私、悪い入間じゃないんです! 信じてください!!   作:かりん2022

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次回、大変な超越者を尻目に呪術師達の最初で最後のハイパーご褒美タイム


私、悪い入間じゃないんです! 信じてください!!9

ネットで晒されている。

それもやべーところが関わっている。

高嶺は不安を感じていた。

当然、警察には相談しているのだが、警察が例の件、などと話しているのを聞いてしまったのだ。その上、そのうち然るべき所から連絡が来ますから、ときたものだ。

 

視線を感じるし、会社にもしょっちゅう問い合わせが来るようだ。

 

その上、知り合いから何やらサバイバル関係や帝王学の本を勧められる。

意味がわからない。聞くと、誤魔化される。

怪しげな男達が近づいてきたと思えば、どこからともなく現れた男達に拘束されて連れて行かれていく。

 

実力行使で知ってそうな人間に詰め寄ろうとも、中々に口が硬い。

 

探偵に頼んでも、調査をお断りされる。

 

そうして、ついにその人達が来た。

 

「高嶺邦光さんですね? 実は、国が主催するとある集まりに出て欲しいのです」

「ようやく、か。全て説明してもらえるのだろうね?」

「はい、とても重要な話があるのです」

 

身分証には、呪術師と書かれていたが、れっきとした公務員のようだ。

わけがわからない。そんな組織を国が抱えていたというのも初耳だ。

 

集まった場所には、雑多な人々がいた。3歳の子供連れの夫婦すらいる。

ん、彼は先輩のところの研究室の教授じゃないか?

 

「うちの子をジロジロジロジロ、どういう事なんですか!」

「これ、大丈夫なんだよね? いきなりデスゲームとか起きたりしない?」

「絶対訴えてやるからな! こそこそこそこそ、一体どういうことなんだ!」

 

 全体的に、不安や怒りの感情が強い。

 共通点は見出せない。

 わちゃわちゃしていると、かなり分厚い資料が配られた。

 

「お集まりの皆さん。私は伊地知といいます。皆さんには、ある共通点があります。それは、とあるネット上で公開された、リョナエロ漫画の登場人物だということです。そして、その漫画の制作者は、無自覚の未来視の持ち主の可能性があります」

「はぁ? 私達が被害者になるって事ですか!?」

「そんな……私は既婚者ですよ」

 

 女性陣から男性陣に向けられる視線が厳しい。誤解だ、私にはそんな趣味はない。年齢的にも、女性陣は私には若すぎるかあからさまな既婚者だ。タイプとも大幅に外れていた。

 

「私にはそういう趣味はない。巻き込まれる可能性は皆無だと思うのだが。それに、この資料に載っているのは、どう考えてもファンタジーの住人のようだが」

 

 パラパラと見て、私のページを見る。ヴァンパイアだった。

 書いてあるのを読む限り、リョナエロ要素はない。ただ、早期に死んでいるようだが。

 

「残念ながら、2024年に着弾するシャンタク座流星群は存在を確認されており、その流星群と共に電気文明は滅び、魔法文明が起こるとその漫画で描かれているのです」

「なるほど? それが事実だと?」

「そこに出てきた登場人物、最も若いのはそこにいる3歳の大日向慧ちゃんですね。彼らの事が、10年前には既に公開されていたのです。生い立ちまでね。そして、実際、その生い立ち通りにあなた達は人生を送ってきた」

「それは……信じがたいですが。もしかして、それで未来の要人となるメンバーを集めているのですか? リョナエロ漫画というのは一体」

「その漫画は、入間の魔法使いという男が、今日生きるのも難しい世界を懸命に生きる人々に狼藉を働く、という内容なのです。入間が誰かは特定できておらず、ここにはいませんが」

「そんな! この子は2024年にはまだ12歳ですよ!」

「この子が要人になると?」

「全滅した魔法言語学研究チームの貴方の研究を引き継ぎ、人類を救います」

 

 断言されて、大日向ちゃんのご両親は期待と困惑の表情を見せる。

 

「シャンタク座流星群の着弾を防ぐのは不可能です。ならば、優秀な魔法使いになる貴方達には、事前に様々な事を勉強して日本を導けるようになってほしい。超越者となる貴方方は、電気が使えなくて銃弾が量産できず、武器が次々とガラクタとなり、魔物が押し寄せる中、それぞれの地区を守護・運営してもらわねばならないのです。2024年後、軍事と政治を少なくとも一時的には一手に引き受けなければならないのです」

 

「「「「「はああああああああああ!????」」」」」

 

「では! 誘拐されそうになったのは!」

「国に1人でも多くの超越者を確保したいからです。特に高嶺さん、貴方はその能力、人格、魔力、総合値がとても高く、中心人物になると予知されています。早期に亡くなってしまいますが、私達はそれを防いで貴方に日本国首相になってほしい」

「もしこの未来が起こらなかったなら? その可能性もあるだろ?」

「その時は全力でお詫びとサポートをしますよ。もしもそれが起こるなら、地球は人類の存続すら難しくなるのです。皆さんには、英才教育をさせていただきたい」

「私、宝石は好きだけど、強欲お宝ドラゴンになるなんて信じられないんですけど」

「超越者となるさい、性格、知能は著しく変異します。貴方は残念ながら、理性と知力の大半が吹っ飛ばされます」

「嘘でしょ? 怖ぁ⋯⋯え、ほんとに?」

「そして、日本には陰ながら日本を守ってきた人々がいます。それが私達、呪術師です。呪術師は2024年、何らかの原因で死滅すると予測されているのですが、過去を生きる私たちから、未来を生きる皆さんに、生きる術をお渡ししたく思います。端的にいうと、戦闘訓練や組織運営についてお教えしたく思います」

「仕事はどうなるんだ」

「貴方と会社、双方に国から援助がされます。2024年までと、それ以降両方、シャンタク座流星群の問題が幸いにも起きなかった場合もです」

「こんなことが起こるなんて信じられない! パパとママが、そんな。妹が死ぬなんて」

「擁護させていただくなら、極限状態だったのです。ただまっとうに生きる、それすら難しい程の。それに、未来は容易く変わります。本間さんがそれを証明します」

「俺ぇ!?」

 

 本間という名前を調べる。なるほど未来視。中々のやり手のようだ。

 

「国として、この馬鹿みたいな予言を信じると?」

「はい」

「時間が欲しい」

「出来る手助けはなんでもします。今日は吸血さんがいるので、血液のスペシャリストから呪術のデモンストレーションを行ってもらいます。ただし、負の感情は呪霊という不可視の化け物を生みます。それ故に、直前までグレムリン災害については伏せます。ご理解ください。呪霊に関しましては、シャンタク座流星群による消滅が期待されますので、そこはご安心ください」

「加茂憲紀だ。それでは、術式を見せていく」

 

 さらっとファンタジーな設定を追加して、中学生くらいの少年が血液を飛ばして的を壊していく。なんてことだ本物だ。もしかして中学生で実戦出させられてる? そんなまさか。

 

「これを出来るようになれと?」

「まさか。貴方はまだ魔法使いではないし、魔法と呪術は違います。なので、防げるようになるだけで大丈夫です」

「今、鉄の的を破壊していたようだが」

「防げるようになるだけで大丈夫です。あと、戦闘中に呪文が詠唱できるよう、特殊なボイストレーニングもしていただきます」

「信じられるか! やってられるか、こんなん!」

「じっくり資料を見て、ご連絡ください。気づいた事があれば何でもご連絡くださればと」

 

 そして私達は、今日はひとまずということで返された。

 私達にはこれから、呪霊の護衛をつけてくれるらしい。

 細かい遠隔操作などは出来ないので、本当に咄嗟の護衛しかできないそうだ。

 

 私達は連絡先が入った携帯を貸与され、返された。

 

資料を見て、サイトを見る。電話を掛けた。

 

「クラッキングしてほしいサイトがあるのだが……」

 

 セキュリティが固くて無理だったらしい。まあ、国が本気出しても駄目だったのだろう。でなくばとっくに作者を拘束しているはずだ。

 

 しかし、死神、忍者、霊界探偵、そして呪術師が入り混じった二次創作の話で、呪術師だけ本物とか、意図してやってるならかなりの愉快犯だな。

 

 可哀想なのは抜けないので嫌だが、仕方ない。サイトは全部見るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 入間死すべし慈悲はない。

 えっ っていうか、私が司法をやるのか? 死刑も? 行政と軍事を全部やるとか、無理じゃないか? でも、小さな女の子であるヒヨリくんに処刑を任せるのはもっとない。私がやるしかなさそうだ。傀儡の魔法対策を考えねばな……。これが私の仕事とか嘘だろ?

 

 ちなみに、出ている登場人物で特定できる人は全員に声がけをしているそうだ。何故なら、生き残った世界線があるというだけで、つまり人類の知識を託して活用できる公算があるという事だからだ。

 シャンタク座流星群に降られた段階で体をグレムリンが突き破って死ぬ者もいるらしいからな。

 

 ひどいな。そして怖いな。今の私は呪霊とやらを生み出しているに違いない。

 

 ん? この暴力団に所属している超越者って、ニュースで死刑になった人じゃあ……。あっ 登場人物の枠が高潔だから、善人に宿ってくれた方が助かるからか……!

 

 どうやら、国はかなりなりふり構わないらしい。

 そういえば、言語学の研究室の先輩が、急に予算を国から貰えたって言ってたな……。なるほど、この繋がりか。どうやら、私は彼らを使い潰すらしい。

 

 や、やりたくない。やりたくないぞー!

 

 一週間後、再度集まった時、幼稚園の周囲の不審者と新人の教師と誘拐未遂犯はお前の手先かと大日向ちゃんのお母さんがキレていた。

 天才児になる事が確約された子だからね。でも教授の薫陶あっての事だろうから、今誘拐しても意味ないんじゃないかな。

 

「全員来てくれて嬉しいよ! 今日は僕が教師をするよ! 戦闘の心構えとかを教えるよー! 特にヒヨリ。未来の最強。君には元呪術師最強の僕から、しっかりレクチャーさせてもらうよ!」

「ふぇ!? 不審者……! わ、私に戦闘とか無理です!」

「大量の魔物に押し寄せられてもそれ言えるかな〜? 君が迷うごとに10人死んでいくと思いなさい。特に君は唯一入間に対抗できる人間だからね。情報は入間も手に入れるだろうから、狙われることは確実。本来の君が打てたラッキーパンチはもうないんだよ。実力で上回る事が必要だ」

「うぅ……!」

 

 ちなみに私の講師は今日も憲紀くんらしい。

 私の専属になってくれるようだ。

 

「君達は、2024年に死ぬ覚悟をしているのかい?」

「全然出来ていないさ。まだまだ生きたいし、やりたい事も沢山ある。でも、呪術界は元々ままならぬものだし、やる事やったら私達はバカンスを許されている。早く仕事を終えて、家の事情で別れねばならなかった母に会いにいくんだ」

「それはすぐに会いに行きたまえよ。君の歳で母親から引き離すなんてやっていいことではないだろ」

 

 憲紀くんと話して、結論を出す。

 呪術界もクソだね、これ。

 

 擦り潰される地獄のような環境から、死ぬ事が決まってようやくちょっぴり解放されるのだ。とはいえ、被害が大きく出そうな呪霊は引き続き退治させられているらしい。死傷率も高く、とんでもない所業だと思うのだが、これでも無茶な依頼がなくなって大分平和なのだという。それに、私達はもっとひどい環境になると。

 

 孤立した超越者は、大体死ぬらしい。食事も睡眠も必要なのに、敵のど真ん中に戦える人間1人だとそうなる。そりゃそうだ。

 でも私は広大な港区のエリアを1人で担当していたらしい。東京の超越者達はみんなそうらしい。嘘だろ?

 

 呪術師みんな生き残れ。

 

 どうやら、負の念は大きな力を生むらしいから、呪術師の流儀に沿って呪ってみた。

 

 呪術師みんな生き残って、一緒に地獄で社畜をするのだ。

 うん、これは呪いだな。

 




マシュマロ
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