備になるのは知ってるね。彼を守ってあげてほしい」

「わかったわ」

 

 こうして悪巧みは進む。

 

 精神が幼児化して歌姫が面倒を見ている時に五条達に見られて、赤ちゃんプレイが好きというレッテルを貼られてしまったが、コラテラルダメージである。涙。

 




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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